2018年02月05日

司法試験の「刑法」の特徴としては,「刑法」を苦手にしている受験生と,得意にしている受験生に大きく分かれます。


「刑法」は学説の対立が激しくて,学者によって言っていることが全く違ったりします。

特に刑法総論の基本書や判例解説を読んでいると「この先生は○○と言っているが,この先生は××と言っている。どっちが正しいのだろうか?」と惑わされ,複雑な迷路に迷い込んでしまうことがあります。


他方で「刑法」はロジカル(論理的)な学問であるため,理屈で考えることが好きな人にとっては面白くてたまりません。法律オタクが多い分野でもあります。

そのため「刑法」の勉強にハマってしまうと,「刑法」の学問的な勉強ばかりして他の科目の勉強が疎かになり,結果として司法試験合格が遠のいてしまうこともあります。

私の周りをみても「民法が得意だ」という受験生は司法試験に1回で合格することが多いのですが,「刑法が得意だ」という受験生の中には1回で合格出来なかった人が少なくありません。


では「刑法」を効率的に勉強するためにはどうすれば良いのか?

それは学説の対立に惑わされることなく,判例・通説に沿って淡々とコンパクトな勉強を心がけるべきです。

以下「刑法」を効率的に短期間で合格レベルに仕上げる勉強法についてお話したいと思います。



■刑法の入門書を読もう


先程お話ししたとおり,刑法が学説の対立が激しいため,最初から基本書を読み始めると,何が「判例・通説」なのか訳が分からなくなりがちです。

ですから,学説の対立に惑わされないように,最初に「判例・通説」に従った入門書を読み,自分の中に「軸」のようなものを作っておきましょう。


刑法の入門書としては「判例・通説」をコンパクトにまとめている「伊藤真の刑法入門」がおすすめです。

●ISBN-10: 4535517363



その他にも「伊藤真新ステップアップシリーズ〈3〉刑法」も非常におすすめです。

この「ステップアップシリーズ〈3〉刑法」は,司法試験の論文式試験に出題される典型論点をコンパクトにまとめています。

私はある司法試験の上位合格者から「刑法の論文式試験に必要な知識はステップアップシリーズに書いてあることで十分だから,知識をインプットするならとにかくこの本を完璧にしろ」と言われ,半信半疑でこの本を何度も復習しましたが,司法試験の本番では刑事系で高得点を取ることが出来ました。

刑事系に限らないことですが,司法試験で合格するためには,基本的な知識を確実に固めることが大事ですので,そういった意味では非常に優れた本です。

●ISBN-10: 433530188X




学者が書いている入門書では山口厚先生の「刑法入門」か「刑法」をおすすめします。

●ISBN-10: 4004311365

●ISBN-10: 4641139083

山口厚先生は司法試験考査委員を長年にわたって務め,最高裁判所判事にもなったとんでもなく優秀な先生で,「結果無価値論」という現在の実務と対立する学説を採っています。

そのため,「山口厚先生の書いた本はさぞかし難解なんだろう」と思いきや,そうではないんです。学者の先生の書いた本の中では,かなり分かりやすいです。

山口先生の本を読んでいると「本当に頭の良い人は,我々一般庶民に説明する時にも分かりやすく説明ができるんだなー」,と思ったりします。

山口先生は実務と異なる「結果無価値論」を取っていますが,この「刑法入門」と「刑法」では「結果無価値論」をゴリ押しするようなことは書いてありませんので,安心して使うことができます。

「刑法入門」は読みやすいのですが,本当に刑法を初めて勉強する人のために書かれたような本であるため,深い論点などについては書かれていないところもあります。

他方「刑法」は「入門書」よりもレベルが高い基本書ですが,司法試験で出題されるような知識をコンパクトに「ギュッ」と押し込んだような本で,司法試験直前まで使える便利な本です。

内容がコンパクトなので,初学者でも気合いを入れれば最後まで読み切ることができるでしょう。

私も受験生の時に山口厚先生の「刑法」を買って使っていました。



■刑法の論文問題集を読もう


刑法の入門書を読み終わったら,刑法の論文問題集に手をつけましょう。

刑法の入門書を読み終わった後に「基本書」をゼロから読み始める受験生が多いのですが,そのような受験生の大半は「刑法の学説の荒波」に飲み込まれて時間を浪費していきます。

正直なところ司法試験の論文式試験で必要な知識はとても少ないんですよ。

司法試験の科目の中で,1番目か2番目に少ない知識で合格レベルに達することができるのが「刑法」です。

ですから入門書を読んだら「基本書」を読む前に,論文問題集を読んで,刑法の論文式試験で必要な知識がどの程度のものなのか,感覚を掴んでおくことが大事です。


刑法についても論文問題集を読むのであれば「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめします。

量も多すぎないので挫折せずに最後までやりきることが出来ますし,参考答案の質が高いです。

●ISBN-10: 4335303548

●ISBN-10: 4335303645


刑法の論文式試験については,入門書を読んで,「伊藤塾試験対策問題集」を繰り返し復習して,分からないところを基本書や予備校本で補充し,過去問を分析して,答練を何回か受験して復習すれば,それだけで合格レベルに達します。

私は法科大学院に入学するまで刑法は苦手だったのですが,法科大学院1年目の夏休みに「伊藤塾試験対策問題集」を繰り返し復習したところ,刑法の成績が一気に伸びました。

刑法は苦手にしている受験生も多いですが,勉強の仕方を間違えなければ一気に得点源になりますので,諦めずに論文式問題集を使って繰り返し訓練してみてください。



刑法の論文問題集には他に辰已法律研究所の「えんしゅう本」や早稲田経営出版の「スタンダード100」などがありますが,無理にこれらの問題集に手を広げなくても司法試験には十分に合格できます。

私は「えんしゅう本」も「スタンダード100」も両方持っていましたが,どちらも量が多すぎて早々に挫折しました。それでも普通に合格しています。

「えんしゅう本」や「スタンダード100」は「伊藤塾試験対策問題集」に載っていない論点の書き方を参考にするくらいの使い方でも良いと思いますし,無理をして買う必要もないと思います。

●ISBN-10: 4887277385

●ISBN-10: 4847142152




■おすすめの刑法の基本書と予備校本


論文式問題集をこなしていると,しっくり来ないところや,分からない箇所が出てくるはずです。

そのような時には基本書を参照して疑問を解消しましょう。

以下,総論と各論に分けておすすめの基本書を紹介します。



○刑法総論

刑法総論の基本書では,個人的には裁判所職員総合研修所の「刑法総論講義案」をおすすめしています。

●ISBN-10: 4906929516

なぜかと言うと,司法修習でも実務でも,基本的にこの「刑法総論講義案」に沿った理論が使われているからです。

司法試験は,司法修習生・実務家となる者を選抜するための試験ですから,それであれば最初から司法修習・実務で使う本を使ったほうが効率的です。

私も「刑法総論講義案」の存在を知るまでは,学者の基本書や予備校本を使っていたのですが,特に「共同正犯」が全く理解できずに困っていました。

基本書や予備校本に書いてある理屈だと,判例の共同正犯の規範やあてはめが全く理解できないんですよね。

そんな時に,刑法総論講義案を読んだところ「なるほど!そういうことか!」と一気に理解が進みました。

それからは司法試験の勉強でも実務でも基本的に「刑法総論講義案」を使っています。



「刑法総論講義案」の欠点は「読んでいてつまらないこと」です。

研修用の本なので,学者の先生の本を読んでいる時のような面白さはありません。



そのため,通読をするのであれば,予備校本か,山口先生の「刑法」をおすすめします。


予備校本の中では「伊藤塾呉明植基礎本シリーズ 刑法総論」がおすすめです。

●ISBN-10: 4335314299



予備校本には他に「伊藤真試験対策講座 刑法総論」や,東京リーガルマインド(LEC)の「C-Book 刑法I」などがありますが,刑法に関して言えば「伊藤塾呉明植基礎本シリーズ」がコンパクトで分かりやすいです。

●ISBN-10: 433530272X

●ISBN-10: 4844936085



先程紹介した山口先生の「刑法」も通読におすすめです。

コンパクトで判例・通説に沿っているので混乱することもありませんし,無駄な勉強もせずに済みます。

しかも日本トップクラスの学者が書いているので安心して読むことが出来ます。

山口先生の基本書に書いてあることを書いて司法試験に落ちることはないでしょう。

●ISBN-10: 4641139083





○刑法各論


刑法各論の基本書としては西田典之先生の「刑法各論」をおすすめします。

実務に即した基本書なので,実務家でも西田先生の基本書を仕事で使っている人が多いと思います。

私が司法修習でお世話になった検察官の机の上にも,講義案と西田先生の刑法各論が置いてありました。

西田先生の本を使っていれば特に問題はないでしょう。

●ISBN-10: 4335304544

ただ,西田先生は大変残念ながら2013年に亡くなってしまいましたので,今後の改訂はないのではないかと思います。


「改訂がないのはちょっと・・・」という人で,基本書を辞書的に使う人であれば高橋則夫先生の「刑法各論」が良いと思います。

高橋則夫先生の「刑法各論」は,判例集をわざわざ開かなくても学習できるようなボリュームがあります。

700頁超と,刑法各論の基本書としては量が多めなので,通読を考えている人は時間不足にならないようにペース配分を考えたほうが良いと思います。

●ISBN-10: 4792351243



「とにかく分かりやすい教科書が良い」という人は予備校本でも十分です。

「伊藤塾呉明植基礎本シリーズ 刑法各論」であれば,司法試験合格に不要なことは書いていないので,効率的に勉強ができると思います。

●ISBN-10: 4335314272



最後に,刑法各論を勉強する上で出来れば持っておきたい便利な本「条解刑法」です。

「条解刑法」は基本書ではなく「辞書」なのですが,構成要件の定義が正確に漏れなく書かれており,刑法で分からないことがあれば「条解刑法」を読めばほぼ解決します。

●ISBN-10: 4335355599



司法試験の論文式試験の刑法各論で点を取るコツは「愚直に構成要件に当てはめをしていく」,それだけです。

論点を大展開するよりも,構成要件の定義を示して,その定義に丁寧に事実を当てはめていく,そのほうが点数が高くなります。

なぜならば,刑法は罪刑法定主義を取っているため,1つでも要件を満たさなければ無罪になってしまうからです。司法修習でも,「愚直に構成要件に当てはめをしていく」という作業を徹底的に叩き込まれます。


刑法の論文式試験で「愚直に構成要件に当てはめをしていく」ためには,刑法の構成要件の定義を正確に記憶しておくことが大事なのですが,刑法の定義を正確に記憶するために便利なのが,この「条解刑法」です。



私が司法試験を受験した年の刑法の論文式試験では,とにかく論点てんこ盛り,共犯が沢山いて書くことが沢山ある,という問題が出題されました。その問題を見たときに,私は「勝った」と思いました。

私の周りの受験生は「時間切れで途中答案になってしまった・・・」と泣きそうになっていました。

他方,私は論点の記述は最小限にして,とにかく構成要件の定義を示して,定義に事実を当てはめて,誰に何罪が成立するのかということ書く,という「処理」につとめ,時間内にきちんと答案を仕上げました。

その結果,刑事系では高得点を取ることが出来ました。



「条解刑法」は高い本なので司法試験受験生時代は無理をして買う必要はありませんが,試験本番で慌てなくて済むように,「刑法の構成要件の定義を正確に記憶する」という作業は試験本番までに必ず済ませておくようにしてください。



■論文式試験の過去問の分析


●司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」と「●民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」でもお話したとおり,司法試験では論文式試験の過去問の分析が極めて大事です。


刑法では論文式試験の過去問に慣れておかないと,高い確率で本番で時間切れになってしまい,不合格となる可能性が高くなります。

刑法の論文式試験の過去問を実際に解いてみると,論じるべきことが多すぎて「こんなの書き切れないよ!」と思う人も多いでしょう。

そんな時には合格者の答案を見ると,時間内に書き終わるように工夫がされていることが分かります。

配点が低いであろう箇所は短く書くか省略して,配点が多い部分は厚く論じる,というのが論文式試験で合格答案を書くコツです。

特に刑法各論がメインで問われ,何人もの行為者の多数の罪責を論じなければならない場合には,「構成要件の定義を書いて,事実を評価して当てはめる」そしてまた「構成要件の定義を書いて,事実を評価して当てはめる」・・・と愚直な処理を心がけ,論点については簡単に触れる程度に留めておいたほうが点が付きやすいです。

なぜなら,刑法は罪刑法定主義という原則があるため,基本的に問題になる犯罪の各構成要件に点が振られており,「構成要件の定義を書いて,事実を評価して当てはめる」という作業を繰り返すことで着実に点を積み重ねていくことが出来るからです。


私が司法試験を受けた年も刑法各論がメインで問われ,多数の罪責について論じなければならない問題でしたが,私は問題を見て「この問題だと途中答案になって自滅していく受験生が続出するだろうから,自分はとにかく構成要件に事実を当てはめて結論を出す,という基本的なスタンスに徹しよう」と考えました。

そうしたところ,刑事系では高得点を取ることが出来ました。

ちなみに,私の席の後ろに座っていた受験生は「自分が知っているあの論点が出たので沢山書いていたら,時間が足りなくなって答案を書きれず,途中答案になった」と言っていましたが,合格発表ではその受験生の番号はありませんでした。

このように,実際に論文式試験で「何にどのくらい時間をかけるべきか」「何をどおくらい論じれば高得点になるか」という「技術」は,どれだけ基本書を読んでいても身につきません。

実際に論文式試験に合格するためには,純粋な法律の勉強だけではなく,実際の論文式試験の過去問に触れ,合格者の答案を見て分析して,何をどのように書けば良いのか,作戦を考えておくことが大事なのです。


過去問を分析するにあたっては,法務省のホームページで過去問や「論文式試験出題の趣旨」「採点実感等に関する意見」を見ることも大事ですが,「論文式試験出題の趣旨」「採点実感等に関する意見」では求められているレベルが高すぎるため,「現実的にどのようにすれば良いのか」を知るためには予備校が出している司法試験を分析した本が役に立ちます。

予備校が出版している過去問分析に関する本は多数ありますが,これまでも紹介した辰已法律研究所の「司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本」と「司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本」が使いやすいと思います。

●ISBN-10: 4864663211

●ISBN-10: 4864663246


まずは法務省のホームページから過去問をプリントアウトして実際に時間を計って問題を解いてみてください。

その上で,法務省のホームページにある「論文式試験出題の趣旨」「採点実感等に関する意見」を読み,また予備校の「ぶんせき本」の合格者の答案を読んで,自分の答案に何が足りないのか,考えてみてください。

それを何度も繰り返すことで,論文式試験に合格するための力が少しずつ身についていくはずです。


■短答式試験(刑法)の勉強方法



●民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」でもお話したとおり,短答式試験は基本的に「過去問を何度も繰り返し解く」というシンプルな勉強方法で点が上がっていくことが多いです。

頭の良い人は「基本書や予備校本を何度も読む」という勉強法で短答式試験の点が上がっていくこともありますが,「知識がある」ということと「短答式試験で点が取れる」ということは別次元です。

特に旧制度下の司法試験(旧司法試験)の刑法の短答式試験の問題は「パズル」と呼ばれていて,法律的な知識だけでなく,複雑な「肢」の組み合わせを頭で考えて短時間で処理するという,公務員試験の「判断推理」のようなテクニックも求められる試験でした。

新司法試験になってからは「パズル」的な要素はかなり減りましたが,それでも試験慣れしていないと本番で十分な点を取ることは難しいと思います。


過去問集はいろいろありますが,「●民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」でもお話したとおり,個人的にはスクール東京出版の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」をおすすめしています。


●ASIN: B01NAQTDR6


「問題集の解説は長くてもよい」「いちいち基本書や判例集を参照するのは面倒くさい」という人は,辰已法律研究所の「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」でも良いと思います。

●ISBN-10: 4864662983


時間がない場合には「肢別本」をひたすら回して乗りきる,という人もいますが,「肢別本」は一問一答式なので,複雑な「肢」の組み合わせを頭で考えて短時間で処理するという「パズル」的な問題の訓練は出来ません。

「肢別本」を使う人は,予備校の短答式試験模試を受験するなどして,本番形式の問題に慣れておくと良いと思います。

「肢別本」も徹底的に回せば司法試験合格レベルに達すると思いますが,予備試験は短答式試験のレベルが高いため「肢別本」だけだと厳しいような気がします。

●ISBN-10: 4864663653


■刑法の判例集


刑法を学習する上で,判例の勉強は大事です。

短答式試験でも論文式試験でも判例を元にして作った問題が出題されることが多いです。

また,刑法は学説を中心に勉強していると,学説の対立に巻き込まれて,勉強が進まなくなってしまうことが多々あります。

そのため,判例を軸に据えて勉強したほうが効率が良いんですよね。


では,刑法の判例集として何を使うべきか?

私は刑法の判例集は色々と買いましたが,最終的にはやはり判例百選に落ち着きました。

●ISBN-10: 4641115206

●ISBN-10: 4641115214



最新の判例は,重要判例解説で補いましょう。

●ISBN-10: 4641115915


判例百選と重要判例解説に載っている判例さえ押さえておけば,「判例を知らなくて司法試験に落ちた」ということは,まずないと思います。

法科大学院(ロースクール)の授業でも,判例百選や重要判例解説に載っている判例を取り扱うことが多いと思いますので,判例百選と重要判例解説の購入は必須です。


刑法の分野では,その他にも便利な判例集があります。



前田雅英先生の「最新重要判例250 刑法」は解説がコンパクトで速く通読でき
るのと,改訂が頻繁にあるのが良いです。

●ISBN-10: 4335301235



通読用であれば「判例インデックス」も便利です。

「判例インデックス」は,事案と判旨と解説がコンパクトにまとまっていて,事案図も載っているので,判例集を読み込む勉強をしたい人にとっては判例百選よりも使いやすいでしょう。

私が受験生の時は「判例インデックス」は倒産法くらいしか出ていなかったと思うので,便利な時代になったな,と思います。

●ISBN-10: 4785719079

●ISBN-10: 4785724714



「判例刑法」も刑法の判例集としては有名で,法科大学院(ロースクール)の授業などで使うことも多いでしょう。

ただ,解説がなく,初学者には扱いづらいので,個人的にはわざわざ購入する必要はないかなと思います。

●ISBN-10: 4641042918

●ISBN-10: 4641042926




■その他にあると便利なもの


○択一六法

刑法にも「択一六法」という本が存在しています。

刑法の「択一六法」は旧司法試験時代から何度も改訂されているため,使い勝手は良いです。

ただ,民法と違って刑法は司法試験に合格するために覚えるべきことは少なく,「択一六法」を使わなければ知識が整理出来なくて困る,ということは少ないでしょう。

私は刑法の「択一六法」も一応持っていましたが,メインでは使っていませんでしたので,個人的には刑法の「択一六法」は「あったら便利だけど,なくても困らない」くらいの立ち位置の本かな,と思います。

ただし,基本書をメインで使っている人で,学説の渦に巻き込まれて混乱しているような人は,「択一六法」を読むと判例は学説が丁寧に整理されているので,参考になると思います。

●ISBN-10: 4844934708




○判例六法(模範六法)

●民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」でもご紹介しましたが,刑法の勉強でも「判例六法(模範六法)」は便利です。

特に刑法は判例が重要な科目で,刑法の勉強をしていると「判例を調べる」という作業は不可欠です。

「確かこんな感じの判例があったけど・・・」という場合に,条文から判例を探すには「判例六法(模範六法)」は便利なんですよ。

「有斐閣判例六法」「有斐閣判例六法Professional 」「模範六法」のどれを使うか迷ったら「●民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」を参考にしてください。





【アクセスの多い記事】
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Comments(5) |  │   (12:38)

2018年02月04日


これまでお話した勉強方法の流れを整理すると以下のとおりです。


入門書を読む
論文式試験の問題集を読む,参考答案を写経してみる
分からないところを基本書や予備校本で復習する



法科大学院の既修者試験であれば,運が悪くない限りこの勉強方法だけで合格できます。

実際に私も法科大学院の入学試験に向けてやった勉強は,基本的に「入門書を読む」「論文式試験の問題集を読む,参考答案を写経してみる」だけです。

他にやったことと言えば,合格体験記を読んだり,「柴田孝之」先生の勉強法の本を何冊か読んだ程度です。

●ISBN-10: 4844971077

●ISBN-10: 4478010013



ただし,法科大学院受験と異なり,予備試験や司法試験は,上記のような勉強だけで合格するのはちょっと厳しいです。

そのため予備試験を目指している人,法科大学院に入学して司法試験に向けた勉強を始めようとする人は,プラスアルファの勉強をする必要があります。


では何をすれば良いか?

それは「論文式試験の過去問・優秀答案の分析」「短答式試験」の勉強です。

「短答式試験」については ■短答式試験(民法)の勉強方法 でお話しすることにして,ここでは「論文式試験の過去問・優秀答案の分析」についてお話をします。



司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」でお話したとおり,司法試験では「論文式試験の過去問・優秀答案の分析」が非常に大事です。

では「論文式試験の過去問・優秀答案の分析」として何をすれば良いのか?

司法試験業界では「論文式試験の過去問・優秀答案の分析をどうやってやれば良いのか分からない」という人のために,非常に便利な本が出版されています。

それが辰已法律研究所の「司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本」「司法試験 論文過去問答案パーフェクト ぶんせき本」です。

●ISBN-10: 4864663211

●ISBN-10: 4864663246


この「ぶんせき本」には過去の司法試験の問題,問題の解説,再現答案(優秀答案と点数の低い答案),再現答案に対するコメント(なぜ点数が高いのか,なぜ点数が低いのか),出題趣旨,採点実感等が載っています。

要するに「ぶんせき本」論文式試験の過去問や答案を分析するために必要なものが全て載っている本です。


使い方ですが,まずは法務省のホームページから過去問をダウンロードして,時間を計って過去問を解いてみてください

最初のうちは「全く分からない」「解けない」という状況に戸惑うかも知れませんが,最初のうちは,分からなくても,解けなくてもノープロブレム,問題ありません。問題は本番までに解けるようになっていれば良いのですから。

問題が解けなかった,分からなかった,という人は「何が原因で解けなかったのか?」「何が分からなかったのか?」を自分なりに分析してみてください。

「基本的な知識に漏れがあって解けなかった」のであれば,知識をインプットすれば良いというだけの話ですし,「知識はあったけど,解き方が分からなかった」ということであれば,司法試験での問題の問われ方と,問に対する答え方を考えてノートなどに整理しておくと良いと思います。

「時間が足りなかった」ということであれば,なぜ時間が足りなかったのかを考えてみてください。「答案を考えながら書いているため遅い」ということであれば典型的な論点については書き方を決めておく(いわゆる論証パターンを自分なりに作っておく)という方法で問題が解決することもありますし,「書くのが遅い」ということでれば,筆記用具を変えたり,答案の書き方のスタイルを変えることで問題が解決することもあります(●答案を速く書く方法についてはまた別の機会にお話したいと思います。)


その上で「ぶんせき本」にある優秀答案を読んでみてください。写経して見ても良いと思います。

「ぶんせき本」にある優秀答案を見ると,「当たり前のことを,当たり前に書いているだけ」ということが分かると思います。「当たり前のことを,当たり前に書いているだけ」の答案が1位だったりします。

なぜ「当たり前のことを書いているだけ」の答案が上位なのかというと,理由は簡単です。多くの受験生は「当たり前のことを,当たり前に書く」ということが出来ていないからです。多くの受験生は「当たり前のこと」を時間内に書くことができずに,それでも何となく合格していく受験生が非常に多いのです。

私は司法試験でも二回試験(司法修習の最終試験)でも「みんなが書きそうな当たり前のことを,普通に書く」ということを徹底的に心がけました。その結果「当たり前のことを普通に書くことができた答案」は上位でしたし,「当たり前のことを書けなかった答案」「普通の受験生とは違う発想をしてしまった答案」は,あまり良くない点数がついています。

自分の答案と優秀答案を見比べてみて,自分に何が足りないのかをもう一度考えてみてください。


ゼミを組んでお互いが書いた答案を見せ合い,お互いにコメントし合うのも良いです。

人間は弱い生き物で,自分の悪いところは直視したくないんですよね。

ですから自分で自分の答案を分析すると,評価が甘くなってしまいがちです。

遠慮なくストレートに物事を言ってくれる人をゼミに入れて,自分の答案のダメな箇所をどんどん指摘してもらったほうが良いです。自分のダメなところを指摘されるのは非常に辛いことですが,他人から指摘されることで答案の質はどんどんと良くなっていきますよ。



答案を分析したら「論文式試験出題の趣旨」と「司法試験採点実感等に関する意見」を熟読しましょう。

司法試験の論文式試験は「聞かれていることに素直に答える」ことで点数が付く試験です。

どれだけ知識があっても,聞かれていると違うことを書いたら1点ももらえません

ですから「出題趣旨」と「採点実感」を読み込んで「問題で何が聞かれていたのか?」「何を答えれば点がもらえたのか?」を把握することは非常に大事です。

「出題趣旨」と「採点実感」を数年分読んでいると,問題は違っていても,毎年同じような視点が問われていることが分かってきます。

「司法試験の民法では,要するにこういうことが聞かれているんだな」「こう聞かれた,こう答えれば良いというパターンがあるんだ」ということが分かってきます。

この感覚を持っているだけで本番では非常に有利になります。出題趣旨が分かるようになると,自分に知識のない問題が出ても「出題趣旨が分かっていますよ」という問題意識を論述することで部分点がもらえるようになったりもします。




■短答式試験(民法)の勉強方法


これまで「論文式試験」の勉強方法をお話してきましたが,司法試験でも予備試験でも「民法」には「論文式試験」の他に「短答式試験」があります。

「短答式試験」の勉強方法は様々ですが,一番効率が良く,オーソドックスな勉強方法は「過去問を何度も解く」という方法です。

合格者に短答式試験の勉強方法を聞くと「短答式試験は過去問やっていれば,そのうち点数が上がるよ」とアドバイスをする人が多いと思います。

「過去問を解く」他にも「基本書や予備校本を何度も読む」という勉強方法もありますが,基本書や予備校本には試験に出ないことも書いてありますし,司法試験や予備試験の短答式試験は知識をインプットしたからといって,それだけ解けるような簡単な問題ばかりではありませんから,「基本書や予備校本を何度も読む」という勉強方法はあまり効率的ではありません(ただし,一部の天才的な人にとっては「基本書や予備校本を何度も読む」という勉強方法が効率的である場合があります)。


では,なぜ「過去問を何度も解く」という勉強方法が効率的なのか?

実は司法試験の短答式試験では,同じような問題が手を変え品を変えて出題されています

なぜ同じような問題が繰り返し出題されるかと言うと,年によって平均点が大きく変わることを防ぐためです。

司法試験委員会としては,毎年同じような平均点に落ち着かせたいので,繰り返し似たような問題を出題して,「過去問をきちんと勉強した受験生であれば同じような点数を取れるような試験」にしているわけです。

ですから,短答式試験は,過去問を繰り返して,過去問をきちんと解けるようにしておけば,それだけで合格点を超えることは可能なのです。


では短答式試験の過去問はどうやって勉強をすれば良いのか?

総論でもお話しましたが,私はスクール東京出版の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」をおすすめしています。

解説がシンプルなため速く何度も回すことができますし,解説も「問題を考えて解ける」ように工夫がされています。そのため,短答式試験の勉強をしながら論文式試験の勉強にもなり一石二鳥です。

●ASIN: B06WGN544Q



スクール東京出版の問題集はマニアックなので,メジャーな問題集を使いたいということであれば辰已法律研究所の「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」が無難だと思います。

解説が厚いのがメリットでもあり,デメリットでもあります。基本書などを参照しなくても良いのですが,解説は適宜読み飛ばさないと非常に時間がかかります。

●ISBN-10: 4864662940




「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」と対極にあるのが辰已法律研究所の「肢別本」です。

この「肢別本」は司法試験や予備試験の過去問を一問一答式に並べた本で,左の頁に問題が,右の頁に答えと簡単な解説が載っています。

この「肢別本」はコンパクトで持ち運びに便利なので,通学時間・通勤時間やちょっとした合間に短答式の勉強が出来るというメリットがあります。

また,一問一答式なので気合いを入れれば1冊を1日~2日程度で回すことも不可能ではありません。・・・まぁ,大抵は途中で飽きるんですけどね。。。

●ISBN-10: 4864663076




「肢別本」は一問一答式であるため,肢の切り方の訓練ができません。

例えば「正しいものを2つ選べ」という本試験形式の問題であれば,全ての肢を読まなくても正解にたどり着くことが出来る場合もあるのですが,どうすれば肢を素早く切ることができるかという訓練は一問一答式の「肢別本」では出来ないんですね。

そのため,「肢別本」を使う場合には,年度別の短答式問題集や予備校の答案練習会を利用するなど,肢の切り方の訓練も行うようにしたほうが良いです。

●ISBN-10: 4587999962




■要件事実を学ぶためのおすすめの基本書や参考書


司法試験や予備試験の民法では「要件事実」も試験範囲に含まれています。

「要件事実」というのは難しい言葉で言えば「実体法に規定された法律効果の発生要件に該当する具体的事実」なのですが,要するに「民事訴訟において原告と被告がそれぞれどの事実について立証責任を負うのか」を整理する勉強が「要件事実」です。

司法試験になかなか合格しない受験生の中には,この「要件事実」の勉強に拘りすぎて民法がよく分からなくなってしまう人がいます。

個人的な意見ですが,司法試験レベルでは正直「要件事実」は,それほど深い理解は求められていません

司法試験受験生の答案を採点していると分かるのですが,司法試験受験生のレベルはそれほど高くないので,「要件事実」に拘り過ぎるよりも,「民法」そのもの勉強がをきちんとしたほうが合格は近くなります



では「要件事実」の勉強として何をすれば良いのか?

基本的には「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実この2冊だけで十分です。

いずれも多くの法科大学院で教材として使用していると思いますが,司法試験レベルでは,この「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」に書かれていること以外の要件事実の知識が必要になることは少ないですし,この2冊を十分に勉強しておけば,少なくとも「要件事実」が原因で司法試験に落ちることはないと言って過言ではないと思います。

ちなみに司法修習でも私は基本的に「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」を中心に勉強しましたが,それで二回試験では民事裁判も民事弁護も「優」(一番上の評価)をもらっています。

●ISBN-10: 4908108463

●ISBN-10: 4908108226



この2冊は,いずれも150頁程度と薄い本なので,慣れると数十分で復習でき非常に便利な本なのですが,内容が非常に濃いが故に最初は分かりにくいところがあると思います。

そんな時に便利なのが岡口基一裁判官の「要件事実マニュアル」です。

●ISBN-10: 4324101663

●ISBN-10: 4324101671


この「要件事実マニュアル」は,実務で使っている弁護士も多いと思いますが,裁判官が書いてるだけあって信頼性があり,しかも項目毎に分類されているため非常に分かりやすいです。

買っておくと司法修習や実務でも,そのまま使うことができます。

「要件事実マニュアル」は厚い本ですが,司法試験対策としては全部を読む必要はありません

「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」を読んでいて,分からないことや,頭を整理したい部分が出てきた時に「要件事実マニュアル」の該当箇所を読み,付箋を貼っておくと良いです。

そして,司法試験の直前に付箋がついているところだけを復習すればOKです。

なお「要件事実マニュアル」は1~5まで出版されていますが,司法試験で出題される可能性が高い要件事実は「1~2」に書かれていることだけですので,「3~5」は受験生は買う必要はありません。



なお,法科大学院で「要件事実論30講」や「要件事実問題集」を勉強するゼミ,みたいなのが流行ったりしますが,司法試験レベルでは「要件事実論30講」や「要件事実問題集」に手を出す必要はあまりありません。

私は「要件事実論30講」も「要件事実問題集」持っていて,一通り読みましたが,司法試験に合格してみると,これらの本まで手を出す必要はなかったな,というのが正直な感想です。

これらの問題集をやる必要があるとすれば,法科大学院の「要件事実」の授業のテスト対策くらいではないでしょうか。


●ISBN-10: 4335355181

●ISBN-10: 4785724293




■司法試験予備校の答案練習会(答練)


これまでお話した民法の勉強方法を整理すると以下のとおりです。


・入門書を読む
 
・論文式試験の問題集を読む,写経する
 分からない箇所は基本書や予備校本で補充する
 
・論文式試験の過去問を解いてみて分析する

・短答式試験の過去問を繰り返し解く

・要件事実の勉強をする



「民法」に関して言えば,基本的にはこれだけで司法試験や予備試験に合格できる力は間違いなく付きます。

他にあれこれと手出しをするよりも,上のような基本的でコンパクトな勉強を心がけたほうが短期間で合格できるはずです。


ただし上記の勉強に加えて,プラスでやっておいたほうが良いことがあります。

それは,予備校が行っている論文答練と直前模試の受験です。



民法に関しては,答練の受験は必須という訳ではありませんが,時間内で問題を処理する訓練をするために答練は出来れば受験しておいたほうが良いです。

時間とお金に余裕がある人は,辰巳法律研究所,伊藤塾,早稲田セミナーと様々な司法試験予備校の答練を受験できればベターですが,時間とお金に余裕がない人は辰巳法律研究所の「スタンダード答練」(スタ論)の第二クールだけ受験すれば十分です。

スタ論の第二クールだけであれば,全科目受験しても15万円程度です。

私は答練はスタ論の第二クールしか受験しませんでしたが,それだけでも論文式試験の現場対応能力はかなり上がったと実感しました。



■司法試験予備校の模擬試験(直前模試)


答練を受験した人も,答練を受験しない人も,直前模試は出来れば受験したほうが良いです。

司法試験や予備試験本番では何が起きるか分かりませんし,多くの人は緊張してミスをします

直前模試を受験しておくと,本番で起きそうなトラブルや,本番でやらかしてしまいがちなミスに気づくことができ,事前に対策ができます。


私は法科大学院を受験する際には,ぶっつけ本番で試験に望んだのですが,持ち込んだ腕時計が止まったり,筆記用具が足りなくなる等のトラブルに遭って非常に焦りました。

直前模試を受けておけば「時計は2個以上持っていったほうが安全だな」とか「筆記用具も多めに持っていこう」など,対策を立てることが可能になります。

また直前模試は実際の司法試験会場と同じ場所で行われることが多いのですが,会場への行き方や会場の雰囲気に慣れておくだけでも本番の緊張感は和らぎます

さらに,直前模試で出たのと同じような問題が出た場合に,自分だけ模試を受けていないとそれだけで不利になってしまいます

ですから,よほどの事情がない限り直前模試は受けておきましょう

各司法試験予備校が直前模試を実施していますが,辰巳法律研究所の模試は受験者が多いのでおすすめです。




■その他に民法の勉強であると便利なもの

○択一六法


短答式試験の勉強をしながら自分でノートを作っている受験生がいますが,自分でノートを作るという作業は時間がかかります。

かく言う私もノートは「自分で作る派」で,パソコンで短答式試験用に知識を整理したノートを作っていましたが,無駄な作業に終わってしまったことも多いです。

「試験直前に見直すためのノートを作りたいけど,時間がない」という人に便利なのが「択一六法」です。

「択一六法」には,司法試験の短答式試験で過去に出題された知識などが,表などを使ってきれいにまとめてあります。

短答式の問題集や肢別本をやりながら,「択一六法」で出てきた知識が記載されている箇所にマーカーを引いておけば,試験直前にマーカーが引かれているところだけ読むことで一気に知識を詰め込むことができます。

「択一六法」は必ずしも必要という訳でありませんが,必要性を感じた人は使ってみると良いと思います。

●ISBN-10: 4844924702

○判例六法(模範六法)


司法試験受験であれば六法は必ず持っていると思いますが(万が一,六法を持っていない人はすぐに買ってください),普通の六法の他に便利なのが判例六法・模範六法です。

判例六法(模範六法)は,条文の後に,その条文に関連する判例の結論と年月日が簡潔に記載されています。

ですから,条文を引きながら「この条文については判例でこのような解釈がなされているんだな」ということが確認でき,便利です。


●ISBN-10: 4641003378

●ISBN-10: 464100417X

●978-4-385-15969-0


判例六法は何種類かありますが,以下のような特徴があります。


有斐閣判例六法
⇒コンパクトで持ち運びに便利。判例百選の番号も載っていて便利。ただし,行政法などで調べたい法律が載っていない場合がある。


有斐閣判例六法Professional 
⇒大きいが,民事系と刑事系・公法系2分冊になっている。細かい法律も載っていて持ち運びにも便利だが,「民事系の授業に間違って刑事系の分冊を持っていってしまう」等の悲劇がたまに起きる。裁判官や若い弁護士が使っていることが多い。判例百選の番号も載っていて便利。


模範六法
⇒大きい。分冊になっていない。見た目はカッコ良いと思う。年配の弁護士で使っている人が多いような気がする。


○司法試験用六法


司法試験・予備試験が近くなったら「司法試験用六法」は買っておきましょう。

遅くとも司法試験・予備試験の半年前に買って,過去問を解くときや,予備校の答練を受験する時には,司法試験用六法を使うようにしておくべきです。

●ISBN-10: 4474058488

「司法試験用六法」は実際に使ってみると分かるのですが「非常に使いづらい」んですよ。

無駄にデカいし,条文を探すにも時間がかかるし。特に民法のようの条文が多いと大変です。

もし司法試験・予備試験の本番で初めて使ったらパニックになる可能性大です。

ですから,「司法試験用六法」は実際に使って慣れておきましょう。

ちなみに「司法試験用六法」は司法試験を受験すると貰えるので,先輩の司法試験合格者にお願いするとタダで譲ってくれることもあります。



○法律用語辞典・法律学小辞典


とある司法試験予備校の先生が「法律用語辞典は持っておくと便利!」と言っていたので買ってみたのですが,確かに非常に便利です。

「この法律用語の定義って何だっけ?」とか,「基本書で調べる程ではないけど,ちょっと調べ物をしたいな」という時に,サクッと調べ物をすることができます。

基本書を読んで分からなかったことが「法律用語辞典」や「法律学小辞典」を調べてみたら分かった,なんてこともたまにあります。

私は受験生の時に「法律用語辞典」と「法律学小辞典」の両方を買いましたが,今でも実務で使っています。

●ISBN-10: 4641000298

●ISBN-10: 464100028X

ちなみに「法律学小辞典」はパソコン用(ウィンドウズ・マック)のものがあるので,普段からパソコンやタブレットを使っている人は,こちらのほうが便利です。持ち運びも楽です。

●ASIN: B01FRBRJU0

○趣旨規範ハンドブック

民法の勉強が進んできて知識が増えてくると,知識が整理しきれなくなって混乱してくることが多々あります。


また,基本書をメインで勉強していると,司法試験で何が重要な部分なのかが分からなくなってきてメリハリのない無駄な勉強をしてしまうこともあります。

そんな時に知識を整理したり,重要な箇所を確認するのに便利なのが「趣旨規範ハンドブック」です。

「趣旨規範ハンドブック」は,司法試験の論文式試験で出題される可能性のある論点(法律上の問題点)について,答案で最低限書く必要があるパーツ(趣旨,規範,規範の理由付け)等をコンパクトに整理したものです。

勉強がある程度進んできた後に,知識に漏れがないかチェックするのに使う人もいますし,サブノートとして「趣旨規範ハンドブック」にガンガン書き込みをして知識を整理するために使う人もいます。

私も特に,民法,商法,憲法,行政法あたりで知識を整理するために愛用していましたので,知識の整理に困っている人は使ってみると良いと思います。


●ISBN-10: 4864663688
【アクセスの多い記事】
司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その1)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その2)
刑法の勉強方法とおすすめの刑法の基本書や参考書など
憲法の勉強方法とおすすめの憲法の基本書や参考書など
会社法・商法の勉強方法とおすすめの商法・会社法の基本書や参考書など
民事訴訟法の勉強方法とおすすめの民事訴訟法の基本書や参考書など
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2017年09月11日


前回は司法試験の全体的な勉強方法についてお話しましたが,これから科目毎の勉強方法についてお話したいと思います。






■司法試験と予備試験の受験科目の概要


司法試験と予備試験の受験科目を整理すると以下のとおりです。

民事系科目
・民法
・商法(会社法)
・民事訴訟法

刑事系科目
・刑法
・刑事訴訟法

公法系科目
・憲法
・行政法

選択科目(予備試験にはありません)
・倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際公法,国際私法の中から1科目を選択



このように司法試験では8科目,予備試験では7科目ありますが,その中でも最も勉強時間が必要になる科目が「民法」です。

司法試験の短答式試験(マークシート式の試験)でも民法の配点が一番大きくなっています。

民法は他の科目の基本となりますので,最初は民法から勉強を始めるのが良いと思いますし,実際に多くの受験生が民法から勉強を始めています。



■民法の特徴


先程お話ししたとおり「民法」は最も勉強時間が必要な科目で「民法を制する者は司法試験を制する」という言葉がある程,大事な科目です。

民法の範囲はとても広く,一般的に基本書(教科書)も民法だけで4冊から5冊程度あります。

とは言っても,勉強方法を間違えなければ怖い科目ではありませんし,司法試験に合格するために最低限必要な知識はそれほど多くありません

「民法が苦手」という人は,膨大な民法の範囲のうち,どこを重点的に勉強すれば良いのかが分かっておらず,消化不良になっているというパターンが多いです。

そこで,民法を効率的に勉強する方法についてお話します。



■民法の入門書を読もう


司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」という記事でもお話しましたが,民法に限らず,法律科目を勉強する際には最初に「入門書」を読んでおくことをおすすめします

最初から分厚い「基本書」を読み始める人がいますが,大抵の人は挫折します。

「基本書」に書いてあること全てが司法試験や予備試験に出るわけではありませんが,「入門書」には司法試験や予備試験に出る知識のうち,大事な「根」や「幹」になる部分が整理されています。

木が大きくなるためには「根」や「幹」がしっかりしている必要があるように,法律の勉強でも,「基本」となる知識をしっかりと押さえておいたほうが,後々成長しやすくなります。


では「入門書」として何を読めば良いのか?

以前にもご紹介したとおり,私は伊藤塾の「伊藤真の民法入門」をおすすめしています。

●ISBN-10: 4535520399

私は様々な入門書を読みましたが,やはり「伊藤真の民法入門」が一番分かりやすかったです。


他にもおすすめの「入門書」として「伊藤真新ステップアップシリーズ〈2〉民法」があります。

●ISBN-10: 4335301871

この「伊藤真新ステップアップシリーズ〈2〉民法」は,論点(法律の条文の問題点)ごとに知識が整理してあって分かりやすいので,「伊藤真の民法入門」を読んでみて,さらに時間に余裕があれば読んでみると良いでしょう。

この「伊藤真新ステップアップシリーズ」は入門書としてだけでなく,司法試験や予備試験の直前に,基本的な知識に漏れがないかを確認するために使うのにも便利です。

私も司法試験の直前1ヶ月間に,この「伊藤真新ステップアップシリーズ」に書いてあるような基本的な知識に穴がないかチェックしました。

司法試験は一般的に難しい試験と思われていますが,司法試験に不合格になる人の多くは,この「伊藤真新ステップアップシリーズ」に書いてあるような基本的な知識に穴があったり,基本的な知識を正確に暗記・理解していないというパターンが非常に多いです。

ですから初学者の方は「たかが入門書」と侮ることなく,入門書をしっかりと読んでみてください。

とは言っても最初のうちは,通勤途中でも喫茶店でも構いませんので,軽く2~3回読めばOKです。

入門書に書いてある基本的なことと言っても,最初から全てを理解できる人は一握りですので,入門書を2~3回読んだら次のステップに移りましょう。



なお,予備校本が嫌いな人には潮見佳男先生の「入門民法(全)」をおすすめします。

学者の先生の書いた民法の入門書の中では,これが一番読みやすいと思います。

●ISBN-10: 4641134995

潮見佳男先生の入門書として,新しく「民法(全)」という入門書が出ていますが,こちらは債権法が改正されていることが前提となっているんですよね。

ですから債権法改正前の受験を考えている人にとっては使えないと思います。

●ISBN-10: 4641137668

旧版の「入門民法(全)」は既に絶版になっていますが,多くの大学の図書館などに置いてありますので,借りて読んでみるのも良いかも知れません。



■民法の論文問題集を読もう


入門書を読み終わったら次に何をするか?

大抵の人は学者の書いた「基本書」や,「予備校本」(予備校が出している教科書)を読み始めます。私もそうでした。

ですが,多くの人がこの「基本書・予備校本を読む」という作業で挫折します。

「基本書・予備校本を読む」という苦行に耐えかねて,「司法試験なんで,やっぱり無理だ」って諦めてしまう人が多いんですよ。


ではどうすれば良いか?

司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」でもお話しましたが入門書を読んだ後は,論文式試験用の問題集を読んでみることをおすすめします


私が少ない勉強時間で法科大学院や司法試験に合格できたのも,入門書を読んだ後に「基本書・予備校本を最初から最後まで読む」という作業を省略して,論文式試験用の問題集を読むという勉強法をとったからでした。

私がおすすめしている論文式試験用の問題集は「伊藤塾試験対策問題集」です。


●ISBN-10: 4335303556

●ISBN-10: 4335303653

「また伊藤塾か」と思われるかも知れませんが,この問題集は参考答案の質がとても良いです。

司法試験は外国語の勉強に似ているところがあって,フレーズを暗記することで答案を正確に,速く書けるようになります。

外国人が外国語をペラペラと正確に速く話せるのは,外国語のフレーズをいくつも暗記しているからなんですよね。

司法試験の論文式試験は1科目2時間という短い時間の中で6頁から8頁程度の答案を書く必要があるので,ゼロから考えて書いていたら,時間切れになって不合格になってしまうんですよ。

ですから,優れた参考答案を何度も読んで,同じような問題が出たら,同じような答案を書けるように訓練しておく,ということが大事です。

ただし,あまり質の良くない参考答案ばかり読んでいると答案の書き方に変な癖がついてしまったりして,本番で足を引っ張られてしまうことになります。

この「伊藤塾試験対策問題集」の参考答案は司法試験の優秀答案と非常に良く似ています。おそらく,司法試験の優秀答案(100番以内の答案)を良く分析して作っているのだと思います。

入門書を読み終わったら「伊藤塾試験対策問題集」のAランクの問題と参考答案,解説を六法で条文を引きながら何回か読んでみましょう。

Aランクの問題は30問程度しかありませんから,何日もかからずに読み終わることが出来るはずです。

最初のうちは読んでも何のことだかさっぱり分からないと思いますが,何回か読んでいるうちに「こういう問題が出たら,こんな答案になるんだ」という感覚のようなものが分かってくると思います。

分からないところは基本書や予備校本で該当箇所を調べてみることも有益です。

余裕があれば参考答案を参考に自分で答案を書いてみるのも良いと思います。

Aランクの問題について,参考答案とだいたい同じような答案を書けるようになったら,BランクCランクの問題や「ケース」(事実認定の練習用の問題)についても同じように,読んだり自分で答案を書く練習をしてみると良いです。


「伊藤塾試験対策問題集」以外にも,論文式試験問題集として辰已法律研究所の「えんしゅう本」や早稲田経営出版の「スタンダード100」などがあります。

●ISBN-10: 4887277350

●ISBN-10: 4847142144


「えんしゅう本」は基本的な問題が多くて答案もシンプルなため,「速くまわせる」という利点がありますが,答案の質はあまり高いとは言えないのがデメリットです。

私は「伊藤塾試験対策問題集」の他に「えんしゅう本」も全科目揃えていましたが,「伊藤塾試験対策問題集」をメインで使って,たまに「えんしゅう本」を参考にするという使い方をしていました。


「スタンダード100」は旧司法試験時代から有名な問題集ですが,とにかく量が多くて,どの問題が重要な問題なのか分かりにくいというのがデメリットです。

私も何回か「スタンダード100」を買ってチャレンジしましたが,あまりの量の多さに挫折しました。

今の司法試験では「伊藤塾試験対策問題集」をメインでやって,後は予備校の答案練習会に参加したり,司法試験や予備校本の過去問をこなせば,それで十分だと思います。

というか,多くの受験生は「スタンダード100」を全てこなすだけの時間はないでしょう。



話は戻りますが,
「論文式試験問題集を読む」という勉強をしていると,「なんでこの問いに対し,これが解答になるんだろうか?」と疑問が出てくるようになるはずです。

この「疑問点」が出てきたらしめたものです。勉強が一気に進むチャンスです。

論文式試験問題集を読んで疑問が出てきたら,その時に基本書や予備校本の該当箇所を読んでみましょう。

最初から何の目的もなく基本書や予備校本を読むよりも,実際に問題に触れて疑問を持ってから,「疑問を解消するぞ」という目的意識をもって基本書や予備校本を読んだほうが「なるほど!」という感覚とともに記憶に定着しやすくなるので,何倍も効率が良いんです。

いわゆる「アハ体験」ってやつですね。


ということで,次はおすすめの基本書や予備校本についてお話します。



■おすすめの民法の基本書と予備校本


民法は「総則」「物権」「担保物権」「債権総論」「債権各論」「親族・相続」という分野毎に分かれていますので,分野ごとにおすすめの基本書や予備校本をご紹介したいと思います。




○「民法総則」「物権」


「民法総則」と「物権」でおすすめするのは,佐久間毅先生の「民法の基礎」です。

●ISBN-10: 4641135185

●ISBN-10: 4641134510

いろいろ読みましたが,個人的には佐久間先生の「民法の基礎」が一番分かりやすかったです。

私は「分からないことを調べる」ために使っていましたが,大抵のことは「民法の基礎」を読めば解決していたので,分かりやすく,かつ痒いところにも手が届く教科書だと思います。

基本部分と応用部分が分けられているので,基本書を最初から最後まで読みたいという「通読派」の人にとっても「取りあえず基本部分だけ読もう」といった使い方が出来て便利だと思います。



その他に有名な基本書として内田先生の「民法I 総則・物権総論」があります。

●ISBN-10: 4130323512

内田先生の基本書の特徴はとにかくケース(事例)が多くでイメージが湧きやすいということと,試験対策に繋がりやすいという点です。

ただし,ケースが多いため読み進めるのに時間がかかったり,理論的な解説部分が薄い部分がある,というデメリットもあります。

多くの司法試験受験生が内田先生の基本書を使って合格したという実績がありますので,「迷ったら内田」という選択肢もアリかと思います。

私も内田先生の基本書を全て揃えていましたが,佐久間先生の基本書をメインで使って,内田先生の基本書はサブ的に使っていました。

内田先生の説明はシンプルなので,他の基本書では長々と説明されて分かりにくかったことが,内田先生の基本書では「要するにこういうことだよ」と端的に書いてあって理解が進む,なんてこともあります。

ですから余裕がある人は内田先生の基本書も手元に置いておくと便利だと思います。


佐久間先生と内田先生以外の基本書では,近江幸治先生の「民法講義」川井健先生の「民法概論」あたりが無難だと思います。

●ISBN-10: 4792326230

●ISBN-10: 4641135150



ちなみに,民法総則の有名な基本書の中に山本敬三先生の「民法講義1 総則」という本がありますが,司法試験の勉強でこの基本書をメインで使うことはおすすめしません。

●ISBN-10: 4641135258

山本敬三先生の本は,学術書として見ると非常に素晴らしい本ですが,司法試験にはオーバースペック過ぎます。

レベルが高い本なので,よっぽど理解力の高い人でない限りは消化不良になると思います。



○担保物権


担保物権は試験で出る論点は限られているものの,分かりにくい論点が多く,学説の対立もあるため,苦手にする受験生が多い分野です。

そのため,担保物権は深入りしないようにコンパクトで判例通説に従った基本書を使うのがベターです。



最近の基本書の中では松井宏興先生の「担保物権法」をおすすめします。

判例通説をベースにシンプルかつコンパクトに,分かりにくい担保物権を分かりやすく説明しています。

●ISBN-10: 4792326079




他には内田貴先生の「民法 III 債権総論・担保物権」もおすすめです。

1冊の中に「債権総論」と「担保物権」が入っていて「お買い得」という点もありますが,担保物権の箇所はシンプルに説明されていますので,分かりやすいと思います。

●ISBN-10: 4130323334



ちなみに,担保物権の超有名な基本書として道垣内弘人先生の「担保物権法」という基本書がありますが,個人的に道垣内先生の基本書をメインで使うことはおすすめしません。

●ISBN-10: 4641137765

道垣内先生の基本書は,非常に優れた本ではありますが,司法試験ではオーバースペックです。

特に物上代位のあたりの説明はかなり難しく,理解するのに時間がかかってしまうと思います。



○債権総論


債権総論は抽象的な議論やイメージが掴みにくい論点が多く,苦手分野にしている受験生も多いと思います。


そこで,個人的におすすめしているのが,中田裕康先生の「債権総論」です。

法科大学院の成績上位者の中で使っている人が多かったので,私も中田先生の「債権総論」を使い始めたのがですがロジカルで分かりやすいです。

受験生がどこで悩んでいるかなんでお見通しなんだよ」という感じで,痒いところに手が届く丁寧な説明がなされています。

頁数は少し多めですが文章が読みやすいですし,発展的な論点や細かい議論は読み飛ばせるように工夫がされているので,基本書通読派の人もそれほど時間をかけずに読むことができると思います。

●ISBN-10: 4000230522




もう少し量が少ない基本書が良いという人には内田先生の「民法 III 債権総論・担保物権」をおすすめします。

内田先生の基本書は事例(ケース)が多いため抽象的になりがちな債権総論も比較的分かりやすいと思います。

ボリュームも債権総論は1冊の半分だけですのでコンパクトにまとまっています。

●ISBN-10: 4130323334



なお,債権総論の有名な基本書として潮見佳男先生の「プラクティス民法 債権総論」という本がありますが,個人的には司法試験レベルではこの潮見先生の基本書はおすすめしません。

●ISBN-10: 4797225971

潮見佳男先生の「プラクティス民法 債権総論」は債権総論を要件事実の観点から緻密に分析した素晴らしい基本書なのですが,司法試験レベルでは難しすぎてオーバースペックです。

この基本書を中心に勉強をしてしまうと,普通の受験生であれば時間不足になってしまって他の分野に手が回らなくなってしまうでしょう。

要件事実については後でお話しますが,司法試験では「新問題研究要件事実」という薄い本を完璧にして,あとは余裕があれば「紛争類型別の要件事実」を回せば基本的に十分です。

●ISBN-10: 4908108463

●ISBN-10: 4908108226



○債権各論


「売買」「賃貸借」「不法行為」などを扱う「債権各論」は債権総論と違ってイメージが湧きやすいと思いますが,範囲が広いため重点を絞って効率的に勉強しないと時間不足になってしまいがちです。

そこで分かりやすく,かつコンパクトな基本書を使いたいところです。

そこで「債権各論」でおすすめなのが潮見佳男先生の「基本講義 債権各論〈1〉契約法・事務管理・不当利得」と「基本講義 債権各論〈2〉不法行為法」です。

●ISBN-10: 4883842282

●ISBN-10: 488384241X

先程の潮見先生の「プラクティス民法 債権総論」は難解ですが,同じ潮見先生の本でも,この「基本講義 債権各論」は説明が丁寧で非常に分かりやすいです。

しかも非常にコンパクトで気合いを入れれば1日で読み終わることができるくらいの量です。

膨大な範囲の債権各論を,これだけコンパクトに分かりやすく教えてくれる基本書は他にはないんじゃないかと思います。

私も色々な基本書を試した上で最終的に潮見先生の「債権各論」にたどり着きましたが,それまでの疑問が解決した場面が多数ありました。



潮見先生の「債権各論」が合わないという人には内田貴先生の「民法II 債権各論」をおすすめします。

●ISBN-10: 4130323326

内田先生の「債権各論」は,誤解をおそれずに言えば「面白い」です。実際に内田先生から講義を受けているような錯覚を覚えるような書き方になっています。

潮見先生の「債権各論」が「シンプル過ぎてつまらない」という人は,内田先生の「債権各論」を試してみると良いと思います。

私は最終的に潮見先生の「債権各論」をメインで使って,サブで内田先生の「債権各論」を使っていました。



○親族・相続


「親族・相続」は実務においては非常に重要な分野ですが,司法試験の論文式試験においてメインで問われることは少ないですし,短答式試験においてもそれほど配点が多いわけではありません。

そのため,司法試験や予備試験の受験生としては,「親族・相続」については重要な部分に絞ってあまり時間をかけずに勉強をしたいところです。

現在出版されている「親族・相続」の基本書としておすすめなのは,有斐閣アルマの「民法7 親族・相続」です。

●ISBN-10: 4641220336

わずか250頁とコンパクトにまとまっており親族・相続の分野を時間をかけずに見通すことができます。



その他には「LEGAL QUEST 民法6 親族・相続」もおすすめできますが,こちらは量が多いため,通読用というよりは調べ物に使うのがベターでしょう。

●ISBN-10: 464117931X





その他に「親族・相続」の基本書として内田貴先生の「民法IV 親族・相続」がありますが,出版から10年以上経っておりメインで使うことはおすすめできません。

ただし,内田先生の「民法IV 親族・相続」は非常に詳しいので,分からないことを調べるのには便利です。

余裕がある人は買っても良いと思いますし,余裕がない人は調べ物をしたい時に図書館で借りるというスタンスでも良いと思います。

●ISBN-10: 4130323105




○予備校本


「学者が書いた基本書が苦手」という人は基本書に拘る必要はなくて,司法試験予備校が出版しているいわゆる「予備校本」で勉強しても特に問題はありません。

「予備校本を通読して民法を勉強したい」という人は「伊藤真試験対策講座」がおすすめです。

●ISBN-10: 4335302754

●ISBN-10: 4335302789

●ISBN-10: 4335304803

●ISBN-10: 4335304811

●ISBN-10: 4335304870

法科大学院の教授の中には「予備校本を使うなんてけしからん」みたいな人もいますが,私の同級生の中には基本書を一切使わないで司法試験に超上位(100位以内)で合格した人もいますから,基本書でも予備校本でも自分が使いたい教材を使えば良いと思います。

予備校本は基本書と違って説明が丁寧だったり,どこに何が書いてあるか分かりやすかったり,○×問題で復習が出来たりするといった特徴があります。

また「論証パターン」と言って,「論文式試験での答案の書き方のパターン」的なものが付録として付いている,という特徴があります。

「論証パターン」は法科大学院の教授等から「悪者扱い」されることが多いのですが,司法試験に合格する人は多かれ少なかれ自分なりの「論証パターン」を用意しています。

「論証パターン」が悪者扱いされるのは,「論証パターン」を理解しないまま丸暗記して,事案に合わない形で論証パターンを使ったり,「論証パターン」で対応できない問題で無理矢理「論証パターン」を使って誤魔化そうとする受験生がいるためですが,「論証パターン」をきちんと理解して使えるようになれば非常に強い武器になります。



予備校本は通読用に使うという方法の他に,「辞書」として調べ物に使うという使い方も便利です。

東京リーガルマインド(LEC)が出している「C-Book」は各論点の説明が詳しく様々な学説を記載している上に,どこに何が書いてあるかが分かりやすいため調べ物をする時には非常に便利です。

●ISBN-10: 4844926241

●ISBN-10: 4844926225

●ISBN-10: 484492625X

●ISBN-10: 4844926268

●ISBN-10: 4844926233

私も「C-Book」を全巻揃えてスキャンしてパソコンやタブレットに入れておいて,基本書を読んでいて分からないことが出てきた時には「C-Book」も参照するようにしていました。



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