2019年08月05日


質問をいただきましたので私見についてお答えしたいと思います。

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伊藤真新ステップアップシリーズはだいぶ古いようですが今でも使えますでしょうか?
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連投すいません
使えるならば伊藤真のファーストトラックシリーズとステップアップシリーズはどちらが良いでしょう
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まず「●「伊藤真新ステップアップシリーズ」と「伊藤真の○○入門」シリーズの違いについて」という記事の内容と若干かぶってしまう部分もあるので,そちらの記事も参考にしていただければと思います。

「ファーストトラックシリーズ」は「伊藤真の○○入門」をより詳しくしたような内容で,予備校本の幹の部分を分かりやすくまとめたような内容になっています。

他方「ステップアップシリーズ」は,主に論点(条文の解釈などが必要となる問題点)の考え方を中心に記載した内容で,「ファーストトラックシリーズ」よりも若干難易度が高めになっています。


整理すると


  • ●「伊藤真の○○入門」

⇒ 一番シンプルで分かりやすく,基本中の基本が記載されている。

何回か読めば十分で,司法試験の勉強の最後まで使える訳ではない。


  • ●「ファーストトラックシリーズ」

⇒ 「伊藤真の○○入門」よりも若干難易度が高めだが,初学者でも十分に読むことが出来る。

こちらも何回か読めば十分で,司法試験の勉強の最後まで使える訳ではない。



  • ●「ステップアップシリーズ」

⇒司法試験・予備試験で問われる可能性の高い基本的な論点を中心にシンプルな解説がなされているので,初学者には難易度が高め。使うのであれば,「伊藤真の○○入門」か「ファーストトラックシリーズ」を読んだ後のほうが良い。

また司法試験・予備試験の直前期の復習の際に,基本的知識に穴がないか確認するのにも使える。

(司法試験・予備試験で「ステップアップシリーズ」に書いてあるような知識に穴があると,論文式試験で大失敗をする可能性が大きいので。)

比較的古い本ですが,基本的な知識や基本的な論点にそれ程の変化はないので,基本書や予備校本と組み合わせれば今でも十分に使える本です。








という感じです。




  • ●まとめ

なので,全くの初学者であれば「伊藤真の○○入門」か「ファーストトラックシリーズ」をおすすめします。

入門書をすでにマスターした人や,論文式試験の問題集などを回していて論点をきちんと理解したい人,司法試験・予備試験の直前期に基本的知識に穴がないか確認したい人,初学者だけど入門書を何冊も買いたくない人(最後まで使える本が欲しい人)には「ステップアップシリーズ」をおすすめします。



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2019年07月23日

就職活動について質問を受けましたのでお答えしたいと思います。

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はじめてコメントさせていただきます。 
突然申し訳ありません。 

弁護士事務所への就職活動について教えてください。 
私は、公務員として約3年働いており、予備試験に受かって、今年司法試験を受けました。 

現在就職活動をしているのですが、実際にどのようにすればいいのかわからない部分が多々あります。 
説明会すら参加させていただけないことも多々あります。 
私の年齢が悪いのか、出身大学、LSのランクが低いのか、ESの内容が悪いのか、わからない部分があります。 

先生は、比較的すぐに内定をいただいたとブログで拝見させていただきましたが、どのように就職活動をされていたのでしょうか。 
ご経験など教えていただけると幸いです。 

よろしくお願いいたします。
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司法試験の受験おつかれさまでした。

今年司法試験を受験されたということは,まだ司法試験の合格発表前ということですね。

私が就職活動を開始したのは司法試験の合格発表後なので参考になるか分かりませんが,私の経験も踏まえてお話したいと思います。



  • ●司法試験受験後から合格発表までの就職活動について

司法試験の合格発表前に採用を行っている法律事務所はありますが,司法試験の合格発表前に採用を行っている法律事務所は大手の法律事務所がほとんどなので,競争倍率も激しいです。

そのため,司法試験の合格発表前に内定をとれる受験生は一部だけであり,司法試験の合格発表前に内定をとれなかったとしても悲観する必要はないと思います。

いわゆる四大法律事務所(アンダーソン,長島大野,西村あさひ,森濱田)は,司法試験の合格発表前に司法試験受験生の採用を行っていることは有名ですし,四大以外にも合格発表前に採用活動を行っている事務所はあります。

司法試験の合格発表前に採用活動を行っている法律事務所は,司法試験の成績では採用の可否を判断できないので,「出身大学がどこか」「ロースクールがどこか」「ロースクールの成績」「予備試験の成績」等で判断することが多いです。

私の修習同期で司法試験の合格発表前に就職が決まっていた人は,主に東大ロー,慶応ローの出身者や,予備試験で成績が良かった人などです。

私と同じ地方のロースクールの出身者でも合格発表前に採用が決まっていた人はいましたが,その人はロースクールで首席だったので,地元の有力な法律事務所に引き抜かれたというケースでした。


こんな感じで見てみると,合格発表前に内定が取れる人は

・主に東大ロー,慶応ローの出身者(その他京大,一橋,中央,早稲田ロー等の出身者など)

・予備試験合格者で成績が良かった人

・その他ロースクールで成績がとてもよかった人(首席・次席レベル)

というケースが多いように思います。


私は地方ロースクールの出身ですし,ロースクールの成績も悪くなかったものの首席・次席レベルには至らなかったので「合格発表前に就職活動しても内定は取れないだろう」と開き直って,就職活動もせずにダラダラ(ネット見たり遊びに行ったり)していました。

質問者さんは合格発表前から就職活動をされているということですので,意識が高い方だと思います。

どの事務所に入りたいかにもよりますが,大手の事務所・有名な中堅の事務所に入りたいのであれば,諦めずに面接の申込みや,サマークラークの申込みなどをしてみて頑張ってみるしかないと思います。(四大などは時期的にもう内定が出揃う頃なので,ちょっと厳しいかも知れませんが。)

大手の事務所・有名な中堅の事務所以外でも良いということであれば,合格発表後にいくらでもチャンスはあります。というか,後述のとおり大手の事務所・有名な中堅の事務所以外は,合格発表後でないと内定をくれないところも多いです。




  • ●合格発表後の就職活動について

司法試験の合格発表の後,就職活動を始める人が増えてきます。

合格発表前は「自分が合格しているか分からない」と思って就職活動をしない人も多いですし,私みたいに「合格発表前に就職活動しても内定は取れないだろう」と思っている人も多いので,合格発表を機に就職活動を始める人が増えてくるのです。


そして,この頃から「●ひまわり求人求職ナビ」というサイトや,「●ジュリナビ」というサイトで,説明会や求人に関する情報が増えてくると思います。

そういったサイトを利用したり,各法律事務所の求人ページを見ながら,面接の申し込みをすると良いと思います。

また主に首都圏で合同説明会が行われますので,首都圏での就職を希望するのであれば説明会にも参加しておくと良いと思います。

特に弁護士の就職活動はボスとの相性の問題もあり,「数うち当たる」的な要素があるため,「お祈り」され続けても諦めずに淡々と続けることが大事です。



それから,司法試験に合格したことが分かったら,お世話になった方々にお礼・合格報告の手紙やメールを出してコネを作っておくこともお勧めです(SNSを使った報告等もあり)。

就職先の法律事務所の規模にもよりますが,弁護士の就職はコネがあったほうが断然就職しやすいと思います。

私が早期に就職が決まったのは,このお礼・合格報告の手紙・メールのおかげです。

私は司法試験に合格したことが分かった後,地方で就職活動をしようとしたのですが,地方では法律事務所の求人情報が少なくて困りました。

お世話になった人にお礼をしたいという気持ちもあったので,「何か良い情報をもらえればラッキー」くらいの気持ちで,お世話になった方々(大学・ロースクールの先生,前の職場の上司・同僚,同級生,友人など)にお礼の手紙やメールを出したりしていたところ,何人の方から「就職決まったの?」とか「知り合いに弁護士いるけど採用出来るか聞いてみる?」という連絡をもらうことが出来ました。

そして,何人かの方に弁護士を紹介してもらい,事務所を訪問したり,弁護士に飲みに連れていってもらっているうちに,何人かの先生から就職のお誘いをいただき(就職活動らしい就職活動もしないまま)司法修習が始まって間もなく就職が決まりました。

採用する側からすると,採用される側の人間が「どんな人か?」というのは一番心配するところだと思います。


そして,「どんな人か?」は履歴書やエントリーシートを見ても良く分かりません。

そんな時に知り合いから「この子は悪い子じゃないよ」「変な子ではないよ」「ヤバイやつじゃないよ」という話を聞ければ,安心して採用しやすくなるのだと思います。

なので,司法試験に合格したことが分かったら,色々な人に手紙を出したり,メールを送ったり,SNSを活用したりして,コネを作っておくと良いと思います。




  • ●司法修習開始後の就職活動について

司法試験に合格すると,最高裁から「実務修習の希望地を出して」という連絡が届きます。

就職活動を楽に進めるという観点からは,実務修習地は就職を希望している場所にしたほうが良いです(希望が必ず通る訳ではありませんが)。

というのも,実務修習の中で就職が自然に決まっていく人が結構いるからです。


良くあるのが弁護修習をした法律事務所にそのまま就職するケース。

採用する側としては,司法修習生がどのような人か見極めてから採用をしたいものです。

そんな時に弁護修習で「こいつ仕事出来そうだな!」「悪い奴じゃないな!」と思われれば,弁護修習先のボスから「うちに来る?」と声をかけてもらえる可能性があります。

私は弁護修習の時,指導担当(弁護士)に頻繁に指導・注意をされていたので「嫌われてるのかな・・・」と思っていたのですが,ある日,修習先の事務所の別の弁護士から「就職決まってるの?ボス(指導担当)がウチで君の面倒みてあげると言っているけどどう?」と声をかけてもらいました。

既に就職先が決まっていたので丁重にお断りしましたが,こんな風に弁護修習先に声をかけてもらえるケースは良くあります。

また,弁護修習先が就職を希望する場所でなかったとしても,修習を一生懸命やっていれば,弁護修習先の弁護士から,他の法律事務所を紹介してもらえることもあります。

ですから,実務修習はあまり手を抜かずに一生懸命やりましょう。


ちなみに私は裁判修習でも朝早めに行って夜まで起案をしていたところ,裁判官の方から「君いつも頑張ってるね。弁護士志望なんだ?就職先決まったの?今度,弁護士会(単位会)の会長と会うから君の就職について何とかしてやってくれって言っておいてあげるよ。」と有り難いお言葉をいただいたこともありました(既に就職先が決まった後の話でしたが)。

なので,弁護士志望であっても,裁判修習・検察修習を頑張っていると良いことがあるかも知れません。





  • ●和光に戻ってからの就職活動について

今は弁護士の就職状況は売り手市場なので,普通に就職活動をしていれば和光(司法研修所)に戻る頃(二回試験の2~4ヶ月前)には就職先は決まっていることが多いと思います。

もっとも,就職活動をサボっていたり,運が悪かったりすると和光に戻る時期になっても内定をもらえていない,というケースがあります。

就職活動をサボっていた人も,さすがにこの頃になると焦って就職活動を頑張りはじめます。

「周りの同級生の多くが就職先も決まって二回試験に向けて勉強をしているのに,自分はまだ就職活動をしているなんて・・・」と悲観的になりがちなのがこの時期です。


しかし,この和光に戻った時期,二回試験の直前の時期は,実は内定をもらいやすい時期でもあります。

なぜかというと,大手以外の法律事務所の場合,すぐに来てくれる弁護士を採用したいことが多いからです。

特に比較的弁護士の数が少ない法律事務所の場合,1年後の事務所経営や仕事の状況がどうなっているか良く分からないのに,1年後のためにわざわざ司法修習生に内定を出したりするのは勇気がいることです。

そして,急にイソベンが辞めたりして「今すぐ来てくれる弁護士が欲しい」となって,採用をするパターンが結構あるのです。

二回試験の直前の時期になると,司法修習生であっても「あと数ヶ月すれば就職できます」「すぐ働けます」という状況になるので,大手以外の法律事務所にとっても,司法修習生に内定を出した後の見通しが立てやすく,採用を決めやすい状況になっているのです。

二回試験の直前の時期や二回試験が終わった頃に時期に,評判や条件の良い法律事務所が突然求人情報を出すこともあります。

そのため,二回試験の直前期になると,それまで内定をもらえていなかった人も,どんどん就職先が決まっていきます。

なので,運悪く二回試験の時期までに就職先が決まらなかった場合でも,悲観的にならずに淡々と就職活動を続けると,(よっぽど運やマナーが悪くない限り)就職先は見つかると思います。


私のロースクールの同期の中に司法修習が終わっても就職が決まらなかった人がいましたが,その人は年明けにある有名な中堅事務所へ就職が決まりました。

事情を聞くと,その中堅事務所では突然弁護士が辞めて人手不足になって困っており,すぐに働ける若い弁護士を探していたようです。そして,すぐに働ける申込者は司法修習が終わっても就職が決まっていなかった同期くらいしかいなかったため,即採用となったとのことでした。

同期は「就職が決まらなかったことでもの凄く凹んでいたが,司法修習が終わってライバルの数が減ったことで逆に有名な事務所に入れて運が良かった。」「先に就職が決まった他の同期よりも待遇も良くて恵まれていると思う。」というようなことを言ってました。

なので,就職がなかなか決まらなくても諦めずに就職活動を続けていれば良い事務所に就職できる可能性はあります。



  • ●就職先がなかなか決まらない人の特徴

質問者さんは社会人経験があり,既に就職活動もされているようですので,就職活動を続けていれば就職先は見つかると思います。

ですから,あまり心配をされる必要はないかと思います。


他方,なかなか就職先が見つからない人には,特徴があります。

一つは就職活動らしい就職活動をしていないケース。

一般的な大学生であれば就職活動の時期になると,本を買ったり説明会に参加して就職活動に関する情報を仕入れて,いくつもの会社に申込みをして,面接をいくつも受けて内定を取る,ということを当たり前のようにしています。

しかし,司法試験の合格者の中には就職活動らしい就職活動をしない人が結構いるんです。

私の同期にも飲みに行ってばかりで,あまり勉強も就職活動もしていない人がいました。

そういう人は二回試験の直前になっても就職先が決まらないことがあります。

就職活動を真面目にやっていないので,就職先が決まらないのは当然と言えば当然です。

(ただし,そんな人でも最終的に就職出来てしまうのが,この業界の良いところ。)

一般的な大学生向けの本でも良いので,就職活動対策用の本を何冊か読んで,面接での注意点,エントリーシートの書き方等について考えて実行すると良いと思います。

私は「内定勝者」という本を何冊か読みました。

●ISBN-10: 4569841627





なかなか就職先が見つからない人の2つ目のケースが,マナーや社会常識を身につけていないケース。

質問者さんは社会人経験があるとのことなので問題はないと思いますが,司法試験合格者の多くは社会人経験がないので,社会常識やマナーを勉強したことがない人が結構います。

例を挙げると

・目上の人よりも先にタクシーに乗ってしまう,目上の人より先をスタスタと歩いてしまう。

・目上の人にエレベーターのボタンを押させる。

・初対面の目上の人に名刺を渡さない。というか,名刺も名刺入れも持っていない。

・目上の人にごちそうになったのに「いただきます」「ごちそうさまでした」を言わない。お礼状を出さない。

・就職活動の面接に行くのに,見た目がロック過ぎる(髪型つんつん,シルバーアクセだらけ等)。

こんな修習生が意外といます。


こういう修習生でも就職先が決まったりするのですが,顧問先を多く抱えている弁護士などは「この子が就職した後に,顧問先の社長に合わせて失礼にならないか」「この修習生にゼロからマナーや社会常識を教えるのは大変そうだな・・・」ということ等を気にします。

なので,早めに内定を取りたいのであれば1冊で良いのでマナー本を買って読んでマナーや社会常識を身につけておくと良いです。

私は「図解 マナー以前の社会人常識」という本を買って読みましたが,社会人経験があったにもかかわらず,マナーが全然出来ていなかったことに気付きました。エレベーターに乗るときの振る舞いや,名刺のやり取りのマナーなどは,知らないと出来ないことも多いですからね。(公務員って営業活動をしないので,意外とマナーに疎いこともありますし。)。

弁護士は接客業ですし,偉い人と飲みに行くことも多いので,マナー本を1冊で良いので読んでおくと,その後の弁護士の仕事でも役立つと思います。

●ISBN-10: 4062569639


裏を返せば,きちんと就職活動への対策を立てておき,マナーなども覚えて,早い段階から就職活動をしておけば,司法修習の後半になっても就職先が決まらない,などと言う事態は(運が悪くない限り)起こらないと思います。

私が就職した時は司法試験合格者が2000人を超えていて,今よりも景気も悪かったので就職氷河期と言われていましたが,それでもきちんと就職活動をしていた同期のほとんどが司法修習が終了するまでに就職先が決まっています。(司法修習が終わっても就職先が決まらなかった人達は,前記のようにまともに就職活動をしていなかった人や,あまりにロックすぎる人達などです。)

今は合格者数も減り売り手市場になってきており,最近の司法修習生を見てものんびりとしていても就職先が決まっている人が多いので,きちんと就職活動の対策を考えて就職活動する,マナーを覚えるということを心がけていただければ,就職についてそれほど心配することはないのではないかと思います。


もしまた不明な点などあればコメントしていただければ分かる範囲でお答えしたいと思います。


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Comments(5) |  │   (16:55)

2019年07月12日

判例集の要否等について質問がありましたので,お答えしたいと思います。

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判例集は買うのが当たり前と言われますが、判例は結構ネットに公開されています。
はじから読むものではないようなので買う必要はありますか。
go!シリーズのはしがきでも、民法改正前の物でもあるにもかかわらず紹介されていた「伊藤誠の判例シリーズの民法」は買いましたが、これは改正前の物でもあまり関係なくつかえそうで良かったです。
憲法はアマゾンのレビューでも結構良いからオススメと買いてありました。
判例集はどこまで必要か少し考えてしまいます。
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  • ○判例集の要否等について

「●司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」等の記事でも書きましたが,個人的には判例集は全科目買っておくことをおすすめしています。

勉強を始めたばかりの最初のうちは判例集に目をとおしても何が書いてあるのか理解できないことも多いので,初期段階では判例集は無くても良いかも知れません。

私も判例集を買い始めたのは勉強がある程度進んできてその必要性を感じるようになってからでしたし,最初のうちは「判例百選なんて無くてよいだろう」と思ってました。

しかし,ある程度勉強が進んでくると判例集(特に判例百選)が手元にあったほうが便利な場面が増えてくると思います。

司法試験・予備試験では論文式試験・短答式試験ともに,判例をもとに作られた問題が出題されることが多いため,判例の理解は不可欠です。

ここでいう「判例の理解」とは,(1)事案がどのようなものであったかということと,(2)裁判所がどのような理由を述べて,(3)どのような規範を立てて(あるいは規範を立てないで),どのような(4)結論を出したか,という点に関する理解です。

もちろん判例集に載っている全ての判例を理解することは不可能ですので過去問で問われたような判例や,有名な判例に絞って理解をすれば良いのですが,いずれにせよ判例の勉強は必要になってきますし,その時に判例集があったほうが勉強の効率が良いと思います。

判例については,基本書や予備校本にも記載はありますが,基本書・予備校本は判例の結論しか記載していないことも多く,先程お話した「(1)事案(2)理由(3)規範(4)結論」のうち,「「(1)事案(2)理由(3)規範」の全部または一部が分からないということが多々あります。

そういう時に判例の「(1)事案(2)理由(3)規範(4)結論」がコンパクトに整理された判例集があると便利なのです。

また特に最高裁の判例などでは,判例の理由や規範がはっきりしないものも多いのですが,そういった判例については判例集に付いている判例評釈で詳しい説明がなされていたり,関連する下級審判例に関する情報が記載されていることが多いので,そういった点でも判例集があると便利です。

そのため,ある程度勉強が進んできた後は判例集を手元に置いておくことをおすすめしています。

そして,論文式試験・短答式試験の過去問を解いたり,答練や問題演習をしていて,「この問題の元になっている判例良く分かってないな・・・」と思った時に,判例集で該当する判例とその解説を読むと理解が深まり,試験での対応能力も上がっていきますし,試験であさっての方向の結論を導いて不合格になってしまうリスクも減らすことが出来ると思います。


ただし,受験生の中には,判例集をほとんど使わずに合格出来る人もいると思います。

私が受験生のとき,周りの受験生は(知っている範囲では)全員判例集を持っていましたが,個人的な感覚としては判例集をほとんど使わずに司法試験に合格することも不可能ではないと思います。

判例集をほとんど使わずに試験に合格するのであれば,過去問をきちんと分析し,答練などを大量に受けて,判例の知識は問題集・答練の解説で全てインプットするくらいの気持ちで復習をし,本試験で答練等と同じような判例を元にした問題が出題されれば,判例集を使わなくても本試験に合格できる可能性は十分にあると思います。

もっとも,判例集がないと,問題演習をしたり,基本書等を読んでいて,分からないことが出てきた時に疑問が残ったままモヤモヤする場面が増えてくると思いますので(答練の解説等にも細かいことまでは書いていないので),個人的にはあまりケチらずに判例集は手元に置いておいたほうが精神衛生上も良いだろうと思いますし,勉強も効率的に進められると思います。




  • ○おすすめの判例集について

私は判例集をいろいろ買いましたかが,最終的に判例百選があれば十分だと思っています。



「伊藤真の判例シリーズ」は分かりやすくて便利なので私もほぼ全科目持っていましたし,初学者にはおすめですが,私は判例百選ほどは使っていません。

「伊藤真の判例シリーズ」の解説は平易なので初学者にとっては便利なのですが,勉強を始めた頃は判例集を読むことはそれほど多くないですし,勉強が進んでくると「伊藤真の判例シリーズ」の解説だけでは物足りなくなる場面も出てきました。

また「伊藤真の判例シリーズ」は掲載されている判例数が判例百選よりも圧倒的に少なく,「判例を調べようと思ったが載っていなかった」という場面が出てくると思います。

司法試験の問題を作成する際,出題者は判例百選及び重要判例解説に載っている判例か否かを意識しているという話を良く聞きますので,分からない判例が出てきても判例百選・重要判例解説に載っていない判例であれば「試験でメインで問われる可能性は低いだろうから,取りあえず結論だけ押さえておこう」という方針を立てることができます。

なので,勉強の範囲を適切に絞るという意味でも判例百選のほうが便利かと思います。

ただし「伊藤真の判例シリーズ」は,百選レベルの判例のうち,特に重要なものを厳選して掲載していますので,重要判例に絞って理解を深めていきたいという場合には,「伊藤真の判例シリーズ」は便利だと思います。

また,判例百選は解説をしている人がバラバラなので,解説に「当たり外れ」があります。判例百選の解説の質が悪いという意味ではないのですが,司法試験向きの解説でないものもあるので,そういった意味では司法試験向きの解説のみが記載されている「伊藤真の判例シリーズ」のほうが便利です。




判例百選以外の判例集としては「判例インデックス」が使いやすいと思います。

「判例インデックス」は,判例百選よりも事案・判旨・解説がコンパクトで読みやすく,しかも事案図が付いているので,自分でわざわざ事案図を書く必要がありません。

そのため高速で判例を把握することができます。

デメリットとしては解説が短いので,疑問解消のために使おうとしても「判例インデックス」だけでは疑問が解消しないことがあります。

判例百選は字が小さく生理的に受け付けない人もいると思いますので,そういう人は「判例インデックス」を候補に入れても良いと思います。




それから買う必要はありませんが,「最高裁判所判例解説」の存在も知っておいたほうが良いとと思います。

「最高裁判所判例解説」は,最高裁判例のうち特に重要な判例について,最高裁判所の調査官(裁判官のエリート)が解説をしているもので,解説は詳細で分かりやすいものが多いです。

判例が関連する論点について理解が出来ずにモヤモヤしている時に「最高裁判所判例解説」を読むと疑問が解消することが良くあります。

裁判官が書いているものなので解説も回りくどくありませんし,「裁判官はそう考えているんだ」という納得が出来ます。

なので,私は判例が関連する論点について調べ物をする時は,

(ア)調査官解説がある判例については調査官解説を読み,それで疑問が解消しなかった時には判例百選の解説を読む

(イ)調査官解説がない判例については判例百選の解説を読む

というようにしていました。


ただし「最高裁判所判例解説」は解説が長いものが多いので(短いのもありますが),自分が必要としている解説に行き着くまで時間がかかります。

「最高裁判所判例解説」が肌に合わない人は,受験生の段階では判例百選があれば十分でしょう。


「最高裁判所判例解説」は価格が高く冊数も膨大なので,大学の図書館などに置いてあるもの(DVD版もあります)を利用すると良いと思います。

ロースクールによっては判例システムで「最高裁判所判例解説」を見ることが出来るところもあると思います。





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