2019年09月12日

質問があったのでお答えしたいと思います。

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改正民法の過去問の練習はどうやるのが理想ですか?
改正前と後では回答が違いやりようがないと思いませんか?
これからでてくる問題集ではなく、過去の試験問題のことです。
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以前は民法改正に対応した短答式の過去問集はなかったのですが,今は東京リーガルマインド (LEC)から「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 民法」という民法改正に対応した問題集が出版されているので,そちらを使うのが良いと思います。

★ISBN-10: 4844923099


この問題集では,過去問の解答・解説を改正後の民法に合わせていますので,来年の司法試験対策として問題無く使えるはずです。

その他,過去問集ではありませんが,民法改正に対応した短答式の問題集として法学検定試験委員会の「債権法改正対応 民法択一問題集」や,資格スクエアのアプリなどがあります。

●債権法改正対応 民法択一問題集


●資格スクエア



「債権法改正対応 民法択一問題集」や資格スクエアのアプリは易しい問題が多いので,初学者向けです。



その他,改正民法対策については,「●司法試験における民法改正への対策について」という記事と,「●司法試験・予備試験における民法改正への対策について(その2)」という記事にも書いていますので,そちらも参考にしてみてください。



【アクセスの多い記事】
司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その1)
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Comments(3) |  │   (14:30)

ご質問がありましたので回答したいと思います。
(最近かなり忙しくて,返事が遅くなってしまいすみません。)

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お世話になっております。

前に就職活動についてお尋ねしたTKです。
その節は本当にありがとうございました。
現在も就職活動を頑張っています。
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質問ばかりで大変申し訳ないとは思ったのですが、どうしても先生からお話をお伺いしたく、この前とは別の件についてコメントをさせていただきました。

それは、司法修習についてです。
(合格もしていない段階で、このようなことをお尋ねするべきではないのかもしれませんが。。)

仮に合格していた場合、私は、先生と同じように、修習のどれであっても全力で取り組みたいと思いますし、起案もよい成績をとりたいと思っています。

それは、私が弁護士だけではなく、検察官にも関心を持っていることが理由としてあります。
ただ、それだけではなく、修習という貴重な経験をすることができるのに、全力を出さないのはもったいないとも思うからです。
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そこで、お尋ねしたいのですが、合格発表前もしくは修習前に、できることはあるのでしょうか。
(修習に行けば、私よりすごい方たちが沢山いることは重々承知ですが、そういう方達に絶対に負けたくありません。)

先生のご経験から、今の段階でこの本を読んでおく方がいい、この分野は徹底的に復習しておく方がいい等というものがあれば是非教えていただけないでしょうか。

お忙しい中、申し訳ありません。
お時間があるときで構いませんので、ご回答いただけないでしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。

TK
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質問者さんは検察官を目指されているということで,司法修習で出来るだけ良い成績と取るために司法修習開始前から勉強をしておきたいというお話だと思います。

司法修習の前に勉強しておいたほうが良いことや,私が行った勉強についてお話したいと思います。




  • ○1 民法・刑法・刑事訴訟法の復習について

司法修習では,民事裁判,民事弁護,刑事裁判,刑事弁護,検察という5科目について勉強をしていくことになります。

そして,この司法修習で主に必要となる知識は,民法,刑法(特に共犯関係と各論),刑事訴訟法です。

憲法,行政法,商法,民事訴訟法等はほとんど使いません。

(私が修習生の時に,一度だけ起案で会社法の要件事実の理解が必要になる問題が出題されたことがありましたが,他の修習生もみんな分からなかったようで,知らなくても何とかなりました。)



民法,刑法は司法試験の受験勉強である程度は勉強していると思いますが,民法,刑法の知識に穴があると司法修習の起案や二回試験で足元をすくわれる可能性があります。

そこで,民法や刑法の知識に不安がある人は,今のうちに復習をしておくと良いです。


民法については,できるだけまんべんなく知識をインプットしておくと良いでしょう。

肢別本が苦にならない人であれば,寝っ転がりながらでも良いので肢別本をぐるぐると回しても良いと思いますし,基本書が好きな人は基本書を読んでも良いと思います。


刑法に関しては特に刑法各論の構成要件の定義を出来るだけ正確に覚えておく必要があるので,刑法各論の主要な罪について,定義や規範に不安がある人は復習をしておきましょう。

また,共同正犯の処理について,司法修習では実務と同じ説を使ったほうが起案が書きやすいですし,点数も安定します。

実務で使われている共同正犯の処理の仕方は,刑法講義案や,司法修習前に配布される「検察終局起案の考え方」という白表紙(教科書)に書いてありますので,司法試験で実務と違う学説で共同正犯を処理していた人は,今のうちに実務における共同正犯の処理の仕方を覚えておくと良いと思います。


その他,司法修習では刑事訴訟法の知識も必要となります。

刑事訴訟法に関しては司法修習に入った後,検察修習等で知識を再インプットする機会があると思いますが,刑事訴訟法に苦手意識がある人は今のうちに復習をしておいたほうが良いと思います。




  • ○2 要件事実の復習について

民事裁判では当然要件事実の知識が必要になります。

「新問題研究要件事実」は白表紙として配布されると思いますが,司法試験受験生であれば既に持っていると思いますので,「新問題研究要件事実」に書かれている内容について理解に穴がある場合には,徹底的に復習をしておきましょう。

★新問題研究要件事実


「新問題研究要件事実」を終えたら,自分が好きな要件事実の本を使えば良いと思いますが,私は色々と手を出したものの,最終的に「紛争類型別の要件事実―民事訴訟における攻撃防御の構造」に落ち着きました。

★紛争類型別の要件事実―民事訴訟における攻撃防御の構造

この「紛争類型別の要件事実」という本は薄くて分かりにくいのですが(私も昔はこの本が大嫌いでした),マスターをすると短時間で要件事実を復習できる強力なツールになります。

「紛争類型別の要件事実」を読みつつ,分からないところは「要件事実マニュアル」などで該当箇所を読んで理解を深めていくという使い方をしていくと,あれこれと他の本に手を出すよりも短時間で要件事実の基本をマスター出来ると思います。

★要件事実マニュアル


私は二回試験の直前も要件事実については「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」を復習しただけでしたが,民事裁判も民事弁護も「優」だったので,時間に余裕がない人はあれこれと手を出すよりも「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」をマスターしたほうが良いのではないかと思います。


「新問題研究要件事実」や「紛争類型別の要件事実」の内容が薄すぎて辛いという人は岡口裁判官の「要件事実入門」や「要件事実論30講」がおすすめです。

★ISBN-10: 4908621071

★ISBN-10: 4335357508





  • ○3 司法修習前に読んでおいたほうが良い参考書等(民事系)

司法修習では,民事系,刑事系ともに事実認定に関する訓練をしていくことになりますので,薄い本でも構いませんので,事実認定に関する本を民事系,刑事系,それぞれ最低1冊ずつ読んでおくと良いと思います。


私が司法修習前に読んだ本の1つ「ステップアップ民事事実認定」という本です。

★ステップアップ民事事実認定

「ステップアップ民事事実認定」は今では絶版になっているようですが,まだAmazonなどで中古本が出回っています。薄めの本で短時間で読めるので時間をかけたくない人にはお勧めです。


民事系の事実認定は,司法試験の勉強ではほとんどやっていないはずなので,余裕があれば何冊か読んでみると良いと思います。

私は「完全講義 民事裁判実務の基礎」という本も読みました。

★完全講義 民事裁判実務の基礎

こちらは最近になって改訂もされているようですし,新しい本を使いたい人は,この「完全講義 民事裁判実務の基礎」を読んでみると良いと思います。



その他,私は司法修習に入ってから「民事訴訟における事実認定」という本も買って読みました。

★民事訴訟における事実認定

この本も勉強になるのでおすすめです。

時間がない人は「参考裁判例」という項目だけでも読んでおくと,実務的な感覚が掴めてくると思います。




  • ○4 司法修習前に読んでおいたほうが良い参考書等(刑事系)

刑事系の事実認定の本としては石井一正先生の「刑事事実認定入門」が薄くて読みやすくておすすめです。

★刑事事実認定入門


その他,白表紙として配られる「検察終局処分起案の考え方」という本を早めにマスターしておくことを強くおすすめします。

司法修習生が最初につまずくことが多いのが「起案の書き方がよく分からない」という壁です。

司法修習の刑事系科目は,刑事裁判,刑事弁護,検察の3科目ですが,この3科目の中で起案の書き方がカッチリと決まっていてマスターしやすいのが「検察」です。

そこで,最初に「検察」について起案の書き方をマスターしておくと,他の科目の起案に応用することができ,全体の科目の起案の書き方をマスターしやすくなります。

検察科目については「検察終局処分起案の考え方」という本をマスターした上で,刑法・刑事訴訟法の復習をきちんとし,起案のたびに何度も復習をしておけば安定してAを取れるようになります。

そして,刑事裁判と刑事弁護についても,「検察終局処分起案の考え方」の手法や考え方を土台にしつつ,刑事裁判と刑事弁護の起案の書き方に応用すると書きやすいです。

なので,早めに「検察終局処分起案の考え方」を何度も読み込み,検察科目の書き方を頭に叩き込んでおけば,他の修習生と差を付けやすくなると思います。


余談ですが起案の書き方をマスターするコツの1つは,起案の際の項目とその順番をきちんと暗記しておくことです。

たとえば,検察科目の起案の順番は(私が修習生の時と変わっていなければ)以下のとおりです。

――――――――――――――――――――――――――
第1 公訴事実等
1 公訴事実
2 罪名及び罰条
第2 求刑

第1 ○○の犯人性
1 間接『事実』
(1)被害品の近接所持
ア 認定した間接事実
イ 認定根拠
ウ 意味づけ
2 直接『証拠』
(1)直接証拠となる証拠
(2)直接証拠であることの理由
(3)信用性
3 共犯者A2の供述
(1)認否
(2)信用性
4 被疑者A1の供述
(1)認否
(2)信用性
5 結論
第2 A2の犯人性
第3 犯罪の成否等
1 構成要件・客観面
(1)構成要件要素
(2)○○(罪名が恐喝であれば「恐喝行為」)
ア 意義
イ 事実認定
(ア)積極証拠に基づく事実認定
(イ)消極証拠の信用性
ⅰ 弁解内容 or 供述内容(A以外の場合)
ⅱ 信用性
ウ 当てはめ、法的評価
2 構成要件・主観面
(1)A1について
ア 故意
イ 不法領得の意思
(2)A2について
3 共犯性
(1)共同実行の事実
(2)共同実行の意思
ア 犯意の相互認識
(ア)事実認定
(イ)消極証拠の信用性
(ウ)法的評価
イ 正犯意思
(ア)事実認定
(イ)消極証拠の信用性
(ウ)法的評価
(ウ 共同実行の意思に基づく犯罪行為・結果等)
4 違法性、責任、訴訟条件等
5 罪数関係
6 その他の犯罪の成否
第4 情状
1 A両名に関する事情
(1)不利な事情
(2)有利な事情
2 A1に関する事情
(1)不利な事情
(2)有利な事情
3 A2に関する事情
(1)不利な事情
(2)有利な事情
――――――――――――――――――――――――――

問題によっては書かなくてよい項目もありますが,基本的に検察の起案はこの順番で書くことになります(私が修習生の時と指導内容が変わっている可能性がありますので念のため,「検察終局処分起案の考え方」で確認をしておいてください。)。

この順番をまず頭に叩き込んでおけば,起案の際に「書くべき事項を書かなかった」という失敗を減らすことができます。

そして,検察以外の科目についても,白表紙等を読んで,起案で論じるべき項目とその順序を整理して,頭に叩き込んでおく良いです。







  • ○5 白表紙が届いたら白表紙を読む

司法修習に申し込みをしてしばらくすると最高裁から「白表紙」という参考書が届きます。

基本的に白表紙には起案や実務に必要な知識が詰め込まれていますので,白表紙が届いたら,可能な範囲で白表紙を読んでおくと良いです。

白表紙の中には辞書的な役割のものもありますので(民事判決起案の手引の別冊事実摘示記載例集,刑事弁護実務の別冊書式編など),そういったものは流し読みでOKです。



  • ○6 先輩や同級生からデータをもらう

司法修習が始まる前,あるいは司法修習が始まった頃から,司法修習生の間で先輩が作ったデータやノートが出回ると思います。

要件事実をコンパクトにまとめたノートだったり,事実認定の注意点をまとめたノートだったり,二回試験で不合格になった実例をまとめた資料だったりします。

この修習生の間で出回るデータの中には,使えるものもあれば,使えないものもあります。

先輩のノートが欲しい場合には,司法修習が始まり次第,早めに友達を作って,わらしべ長者的手法(自分が持っているのをあげるから,君のもちょうだいという手法)で先輩のデータを集めて,使えそうなものを整理しておくと良いと思います。

なお,私が修習生の時は,過去の起案のデータをもらうことも事実上黙認されていたのですが(むしろ「過去の起案のデータをもらって起案の練習をしなさい」と言う教官もいました),最近の司法修習生に聞くと現在は起案データのやり取りは強く禁止されているらしいので,起案データのやり取りは止めたほうが良いと思います。




  • ○7 司法修習の際に手元にあると便利な参考書等

私が司法修習生の時に(白表紙等以外で)持って置いて便利だった本をいくつか紹介します。


★ 要件事実マニュアル


まず要件事実マニュアルは便利なので持っておいたほうが良いです。

要件事実を素早く調べることができ,解説も正確(岡口裁判官が書いている)かつ詳細なので便利です。

全5巻ありますが,司法修習で主に必要になるのは1巻と2巻ですので,とりあえず1巻と2巻だけ用意しておくと良いと思います。



★条解刑法

条解刑法は,刑法の「辞書」です。

司法修習に入ると基本的に実務的な処理に従う必要があり,刑法各論の構成要件の定義も正確に覚える必要があります。

基本書だけだと何が実務的な考え方なのか分かりにくいですし,構成要件の定義を探すのも面倒だったり書いていなかったりすることがあります。

条解刑法は基本的に実務的な考え方に沿って記載されており,構成要件の定義も正確に整理されて書かれているので,必須とまでは言いませんが,手元にあると便利です。

値段がちょっと高めなので,合格祝いとして買ってもらうという人もいます。

私はお金を節約したかったので旧版を中古で買いました。

法律事務所に就職すればたぶん新版が置いてあると思いますので,1年使うだけと考えれば中古でも良いと思います。





★条解刑事訴訟法

条解刑事訴訟法は,刑事訴訟法の「辞書」です。

司法修習の刑事系では,刑事訴訟法の細かい実務的な知識が聞かれることがあるので,課題をこなしたりする際に,手元に条解刑事訴訟法があると便利です。

ただ条解刑法よりもさらに高いんですよね。2万て・・・。

条解刑法と条解刑事訴訟法どちらを買うか迷ったら,条解刑法のほうをおすすめします。

お金を節約したい人は,条解刑法同様中古でも良いと思いますし,大学図書館が近くにあって図書館に行くのが苦にならない人であれば調べ物をする都度図書館の本を使うという形でも良いと思います。





★実例刑事訴訟法

司法修習の出される課題の中で,この「実例刑事訴訟法」が参考資料として挙げられることがあると思います(少なくとも私が修習生の時はそうでした。)。

そして,課題が出て司法研修所の図書館に「実例刑事訴訟法」を借りに行くと既に「貸出中」になっていて,借りた人が全然返さないので「実例刑事訴訟法」を見られなくて困る,なんてことが何度かありました。

辞書的な本で,実務に入ってからも私は正直あんまり使っていないので,買うのはもったいない感じもしますが,司法修習に入ってから様子を見てみて,必要性を感じたら買ってみても良いと思います。(私は結局買いました。)




★刑事事実認定重要判決50選

こちらも「あれば便利な本」で必須という訳ではないです。

この本も司法修習中の講義の中で参考資料として挙げられることありましたが,持っている修習生の数が多いのか,図書館で借りられずに困ったということは少なかったように記憶しています。

こちらも司法修習に入ってから様子を見てみて,必要性を感じたら買ってみても良いと思います。(私はこれも結局買いました。)



★犯罪事実記載の実務

公訴事実の記載例がひたすら記載されているという本。通称「ピンク本」。

こちらもマストではありませんが,検察修習などの時に持っていると便利です。

検察官の机の上には必ずといって良いほどこのピンクの本が置かれていますし,弁護士も告訴状を作ったりするときに使いますので,買って損はしないとは思います。

就職先の事務所に置いている可能性もありますが。(私が就職した事務所にはありました。)

こちらも司法修習に入ってから様子を見てみて,必要性を感じたら買ってみれば良いと思います。




★書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究

この「書記官事務を中心とした和解条項に関する実証的研究」は司法修習の同級生に「この本買っておいたほうが良いらしいから一緒に注文しておくよ」と言われて,半ば強制的に購入させられた本です。

ネットで買うことが出来ない本で同級生がどこに注文したのかもよく分からないのですが,司法研修所の売店で売っていたような気がします(たぶん)。


結果,便利でした。

この本は,和解条項の例がひたすら記載されているというこれまたマニアックな本なのですが,司法修習の民事弁護で和解条項に関する講義や起案があるんですよね(今もあるか分かりませんが)。

その時にこの本が活躍しました。

弁護士になった後も,裁判官から「じゃあ次回期日までの原告側から和解案出してください」なんて言われることが頻繁にあるので,今でもヘビーユースしてます。

和解条項に関する本は他にもありますし,こちらもすぐに買う必要ないと思いますが,司法修習に入ってから様子を見てみて,必要性を感じたら買ってみても良いと思います。


★刑事弁護ビギナーズ 

「刑事弁護ビギナーズ」は刑事弁護のマニュアル本です。書式のワードデータも付いてきます。

依頼者の前では絶対に使いたくないタイトルですが,刑事弁護において何をすれば良いのか順序立てて整理されていて分かりやすいです。

司法修習先の若手弁護士がこの「刑事弁護ビギナーズ」を使いながら刑事弁護をしていて,便利そうだったので買いました。

司法修習中は模擬裁判などの時に使えると思いますし,弁護士になった後も使える本です。

似たような本に「少年弁護ビギナーズ」という本があるので,買う時には間違わないように注意してください。「少年弁護ビギナーズ」も便利な本ですが,修習生の段階では不要だと思います。



他にも買った本はいろいろあるのですが,個人的に司法修習又は二回試験に役だった本だけ紹介しました。

以上,司法修習開始前の勉強・準備について,お話をさせていただきました。

参考になれば幸いです。



なお,質問者さんは検察官「も」考えているということですが,私の同期を見ていると,検察官に任官が決まった人は「どうしても検察官になりたいんだ!」というやる気がある人が多かったように思います。

検察教官によると思いますが,「検察官も考えているんです」という人と「検察官にどうじでもなりだいんでず!!!」という2人がいた場合,後者を推薦したくなるという人が多いと思います。

なので,検察官を目指しているのであれば,自分がどうして検察官になりたいのかを考えて,志望動機等についてきちんと熱く説明できるようにしておいたほうが良いと思います。

こんなことを言うと検察官の方に怒られるかも知れませんが,検察官は裁判官ほど成績が良くなくても任官を得られるケースはあると思います。

起案で少し失敗したものの任官できた人は,やっぱり検察官になりたいという志望動機がはっきりしていて,やる気のある人でした。

検察官を希望しているのであれば,勉強や起案で頑張るのはもちろんですが,検察教官には「検察官になりたい」という気持ちをきちんとアピールしておくと良いと思います。




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Comments(1) |  │   (12:41)

2019年08月23日

コメント欄で質問をいただきましたのでお答えしたいと思います。

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突然のコメント失礼します。 
現在公務員として働いていますが、弁護士資格に挑戦したいと思い、法学初学者ですがこのブログを参考に勉強を進めております。 
弁護士としての働き方について質問なのですが 
在宅勤務で弁護士資格を生かすことができる仕事はあるのでしょうか? 
物理的な意味で(自宅でも仕事ができる、出社退社が縛られない等)自由度が高い仕事がしたいと思ってるのですが、例えば業務委託という形でメールでの質問に一つ返答するごとに報酬として5千円もらえるといった働き方をイメージしています。 

不明瞭な質問かもしれませんが、お時間あるときにご回答お願いいたします。
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  • ●自宅で仕事をする弁護士について

質問者さんは弁護士として在宅勤務をすることを考えているとのことですが,私の周りの特に年配の弁護士の中には,自宅兼事務所という形で自宅で仕事をしている人は少なからずいます。

ただ,メールだけで仕事をするという形ではなく,相談者や依頼者に自宅兼事務所に来てもらって打ち合わせをしたり,訴訟のために裁判所などに出頭したりしているので,質問者さんのイメージとはちょっと違うと思います。


それから,個人的には弁護士が自宅で仕事をすることにはリスクもあると思っています。

弁護士は事務所の住所を弁護士会に登録しなければならないことになっていて,登録した事務所の住所は弁護士会のホームページなどで公開されるんですよね。

つまり,自宅で仕事をするということは,自宅の住所を世間一般に公開するということになります。

そして,弁護士の事務所には,事件の相手方や関係者が突然事務所に押しかけてきたりすることもありますし,一度お断りをした相談者が何度もやってくることもあります。

また大きな事件に関わったりすると,マスコミの取材の電話が何度も来ることもあります。

自宅と事務所が同じ場所だと,自分が寝ている夜中や休みの日などにも事件の相手方や関係者などが来る可能性があり,身を休めることが出来なくなるリスクも無い訳ではありません。

個人的には弁護士は紛争に介入する仕事である以上,リスクを回避するためにも,出来れば自宅と事務所は分けておいたほうが精神上良いのではないかと思っています。






  • ●メールでの法律相談について

「メールでの質問に一つ返答するごとに報酬として5千円もらえるといった働き方」は私もモデルとして想像してみたことは一応あるのですが,不特定多数を相手方にするという形だと結構ハードルが高いような気がします。

メールのような文章の形で一般的な内容の法律相談をするサービスとしては既に「弁護士ドットコム」というサービスがあります。

また,メールで具体的な内容の法律相談を実施しようとすると,弁護士の側からも様々な質問をしなければならないので,メールでやり取りをすると何往復もやり取りをしなければならず,相談者としても弁護士としても手間がかかるケースが多いと思います。

例えば「離婚を考えているのですがどうしたら良いでしょうか。」という相談があった場合,弁護士としては

「いつ結婚しましたか。」「別居していますか。いつから別居しましたか。どのように別居がはじまったのですか。」「お子さんはいますか。何人いますか。それぞれ何歳ですか。貴方と相手方のどちらが主に面倒をみていますか。どのように面倒をみていますか。」「貴方と相手方の年収はそれぞれいくらですか。それぞれお仕事は何をしていますか。」「貴方と相手方の財産は何がありますか。マイホームはありますか。住宅ローンはありますか。残額はいくらですか。預金はありますか。保険には入っていますか。積立てしている年金はありますか。退職金の制度はありますか。」・・・のように質問をしなければならないことが山ほどあります。

上記の質問は一部で,質問に対する回答をもらうと,さらに質問をしなければならない事項が増えていくこともあります。

これをメールで全部やり取りするには,予め必要な情報を整理して送ってもらうなど,何らかの工夫が必要になると思います。




  • ●電話での法律相談について

上記のようにメールでの法律相談は大変な部分もあるので,在宅で相談を受けるとすると,メールよりも電話相談のほうが効率が良いと思うのですが,電話相談にも問題がない訳ではありません。

弁護士に関するルールを定めた「弁護士職務基本規程」には,同じ案件について一方の当事者から相談を受けた場合には,その相手方の相談は受けてはならないというルールがあり,弁護士が相談を受ける時には,過去に相談者の相手方から相談を受けたことがないかをチェックします。

そのため,法律相談を受ける時には,本人確認をすることも重要な作業になるのですが,電話相談の場合,相談者の素性が良く分からないことも多く,利益相反の確認がきちんと出来ない可能性もあります。

そのため,私は新規の相談者や面識のない相談者については,電話での法律相談はお断りするようにしています。

在宅で不特定多数の方から電話相談を受けるとなると,上記のような利益相反の確認や本人確認をどうやって行うのか,ということが問題なるかも知れません。


また,法律相談を受ける時には,資料を持ってきてもらうことも多いのですが,電話やメールのやり取りだと,「この資料のこの部分についてですが・・・」というような話をしても通じないことも多く,手間がかることは結構あります。

この点についてはスカイプのようなテレビ会議を使うと少し解決できるかも知れませんが。



  • ●企業との顧問契約に基づくメール・電話での法律相談について

上記のような問題をクリア出来る方法の1つとしては,企業と顧問契約を結び,顧問先の企業から日々,メールや電話でその企業がかかる問題について法律相談を受けたり,契約書のチェックをする等,在宅のインハウスローヤー的な仕事をするという方法が考えられると思います。

ベテランの弁護士の中には,企業との顧問契約が多くなるにつれて,訴訟案件等を扱っている時間よりも,顧問先の企業からの法律相談を受けている時間のほうが多い,という弁護士も少なからずいると思います。

IT企業を顧問先とする弁護士などであれば,メールで法律相談をやり取りすることも多いのではないかと思います。

もっとも,企業によっては「直接事務所に行って顔を見ながら相談をしたい」という場合もあると思いますし,弁護士としても「書類や図面を確認しながら話をしないと良く分からないので,事務所に来てもらうか,自分が顧問先の会社に行って直接話をしたい。」ということも出てくると思います。

また,企業と顧問契約を結んで法律相談を受けていると,訴訟をしなければ解決しない問題も出てきますし,逆に「訴訟を起こされた」という相談もあると思いますので,法律相談だけで業務が終わらないことも多々あります。

そして,訴訟になれば当然に裁判所に出頭しなければなりませんので(管轄の裁判所が遠方の場合には,電話会議が使えることもありますが),全てを在宅勤務で完結させるのは難しいと思います。

また,企業から顧問契約を獲得するためには,企業から弁護士としての信用を得ることも大事ですが,企業と多くの顧問契約を結んでいる法律事務所は,一等地に立派な事務所を構えていることも少なくありません。自宅で弁護士業務を行う場合,企業等からどのようにして信頼を得るかということも考えなければならないと思います。

リーハルハイというドラマでは,主人公の弁護士(古美門研介)は多くの企業と顧問契約を結んで,立派な自宅兼事務所でのんびりと生活してましたが,現実的にはあのような生活をするのはハードルが高いと思います。ただ,弁護士として企業の信頼を得られるような大きな実績があれば可能性があるかも知れません。



  • ●実際に訴訟等の実務を行うことの重要性について

それから,弁護士として法律相談を受けるためには,実際に裁判所に行って訴訟や調停などの実務を行うことも大事だと思います。

司法試験や司法修習では基本的なことは勉強しますが,実務の細かい部分については,実際に弁護士になってから身体を動かして汗をかいて経験しないと分からないことが多いです。

例えば,離婚の相談1つをとってみても,「離婚できそうかどうか」「親権はどうなりそうか」「養育費がいくらになりそうか」「財産分与はどのあたりが落としどころになりそうか」といった相談は,実際に離婚事件を何度も経験して得られる知識も多いです。

企業の相談であっても,実際に訴訟や調停を経験したり,企業の現場を多く見ることで法律相談に適切な回答が出来るようになるケースも少なくありません。

そのため,在宅勤務だけしかしたことがなく,訴訟等の実務をほとんどしていないという弁護士だと,法律相談を受けても形式的な回答しかすることができず,相談者が本当に求めていることについて答えてあげられない場面も出てくると思います。




  • ●まとめ

弁護士の働き方は様々な形があって良いと思いますが,「在宅勤務で法律相談」という相談者さんの希望を実行するには,個人的には上記のように解決しなければならない問題がいくつかあると思いますので,問題を解決していくためには新たな発想が必要になって来ると思います。

相談者さんが上記のような問題を解決する方法を見つけられれば,何らかの形で「在宅勤務で法律相談」というモデルも成立させることができるかも知れません。


その他,法律相談や従来型の弁護士業務の範囲に拘らなければ,在宅勤務の形は色々とあると思いますし,弁護士のイメージから離れて「法律に詳しいけど○○が出来る人」という立ち位置になれれば,在宅勤務の可能性ももっと広がっていくかも知れません。


たとえば,弁護士資格や司法試験合格という履歴を活かして在宅勤務をするとすれば,英語と英米法も勉強した上で,専門性の高い法律系の翻訳家になるという方法や,外国語の契約書を作成するサービスを立ち上げる等のモデルも考えられるかも知れません。

翻訳の仕事をしている人の中には,在宅勤務をしている人も多く,私の知人でも翻訳家として自宅で働いている人がいますので。



その他「弁護士資格があり,法律に詳しくて,話が上手い人。勉強を教えるのが上手な人」という立ち位置であれば,自宅でYoutubeを活用しながら,法律系のネタをメインにしたユーチューバー,などというモデルもあるかも知れません。Youtubeで安定した収入を得るのは結構ハードルが高いですけどね。

その他,インターネットを活用した司法試験予備校なども増えてきていますので,自宅でネットを使って司法試験受験生向けの講義を行う,というモデルなどもあるかも知れません。

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