2019年05月10日

司法試験論文問題集等についても質問をいただきましたので個人的な考えについてお答えしたいと思います。

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もう一つ質問させていただきます。
伊藤塾の憲法の司法試験論文問題集は改訂年度が古くアマゾンレビューによるとあまり予備試験の採点基準にそっていないそうですが、その場合、予備論文問題集で良いのでしょうか?
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確かに伊藤塾の憲法の司法試験論文問題集は予備試験の採点基準を意識して作っている訳ではないと思いますが,初期の段階では採点基準を意識した勉強をいきなり始めるよりも,コンパクトな論文問題集等を使って基本的な知識のインプットに軸足を置いたほうがその後の勉強を効率的に進めることが出来ると思います。

私が早い段階で伊藤塾の司法試験論文問題集を読むことをおすすめしているのは,論文試験で問われる可能性のある基本的な知識を短期間でインプットするのに便利であるからです。

伊藤塾の憲法の司法試験論文問題集の問題と参考答案は,旧司法試験形式でコンパクトである分,予備試験や新司法試験形式の問題集と違って早く回すことができ,その分必要な論文用の知識を効率的にインプットすることが出来ます。

また,予備試験や司法試験の採点基準を意識した勉強をするためには,論文試験で問われる可能性のある基本的な知識をインプットしておく必要がありますが,基本的な知識がないまま予備試験や司法試験の採点基準を意識した勉強を始めてもあまり効率的ではありません。

受験生の中には,採点基準うんぬん以前の問題として,司法試験論文問題集に書いてあるような基本的な知識すらまともに書けずに酷い点をとる,という人も少なくありません。

例えば,以前に司法試験の憲法の論文式試験で政教分離の問題が出たことがありましたが採点基準以前の問題として,そもそも「宗教団体」や「宗教的活動」の規範を正確に書けていない受験生や,そもそも論点に触れていない,論点を間違えている受験生が結構な割合でいました。

ですから,伊藤塾の司法試験論文問題集を読んで知識をインプットする最初の段階では,予備試験の採点基準を意識した勉強をするよりも,まず基本的な知識をインプットすることに重点を置いたほうが良いと思います。

基本的な知識を正確にインプットしておけば,後は答練や論文式試験の過去問を繰り返しこなしていくことで,採点基準に対応できるような実力は付いていきます。



憲法に関して言えば,司法試験論文問題集の人権の分野の「ケース」以外の基本問題の問題を見て,参考答案と同じような内容の文章を書けるようになれば(定義と規範以外は丸暗記をする必要はありません),本試験の採点基準を意識した勉強(答練や論文式試験の過去問の検討)も効率的に進められると思います。


なお,「予備論文問題集で良いのでしょうか?」という点については,「予備論文問題集」は確かに予備試験の採点基準を意識した記載もありますが,問題の絶対量が少なめなので,知識に穴が出来やすいと思います。

そのため,伊藤塾の「予備論文問題集」を使うのであれば,時間に余裕があれば「司法試験論文問題集」の「ケース」以外の基本問題のうち,司法試験論文問題集の人権の分野の「ケース」以外の基本問題を回した上で,「予備論文問題集」にとりかったほうが良いと思います。

あるいは,「予備論文問題集」は「司法試験論文問題集」よりもコンパクトなので,時間に余裕がない場合には,知識に穴が出来ることを前提とした上で「予備論文問題集」を何回か回し,早めに予備校の答練,論文式試験の過去問の分析,短答式対策に移り,答練や短答式対策の中で知識の穴を埋めていく,という方法で乗りきるという方法もあると思います。

このように「予備論文問題集」の問題の量の少なさを他でカバー出来るのであれば,「予備論文問題集」を使っても良いと思います。


「予備論文問題集」と「司法試験論文問題集」の使い分けについては,「●論文問題集の使い分けと論文式試験の対策について」という記事にも書いていましたので,そちらも参考にしていただければと思います。


【アクセスの多い記事】
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Comments(2) |  │   (20:23)

質問をいただきましたので,私見について回答をさせていただきたいと思います。

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お忙しいところ質問させていただきます。
答練は受けた方がいいのでしょうか?また、予備校によっては予備試験と採点基準が違う答練もあるそうですが、受けるとしたらどのような答練がいいのでしょうか?
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  • ○答練を受けておくメリットについて

私は法科大学院ルートで司法試験に合格したため予備試験の答練は受験していませんので,司法試験の答練を前提としてお話をさせていただきます。

「予備試験と採点基準が違う答練もある」という点については,どの予備校の答練も予備試験(本試験)とは採点基準は違うと思います。

予備試験や司法試験の問題は非常に良く練られているため,予備試験や司法試験の採点基準と答練の採点基準が違うのはある意味仕方ないことです(予算も問題の質のレベルも全く違います。)。

しかし,だからといって答練を受験する意味がないかというとそうではなく,実際に時間を計って見たことのない問題を時間内で仕上げるという能力を身につけるためには答練は優れたツールですし,答練を受けていないと答練を受けている他の受験生に知識的な差を付けられてしまうこともあります。

また人間とは弱い生き物で,答練のように強制的に「時間を計って何も見ずに答案を書く」という機会がないと,答案を書く訓練を疎かにしたまま本番を迎えてしまうことが多く,本番で時間内に答案を仕上げることが出来なかったり,未知の問題でパニックを起こして意味不明な文章を書いてしまったりして,不合格の可能性が高まっていきます。

なので,答練は1クールだけでも良いので受験しておいたほうが良いと思います。

採点基準の感覚(何をどう書けば点に結びつくかという感覚)に関しては答練とは別に過去問の分析をすることで身についていきますし,過去問の分析をしておけば,答練で添削された答案が返却された時に「ここは点が付いているけど原則論を飛ばしてしまったので本番だったら減点されている可能性があるな」「ここは予備校の採点基準だと点が付いていないけど,理屈は通っているし本番だったらもう少し点はもらえるだろう」みたいな感覚が分かって来ると思います。

私の同級生を見ると,答練を受けていない人よりも,答練を受けていた人のほうが,圧倒的に合格率は高かったです(答練を受けていない人は勉強があまり進んでいなかったために受けていなかったからかも知れませんが)。


それから,予備校の答練の質には差はあるものの,それ程大きな違いはありません。

あくまで個人的な感覚ですが,本試験の質が100だとすると,予備校の答練の質はそれぞれ50,45,40・・・という感じで,「どんぐりの背比べ」みたいなイメージです。

また,答練は受験者が多いものを受けたほうが,答練と同じような問題が本試験で出た際に「自分だけ準備していなかったため差を付けられてしまった」というリスクを減らすことが出来ます。

なので,どの予備校の答練を受けるかを決める時には,採点基準だけを気にするのではなく,受験者の数なども考慮して決めたほうが良いと思います。

以上を踏まえると,個人的には辰巳か伊藤塾の答練が無難かな,と思います。

以下詳しくお話します。




私が司法試験の受験生時代に受けていた答練は辰巳法律研究所の答練です。

辰巳法律研究所の答練のメリットは,受験生が多いこと,価格がそれほど高くないこと,解説資料等が充実していることです。


予備校の答練のうち,特に直前期の答練(本試験から半年以内のもの)は,本試験の予想問題的な要素が入ってくるため,他の受験生が受けている答練を受けていないと「他の受験生は入念に準備している問題が本番で出たのに,自分だけ準備していなかったため差を付けられてしまった」という事態になる可能性があります。

また,答練を受ける目的の1つは他の受験生と自分の実力の差を把握して,勉強の方針を立てるという点にありますが(例えば憲法は答練で上位なので勉強時間を少なめにして,民法は答練で下位なので勉強時間を多めにする,といった方針を立てるのに役立ちます。),その場合受験生の数が多い答練のほうが全受験生の中での自分の位置が把握しやすいです。

そのため他の多くの受験生が受けている答練は受けられるのであれば受けておいたほうが良いと思います。

ただ,最近司法試験に合格した司法修習生の話を聞いていると「辰巳ではなく伊藤塾の答練を受けた」という人も結構増えてきたような気がします(私の周りだけかも知れませんが)。

なので,伊藤塾の答練を受けるか,辰巳の答練を受けるか迷った場合には,周りの受験生にもどの答練を受けているかを聞いてみたり,資料を取り寄せて自分にどちらが合いそうか考えた上で決めたほうが良いかも知れません。




私が受験生の時に,私の周りで辰巳法律研究所の次に受験者が多かったのが伊藤塾の答練です。

伊藤塾の答練の特徴としては,問題や解説の質は高いものの,価格が高いという傾向があります。

私がどの答練を受けるか迷った際,伊藤塾の答練を受けている人から問題や解説資料を見せてもらったことがあるのですが,問題も解説も参考答案も相当しっかりしている,という印象でした。

そのため,伊藤塾の答練を受けるか迷ったのですが,辰巳の答練よりも費用が高めで,かつ受験している人が私の周りでは少なかったため,結局私は伊藤塾の答練は受けませんでした。

ただ,先程もお話したとおり最近の司法修習生の話を聞いていると「伊藤塾の答練を受けていた」という人が増えてきたような気がしますので,お金に余裕があって,質の高い答練を受けたいといことであれば伊藤塾の答練もおすすめです。

私の同級生でお金と時間に余裕がある人の中には,辰巳法律研究所と伊藤塾の答練の両方を受験している人もいました。






私の同級生の一部のグループは早稲田セミナーの答練を受けていました。

早稲田セミナーの答練の特徴としては比較的費用が安め,というところでしょうか。

私がどの答練を受けるか迷った際,早稲田セミナーの答練を受けている人から資料を見せてもらいましたが問題や解説の質は中くらい,という印象でした。

早稲田セミナーの答練を受けていた同級生のグループの合格率は良かったので,安めの答練を大量に受けたいという人であれば早稲田セミナーの答練も選択肢に入れて良いと思います。




他に大手の予備校としてはLECがありますが,私の周りでLECの答練を受けていた人がいないためLECの答練についてはよく分かりません。ごめんなさい。

ただ聞いた話では費用は安めらしいですし,旧司法試験時代からの実績があるので,LECの答練を使っても問題はないと思います。

例えば他の予備校の答練にプラスして他の答練も受けてみたいというような場合にはLECの答練も選択肢に入れて良いのではないかと思います。

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Comments(0) |  │   (20:21)

2019年04月01日



遅くなりましたが,今回は民事訴訟法の勉強法と基本書,参考書等についてお話したいと思います。

■民事訴訟法の特徴


「民事訴訟法」とは,民事訴訟の手続を定めた法律です。

例えば,AさんがBさんに「100万円払え」という訴訟(裁判)を起こす際に,どこの裁判所で訴訟をするのかとか(管轄),訴訟の判断の対象をどうやって決めるかとか,主張や証拠の取扱いをどうするか等,細かいルールが定められています。

実際に裁判をしたことのない受験生の多くにとっては,民事訴訟のイメージは湧きづらく,しかも学者の先生の議論の対立が激しいため「ある基本書にはαと書いてあるが,別の基本書にはβと書いてあって,どっちが正しいか分からない」と混乱してしまうことが多い科目です。


そのため,民事訴訟法の勉強を効率的に進めるためには,早い段階で全体像を把握して民事訴訟のイメージを掴むことと,学説の激しい議論に巻き込まれないようにすることが大事です。

では,どうすれば良いのかというと,これまでお話してきた他の科目と同じ勉強方法が通用します。


まず,早い段階で全体像を把握するために,最初に入門書を読むべきです。

また,学説の激しい議論に巻き込まれないようにするためには,「最終的にどのような必要最低限の知識があれば司法試験で合格できるのか」という観点から,早い段階で司法試験用の問題集を使いはじめ,基本書は問題を解くための知識をインプットするための補助として使う,という勉強方法が効率的です。


この勉強方法をとれば,司法試験の合格に必要な民事訴訟法の知識は,驚く程少なくて済むということが分かってくるはずです。


民事訴訟法の合格に必要な知識は,他の民事系科目(民法・商法)よりも,かなり少ないんです。

民事訴訟法を苦手にしている受験生や,「民訴の勉強はつまらない」と感じてる受験生は多いのですが,民事訴訟法は,条文の数自体も民法・商法より少ないですし,論文式試験で問われる論点も概ね決まっているので,効率的に勉強をすれば,少ない時間で合格に必要な力を身につけられる科目ですし,やり方を間違えなければ安定した得点源にすることが出来ます。


また,民事訴訟法はロジカルな科目でもあり,最初はつまらないと感じていても勉強が進むにつれて,面白くなっていくと思います。

他方,民事訴訟法の勉強が面白くなってきた人は注意が必要です。

先程もお話したとおり,民事訴訟法は学者の先生の議論の対立が激しいため,様々な学説の勉強が楽しくなってしまい,様々な基本書を読み比べたりして必要以上に民事訴訟法に勉強時間を費やしてしまう受験生がいます。

しかし,民事系科目では,民法と商法という,他により勉強時間が必要な科目があるので,司法試験に合格するという観点からは,民事訴訟法は基本的な事項を中心に効率的に勉強して,その代わりに民法や商法といった,勉強時間が物を言う科目に労力をさいたほうが,全体的な効率は良いです。



その他,民事訴訟法の勉強をする上で2点ほど注意していただきたい点があります。


○基本的な定義は正確に書けるようにしておく

1つは,基本的な定義は正確に書けるようにしておく,ということです。

民事訴訟法の論文式試験では,処分権主義,弁論主義,弁論主義の第一テーゼから第三テーゼといった法律用語の定義(意味)を正確に書けるようにしておく必要があります。

民事訴訟法の論文式試験で定義を正確に書けないと,それだけで不合格になってしまっても文句は言えないくらいのダメージを受ける可能性が高いです。

そのため,民事訴訟法の勉強では,基本的な定義を正確に書けるように準備しておく必要があります。

もっとも,あれもこれもと定義を覚えていてはいくら時間があっても足りませんので,覚える定義は「論文式試験を解くために必要は範囲」で十分です。

予備校本の巻末に定義集が載っていたりしますので,それを中心に覚えていっても良いと思いますし,論文式試験の問題を解いてみて「この定義を覚えていないと問題が解けない」と思った定義をノートやパソコンでまとめたりして覚えていく,という方法でも良いと思います。

私は「C-Book 民事訴訟法II」の巻末にある定義集をトイレの壁に貼って,少しずつ覚えるようにしていました。

最初のうちは完全に覚えられなくても,何度も見ているうちに覚えられるようになるはずです。


●ISBN-10: 4844956108



○『民事訴訟法の4段階構造』をきちんと頭に入れる

民事訴訟法の勉強をする上での注意事項2点目は,「勉強がある程度進んできたら,『民事訴訟法の4段階構造』をきちんと頭に入れる」ということです。

司法試験の受験生の中には試験本番で「弁論主義の問題なのに,処分権主義について論じてしまった」とか,「自由心証主義の問題なのに,弁論主義について論じてしまった」とか,「何を聞かれているのか分からず白紙答案になってしまったが,弁論主義を論じるのが正解だった」という,大きなミスをして不合格になってしまう受験生がいます。

このようなミスをする原因の1つは勉強不足ですが,もう1つの原因として『民事訴訟法の4段階構造』をきちんと理解していない場合があります。


『民事訴訟法の4段階構造』とは,民事訴訟法のシステムを「1 訴訟物レベル」「2 法律上の主張レベル」「3 事実上の主張レベル」「4 立証レベル」の4つに分けるというものです。

たとえば,「1 訴訟物レベル」では処分権主義が問題になりますし,「3 事実上の主張レベル」では弁論主義の第一テーゼと第二テーゼが問題になり,「4 立証レベル」では弁論主義の第三テーゼが問題になります。

また,「3 事実上の主張レベル」と「4 立証レベル」を繋ぐシステムとして自由心証主義や経験則の問題があります。

民事訴訟法の勉強が進んでくると,処分権主義や弁論主義など,ちょっと似てるけど全然違う論点が出てきて,混乱してしまいがちです。

しかし,この『民事訴訟法の4段階構造』を頭に入れておけば,「この問題は「1 訴訟物レベル」の話だから,処分権主義が問題になりそうだな」とか,試験で何を書けば良いのかが分かるようになります。


個人的にはこの『民事訴訟法の4段階構造』はもの凄く大事だと思いますし,私の通っていた大学の教授も大事だと言っていたのですが,残念ながらこの『民事訴訟法の4段階構造』を詳しく説明していない教科書もあります。

個人的に『民事訴訟法の4段階構造』の説明で一番分かりやすかったのは「C-Book 民事訴訟法I」の「序論」「1 民事訴訟手続の流れ」「三 「民事訴訟の構造」から見た手続の流れ」の説明です。

●ISBN-10: 4844956094



ある程度勉強が進んだら,基本書や予備校本の『民事訴訟法の4段階構造』の箇所を読んでみて,頭にしっかりと焼き付けておくことをお勧めします。


前置きがだいぶ長くなりましたが,続いて民事訴訟法でお勧めの基本書等についてお話をしたいと思います。


■民事訴訟法の入門書を読もう


民事訴訟法の入門書としては,他の科目と同様「伊藤真の民事訴訟法入門」をおすすめします。

●ISBN-10: 4535521646


個人的には,民事訴訟法に関してはこの「伊藤真の民事訴訟法入門」に,司法試験の論文式試験の合格に最低限必要な知識の半分くらいは書かれているんじゃないかと思っています。

そのくらい基本的な事項がコンパクトにまとまっています。


学者の先生が書いた入門書としては「民事裁判入門」が比較的有名です。


●民事裁判入門 第3版補訂版
ISBN-10: 4641136238

「民事裁判入門」は,民事訴訟法の幹の部分に絞ってコンパクトな説明がなされた良書ですが,初心者にとってはちょっと難しいと思います。







■民事訴訟法の論文問題集を読もう


他の科目と同様に,民事訴訟法も初期の段階から論文問題集を読むことをおすすめします。

先程も申し上げたとおり,民事訴訟法の基本書は激しい学説の対立などの説明も多く,初心者が最初から基本書を読むと「司法試験の合格に必要のない部分」も読むことになり,効率が悪いです。

「司法試験の合格に最低限必要な知識」は,司法試験の論文問題集の参考答案に書いてありますがら,入門書を読んだら,論文問題集を読むことをおすすめします。

そして読む論文問題集としては「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめします。

個人的には「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」のには,司法試験の民事訴訟法で合格点をとるのに必要な知識の9割以上が含まれていると思っています。


●ISBN-10: 4335303572

●ISBN-10: 4335303629

受験生の答案を見ていると,この「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」のAランク(最重要ランク)レベルの論証すらまともに書けていないという人が少なくありません。



最初から全てを理解しようとする必要はありませんので,まずはAランクの問題と答えを何度か読み,分からないところについて基本書などを読んで理解を深め,参考答案と同じような答案を書けるように訓練をしていきましょう。

運が良ければ,

(ア)「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」のAランクの問題について,理解をした上で参考答案と同じような答案を書けるようにする

(イ)司法試験の過去問5年分くらいをやる

(ウ)答練と直前模試を受けてきちんと復習をする

というだけで,民事訴訟法については司法試験で合格レベルの答案を書ける可能性があります。


ただ,年度によってはBランク,Cランクレベルの問題が出題される可能性もありますので,できるだけBランク,Cランクレベルの問題もマスターできるようにしておいたほうが良いと思います。



なお,法科大学院に入学すると,「ロースクール民事訴訟法」等の問題集(?)を購入するように指示され,L2(未修者の2年目,既修者の1年目)から,この「ロースクール民事訴訟法」等を中心に授業が進められていくことが多いと思います。

★ISBN-10: 4641138109

「ロースクール民事訴訟法」は非常にレベルの高い本ですが,この本のレベルに付いていけない受験生も多いです。

私も「ロースクール民事訴訟法」を指定されていましたが,分からないところが沢山ありましたし,今になって考えると,司法試験に合格するという観点からは「ロースクール民事訴訟法」は必ずしも必要ではなかったと思っています。

「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」の問題すらまともに理解できていない状況で,「ロースクール民事訴訟法」を正面から取り組んだとしても,消化不良になってしまい,あまり効率は良くないと思います。

法科大学院で単位を取るためには「ロースクール民事訴訟法」等もやらざるを得ないのですが,同級生と協力し合って授業の準備をしたり,先輩からノートをもらう等して,効率的に単位を取るようにしたほうが良いと思います。




■おすすめの民事訴訟法の基本書と予備校本



私は受験生時代に民事訴訟法の基本書について何を使うか散々迷いました。

そして,最終的にメインで使っていたのが「民事訴訟法講義案」です。

●ISBN-10: 4906929486


民事訴訟法の勉強でつまずく理由の多くが「学説の対立が激しくて,どの説を使えば良いのか分からない。混乱する。」というものです。

しかし,この「民事訴訟法講義案」は裁判所の研修教材なので,一貫して「実際に実務で使われている説」で説明がなされています。

そのため,「学説の対立で悩んで時間が足りなくなる」という悩みが無くなります。

「学説の対立で悩んで分からなくなってしまった」という時に,この「民事訴訟法講義案」を読むとスッキリ解決することが多いので,手元に置いておくと便利です。

実務に入ってからも,この本が必要ですし。



ただ,この基本書にも欠点が2つあります。

1つは,「実際に実務で使われている説」に基づいて説明をされているので,実務で使われていない「争点効」については詳しい記述がありません。

もっとも,争点効については「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」をやれば答案は書けるようになるので,この点は大きな問題でありません。


2つめの問題は「研修用教材なので,読んでいてつまらない」ということです。

辞書的に使うのであれば,つまらなくても問題ないのですが,基本書を通読するタイプの人にとっては,淡々とした説明が続くのは結構キツイと思います。



そこで,学者の先生が書いた基本書もいくつか紹介したいと思います。

もし私が今受験生だったら買うだろう,という基本書が高橋宏志先生の「民事訴訟法概論」です。

●ISBN-10: 464113734X

高橋宏志先生は,後述の「重点講義民事訴訟法」などを執筆されている超有名な先生なのですが,高橋宏志先生の説明は一見難しいようで分かりやすいです。

特に勉強が進んでくると,高橋宏志先生の説明に助けられることが多いと思います。



私が受験生の時には「民事訴訟法講義案」の他に,高橋宏志先生の「重点講義民事訴訟法」を買って,「民事訴訟法講義案」を読んでもしっくり来ない時に「重点講義民事訴訟法」を辞書として使うようにしていました。

●ISBN-10: 4641136556

●ISBN-10: 4641136882


この「重点講義民事訴訟法」は痒い所にも手が届く良書で,読み手を学説の荒波に巻き込むこともないすっきりとした説明が好印象で使い勝手が良いのですが,高い(2分冊で合計1万以上),重い(全体で1500頁以上),頁数が多いのに全範囲を網羅している訳ではない,という欠点もありました。

他方,最近出版された高橋宏志先生の「民事訴訟法概論」は,安い(3700円くらい),重くない(400頁ちょっと),全範囲網羅,ということで,受験生だったら間違いなく買っていたと思います。


その他,おすすめの基本書としては,藤田広美先生の「講義 民事訴訟」があります。

藤田広美先生は,裁判官時代に先程ご紹介した「民事訴訟法講義案」を執筆したと言われています。

元裁判官が書いているため,受験生を学説の対立に巻き込むことなく,丁寧に説明をしてくれています。

●ISBN-10: 4130323695




予備校本については,通読用に使うのであれば伊藤塾の「民事訴訟法 伊藤真試験対策講座」が良いと思いますし,辞書的に使うのであればLECの「C-Book 民事訴訟法」が良いと思います。

●ISBN-10: 433530482X

●ISBN-10: 4844956094

●ISBN-10: 4844956108


「民事訴訟法 伊藤真試験対策講座」は何度も通読ができるように工夫がされているので,本を何度も読んで覚えるタイプの受験生とっては便利だと思います。

「伊藤真試験対策講座」(シケタイ)については昔から批判もあるところですが,基本書を使わずにシケタイだけ読んで上位合格している人もいますので,使い方の問題かなと思います。

ただ,辞書的に使うにはシケタイ使い勝手が悪いです。私は「民事訴訟法 伊藤真試験対策講座」を買いましたが,私は通読タイプではなかったので,数十頁を読んで挫折してあとは本棚のオブジェになっていました。


「C-Book 民事訴訟法」は細かい学説の対立が見やすく整理されていて,学説の対立で混乱した時に読むと悩みが解消することが多いと思います。

また,先程お話ししたとおり『民事訴訟法の4段階構造』を理解する上では便利だと思います。








■民事訴訟法の判例集


民事訴訟法の判例集としては,「民事訴訟法判例百選」があれば十分だと思います。

●ISBN-10: 4641115273

判例がある論点については,基本書を読むだけでなく,判例集で事案と判旨を読み解説も読むと理解が深まりますし,基本書を読んで理解ができなかった時に判例集を読むと解決することもあります。

なので,民事訴訟法についても判例集は1冊は持っておいたほうが良いのですが,判例百選は解説を書いている方々に著名な学者が多いだけあって,解説も充実しています。

判例百選のデメリットは字が小さいことですが,裁断・スキャンして電子書籍化することで字が小さいという問題は解決できます。





■論文式試験の過去問の分析


民事訴訟法の分野においても,司法試験の論文式試験の過去問の分析は大事です。

他の科目と同様に,法務省のホームページから論文式試験の過去問をプリントアウトし,過去数年分の論文式試験を実際に時間を計って解いてみると良いです。

民事訴訟法の過去問を実際に解いてみると「こんな難しい問題解ける訳がない」「こんな細かい知識まで聞かれるのか?」と挫折感を覚えるかも知れません。

しかし,心配する必要はありません。

「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」に書かれているレベルの論点をしっかり理解・記憶していれば,平均的な合格者以上の知識はあります。

もし「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」に書かれているレベルの論点をしっかり理解・記憶しているにもかかわらず,過去問が解けなかったという場合には,通常は,知識不足が原因でなく,司法試験の解き方のコツが分かっていないことが原因であることがほとんどです。

民事訴訟法の論文式試験の問題文には「指導担当弁護士と修習生の会話」や「裁判官と修習生の会話」等の形で指示やヒントが与えられることが多く,問題文に記載されている指導担当弁護士・裁判官の指示に従って処理をしていけば,基本的な知識をもとに合格レベルの答案は書けるようになっています。

なので,民事訴訟法の論文式試験対策としては,基本的な知識をもとに,問題文にある指導担当弁護士・裁判官の指示・ヒントに従って,合格レベルの答案を書けるようにする訓練をするということが大事になってきます。

この練習は1人でやるよりも,何人かで時間を計って問題を解き,答案をお互いに見せ合って検討すると,他の受験生のレベルも分かるので,「どの程度のことを書けば合格点に達しそうか」という感覚が掴みやすくなってくると思います。

また,他の科目と同様に,論文式試験の過去問の答案を作ってみた後に,辰已法律研究所の「ぶんせき本」などを使って,優秀答案と自分の答案の何が違うかを比べてみて,なぜ優秀答案と同じような答案が書けなかったのかということを分析してみると,次第に答案を作成するポイントやコツが分かってくると思います。

●ISBN-10: 4864663769



また,何度もお話していることですが,試験が近付いてきたら,できる限り答案練習会(答練)や模擬試験に参加しておいたほうが良いです。

民事訴訟法の論文式試験では,基本的な事項を正確に書くということと,未知(自分の知らない)問題が出た時に,問題文の指示・ヒントに従って決められた時間内に答案を作るという技術が必要になります。

この技術は,基本書を読んだりしているだけでは身につくものではなく,実際に時間を計って何度も論文式試験の問題を解くことで少しずつ身についていきます。

予備校の答案練習会(答練)や模擬試験は,強制的に答案を作成する練習をするのに良い機会ですから,受けておいたほうが良いです。


なお,公法系・刑事系と違って,民事系(民事訴訟法を含む)については予備校の出題予想はあたらないことも多いです。

なので,民事系についてはあまりヤマをはらずに,論文問題集や予備校の答練で広めに対策をしておいたがほうがヤマが外れて慌てるというリスクを減らすことができます。




■短答式試験(民事訴訟法)の勉強方法


司法試験の短答式試験では,民事訴訟法の分野は出題されません。

そのため,予備試験を受験せずに,法科大学院に進学して司法試験を受験する人は,民事訴訟法の分野については短答式試験の勉強をする必要はありません。

他方,予備試験の短答式試験では,民事訴訟法の分野も出題されるので,予備試験の受験を考えている人は,短答式試験対策もしておく必要があります。


これまでお話しているとおり,短答式試験の勉強方法は,較的単純で,短答式試験の過去問集を買ってきて読んだり解いたりしてみて,分からないところがあれば,基本書や予備校本,判例集で調べる,という単純作業の繰り返しだけで,成績が伸びていきます。



短答式試験の過去問集は,個人的にはスクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」が,解説がコンパクトで速くまわせるのでおすすめです。

●ISBN-10: 4905444284

●ISBN-10: 4905444276


詳細な解説があったほうが良いという人には,辰已法律研究所の「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」が良いと思いますが,これを使う場合には時間不足にならないようにスケジュール管理に注意をしたほうが良いです。

●ISBN-10: 4864663858



時間がない人は,「肢別本」が速く回せるのでおすすめです。

肢別本は,1問1答になっていて解説がコンパクトなので早く回せるのがメリットです。


●ISBN-10: 4864664188

肢別本は1問1答式で早く回せますが,本試験と出題形式が違うため,肢の切り方の練習ができないというデメリットもあります。

しかし,民事訴訟法に関しては,肢の切り方でシビアな判断を求められる科目ではありませんから,肢別本で知識を叩き込んだ後に,年度別の問題集で肢の切り方の練習をすれば十分かと思います。




短答式の勉強として,他に「択一六法を何度も読み込む」という方法があります。

私の同級生の中には「伊藤真の条文シリーズ7 民事訴訟法」を何度も読み込むことで,民事訴訟法の短答式試験で常に満点近い点数をとっている人がいました。

●ISBN-10: 4335312644

ただし,この「択一六法を何度も読み込む」という勉強法は,よほど集中力や根性がある人以外にはお勧めできません。

私も同級生の真似をして「伊藤真の条文シリーズ」を読み込んでみようとしたのですが,知識が頭に全然入って来ず,上滑りをしてしまう感じで挫折をしました。

「択一六法を何度も読み込む」という勉強法は,人を選ぶ勉強法ですので,合う人だけ試してもらえればと思います。

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