質問をいただきましたので,私見について回答をさせていただきたいと思います。

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お忙しいところ質問させていただきます。
答練は受けた方がいいのでしょうか?また、予備校によっては予備試験と採点基準が違う答練もあるそうですが、受けるとしたらどのような答練がいいのでしょうか?
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  • ○答練を受けておくメリットについて

私は法科大学院ルートで司法試験に合格したため予備試験の答練は受験していませんので,司法試験の答練を前提としてお話をさせていただきます。

「予備試験と採点基準が違う答練もある」という点については,どの予備校の答練も予備試験(本試験)とは採点基準は違うと思います。

予備試験や司法試験の問題は非常に良く練られているため,予備試験や司法試験の採点基準と答練の採点基準が違うのはある意味仕方ないことです(予算も問題の質のレベルも全く違います。)。

しかし,だからといって答練を受験する意味がないかというとそうではなく,実際に時間を計って見たことのない問題を時間内で仕上げるという能力を身につけるためには答練は優れたツールですし,答練を受けていないと答練を受けている他の受験生に知識的な差を付けられてしまうこともあります。

また人間とは弱い生き物で,答練のように強制的に「時間を計って何も見ずに答案を書く」という機会がないと,答案を書く訓練を疎かにしたまま本番を迎えてしまうことが多く,本番で時間内に答案を仕上げることが出来なかったり,未知の問題でパニックを起こして意味不明な文章を書いてしまったりして,不合格の可能性が高まっていきます。

なので,答練は1クールだけでも良いので受験しておいたほうが良いと思います。

採点基準の感覚(何をどう書けば点に結びつくかという感覚)に関しては答練とは別に過去問の分析をすることで身についていきますし,過去問の分析をしておけば,答練で添削された答案が返却された時に「ここは点が付いているけど原則論を飛ばしてしまったので本番だったら減点されている可能性があるな」「ここは予備校の採点基準だと点が付いていないけど,理屈は通っているし本番だったらもう少し点はもらえるだろう」みたいな感覚が分かって来ると思います。

私の同級生を見ると,答練を受けていない人よりも,答練を受けていた人のほうが,圧倒的に合格率は高かったです(答練を受けていない人は勉強があまり進んでいなかったために受けていなかったからかも知れませんが)。


それから,予備校の答練の質には差はあるものの,それ程大きな違いはありません。

あくまで個人的な感覚ですが,本試験の質が100だとすると,予備校の答練の質はそれぞれ50,45,40・・・という感じで,「どんぐりの背比べ」みたいなイメージです。

また,答練は受験者が多いものを受けたほうが,答練と同じような問題が本試験で出た際に「自分だけ準備していなかったため差を付けられてしまった」というリスクを減らすことが出来ます。

なので,どの予備校の答練を受けるかを決める時には,採点基準だけを気にするのではなく,受験者の数なども考慮して決めたほうが良いと思います。

以上を踏まえると,個人的には辰巳か伊藤塾の答練が無難かな,と思います。

以下詳しくお話します。




私が司法試験の受験生時代に受けていた答練は辰巳法律研究所の答練です。

辰巳法律研究所の答練のメリットは,受験生が多いこと,価格がそれほど高くないこと,解説資料等が充実していることです。


予備校の答練のうち,特に直前期の答練(本試験から半年以内のもの)は,本試験の予想問題的な要素が入ってくるため,他の受験生が受けている答練を受けていないと「他の受験生は入念に準備している問題が本番で出たのに,自分だけ準備していなかったため差を付けられてしまった」という事態になる可能性があります。

また,答練を受ける目的の1つは他の受験生と自分の実力の差を把握して,勉強の方針を立てるという点にありますが(例えば憲法は答練で上位なので勉強時間を少なめにして,民法は答練で下位なので勉強時間を多めにする,といった方針を立てるのに役立ちます。),その場合受験生の数が多い答練のほうが全受験生の中での自分の位置が把握しやすいです。

そのため他の多くの受験生が受けている答練は受けられるのであれば受けておいたほうが良いと思います。

ただ,最近司法試験に合格した司法修習生の話を聞いていると「辰巳ではなく伊藤塾の答練を受けた」という人も結構増えてきたような気がします(私の周りだけかも知れませんが)。

なので,伊藤塾の答練を受けるか,辰巳の答練を受けるか迷った場合には,周りの受験生にもどの答練を受けているかを聞いてみたり,資料を取り寄せて自分にどちらが合いそうか考えた上で決めたほうが良いかも知れません。




私が受験生の時に,私の周りで辰巳法律研究所の次に受験者が多かったのが伊藤塾の答練です。

伊藤塾の答練の特徴としては,問題や解説の質は高いものの,価格が高いという傾向があります。

私がどの答練を受けるか迷った際,伊藤塾の答練を受けている人から問題や解説資料を見せてもらったことがあるのですが,問題も解説も参考答案も相当しっかりしている,という印象でした。

そのため,伊藤塾の答練を受けるか迷ったのですが,辰巳の答練よりも費用が高めで,かつ受験している人が私の周りでは少なかったため,結局私は伊藤塾の答練は受けませんでした。

ただ,先程もお話したとおり最近の司法修習生の話を聞いていると「伊藤塾の答練を受けていた」という人が増えてきたような気がしますので,お金に余裕があって,質の高い答練を受けたいといことであれば伊藤塾の答練もおすすめです。

私の同級生でお金と時間に余裕がある人の中には,辰巳法律研究所と伊藤塾の答練の両方を受験している人もいました。






私の同級生の一部のグループは早稲田セミナーの答練を受けていました。

早稲田セミナーの答練の特徴としては比較的費用が安め,というところでしょうか。

私がどの答練を受けるか迷った際,早稲田セミナーの答練を受けている人から資料を見せてもらいましたが問題や解説の質は中くらい,という印象でした。

早稲田セミナーの答練を受けていた同級生のグループの合格率は良かったので,安めの答練を大量に受けたいという人であれば早稲田セミナーの答練も選択肢に入れて良いと思います。




他に大手の予備校としてはLECがありますが,私の周りでLECの答練を受けていた人がいないためLECの答練についてはよく分かりません。ごめんなさい。

ただ聞いた話では費用は安めらしいですし,旧司法試験時代からの実績があるので,LECの答練を使っても問題はないと思います。

例えば他の予備校の答練にプラスして他の答練も受けてみたいというような場合にはLECの答練も選択肢に入れて良いのではないかと思います。


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