司法試験・予備試験における民法改正への対応について,また質問がありましたので回答したいと思います。
なお,司法試験・予備試験における民法改正への対応については「●司法試験における民法改正への対策について」という記事でも書いていますので,そちらも参考にしてみてください。

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お忙しいところ一つ質問いたします。 
私は2020年以降の司法予備試験ルートを目指しています。その際、改正された民法に関してはどういった対策をとればいいでしょうか。特に、論文の対策についてお聞きしたいです。 
なにとぞよろしくお願いします。
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割り込み失礼します。 
民法の論文ですが、たつみのnewえんしゅう本は債権法改正に対応しているようですが、コンテン堂の立ち読みサンプルを見てもイマイチな感じがします。 
趣旨・規範ハンドブック3民事系民も一応改正に対応していると書いてありますが完全対応ではない様です。 
上手くやるには改正前は前で学んで改正後の書籍が出たらやり直すのが良いのではないでしょうか。 
たつみに聞いたら、改正後の物は脚別本やアプリも来年まででないみたいです。 
又、資格スクエアのアプリは改正後に対応していますからそれをやっています。 
専門家からするとどう対応されるでしょうか?
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「●司法試験における民法改正への対策について」という記事でも書きましたが,私が初学者から対策をするのであれば,以下のとおりの流れで学習をすると思います。

・入門書(民法改正に対応したものが複数出ています)を読む
・論文問題集(民法改正に対応していないものでも仕方ない)で論文で問われる可能性がある論点を把握する。

・民法の改正点をまとめた薄めの本で改正点をチェックする
・民法改正に対応した択一式問題集をやる。 資格スクエアのアプリ でも良いと思います。
・論文式については法改正に対応した論文式問題集が出版されればそれを使う。法改正に対応した論文式問題集で良いものが出てこない場合には,既存の問題集のうち,民法改正で影響を受ける部分について,自分であればどう書くか,という自分なりの答案例を作ってみる。また,答練やハイローヤー・受験新報などの受験雑誌で民法改正対策の特集が組まれた場合には,それを買って民法改正に向けた論文対策をする。
・試験直前期には,論文式試験・択一式試験で改正部分が問われるとすればどの部分か,ということは予備校が分析するので,予備校の出題予想が整理された本(毎年,司法試験の直前期に出版されます。)を買ったり,答練や直前模試の付録を使って,出題が予想される改正部分についてきちんと復習をしておく。


上記のとおり,ある程度勉強が進んできたら,論文式問題集をやる際に,論文式試験問題集で出てきた条文を新旧対照表で引いてみて,改正があれば改正点に関する書籍を読みつつ自分なりの答案例を作ってみると良いと思います。



最近私が入手した民法改正関連の本の中では,東京弁護士会の「事例にみる契約ルールの改正のポイント」という本が分かりやすかったですが,内容が少し実務寄りかも知れません。

最近また民法改正関連の本が増えてきましたので,本屋さんで見比べてみて,自分のレベルに合ったものを買うと良いと思います。

●事例にみる契約ルールの改正のポイント



旧法下の民法がある程度分かっている旧受験生の立場から見ると,民法改正について,論文式試験についてはそれ程心配する必要はないだろう,というのが個人的な意見です。

というのも,論文式試験については,本試験で六法が貸与されますので,きちんと六法を引けば,旧法を前提に間違った答案を書いてしまう,という事態は起こらないはずだからです。


特に今回の債権法改正は(会社法が作られた時とは異なり),新たに論文式試験用に暗記をしなければならない論点が増えた訳ではなく,判例等を条文化した改正が多いため,改正点が良く分かっていない場合でも,六法をきちんと引いて,条文を良く読んで,事例に条文をきちんと当てはめて結論を出すことが出来れば,合格点が取れるケースは多いと思います。

そのため,論文式試験についてはそれ程恐れる必要はないと思います。



むしろ,問題は論文式試験よりも短答式試験のほうです。

短答式試験では六法は貸与されないため,どこが改正点なのか頭に入れておく必要があります。

しかも,短答式試験では論文式試験と異なり,細かい条文についても問われますので,改正点についてはそれなりの準備が必要になってきます。

また,短答式対策については,旧法下の問題を解きすぎると,旧法と改正法を混同してしまう可能性がありますので,出来れば最初から改正法に対応した問題集を使いたいところです。


民法改正に対応した短答式の問題集としては法学検定試験委員会の「債権法改正対応 民法択一問題集」がありますが,初学者向なので,使うのであれば,各予備校が民法改正に対応した問題集を出すまでの「つなぎ」として使うと良いと思います。

●債権法改正対応 民法択一問題集

現時点で他に各予備校から民法改正に対応した書籍は出ていないようなので(もしあればどなたか教えてください。)例年の出版時期を踏まえると,各予備校から民法改正に対応した短答式問題集が出るのは9月~10月頃になってしまうかも知れません。


今回教えていただいた資格スクエアのアプリを使ってみましたが,使い勝手が良いですね。


●資格スクエア


試しに各分野10問くらい解いてみましたが,司法試験合格から数年経った私でも9割以上正解出来たので,問題の内容は基本的なものだと思います。考えれば正解にたどり着けるものも多く,良問だと思います。

問題数は395問+451問=846問と若干少なめですが,初学者にとっては挫折しにくいボリュームで丁度良いのではないでしょうか。

こちらも使う場合には,各予備校が民法改正に対応した問題集を出すまでの「つなぎ」として使うと良いと思います。

私が現在の受験生であれば,民法の短答式対策としては,取りあえず民法については「債権法改正対応 民法択一問題集」や資格スクエアのアプリを使って基本的知識を入れていき,9月~10月頃に各予備校から民法改正に対応した過去問集が出たらそちらに切り替えると思います。


(追記)
現在は東京リーガルマインド (LEC)から「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 民法」という民法改正に対応した問題集が出版されているので,そちらを使うのが良いと思います。

★ISBN-10: 4844923099


この問題集では,過去問の解答・解説を改正後の民法に合わせていますので,来年の司法試験対策として問題無く使えると思います。




前記のとおり,司法試験・予備試験における民法改正への対応については「●司法試験における民法改正への対策について」という記事でも書いていますので,そちらも参考にしてみてください。


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