司法試験の勉強における六法の必要性とおすすめの六法について

コメント欄で質問をいただきましたのでお答えしたいと思います。

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お世話になっています。 
司法試験を目指したばかりですが、六法は必ず持っていなければなりませんか? 
そしたら、宇賀 克也のポケット六法で十分でしょうか。あるいは管理人さんが勧める本はありませんか。
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  • ■六法の必要性について

司法試験の勉強をするのであれば,六法は必ず持っていたほうが良いです。

なぜなら司法試験の論文式試験では六法が貸与されますが,貸与された六法を上手に使いこなすことが出来るか否かが,合否を左右するからです。


六法の中身は短答式試験で問われる内容以外は基本的に覚える必要はありませんが,重要な条文が何処にあるかいうことは頭に入れておく必要があります。

司法試験の論文式試験で問題文を読んだ後に「関係する条文はどこにあるのかな・・・」とイチから全部探していたら時間がいくらあっても足りません。

普段勉強をしている時から条文が出てきたら,六法を引く癖をつけておくと,論文式試験の本番でも,すぐに必要な条文を引けるようになります。


また,基本書や参考書には,条文の番号は記載されているものの,条文の内容までは記載されていないものがほとんどです。(一部,LEC(東京リーガルマインド)の「C-BOOK」という予備校本などには関係する条文が載っていますが,内容を理解するために必要となる条文の全て載っていないこともあります。)

そのため,基本書や参考書の内容を理解するためには,出てきた条文を六法で調べて,条文を読んでみる,という作業が必要になります。

六法で条文をきちんと読まないと,基本書や参考書が条文のどこの部分について説明しているのか分かりません。

したがって,司法試験の勉強をするためには,六法は必要です。



なお,最近ではパソコンやiPadなどでも法律の条文を見ることが出来ますし,私も弁護士の仕事をするときは,もっぱらパソコンで条文を確認することが多いです。

そのため「紙ベースの六法は必要ないんじゃないか」と思う人もいると思いますが,先程お話したとおり,司法試験や予備試験の本番で貸与されるのは紙ベースの六法ですので,普段から紙ベースの六法を使って使い慣れておいたほうが良いと思います。

紙ベースの六法は使いこなせば,非常に速く条文を探すことが出来ます。(私も打ち合わせ中など,速く条文を探したい時は,パソコンではなく,紙ベースの六法を使うことが今でもあります。)


  • ■おすすめの六法


  • ●デイリー六法・ポケット六法

六法は安くてコンパクトなものが良ければ「ポケット六法」でも問題ありません。

私も受験生の頃は主に「ポケット六法」を使っていました。

ただし,今から司法試験の勉強をするのであれれば,どちらかというと「ポケット六法」よりも「デイリー六法」のほうをおすすめします。

★ISBN-10: 4385159629

★ISBN-10: 4641009198


「デイリー六法」は「ポケット六法」と同じサイズで,価格もほとんど同じです。

なぜ「デイリー六法」をおすすめするかというと,司法試験に合格した後,司法修習を経て最後に「二回試験」という試験を受けなければいけないのですが,「二回試験」を受験する際に使うことが出来るのがこの「デイリー六法」だからです。

将来的も「二回試験」で「デイリー六法」が指定されるか分かりませんが,将来使う可能性が高い六法ですので,早いうちに使い方に慣れておいて損をすることはないと思います。

「デイリー六法」と「ポケット六法」の特徴はコンパクトで持ち運びに便利であり,かつ速く条文を引くことが出来ることです。憲法・民法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法などであれば,慣れてくると数秒で目当ての条文を引くことができますし,使い慣れると最初に開いたページが目当ての条文のあるページだった,ということも出てくると思います。

デメリットは掲載されている法律の数が少なめであることと,判例が載っていないことです。


法律の数が少ないので,行政法の勉強などをしていると,「見たい法律が載っていない」ということも出てくると思います。その時は,パソコンやスマホを持っていれば,ネットで条文を見れば解決出来ます。

また判例が載っていないこともデメリットですが,判例百選や基本書があれば,必ずしも六法に判例が載っていなくてもカバーすることは可能です。






  • ●判例六法

私の同級生の中で一番使っている人が多かったのが有斐閣の「判例六法」です。



★ISBN-10: 4641003394


判例六法は,「デイリー六法」「ポケット六法」と違って条文ごとに重要な判例の結論が掲載されています。

そのため,六法で条文を引いた際,条文の内容を確認出来るだけでなく,条文に関連する判例を調べたり判例の勉強をすることが出来るので便利です。

また「判例六法」に掲載されている判例が「判例百選」に掲載されている判例の場合,「判例六法」には「どの判例百選の何番にこの判例が掲載されているよ」という情報が記載されています。

これはかなり便利で,条文を見てもよく分からなかった場合,「判例六法」で判例の結論を見て,それでも良く分からなかった場合に「判例百選」を見る,という作業がスムーズに進みます。

★ISBN-10: 4641115370



「判例六法」のデメリットは各条文と条文の間に判例が記載されているため,条文を引くのに時間がかかるということです。

たとえば,デイリー六法などであれば,「民法177条」を調べようと思って開いた頁が「民法150条」だったとすると,頁を少しだけめくれば「民法177条」にすぐにたどり着くことが出来ます。

しかし,「判例六法」で「民法177条」を調べようと思って開いた頁が「民法150条」だった場合,判例が多数掲載されていることが仇となって,頁をいくつもめくらないと「民法177条」にたどり着きませんし,判例の山の中に埋もれた条文を探すのも大変です。

そのため,単純に条文だけを調べたいだけの場合には「判例六法」は手間がかかります。

私は「判例六法」を何度か買いましたが,ポケット六法ほどは使いませんでした。


ただ,「判例六法」は判例を簡単に調べられるので手元にあると非常に便利です。




判例六法には「判例六法Professional」という上位バージョンがあります。

★ISBN-10: 4641004196

「判例六法Professional」は無印の「判例六法」と比べて掲載されている法律の数が多いです。

そのため,「Professional」を使っていれば行政法などの勉強をしていても「条文が載っていなくて困った」という場面を少なくすることが出来ます。

裁判官や弁護士でもこの「判例六法Professional」を使っている人が多いです。



「判例六法Professional」のデメリットは,重くて大きいことです。

重さはおそらく2kgくらいはあるでしょう。持ち運ぶのも一苦労です。

2分冊になっていて,1冊ずつ分けて持ち運べるようになっていますが,1冊だけでも結構重いですし,1冊ずつ分けて持ち運ぶと,もう1冊を使いたい時に使えないので不便です。

ロースクールの授業でも,「民事系の授業で間違って公法系の分冊を持ってきてしまって,授業で困った」という人を何回か見かけたことがあります。


「判例六法Professional」にはアプリもあるので,持ち運びが大変だという人はアプリを併用するのも良いと思います。

ただ,常にアプリを使っていると六法を引くのが早くならないので,試験直前には後述の司法試験六法・予備試験六法を使う練習はしておきましょう。




  • ●模範六法

「判例六法Professional」の対抗馬として「模範六法」という六法があります。

★ISBN-10: 4385159718

「模範六法」は判例六法Professionalと同様に掲載されている法律の数が多く,判例も多く掲載されています。

また「模範六法」は判例六法Professionalと異なり1冊にまとめられているので,「もう1冊が無くて困った」ということも起こりません。

「模範六法」のデメリットはやはり大きくて重いことです。

また判例六法と異なり「模範六法」には判例百選に関する情報がないのも受験生にとって不便です。

しかし「模範六法」は見た目が格好良いので,形から入りたいタイプの人には「模範六法」はおすすめです。

「模範六法」は燻し銀(ベテラン)の法律家が使っていることが多いイメージです。






  • ●司法試験用六法・予備試験用六法

★ISBN-10: 4474067290

★ISBN-10: 4474064429


司法試験や予備試験の論文式試験では,前記の六法は使うことは出来ず,「司法試験用六法」「予備試験用六法」という,試験用に用意された特別な六法を貸与されて使うことになります。

この「司法試験用六法」「予備試験用六法」は非常に使いにくいです。

無駄に大きい上に,参考条文の記載などもなく,試験本番で初めてこの「司法試験用六法」「予備試験用六法」を使うと戸惑うと思います。

ですから,試験本番の半年前か,遅くとも数ヶ月前になったら,「司法試験用六法」「予備試験用六法」を買うか,先輩からもらって,論文式の過去問を解く時や,答練や模試を受験する際に実際に使ってみて,慣れておくと良いです。




なお,六法というと「六法全書」をイメージする人もいるかも知れませんが,「六法全書」は価格が高く,大きくて重くて使いづらく,司法試験に不要な法律も多く掲載されているので,少なくとも受験生は買う必要はありません。 

★ISBN-10: 4641104794




以上,六法の必要性とおすすめの六法に関する話でした。


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