2018年06月

2018年06月22日

伊藤塾試験対策問題集 論文 」 と 「 伊藤塾試験対策問題集 予備試験論文 」 の使い分け,及び論文式試験の対策法について質問をいただきましたので,「もし私だったら」という観点でお話したいと思います。

(最近仕事が忙しかったため,遅くなってしまいすみません。)


私が受験生の時には予備試験制度がなく「試験対策問題集 論文」しかなかったため,「試験対策問題集 論文」と「試験対策問題集 予備試験論文」の使い分けについては「今から予備試験を受験するとすれば」という仮定の話になりますが,個人的には比較的時間に余裕がある場合には「試験対策問題集 論文」,時間があまりない場合には「試験対策問題集 予備試験論文」を使うと思います。


具体的には,おおまかに以下のような順番で勉強を進めると思います。

( 「 試験対策問題集 予備試験論文 」 と 「 試験対策問題集 論文 」は名前が紛らわしいので,以下「試験対策問題集 論文」については「試験対策問題集 司法試験論文」とします。)


【時間的に比較的余裕がある場合(2年後以降の受験を考えている場合)】

(1) 「 試験対策問題集 司法試験論文 」のAランク問題を読み,写経したり音読したりして参考答案と同じような答案を書けるように訓練する。

(2)「試験対策問題集 司法試験論文」のBランクとCランクの問題を何回か読む。余裕があれば,参考答案と同じような答案を書けるように訓練する。

(3)法律実務基礎科目対策として, 「伊藤塾試験対策問題集 予備試験論文」 の 「 刑事実務基礎 」と 「 民事実務基礎 」を何回か読む。

(4)少なくとも過去5年分程度の予備試験の論文式試験の過去問を実際に解いて答案を作成し,辰巳法律研究所の 「 司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本 」を読んで,自分の書いた答案の良い箇所,ダメな箇所をピックアップする作業を繰り返す。(この時に「試験対策問題集 予備試験論文」を持っていれば,「試験対策問題集 予備試験論文」の過去問の答案も参考にする。)

(5)(4)と平行して,予備校の答練を受け,復習をする。

(6)時間的に余裕があれば,司法試験の過去問にも目を通しておく。

(7)さらに時間的に余裕があれば,「試験対策問題集 予備試験論文」の問題をやる(おそらくここまで時間がある人はいないと思いますが。)。



【時間的に余裕がない場合(1年後の受験を考えている場合)】

(1) 「 試験対策問題集 予備試験論文 」を何回か読む。

(2)法律実務基礎科目対策として, 「 伊藤塾試験対策問題集 予備試験論文」の 「 刑事実務基礎 」 と「 民事実務基礎 」を何回か読む。

(3)少なくとも過去5年分程度の予備試験の論文式試験の過去問を実際に解いて答案を作成し(最初はまともな答案が書けなくても気にしない),辰巳法律研究所の 「 司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本 」を読んで,自分の書いた答案の良い箇所,ダメな箇所をピックアップする作業を繰り返す。(この時に「試験対策問題集 予備試験論文」の過去問の答案も参考にする。)

(4)(3)と平行して,予備校の答練を受けて,復習をする。

(5)知識の穴は短答式試験対策で埋めるつもりで,短答式試験の勉強を真面目にやる。

(6)民法,刑法,民事訴訟法,刑事訴訟法について論文プロパーの基本的な知識に不安を感じたら,伊藤塾の 「 伊藤真新ステップアップシリーズ 」 を読んで知識に穴や不十分な点がないか確認し,穴等があれば補充する。



「試験対策問題集 司法試験論文」は司法試験のために作られた問題集であり,問題数も比較的充実していますので,主要論点のほとんどが網羅されています。

予備試験受験生も,最終的には司法試験に合格することを目標にしますから,時間的に余裕があるのであれば最初から「試験対策問題集 司法試験論文」を使ったほうが,司法試験合格までのトータルで見た場合の効率は良いと思います。



他方,「試験対策問題集 予備試験論文」は,問題数が少なめでコンパクトであることと,予備試験の形式に特化した問題や予備試験の過去問が掲載されている点が特徴です。

そのため,時間的に余裕がない切羽詰まった予備試験受験生にとっては,「試験対策問題集 司法試験論文」ではなく「試験対策問題集 予備試験論文」を使いつつ,知識の穴を短答式試験対策や予備校の答練で埋めていくという方法のほうが時間切れを起こすリスクが少ないと思います。

ただ,この場合には予備試験に合格した後に演習不足を補うために別途「試験対策問題集 司法試験論文」をこなすか,司法試験予備校の答練を複数受験する等の工夫が必要になると思います。




なお,私の同級生を見ると,「もともと勉強は出来る人ではないけど,あっさりと論文式試験に合格した」グループと,「法科大学院の成績がトップクラスで周りから優秀と言われているにもかかわらず,何故か論文式試験に落ちてしまう」グループがありました。

「もともと勉強は出来る人ではないけど,あっさりと論文式試験に合格した」グループは,論文式試験の問題集,予備校の論文答練,論文式試験の過去問を勉強の軸にしている人が多かったです。

他方,「周りから優秀と言われているにもかかわらず,論文式試験に落ちてしまう」グループは,論文式試験の問題集,予備校の論文答練,論文式試験の過去問を勉強をおそろかにしている人が多かったです。

司法試験や予備試験の論文式試験は,最低限の知識は必要ですが,短答式試験にそこそこ点数で合格するくらいの知識と,論文プロパーと呼ばれる論文式試験に良くでる基本的な知識(論文式の問題集,答練,論文過去問で良く問われる知識)があれば,後は論文式試験の考え方や,解き方をマスターしていくことで,合格点を取ることが出来るようになっています。

スポーツの本を読んでも,それだけではなかなか上手くならないけれども,実際にスポーツをやっているとスポーツが上手くなっていくのと同じような感じです。

ですから,短期合格を目指す方は,多くの問題に触れて,論文式試験の考え方,解き方に慣れるとともに,基本的な論文プロパーの知識を正確に書けるように訓練しておくと,合格に近づけると思います。


■追記


●法科大学院の入学試験勉強に使う問題集等について

法科大学院の入試にあたり,「 試験対策問題集 予備試験論文」 と「試験対策問題集 司法試験論文」のどちらが良いか等の質問がありましたので,追記します。

法科大学院の入試は,各大学院によって入試問題の形式が異なるため,一概にどのような勉強方法が良いと断定することは難しいです。

私が法科大学院に入学するよりも前のかなり古い話ですが,確か東京大学法科大学院の民法の入試問題で「パンデクテン方式の長所と短所を論ぜよ」というような問題が出題されて話題になったことがあったと記憶しています。

現在ではこのような意外性のあるような問題はあまり出題されないと思いますが,それでも法科大学院によって出題の傾向は異なります。

そのため,受験を希望する法科大学院が決まっているのであれば,その法科大学院のホームページや予備校等で,入試問題の過去問を入手して,どのような問題が出題されているかを確かめる必要があります。


ただ,一般論として法科大学院の入試のレベルは,それほど高くありません。

また,あらゆる法律知識や論点知識をインプットして受験に望むということは不可能ですから,法科大学院の入試に出題されそうな主要知識をメインに勉強して,知らない問題が出たら六法を引きながら現場で考えて対応する,というスタンスをとったほうが,合格の確率は高くなると思います。


以前にも書きましたが,私は,法科大学院の入学試験の際には,民法・憲法・刑法・商法に関しては柴田孝之先生の「論文基礎力養成講座」を,民事訴訟法・刑事訴訟法に関しては「試験対策問題集 司法試験論文」の旧版を,行政法は「伊藤真試験対策講座 」の巻末問題等を使って勉強しました(当時は行政法の問題集がほとんどなかったので)。



●ISBN-10: 4335304900


柴田孝之先生の「論文基礎力養成講座」は今では古くなってしまいましたし,行政法の問題集も充実してきましたので,私が仮に今から知識がほとんどない状態から法科大学院を受験するとすれば「試験対策問題集 司法試験論文」を使って勉強すると思います。


ご質問の「 試験対策問題集 予備試験論文」 と「試験対策問題集 司法試験論文」のどちらが良いかという点に関しても,時間があるのであれば「試験対策問題集 司法試験論文」のほうをお勧めします。

なぜなら「 試験対策問題集 予備試験論文」よりも「試験対策問題集 司法試験論文」のほうが単純に問題数が多く,より網羅性があるため,試験本番で「知らない知識を問われて慌てる」という可能性が低くなるからです。

前記のとおり,「試験対策問題集 予備試験論文」のメリットは,問題数が少なめでコンパクトであることと,予備試験の形式に特化した問題や予備試験の過去問が掲載されている点ですので,時間的に余裕がない切羽詰まった予備試験受験生にとっては,「試験対策問題集 司法試験論文」ではなく「試験対策問題集 予備試験論文」を使いつつ,知識の穴を短答式試験対策や予備校の答練で埋めていくという方法のほうが時間切れを起こすリスクが少ないと思います。

他方,法科大学院を受験する人で,特に短答式試験対策や予備校の答練をそれほど行っていない人のような場合には,「試験対策問題集 予備試験論文」だけでは,法科大学院の入試の出題範囲をカバーできない可能性があります。

したがって,法科大学院の入試対策としても時間的に余裕があるのであれば「試験対策問題集 司法試験論文」を使ったほうが合格できる可能性は高いと思います。


●問題集の出題パターン等について

「司法試験問題集だと学説や問題パターンが古いなどといことも多々あるのでしょうか」という質問についてですが,「試験対策問題集 司法試験論文」も「試験対策問題集 予備試験論文」も解答例のほとんどは基本的に判例・通説に基づいていますので「学説が古い」ということはないと思います。

(判例変更については気をつける必要がありますが,これはどの問題集や基本書でも同じです。)

また,「試験対策問題集 司法試験論文」等の問題のパターンについては,基本的に「第○問」という部分が旧司法試験の出題パターンで,「ケース」という部分が新司法試験の出題パターンで構成されています。

そのため,基本的には「試験対策問題集 司法試験論文」を使ったからと言って,新司法試験の出題パターンに対応できない,という訳では無いと思います。

ただ,効率的な勉強を考えるのであれば,まず「第○問」という旧司法試験型の問題で基本的な知識をインプットし,その後に司法試験・予備試験の過去問の分析や,予備校の答練,あるいは「試験対策問題集 予備試験論文」の「ケース」の部分で新司法試験型の問題形式に慣れていく,という方法をとったほうが効率的だと思います。

というのも,法科大学院の入試では,未だに旧司法試験形式や学部試験形式の出題をしているところもありますし,新司法試験形式の問題は問題文や事案が長いため,何度もぐるぐると問題を解き直して知識を定着させていく,という作業には不向きだからです。

そのため,問題文が短い旧司法試験型の問題を何度も回して基本的な知識や答案の書き方をインプットし,その後に新司法試験形式の問題に取り組んでいく,という方法を取っている人が多いと思いますし,少なくとも私の周りの合格者はそのような人が多かったです。



●憲法の答案の作成方法について


「憲法では三段階審査などの解答の違いもありますが」という点ですが,これは憲法で自由権が問われた場合の答案の書き方のことだと思います。

憲法の自由権の問題では,基本的に以下のような流れで答案を書くことが一般的です。少なくとも私は以下のように答案を書いていました。

ア 問題となっている権利が保障されることを論じる

イ 本件で,どのような理由により,どのような権利・自由が制約・侵害されているかを論じる

ウ 違憲審査基準を決定する要素について具体的に理由を述べた上で,違憲審査基準を立てる

エ 違憲審査基準に事案をあてはめて,事実を評価して,結論を出す


このような答案の書き方に「三段階審査」という名前が付けられたりしていますが,私見としてはこの答案の書き方は基本的に昔から(旧司法試験時代から)用いられていた書き方だと思います。

そのため,「試験対策問題集 司法試験論文」であっても「試験対策問題集 予備試験論文」であっても,基本的に自由権に関する問題では,このような答案の書き方に沿って書かれています。

ただ,これらの問題集のうち「第○問」という部分は,旧司法試験的の出題パターンであるため,答案も旧司法試験の答案のようにコンパクトな内容になっています。

先程お話ししたとおり,個人的には,憲法に関しても,最初にこのコンパクトな旧司法試験の出題パターンをある程度かこなして,基本的な知識や答案の書き方をインプットしてから,新司法試験型の問題形式の練習に移ったほうが効率的だと思います。

というのも,やはり,いきなり長文の新司法試験型の問題を解こうとしても,(ア)そもそもどのような人権があるのかとか,(イ)権利がどのような形で制約されるのかとか,(ウ)違憲審査基準にどのようなものがあるのか,違憲審査基準を決める要素としてどのようなものがあるのか,といったことが分からないからです。

そのため,「試験対策問題集 司法試験論文」や「試験対策問題集 予備試験論文」を使ったからと言って,三段階審査の答案が書けなくなる,ということはないと思います。



●勉強の範囲について

先程「受験を希望する法科大学院が決まっているのであれば,その法科大学院のホームページや予備校等で,入試問題の過去問を入手して,どのような問題が出題されているかを確かめる必要がある」というお話をしましたが,法科大学院によっては,出題される範囲がほぼ決まっている場合があります。

たとえば憲法であれば主に人権から出題されるけれども統治からはほとんど出題されないとか,商法であれば会社法の範囲からしか出題されていないとか,法科大学院によっては傾向が決まっている場合がありますので,無駄な勉強をしないよう勉強の範囲には気をつけてください。



●法科大学院の入学試験で自分の知らない問題が出た場合

若干余談ですが,おそらくどのような勉強方法をとったとしても,法科大学院の入学試験で,自分が知らない知識や,あまり勉強して来なかった知識に関する問題が出る可能性はあります。

ただ,「試験対策問題集 司法試験論文」に載っていないような論点に関する問題が出題された場合には,他の受験生もあまり知らない問題である可能性が高いので,落ち着いて対応しましょう。

私は,法科大学院の入試の際に,会社法と行政法で自分がほとんど勉強してこなかった条文に関する問題が出たのですが(単純に勉強不足です),六法を引いて条文を丁寧に引用して,要件を立てて,丁寧に事実をあてはめて答案を書いたところ,無事に合格しました。

当時,法科大学院の入試倍率は5倍以上で,受験生も旧司法試験の択一試験に合格したことのあるような猛者も多かったのですが,それでも合格出来たので,知らない問題が出てきた時には,落ち着いて対応できるかが合否を分けるのだと思います。

ですから,本番で知らない問題が出てきても,諦めないようにしてください。


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