司法試験

2019年11月28日


質問をいただきましたので,回答したいと思います。

返事がかなり遅くなり申し訳ありません。

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こんにちわ。はじめまして。質問させていただきたいことがあります。
今となってはイソベンやノキベンという言葉さえ取り上げられることも減ってしまいましたが社会人を経由して30過ぎぐらいに司法試験に受かった場合、どのようなキャリアになるのでしょうか。
例えば地元が東京の人間は地方に居候先を探すか即独立が何割ぐらいでといったような具体的なお話が聞きたいです。
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「社会人を経由して30過ぎぐらいに司法試験に受かった場合」のキャリアは様々ですが,ご質問があった「東京の人間は地方に居候先を探すか即独立が何割ぐらい」という点に関して言えば

・東京で就職を希望している人のほとんど(感覚的に9割以上)は東京に就職をする。

・地方で就職を希望している人の多数(感覚的に7~8割)は地方に就職するが,地方で就職先を見つけられなかった場合は首都圏や大阪近辺で就職先を探して就職する。

・即独(弁護士登録と同時に独立)は,かなり少ない(100人中1人か2人いるかいないかのレベル)。

という感じだと思います。



  • ○東京で就職を希望している人

東京などの首都圏では,弁護士の数が増えていますが,東京の先生の話を聞くと,売り手市場になっているので,弁護士を採用するのが難しくなっているという話を聞きます。

弁護士が増え始めた60期(2006年修習開始組)くらいの弁護士が独立をし始めて,イソベンを募集している事務所が多いからではないか,という噂を聞いたりしますが,数年前に比べると就職氷河期という感じではありません。

そのため,30代であっても社会人経験があって,マナーや常識がある人であれば,東京で就職先を決めることは,現時点ではそれ程難しくないと思います。

ですから,東京で就職を希望している人のほとんど(感覚的に9割以上,自分の周囲に関して言えばほぼ100%)は東京に就職をしているというイメージです。



  • ○地方で就職を希望している人

他方,地方で就職先を探している人の7~8割くらいはそのまま地方で就職をしますが,地方では表だって弁護士を募集している事務所が比較的少ないこともありますし,タイミングによってはその地方で弁護士を募集していないということもありますので,コネがなかったりすると自分が希望した地域で就職先を見つけられないことがあります。

地方で就職先を見つけられなかった人は,東京などの首都圏での就職活動に切り替えて,首都圏の事務所に就職をするというパターンが一般的かと思います。



  • ○即独について

即独に関しては,就職氷河期と言われていた私の世代でもクラスに1人くらいしかいなかったので,年齢にかかわらず,割合は少ないんじゃないかと思います。

うちの弁護士会に来た修習生の中でも「即独をしました」という話は聞いたことがありません(私が知らないだけかも知れませんが。)。

即独はあまりお勧めしませんが,即独をするなら,東京などの首都圏よりも,弁護士の数が比較的少ない地方で,かつ即独に理解のありそうな弁護士会のある場所にしたほうが良いと思います。



  • ○その他のキャリアについて

社会人を経由して30代で司法試験に受かった人のキャリアは様々で, 

・もともと働いていた会社に戻ってインハウスロイヤーとして勤務した

・法テラスの要請事務所を経て法テラスのスタッフ弁護士として働いている

・元々特許関係の事務所で働いていたので戻って弁護士として勤務した

・元々司法書士事務所でアルバイトをしていたので,その司法書士事務所と共同で法律事務所を立ち上げた

という人もいました。



  • ○30代で司法試験に合格することについて

就職先やキャリアに関しては,あまり20代でも30代でも変わらないかと思います。

今は若い修習生が若干増えているような気もしますが,大御所の先生でも「俺も30代でやっと司法試験に合格したんだよな」という人も結構いますし,30代~40代の修習生は珍しくないので,採用する側も年齢だけでなく,その人の経歴,ポテンシャル,人柄のほうを気にすることが多いかと思います。

私の同級生の中でも,就職先がなかなか決まらなかった人はむしろ20代後半くらいの年齢の人が多かったです。

社会人経験のある30代は就職活動も一度経験している人が多いですし,受け答えもしっかりしている人が多いので,意外にあっさりと内定を取ってくる人も多いです。

「30代だから仕事が見つからないかも知れない」という危機感がある人が多いことも,内定の取りやすさに繋がっているのかも知れません。



20代と30代で変わる点があるとすれば

・四大事務所やそれに準じるような大手事務所は若い人材を採用する傾向があるので,30代だと大手事務所への就職が難しい(ただし,前職で特別な経験があれば例外もあるらしいです。)。

・20代から30代前半の弁護士は転職が容易だが(人によっては数年で4~5回事務所を変える人もいます。),30代後半になってくると,比較的転職は若干ハードルが高い。(けど,転職できない訳ではないし,独立をすればいいやという人もいる。)

・裁判官は基本的に若い人が任官するので,30代で司法試験に合格して裁判官を希望するのは難しい。(一度弁護士になってから,弁護士任官すればなれるかも知れません。)

・検察官は30代でも任官する人はいるが,若い人に比べるとハードルは高い。

というあたりでしょうか。



私は20代後半で司法試験の勉強を始めたのですが,なぜ司法試験を選んだかというと,司法試験の世界は,30代で合格しても他の資格に比べてハンデが少ないと思ったからです。


例えば公認会計士の場合,若くないと監査法人の就職は厳しいらしいですし(30代後半,40代での新採用は少ないので目立つらしいです。),公認会計士の友人の話を聞くと,監査法人に就職した後も,基本的にチームで仕事をするため,自分よりも全然若い上司からあれこれと指示をされたり,怒られたりするパターンがあるようです。


医師に関しても,一般的に医学部の高齢受験は大学によっては不利と言われていますし,30代で研修医になった友人の話を聞くと,やはり上下関係が厳しい世界であるため,年下の先輩から,あれこれと怒られたりするのが辛いと言っていました(医者になったのに,あまり嬉しくなさそう)。



他方,弁護士に関しては,司法修習中は指導教官(弁護士,裁判官,検察官)が年下というパターンはありますが,司法修習は監査法人や研修医に比べるとかなり緩いと思います。

こんなことを言ったら怒られるかも知れませんが,年齢関係なくあまり真面目に勉強をしていない修習生はあたり前にいるので,年下の先輩に怒られたり,怒鳴られたりするというパターンはかなり少ないと思います。むしろ,社会人経験があると,丁寧な接し方をされることが多いと思います。

私が弁護士になった後も,30代~50代の修習生が弁護士会にやってきますが,当たり前のことなので全く気になりません。

弁護士になった後も,基本的に個人で仕事をすることが多いので,年齢による上下関係を気にすることは,あまりありません。

弁護士の世界では相手方の先生が年上だから訴訟や交渉で気を遣うなんてことはあり得ないですし,年齢関係なく,主張したいことは主張できる世界だと思います。


なので,私は20代後半で転職を考えた時に司法試験を受けることにしたのですが,年齢を考えると結果的に正解だったなと思っています。




以上,あまり回答になっていないかもしれませんが,「絶対に四大事務所レベルの事務所への就職したい」とか,「裁判官になること以外は考えられない」などの特別な事情がないのであれば,年齢によって進路にそれほどの大きな違いはないと思います。

あまり年齢を気にせずに司法試験の勉強に専念するのが良いのではないかと思います。



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2019年10月24日


遅くなりましたが,今回は刑事訴訟法の勉強方法とおすすめ基本書や参考書などについてお話をしたいと思います。



■刑事訴訟法の特徴


「刑事訴訟法」は,刑事手続(犯罪の捜査,処分,刑事訴訟の手続など)について定めた法律です。

「刑事訴訟法」と「民事訴訟法」は名前が似ているので,初学者の方は似たような科目だろうと思われるかも知れませんが,両者の性質はかなり違います。

「刑事訴訟法は苦手だけど民事訴訟法は得意」という受験生もいますし,「民事訴訟法は苦手だけど刑事訴訟法は得意」という受験生もいますので,同じ「訴訟法」という名前は付いていますが,得意不得意が分かれやすい科目です。

ただし,司法試験の受験科目の中でも,刑事訴訟法(その他,刑法,憲法)という刑事系科目は,少ない勉強時間で高得点を取れる可能性が高い科目ですので,「短期間」で司法試験に合格したい人にとっては,この刑事訴訟法という科目を素早く仕上げて得意科目に出来れば,あとは勉強時間の必要な民事系さえ守り切れれば意外とあっさりと司法試験に合格することも可能になります。


私も地頭は良くないほうですし,司法試験の勉強時間は少ないほうですが,少ない勉強時間で司法試験に合格出来たのも,刑事訴訟法,刑法,憲法という,比較的短期間で仕上げることが可能な科目で安定して高得点が取れるようになったから,という部分が大きいです。


なぜ,刑事訴訟法は短期間で高得点を取れる可能性があるかというと,それは法律知識だけでなく「事実の評価」という常識論で書くことができる部分に点が多く振られているからです(これは刑法,憲法も共通です)。


たとえば,放火事件が起きた現場で犯人を捕まえるために,ビデオで録画をするという捜査が適法かという問題が出た時に,その捜査にどのくらいの必要性があるのか,ということを論じる必要があります。

そして,たとえば問題文に

「過去に放火事件が起きた現場にも,今回ビデオ録画をする現場にも管理人が常駐していない,誰でも出入りできる,同じような高級車がとめられている」
「現場は住宅密集地で道路も狭い」
「現場は人通りが少ない」
「これまでの犯行時刻はいずれも深夜である」

というような事情が書かれていた場合,

「本件でビデオ録画が行われた現場は,過去に放火事件が起きた現場と同様に管理人が常駐していない,誰でも出入りできる,同じような高級車がとめられているという共通点があり,犯人が当該現場において犯行に及ぶ可能性は高い。また,現場は住宅密集地であり放火事件が発生すれば延焼によって大きな被害が発生する可能性があるだけでなく,当該現場は人通りが少なく,これまでの犯行時刻がいずれも深夜であったことを考慮すると,警察官が現場に張り込んで捜査を行うことは困難である。したがって,本件現場においてビデオ録画の方法を用いて捜査を行う必要性が高い。」

みたいな答案を書くことになります。

上記の答案の箇所は,事実を結論につなげるために「評価」する部分になるのですが,上記の例を見てもらえれば分かるとおり,法律的な知識がなくても書ける部分なので,「名探偵コナン」とか「金田一少年の事件簿」のような推理漫画に出てきそうな発想が役立つ場面です。

そして,この法律的な知識がなくても書ける「評価」の部分は,論文式の問題をこなしたり,過去問を解いて慣れていけば,比較的短期間で高得点を稼げる部分になる部分です。


そのため,刑事訴訟法の論文式試験において短期間で高得点を取れるようになるためには

・基本的な論点知識を正確にインプットする(量はそれほど多くない)

・論文式の問題集や過去問をこなして「事実の評価」に慣れる

ということが大事です。


この点を踏まえた上で,刑事訴訟法の勉強方法とおすすめ基本書や参考書についてお話をしたいと思います。



■刑事訴訟法の入門書を読もう


刑事訴訟法の入門書としては,初学者の方には他の科目と同様「伊藤真の刑事訴訟法入門」をおすすめします。

●ISBN-10: 4535521638 

内容は基本中の基本のみ記載されていますが,コンパクトで分かりやすいので,読むのに挫折するということはまずないはずです。

図書館や喫茶店に2~3時間程籠もれば読み切ることができるでしょう。



他に最近出てきた入門書としては「入門刑事手続法」も良書だと思います。

●ISBN-10: 4641139245

ただし,「入門」という名前が付いてますが,入門書というよりもコンパクトな基本書に近いです。

「伊藤真の刑事訴訟法入門」と同じ感覚で読み進めようとすると結構しんどいと思いますので,初学者の方は無理して読む必要はないと思います。






■刑事訴訟法の論文問題集を読もう


入門書を読んだら早めに刑事訴訟法の論文問題集を読むと良いと思います。



読む論文問題集としては他の科目と同様「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめします。


●ISBN-10: 433530353X

●ISBN-10: 4335303637

「試験対策問題集 司法試験論文」と 「 伊藤塾試験対策問題集 予備試験論文」 の使い分けについては「●論文問題集の使い分けと論文式試験の対策について」を参照してください。

個人的には,「試験対策問題集 司法試験論文」のほうをおすすめします。

論文式試験に必要な法律知識としては,「試験対策問題集 司法試験論文」の「ケース」以外の部分をマスターすれば,9割は完成といって過言ではないと思います。

あとは答練などを利用して最新判例を押さえて,過去問をこなせばほぼ完璧でしょう。


実際,司法試験の受験生を見ていると,この「試験対策問題集 司法試験論文」に出ているような基本的な論点を落としている人も沢山います。

司法試験の受験生の刑事訴訟法のレベルはそれ程高くないと思いますので,この「試験対策問題集 司法試験論文」に出ている論点さえしっかり押さえておけば,合格者平均を超える法律知識はインプット出来ると思います。

実際,私も法科大学院に入った1年目の夏休みに,ひたすら刑事訴訟法と刑法の「試験対策問題集 司法試験論文」を繰り返したのですが,刑事訴訟法と刑法の成績が一気に上がり,刑事訴訟法に関しては学年1位になりました。

もちろん成績があがったのは法科大学院の授業の復習をやったからという面もありますが,基本的な論文式試験の答案を書けるようになったことで,一気に実力が付いたことを実感できました。


周りの受験生を見ていると「試験対策問題集司法試験論文よりも遙かに問題数の多い(100問以上)問題集をこなしている」という人もいるのですが,そういった人がきちんと基本問題の答案を書けるようなっているかというと,そういう訳でもありません。

普通の人間は,100問以上の答案の書き方を覚えるなんてなかなか出来ません。

せいぜい,1科目30問~50問程度が限度でしょう。

「試験対策問題集 司法試験論文」の問題は「ケース」を除くと約50問,Aランクの問題に絞ると30問程度ですので,答案の書き方を覚えるという点ではちょうど良い量だと思います。

「試験対策問題集 司法試験論文」の問題と参考答案を何度か読んだら,実際に自分で書いてみると良いです。

最初のうちは思うように書けないと思いますが,繰り返すうちに参考答案と似たような答案が書けるようになってくるはずです。

最終的に「規範」や「定義」の部分については,正確に書けるようにしましょう。




論文式試験の問題集としては他にも色々ありますが,個人的には「試験対策問題集 司法試験論文」の基本問題(ケース以外の部分)をやって,後述の答練,過去問をやれば問題演習としては十分だと思います。




■おすすめの刑事訴訟法の基本書と予備校本


刑事訴訟法の基本書は良書が多いです。

私が受験生時代にメインで使っていたのが有斐閣アルマの「刑事訴訟法」です。

最初にお話したとおり,司法試験・予備試験の刑事訴訟法の論文式試験で要求される法律的知識はそれほど多くはないので,コンパクトな基本書を使ったほうが勉強に無駄が生じにくく,効率的だと思います。

内容も実務寄りで,司法試験の基本書として使いづらいということもありません。

●ISBN-10: 4641220506

ただ,この本は私が受験生の時にある事件がきっかけで,一時出版停止になってしまったことがあり,それ以来ちょっと人気がないです。



「アルマはちょっと使いたくない」という人は,最近の基本書の中ではLEGAL QUESTの「刑事訴訟法」が比較的使いやすいと思います。

個人的にはもうちょっとコンパクトなほうが好みですが,数ある刑事訴訟法の基本書の中では,このLEGAL QUESTの「刑事訴訟法」はコンパクトなほうで,読みやすいと思います。

●ISBN-10: 4641179336



最近の受験生の中には酒巻匡先生の「刑事訴訟法」という基本書を使っている人も少なくないと思います。

●ISBN-10: 4641139067

酒巻匡先生は以前に法学教室で「刑事手続法を学ぶ」という連載を担当されていて,その連載をもとに作られたと言われているのがこの「刑事訴訟法」という基本書です。

法科大学院の授業でも酒巻匡先生の文献が参考資料として指定されることが多く,受験生の間では神様みたいな存在なのですが,酒巻匡先生の「刑事訴訟法」は司法試験に合格するという観点から言えば,オーバースペックかなと思います。

ただ,刑事訴訟法の問題を解いたり,他の基本書を読んでいて,分からないことやスッキリしないことがあった場合に,酒巻匡先生の本を調べると鋭い切れ味の解説があることも多いので,ある程度勉強が進んできた後に辞書として使う分には理解が深り,知識の定着にも役立って良いと思います。




その他,基本書ではないのですが,手元にあると便利なのが「条解刑事訴訟法」です。

●ISBN-10: 4335356544

1300頁を超え価格も約2万円とまさに「条解」の名にふさわしいモンスターですが,私は司法修習以降,弁護士になった今でもこの「条解刑事訴訟法」をメインで使っています。

何が便利かというと,分からないことを調ると大抵答え書いてあるということ,そして内容が実務向けなので学説の対立に振り回され時間を費やすことがない,という点です。

この本は「辞書」なので,間違っても司法試験のためにこの本を最初から最後まで通読するということはやってはいけませんが,手元にあると便利です。

高い本なので無理して買う必要はないと思います。大学の図書館に1冊はあると思うので,司法試験に合格するまでは,調べたいことがあった時に図書館で使う,でも良いと思います。

司法修習生になると買う人が多いです。合格祝いに刑法と刑事訴訟法の「条解」を買ってもらうという人も。





予備校本については,通読用に使うのであれば伊藤塾の「刑事訴訟法 伊藤真試験対策講座」が良いと思いますし,辞書的に使うのであればLECの「C-Book 刑事訴訟法」が良いと思います。

●ISBN-10: 4335304919

●ISBN-10: 4844966057

●ISBN-10: 4844966065


私の同級生が基本書を一切読まずに「伊藤真試験対策講座」を使って司法試験に2桁で合格しているので,「伊藤真試験対策講座」を使って失敗するということはないと思います。

説明が丁寧な分,勉強が進んでくると,丁寧な説明が冗長に感じてしまうこともあるかも知れませんが,ポイントにマーカーを引くなど工夫することで,高速で何度も回せるようになるようです。



「C-Book」は私は2冊とも買って辞書として使っていました。

「C-Book」は学説や判例が整理されていて分かりやすいのですが,量が多いので通読をしようとすると時間不足になる可能性があるので注意してください。









■刑事訴訟法の判例集


刑事訴訟法の判例集は様々なものが出版されていますが,「刑事訴訟法判例百選」1冊で十分だと思います。

●ISBN-10: 464111532X

私も刑事訴訟法の判例集を何冊か買いましたが,最終的に使っていたのは「刑事訴訟法判例百選」です。

問題を解いたり,基本書を読んでいて,分からないことが出てきた時や,判例の詳しい事案を把握したい時などに使っていました。

通読すべきかという点については賛否両論あると思いますが,個人的には通読をする必要はないと思います。

判例百選のデメリットは字が小さいことですが,他の科目と同様に裁断・スキャンして電子書籍化することで字が小さいという問題は解決できます。

電子書籍化の方法は「●司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」という記事に書いてますので,そちらを参考にしてみてください。



■論文式試験の過去問の分析


刑事訴訟法は特に,司法試験(予備試験)の論文式試験の過去問の分析は大事です。

最初にお話したとおり,刑事訴訟法は「事実の評価」の部分に点が多く振られています。

「事実の評価」は法律的な知識が無くても書ける部分ですが,慣れていないと,どのように「評価」すれば良いのかさっぱり分かりません。

私も初学者の頃「事実を評価しろって言うけど,評価って何だよ?」って思っていましたし,とても悩みました。

しかし,事実をどう「評価」すれば良いのかは,過去の司法試験(予備試験)の論文式試験の優秀答案を見れば一目瞭然です。

実際に司法試験(予備試験)の論文式試験の過去問を解き,辰已法律研究所の「ぶんせき本」の優秀答案や予備校のコメントを読んだ上で,優秀答案の答案の書き方を真似してみましょう。


「評価」の仕方について,1人で悩むよりも,優秀答案を読んだり,書き方を真似をした上達するスピードは速いです。



なお,本試験形式の問題において,問題文にある重要な事実を答案で書かない受験生がいます。

事実に気づいていないか,事実に気づいていたものの答案に書きそびれてしまったかだと思いますが,問題文にある重要な事実は答案できちんと指摘して評価をしないと,点が伸びません。


例えば,事実を漏らさないようにする方法ですが,問題文を読む時に

必要性に関係がありそうな事実 ⇒ 赤の蛍光ペンを引く

緊急性に関係がありそうな事実 ⇒ オレンジの蛍光ペンを引く

相当性に関係がありそうな事実 ⇒ 緑の蛍光ペンを引く

というようにルールを決めて蛍光ペンを引いておき,答案を作成する時に,必要性について論じる時には赤の蛍光ペンが引かれている事実を書き写した上で評価する,というようにしておくと事実の書き漏らしが格段に減ると思います。


このように司法試験(予備試験)の論文式試験の過去問を解く時には,自分の中でルールを作ってみて,それを試してみる,ということも大事です。


■答練・直前模試を受けよう


遅くとも本試験の5ヶ月くらい前には予備校の答練を受けるべきです。

刑事訴訟法は特に新しい判例が次々と出ますが,本試験で最新判例を意識した出題がなされることが良くあります。

私が受験した年も最新判例を意識したと思われる出題がなされたのですが,予備校の答練で同じような問題が出題されており,直前模試の付録でも「この最新判例出題されるかも」としつこく注意をしてくれたため,本番は万全な体制で臨むことが出来ました。

最新判例に対する対策としては「重要判例解説」を読むという方法もあるのですが,判例集を読んでいるだけでは答案は書けるようにはなりません。

●ISBN-10: 4641115931

実際に最新判例を題材とした問題を解き,優秀答案を参考にしたりすることで,高得点の答案を書けるようになります。

特に刑事系に関しては予備校の答練・模試と似た問題が本試験で出題されることも多いので,出来るだけ予備校の答練・模試を受けた上で,きちんと復習をしておきましょう。

どの予備校の答練を受けるか迷った場合には,「●予備校の答練について」という記事を参考にしてください。

個人的には受講生の多い予備校の答練を受けることをおすすめしています。



なお,本番で答練と同じような問題が出た時にには「思い込み」に注意してください。

本試験では「答練と同じように見えるけど,実は違う問題」が出ることがあります。

ヤマが当たったと思った時には一度深呼吸をして,落ち着いて本当に同じ論点で間違いないのかきちんと見極めるようにしましょう。






■短答式試験(刑事訴訟法)の勉強方法


司法試験の短答式試験では,刑事訴訟法の分野は出題されません。

そのため,予備試験を受験せずに,法科大学院に進学して司法試験を受験する人は,刑事訴訟法の分野については短答式試験の勉強をする必要はありません。

他方,予備試験の短答式試験では,刑事訴訟法の分野も出題されるので,予備試験の受験を考えている人は,短答式試験対策もしておく必要があります。


これまでお話しているとおり,短答式試験の勉強方法は,比較的単純で,短答式試験の過去問集を買ってきて読んだり解いたりしてみて,分からないところがあれば,基本書や予備校本,判例集で調べる,という単純作業の繰り返しだけで,成績が伸びていきます。



短答式試験の過去問集は,個人的にはスクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」が,解説がコンパクトで速くまわせるのでおすすめです。

解説も「考えて答えが出せるように」となかなか攻めた内容になっているので,人によっては「頭に残りやすい」と感じる人もいると思いますし,他方で「もう少し客観的な解説が欲しい」と感じる人もいるかも知れません。

●ISBN-10: 4905444284

●ISBN-10: 4905444276




詳細な解説があったほうが良いという人には,辰已法律研究所の「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」が良いと思います。

これを使う場合には時間不足にならないようにスケジュール管理に注意してください。

●ISBN-10: 4864663874



時間がない人は,「肢別本」が速く回せるのでおすすめです。

肢別本は,1問1答になっていて解説がコンパクトなので早く回せるのがメリットです。

気合いと根性がある人は,肢別本が一番効率が良いと思いますが,苦行っぽくなりがちで,私のように意思が弱い人間にとっては挫折しやすいのがデメリットです。


●ISBN-10: 486466420X


その他,短答式の勉強として,他に「択一六法を何度も読み込む」という方法がありますが,刑事訴訟法に関してはおすすめしません。

短答式の問題を解きながら,自分用のノートを作る代わりに択一六法にマーカーを引いていき,直前に見直せるノートとして使う,という方法であれば択一六法を使うにもアリだと思います。

また,択一六法は予備校本をコンパクトにしたような本なので,コンパクトな辞書が欲しいという時には便利だったりします。

●ISBN-10: 4844964712



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2019年09月24日


前回お答えした点について,再度質問がありましたので,改めて私見についてお答えしたいと思います。

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改正民法の過去問の練習はどうやるのが理想ですか?
改正前と後では回答が違いやりようがないと思いませんか?
これからでてくる問題集ではなく、過去の試験問題のことです。
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ご回答ありがとうございます。
質問が悪かったようですが、論文の過去の試験問題を解く時の事でした。
昔のは当然、その時の法制度ですから、今からと解くと答えが違う可能性があると思うのです。
こう言う時はどうしますか。
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えんしゅう本は改正民法に対応しているようです。
しかし、試験にでた過去問は当時の法体系ですから、今では使えない回答もあると思うのです。
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論文式試験の過去問については,民法改正後に論述の仕方等が変わってくるものがあるのはそのとおりだと思います。

しかし,「やりようがない」といこということはありませんし,後述のとおり論文試験の過去問は,知識をインプットするためにやるというよりも,本試験のクセを把握した上で,本試験を解く技術を身につけるために行うためのものなので,やり方さえ気をつければ特に問題はないと思います。


個人的には,今回の民法改正が論文式試験の過去問の演習について与える影響については,それ程心配する必要はない,と思いますので,以下理由を述べています。


  • ●論文式試験では条文をきちんと読むことが大事であること

1つ目の理由ですが,,論文式試験では六法で条文を見ることができますので,論文式試験の過去問の演習をする際に,改正後の民法の条文を使っていれば,「改正点に気づかない」ということはないはずです。
これは本試験でも同様です。

★新しい民法の全条文: 債権法・成年年齢・相続法・特別養子改正



また,論文式試験では,短答式試験と異なり,1回の試験で関係する条文数は少ないですし,論文式試験で問われる可能性の高い条文の数も限られています。

そして,論文式試験の過去問を解いた後に,その問題に関係する条文(1年度あたり10個あるかないかくらいだと思います)について,改正点をまとめた本で改正があるかどうかと,改正がある場合にどのような改正があったかをチェックすれば,良いと思います。

改正点があった条文については,以下のような改正点をまとめた本で改正内容について読んで,本試験で同じ条文が問われた時に対応できるようにしておけば問題ありません。


★一問一答 民法(債権関係)改正 (一問一答シリーズ)

★Before/After 民法改正

したがって,短答式試験の過去問演習とは異なり,論文式試験の過去問演習に関しては,特にそれほど問題はないと思います。



実際,私が受験生の時,新司法試験の過去問の数が限られていたため,旧司法試験の問題を解いていたことがあるのですが,その際にも現在の条文とは処理が異なるものが出てくるということはありました。

しかし,改正後の条文(六法等)を使っていれば,改正点に気づかずにスルーしてしまうということはありませんし,改正後の条文の解説や基本書等を読めば,問題の処理の仕方は分かります。

民法に限らず,他の科目でも法改正や判例変更は毎年のようにありますのが,上記のように対応すれば特に問題はないはずです。

そのため,少なくとも私は論文試験の過去問で問われた条文に改正があったことで,困ってしまった,ということはなかったです。



  • ●今回の民法改正は,過去の判例の解釈や学説を条文化して整理したものが多いこと

今回の民法改正に関して言えば,論文式試験で問われる「論点」という箇所について,大きく考え方が変わったという部分はそれほど多い訳ではなく,過去の判例の解釈や学説を条文化して整理したものが多いです。

(民法の改正点は,先に挙げたような民法改正点に関する本を読むのが良いと思いますが,辰巳法律研究所のウェブページと,法務省民事局の「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」がコンパクトで分かりやすいので,改正点をまだ把握していないという場合には,これらの資料にも目をとおして概略だけでも把握しておくと良いと思います。)


そのため,過去の試験では論点について厚く論述が必要だった部分が,改正後には端的に条文を当てはめて処理すれば足りるという箇所が多くなりますので,論文式試験に関して言えば,問題を解く際にきちんと条文を読んで事案に当てはめるということを意識すれば,それ程苦労することはないと思います。

さらに,民法は短答式試験対策において細かい知識のインプットもすると思いますので,短答式試験の対策をしておけば,短答式試験の勉強で得た知識を論文式試験で活用することができます。


なお,個人的に,今回の民法の改正点のうち,論文式試験対策として特に準備をしておいたほうが良いと思うのは,売買における瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わり,従来の契約責任説ベース的な考え方になった点です。

受験生であれば,法定責任説と契約責任説の双方を勉強していると思いますが,この契約不適合責任になったことで,細かい処理が従来と変わってきますので,短答式試験でも論文式試験でも問われる可能性はあると思いますし,準備をしておかないと本番で出てきた時に慌てる可能性があります。

ですから,契約不適合責任についてはきちんと準備しておいたほうが良いと思いますし,過去問演習でこの論点について準備をすることは出来ません。

ただし,契約不適合責任については予備校の答練や模試をやればおそらく1回は出題されると思いますので,心配であれば,過去問の演習とは別に予備校の答練や模試を受けておけば良いと思います。



  • ●過去問演習は知識をインプットするよりも本試験を解く技術を身につける場として活用すべきであること

それから,基本的に論文式試験の過去問は,知識をインプットするためにやるというよりも,本試験を解くための技術を身につけるために行うものだと私は思っています。

もちろん,論文式試験の過去問を解いていて,知識や理解に漏れがあった場合には徹底的に復習をしておくことは大事です。

しかし,論文式試験の過去問を解く主な目的は,本試験のクセや傾向を把握したり,「自分の知らない未知の問題が出てきてパニックになってしまい答案が書けなかった」というようなことが無いよう,本試験を解くための技術を身につけるために行うというのが第一次的な目的だと思います。

合格レベルの受験生が「論文式試験では,毎年同じことが聞かれている」と言うことがありますが,これは論文式試験では問われる論点は毎年違ったとしても,法改正があったとしても,同じような観点・視点から,似たような理解の仕方が問われることが多いからです。

そのため,仮に改正前の民法による過去問であっても,本試験に必要な技術や考え方を身につけるという目的で過去問演習に取り組む上では,法改正の有無はそれ程気にする必要はないと思います。



以上のとおり,個人的には,今回の民法改正が論文式試験の過去問の演習について与える影響については,それ程心配する必要はない,と思っています。


相談者さんが,「やりようがない」と思っているとすれば,おそらく今回の民法改正の内容をまだ十分に把握していないからではないかとも思いますので,先程紹介した本やウェブページなどでまず民法の改正点を頭の中に(最初は完璧に入れなくてもよいので)整理しておくと良いと思います。


なお,新しい「えんしゅう本」について「試験にでた過去問は当時の法体系ですから、今では使えない回答もあると思うのです」との点ですが,辰巳法律研究所のウェブページには「平成29年民法(債権法)改正,平成30年民法(相続法)改正に対応させました」と書いてありますので,「今では使えない回答」ということはないと思います。

ただし,先程述べたとおり,契約不適合責任の論点のように,従来の判例等と異なる処理が必要となる部分については,過去問だけでは対応できませんので,短答式試験の勉強や,予備校の答練・模試などを通じて準備をしておく必要があると思います。

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Comments(1) |  │   (13:19)

2019年09月12日

質問があったのでお答えしたいと思います。

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改正民法の過去問の練習はどうやるのが理想ですか?
改正前と後では回答が違いやりようがないと思いませんか?
これからでてくる問題集ではなく、過去の試験問題のことです。
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以前は民法改正に対応した短答式の過去問集はなかったのですが,今は東京リーガルマインド (LEC)から「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 民法」という民法改正に対応した問題集が出版されているので,そちらを使うのが良いと思います。

★ISBN-10: 4844923099


この問題集では,過去問の解答・解説を改正後の民法に合わせていますので,来年の司法試験対策として問題無く使えるはずです。

その他,過去問集ではありませんが,民法改正に対応した短答式の問題集として法学検定試験委員会の「債権法改正対応 民法択一問題集」や,資格スクエアのアプリなどがあります。

●債権法改正対応 民法択一問題集


●資格スクエア



「債権法改正対応 民法択一問題集」や資格スクエアのアプリは易しい問題が多いので,初学者向けです。



その他,改正民法対策については,「●司法試験における民法改正への対策について」という記事と,「●司法試験・予備試験における民法改正への対策について(その2)」という記事にも書いていますので,そちらも参考にしてみてください。



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Comments(3) |  │   (14:30)

2019年08月23日

コメント欄で質問をいただきましたのでお答えしたいと思います。

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お世話になっています。 
司法試験を目指したばかりですが、六法は必ず持っていなければなりませんか? 
そしたら、宇賀 克也のポケット六法で十分でしょうか。あるいは管理人さんが勧める本はありませんか。
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  • ■六法の必要性について

司法試験の勉強をするのであれば,六法は必ず持っていたほうが良いです。

なぜなら司法試験の論文式試験では六法が貸与されますが,貸与された六法を上手に使いこなすことが出来るか否かが,合否を左右するからです。


六法の中身は短答式試験で問われる内容以外は基本的に覚える必要はありませんが,重要な条文が何処にあるかいうことは頭に入れておく必要があります。

司法試験の論文式試験で問題文を読んだ後に「関係する条文はどこにあるのかな・・・」とイチから全部探していたら時間がいくらあっても足りません。

普段勉強をしている時から条文が出てきたら,六法を引く癖をつけておくと,論文式試験の本番でも,すぐに必要な条文を引けるようになります。


また,基本書や参考書には,条文の番号は記載されているものの,条文の内容までは記載されていないものがほとんどです。(一部,LEC(東京リーガルマインド)の「C-BOOK」という予備校本などには関係する条文が載っていますが,内容を理解するために必要となる条文の全て載っていないこともあります。)

そのため,基本書や参考書の内容を理解するためには,出てきた条文を六法で調べて,条文を読んでみる,という作業が必要になります。

六法で条文をきちんと読まないと,基本書や参考書が条文のどこの部分について説明しているのか分かりません。

したがって,司法試験の勉強をするためには,六法は必要です。



なお,最近ではパソコンやiPadなどでも法律の条文を見ることが出来ますし,私も弁護士の仕事をするときは,もっぱらパソコンで条文を確認することが多いです。

そのため「紙ベースの六法は必要ないんじゃないか」と思う人もいると思いますが,先程お話したとおり,司法試験や予備試験の本番で貸与されるのは紙ベースの六法ですので,普段から紙ベースの六法を使って使い慣れておいたほうが良いと思います。

紙ベースの六法は使いこなせば,非常に速く条文を探すことが出来ます。(私も打ち合わせ中など,速く条文を探したい時は,パソコンではなく,紙ベースの六法を使うことが今でもあります。)


  • ■おすすめの六法


  • ●デイリー六法・ポケット六法

六法は安くてコンパクトなものが良ければ「ポケット六法」でも問題ありません。

私も受験生の頃は主に「ポケット六法」を使っていました。

ただし,今から司法試験の勉強をするのであれれば,どちらかというと「ポケット六法」よりも「デイリー六法」のほうをおすすめします。

★ISBN-10: 4385159629

★ISBN-10: 4641009198


「デイリー六法」は「ポケット六法」と同じサイズで,価格もほとんど同じです。

なぜ「デイリー六法」をおすすめするかというと,司法試験に合格した後,司法修習を経て最後に「二回試験」という試験を受けなければいけないのですが,「二回試験」を受験する際に使うことが出来るのがこの「デイリー六法」だからです。

将来的も「二回試験」で「デイリー六法」が指定されるか分かりませんが,将来使う可能性が高い六法ですので,早いうちに使い方に慣れておいて損をすることはないと思います。

「デイリー六法」と「ポケット六法」の特徴はコンパクトで持ち運びに便利であり,かつ速く条文を引くことが出来ることです。憲法・民法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法などであれば,慣れてくると数秒で目当ての条文を引くことができますし,使い慣れると最初に開いたページが目当ての条文のあるページだった,ということも出てくると思います。

デメリットは掲載されている法律の数が少なめであることと,判例が載っていないことです。


法律の数が少ないので,行政法の勉強などをしていると,「見たい法律が載っていない」ということも出てくると思います。その時は,パソコンやスマホを持っていれば,ネットで条文を見れば解決出来ます。

また判例が載っていないこともデメリットですが,判例百選や基本書があれば,必ずしも六法に判例が載っていなくてもカバーすることは可能です。






  • ●判例六法

私の同級生の中で一番使っている人が多かったのが有斐閣の「判例六法」です。



★ISBN-10: 4641003394


判例六法は,「デイリー六法」「ポケット六法」と違って条文ごとに重要な判例の結論が掲載されています。

そのため,六法で条文を引いた際,条文の内容を確認出来るだけでなく,条文に関連する判例を調べたり判例の勉強をすることが出来るので便利です。

また「判例六法」に掲載されている判例が「判例百選」に掲載されている判例の場合,「判例六法」には「どの判例百選の何番にこの判例が掲載されているよ」という情報が記載されています。

これはかなり便利で,条文を見てもよく分からなかった場合,「判例六法」で判例の結論を見て,それでも良く分からなかった場合に「判例百選」を見る,という作業がスムーズに進みます。

★ISBN-10: 4641115370



「判例六法」のデメリットは各条文と条文の間に判例が記載されているため,条文を引くのに時間がかかるということです。

たとえば,デイリー六法などであれば,「民法177条」を調べようと思って開いた頁が「民法150条」だったとすると,頁を少しだけめくれば「民法177条」にすぐにたどり着くことが出来ます。

しかし,「判例六法」で「民法177条」を調べようと思って開いた頁が「民法150条」だった場合,判例が多数掲載されていることが仇となって,頁をいくつもめくらないと「民法177条」にたどり着きませんし,判例の山の中に埋もれた条文を探すのも大変です。

そのため,単純に条文だけを調べたいだけの場合には「判例六法」は手間がかかります。

私は「判例六法」を何度か買いましたが,ポケット六法ほどは使いませんでした。


ただ,「判例六法」は判例を簡単に調べられるので手元にあると非常に便利です。




判例六法には「判例六法Professional」という上位バージョンがあります。

★ISBN-10: 4641004196

「判例六法Professional」は無印の「判例六法」と比べて掲載されている法律の数が多いです。

そのため,「Professional」を使っていれば行政法などの勉強をしていても「条文が載っていなくて困った」という場面を少なくすることが出来ます。

裁判官や弁護士でもこの「判例六法Professional」を使っている人が多いです。



「判例六法Professional」のデメリットは,重くて大きいことです。

重さはおそらく2kgくらいはあるでしょう。持ち運ぶのも一苦労です。

2分冊になっていて,1冊ずつ分けて持ち運べるようになっていますが,1冊だけでも結構重いですし,1冊ずつ分けて持ち運ぶと,もう1冊を使いたい時に使えないので不便です。

ロースクールの授業でも,「民事系の授業で間違って公法系の分冊を持ってきてしまって,授業で困った」という人を何回か見かけたことがあります。


「判例六法Professional」にはアプリもあるので,持ち運びが大変だという人はアプリを併用するのも良いと思います。

ただ,常にアプリを使っていると六法を引くのが早くならないので,試験直前には後述の司法試験六法・予備試験六法を使う練習はしておきましょう。




  • ●模範六法

「判例六法Professional」の対抗馬として「模範六法」という六法があります。

★ISBN-10: 4385159718

「模範六法」は判例六法Professionalと同様に掲載されている法律の数が多く,判例も多く掲載されています。

また「模範六法」は判例六法Professionalと異なり1冊にまとめられているので,「もう1冊が無くて困った」ということも起こりません。

「模範六法」のデメリットはやはり大きくて重いことです。

また判例六法と異なり「模範六法」には判例百選に関する情報がないのも受験生にとって不便です。

しかし「模範六法」は見た目が格好良いので,形から入りたいタイプの人には「模範六法」はおすすめです。

「模範六法」は燻し銀(ベテラン)の法律家が使っていることが多いイメージです。






  • ●司法試験用六法・予備試験用六法

★ISBN-10: 4474067290

★ISBN-10: 4474064429


司法試験や予備試験の論文式試験では,前記の六法は使うことは出来ず,「司法試験用六法」「予備試験用六法」という,試験用に用意された特別な六法を貸与されて使うことになります。

この「司法試験用六法」「予備試験用六法」は非常に使いにくいです。

無駄に大きい上に,参考条文の記載などもなく,試験本番で初めてこの「司法試験用六法」「予備試験用六法」を使うと戸惑うと思います。

ですから,試験本番の半年前か,遅くとも数ヶ月前になったら,「司法試験用六法」「予備試験用六法」を買うか,先輩からもらって,論文式の過去問を解く時や,答練や模試を受験する際に実際に使ってみて,慣れておくと良いです。




なお,六法というと「六法全書」をイメージする人もいるかも知れませんが,「六法全書」は価格が高く,大きくて重くて使いづらく,司法試験に不要な法律も多く掲載されているので,少なくとも受験生は買う必要はありません。 

★ISBN-10: 4641104794




以上,六法の必要性とおすすめの六法に関する話でした。


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