司法試験

2019年05月10日

論文式試験問題集の使い方や勉強の進め方について質問をいただきましたので私見についてお答えしたいと思います。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※

私は1年で予備試験合格を目指しているものです。質問が2つありご教授いただけたら幸いです。
まず1つ目、試験対策問題集予備試験論文を読んだり、参考答案を写したりする際に、問題集の中で出てきた問題は解けるようにした方がいいのか、それとも知識のインプットができればいいのかどちらでしょうか?
2つ目に、1年で予備試験、その来年に司法試験があるとするとどのようなスケジュールを立てればいいでしょうか?短答対策はその科目の論文対策が終わった後すぐにやる方がいいのか、それとも年明けからまとめてやる方がいいのか、論文問題集の読み込み・過去問分析・短答対策にどれくらいをかければいいのかなどを迷っています。個人差があることや勉強の進み具合によって変わるのは承知していますが、あくまで理想的なスケジュールということでいいので教えて頂けると嬉しいです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  • ●論文式試験問題集の使い方について

論文式試験問題集を使う場合,重要論点については参考答案と同じような内容の文章を書けるようにしておいたほうが良いです。

というのも,少なくとも重要論点について参考答案と同じような内容の文章をスラスラと書くことが出来ない程度のレベルだと,本試験で合格点を取れない可能性が大きいからです。

「予備論文問題集」に関して言えば問題数が少ないので,全ての問題についてて参考答案と同じような内容の文章を書けるように訓練をしておいたほうが良いと思います。

丸暗記をする必要まではありませんが,参考答案に出てきた「規範」と「定義」は本試験までに正確に書けるようにしておくべきです。暗記に自信がない場合には答練や試験直前の1週間~2週間程度で正確に暗記できるように予め準備をしておくべきです。

私は暗記が苦手だったので,覚える事項をパソコンでまとめたり,電子書籍化した書籍のうち覚える箇所に印を付けておいて,答練の直前と本試験の直前に一気に暗記をするようにしていました。









  • ●勉強のスケジュールについて

今から1年後の予備試験合格を目指すとすれば,時間的に厳しいので私であれば以下のようなスケジュールを組むと思います。

スケジュールはあくまで予定なので,勉強の進み具合によって適宜調整をしていきます。


  • ○論文式試験対策

  • 《今から7月頃まで》

・「試験対策問題集 予備試験論文」(憲・民・刑・商法・民訴・刑訴・行政7科目)を何回か読む。あるいは,「試験対策問題集 司法試験論文」のAランクの問題(それぞれ30問程度)を何回か読む。

・法律実務基礎科目対策として,「伊藤塾試験対策問題集 予備試験論文」の「刑事実務基礎」と「民事実務基礎」を何回か読む。

・7科目については出来ればこの時点で参考答案と同じような内容の文章を書けるようにする(結構大変ですが)。

・法律実務基礎科目については,この時点では完成度が低くてもあまり気にしない。



  • 《8月から9月頃まで》

・少なくとも過去5年分程度の予備試験の論文式試験の過去問を実際に解いて答案を作成し(最初はまともな答案が書けなくても気にしない),辰巳法律研究所の「ぶんせき本」を読んで,自分の書いた答案の良い箇所,ダメな箇所をピックアップする作業を繰り返す。全く答案が書けない場合には基本書や問題集等を参照しても良いのでとにかく自分で答案を作るという作業をしてみる。

・余裕があれば予備校の答練を受けて復習をする。ただし普通の人であれば「試験対策問題集 予備試験論文」又は「試験対策問題集 司法試験論文」の理解度がまだ低いと思うので,その場合は「試験対策問題集 予備試験論文」又は「試験対策問題集 司法試験論文」を読みながら分からない部分について基本書や予備校本などを読んで,論点に関する理解を深めていったほうが良いと思います。


  • 《10月から1月頃まで》

・余裕があれば予備校の答練を受けて復習をする。ただし,過去5年分程度の予備試験の論文式試験をやり終わっていない場合や,「試験対策問題集 予備試験論文」又は「試験対策問題集 司法試験論文」の理解度がまだ低いと感じる場合には,答練を敢えて受験せずに,過去問の分析や,論文問題集を分からない部分について基本書や予備校本などを読むという勉強をしても良いと思います。


  • 《2月頃から6月頃まで》

・勉強が多少遅れていても遅くともこの頃には予備校の答練を受験して復習するという勉強を開始する(司法試験予備試験用六法だけを使って基本書などを見ずに時間内に答案を作成できるように訓練をする)。点数が悪くても復習をすることが大事なので,答練を通じて知識や理解に穴があると感じた部分は基本書や予備校本を読む等してきちんと復習をしておく。



・この頃に全国模試があるので受験する。

・答練や全国模試の結果を見ると,自分の不得意な科目や分野がはっきりしてくると思うので,苦手分野を中心に復習をしていく。

・論文プロパーの基本的な知識に不安を感じたら,伊藤塾の「新ステップアップシリーズ」等,薄めの参考書を読んで知識に穴や不十分な点がないか確認し,穴等があれば補充する(この時期になって勉強の範囲を広げすぎると逆に基本的な部分が疎かになってしまう可能性があるので,勉強の範囲を基本的な事項に絞っていったほうが合格出来る可能性が上がることが多いです。)。

・余裕があれば予想答練を受験して復習をしておく。


  • 《6月中旬から本番まで》

・規範や定義を正確に覚えていない場合には,伊藤塾の「試験対策問題集 予備試験論文」「試験対策問題集 司法試験論文」の復習をしたり,辰巳法律研究所の「趣旨・規範ハンドブック」などを使うなどして規範や定義を出来るだけ正確に暗記していく。ただし,「趣旨・規範ハンドブック」の中には出題頻度が低いものも含まれているため,時間的な余裕がない場合には「★」マークがついている箇所など,重要なものを中心に暗記をしていく。

・例年,辰巳法律研究所の「ハイローヤー」という雑誌で「予備試験論文試験直前期『ヤマ当て』」という特集が組まれるので,買って読んで準備不足の論点がないかチェックをし,不足があれば知識・理解の補充をしておく(公法系と刑事系はヤマが当たることが結構あります。)。

・その他は「6月以降」と同じ。


  • 《本番が終わったら》

・本番が終わったら自分が何を書いたのか忘れる前に必ず再現答案を作っておく(もし不幸にも不合格となった場合,再現答案を作っていないと何故不合格となったのかという分析が出来ず,次年度も不合格となってしまう可能性が高くなってしまうからです。)。


  • ○短答式試験対策

  • 《今から3月頃まで》

・辰巳法律研究所の「肢別本」か「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」,スクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」などから,自分の好みの問題集を買い(取りあえず1種類で良い),3月頃まで少なくとも3回,できれば5回は回せるようなスケジュールを組み,1日に解く問題数を決めて解いていく(余裕を持って解けた問題には印を付けておいて次回以降は飛ばすようにして時間を節約する。)。

・最初のうちは,1日目に「第1問から第50問まで」をやったとしたら,2日目に1日目の復習として「第1問から第50問まで」をやり,さらに「第51問から第100問まで」やるというふうに,短期間で復習を入れると記憶に残りやすいと思います(短答式試験対策はとにかく反復をして覚えていくという「作業」です。)。



・余裕があれば答練を受ける。ただし,短答式に関しては過去問が解けるようになれば合格点は取れるので無理をして答練を受験する必要はないと思います。短答式の答練を受験する主なメリットは受験生の中の自分の立ち位置を把握して,スケジュールを修正していく(苦手科目に多く時間を配分する等)点にあります。

・短答式試験対策はとにかく反復をして覚えていくという「作業」です。

・なお,時間不足に陥る可能性がある場合には,体系別の問題集ではなく,年度別の問題集を買っ た上で「30年度を解けるようになったら29年度をやる。29年度が解けるようになったら28年度をやる・・・。」という方法を取ると,途中で終わってしまったとしても全範囲を網羅的に勉強することが出来ますが,体系的に知識を入れることが出来ないので効率はあまり良くありません。

・「肢別本」で短答式の知識をインプットした場合,肢の切り方の訓練が出来ていないので,答練を受けるか,年度別の短答式問題集を買って数年度分の過去問を解いてみて,肢の切り方に慣れておく。



  • 《4月以降》

・4月頃から5月頃にに全国公開模試があるので受験し,きちんと復習し,模試と同じ問題が出た際に対応できるようにしておく。




  • ○一般教養

・一般教養については過去問を解いてみてそれなりの点が取れそうであれば対策をしなくても良いと思いますが,点が全く取れないような場合には予備校の一般教養対策講座を受ける等をして対策をしておいたほうが良いと思います。ただし,時間をかけすぎても時間に見合った効果は上がらないと思いますので,法律分野の勉強とのバランスに注意をしたほうが良いと思います。



以上が私が考えるスケジュールですが,おそらく実際にやってみた際には,進捗に応じてスケジュールを変えていくと思います。

私は受験生時代にエクセルで本試験までの総勉強時間と,各科目及び分野毎の勉強の進み具合を整理していて「短答式対策が遅れがちなので勉強時間を増やそう」とか「刑法と刑訴の論文については答練で毎回それなりの点が取れているので勉強時間を減らして他の科目に充てよう」とか常に時間配分を調整していました。

自分でスケジュールを管理するのが苦手な人は予備校のパックになっている講座を受けるとペースメーカーになると思います。ただし,集中力がない人が何も考えずに予備校のパック講座を受けるとダラダラと講義を受けるだけになってしまい逆に効率が悪くなってしまうことがありますので,全てを予備校任せにするよりも,自分の頭で考えてスケジュールを組んだり臨機応変に変更していったほうが効率的に勉強が出来ると思います。


Comments(6) |  │   (20:25)

司法試験論文問題集等についても質問をいただきましたので個人的な考えについてお答えしたいと思います。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

もう一つ質問させていただきます。
伊藤塾の憲法の司法試験論文問題集は改訂年度が古くアマゾンレビューによるとあまり予備試験の採点基準にそっていないそうですが、その場合、予備論文問題集で良いのでしょうか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※





確かに伊藤塾の憲法の司法試験論文問題集は予備試験の採点基準を意識して作っている訳ではないと思いますが,初期の段階では採点基準を意識した勉強をいきなり始めるよりも,コンパクトな論文問題集等を使って基本的な知識のインプットに軸足を置いたほうがその後の勉強を効率的に進めることが出来ると思います。

私が早い段階で伊藤塾の司法試験論文問題集を読むことをおすすめしているのは,論文試験で問われる可能性のある基本的な知識を短期間でインプットするのに便利であるからです。

伊藤塾の憲法の司法試験論文問題集の問題と参考答案は,旧司法試験形式でコンパクトである分,予備試験や新司法試験形式の問題集と違って早く回すことができ,その分必要な論文用の知識を効率的にインプットすることが出来ます。

また,予備試験や司法試験の採点基準を意識した勉強をするためには,論文試験で問われる可能性のある基本的な知識をインプットしておく必要がありますが,基本的な知識がないまま予備試験や司法試験の採点基準を意識した勉強を始めてもあまり効率的ではありません。

受験生の中には,採点基準うんぬん以前の問題として,司法試験論文問題集に書いてあるような基本的な知識すらまともに書けずに酷い点をとる,という人も少なくありません。

例えば,以前に司法試験の憲法の論文式試験で政教分離の問題が出たことがありましたが採点基準以前の問題として,そもそも「宗教団体」や「宗教的活動」の規範を正確に書けていない受験生や,そもそも論点に触れていない,論点を間違えている受験生が結構な割合でいました。

ですから,伊藤塾の司法試験論文問題集を読んで知識をインプットする最初の段階では,予備試験の採点基準を意識した勉強をするよりも,まず基本的な知識をインプットすることに重点を置いたほうが良いと思います。

基本的な知識を正確にインプットしておけば,後は答練や論文式試験の過去問を繰り返しこなしていくことで,採点基準に対応できるような実力は付いていきます。



憲法に関して言えば,司法試験論文問題集の人権の分野の「ケース」以外の基本問題の問題を見て,参考答案と同じような内容の文章を書けるようになれば(定義と規範以外は丸暗記をする必要はありません),本試験の採点基準を意識した勉強(答練や論文式試験の過去問の検討)も効率的に進められると思います。


なお,「予備論文問題集で良いのでしょうか?」という点については,「予備論文問題集」は確かに予備試験の採点基準を意識した記載もありますが,問題の絶対量が少なめなので,知識に穴が出来やすいと思います。

そのため,伊藤塾の「予備論文問題集」を使うのであれば,時間に余裕があれば「司法試験論文問題集」の「ケース」以外の基本問題のうち,司法試験論文問題集の人権の分野の「ケース」以外の基本問題を回した上で,「予備論文問題集」にとりかったほうが良いと思います。

あるいは,「予備論文問題集」は「司法試験論文問題集」よりもコンパクトなので,時間に余裕がない場合には,知識に穴が出来ることを前提とした上で「予備論文問題集」を何回か回し,早めに予備校の答練,論文式試験の過去問の分析,短答式対策に移り,答練や短答式対策の中で知識の穴を埋めていく,という方法で乗りきるという方法もあると思います。

このように「予備論文問題集」の問題の量の少なさを他でカバー出来るのであれば,「予備論文問題集」を使っても良いと思います。


「予備論文問題集」と「司法試験論文問題集」の使い分けについては,「●論文問題集の使い分けと論文式試験の対策について」という記事にも書いていましたので,そちらも参考にしていただければと思います。


Comments(1) |  │   (20:23)

質問をいただきましたので,私見について回答をさせていただきたいと思います。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※
お忙しいところ質問させていただきます。
答練は受けた方がいいのでしょうか?また、予備校によっては予備試験と採点基準が違う答練もあるそうですが、受けるとしたらどのような答練がいいのでしょうか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※


  • ○答練を受けておくメリットについて

私は法科大学院ルートで司法試験に合格したため予備試験の答練は受験していませんので,司法試験の答練を前提としてお話をさせていただきます。

「予備試験と採点基準が違う答練もある」という点については,どの予備校の答練も予備試験(本試験)とは採点基準は違うと思います。

予備試験や司法試験の問題は非常に良く練られているため,予備試験や司法試験の採点基準と答練の採点基準が違うのはある意味仕方ないことです(予算も問題の質のレベルも全く違います。)。

しかし,だからといって答練を受験する意味がないかというとそうではなく,実際に時間を計って見たことのない問題を時間内で仕上げるという能力を身につけるためには答練は優れたツールですし,答練を受けていないと答練を受けている他の受験生に知識的な差を付けられてしまうこともあります。

また人間とは弱い生き物で,答練のように強制的に「時間を計って何も見ずに答案を書く」という機会がないと,答案を書く訓練を疎かにしたまま本番を迎えてしまうことが多く,本番で時間内に答案を仕上げることが出来なかったり,未知の問題でパニックを起こして意味不明な文章を書いてしまったりして,不合格の可能性が高まっていきます。

なので,答練は1クールだけでも良いので受験しておいたほうが良いと思います。

採点基準の感覚(何をどう書けば点に結びつくかという感覚)に関しては答練とは別に過去問の分析をすることで身についていきますし,過去問の分析をしておけば,答練で添削された答案が返却された時に「ここは点が付いているけど原則論を飛ばしてしまったので本番だったら減点されている可能性があるな」「ここは予備校の採点基準だと点が付いていないけど,理屈は通っているし本番だったらもう少し点はもらえるだろう」みたいな感覚が分かって来ると思います。

私の同級生を見ると,答練を受けていない人よりも,答練を受けていた人のほうが,圧倒的に合格率は高かったです(答練を受けていない人は勉強があまり進んでいなかったために受けていなかったからかも知れませんが)。


それから,予備校の答練の質には差はあるものの,それ程大きな違いはありません。

あくまで個人的な感覚ですが,本試験の質が100だとすると,予備校の答練の質はそれぞれ50,45,40・・・という感じで,「どんぐりの背比べ」みたいなイメージです。

また,答練は受験者が多いものを受けたほうが,答練と同じような問題が本試験で出た際に「自分だけ準備していなかったため差を付けられてしまった」というリスクを減らすことが出来ます。

なので,どの予備校の答練を受けるかを決める時には,採点基準だけを気にするのではなく,受験者の数なども考慮して決めたほうが良いと思います。

以上を踏まえると,個人的には辰巳か伊藤塾の答練が無難かな,と思います。

以下詳しくお話します。




私が司法試験の受験生時代に受けていた答練は辰巳法律研究所の答練です。

辰巳法律研究所の答練のメリットは,受験生が多いこと,価格がそれほど高くないこと,解説資料等が充実していることです。


予備校の答練のうち,特に直前期の答練(本試験から半年以内のもの)は,本試験の予想問題的な要素が入ってくるため,他の受験生が受けている答練を受けていないと「他の受験生は入念に準備している問題が本番で出たのに,自分だけ準備していなかったため差を付けられてしまった」という事態になる可能性があります。

また,答練を受ける目的の1つは他の受験生と自分の実力の差を把握して,勉強の方針を立てるという点にありますが(例えば憲法は答練で上位なので勉強時間を少なめにして,民法は答練で下位なので勉強時間を多めにする,といった方針を立てるのに役立ちます。),その場合受験生の数が多い答練のほうが全受験生の中での自分の位置が把握しやすいです。

そのため他の多くの受験生が受けている答練は受けられるのであれば受けておいたほうが良いと思います。

ただ,最近司法試験に合格した司法修習生の話を聞いていると「辰巳ではなく伊藤塾の答練を受けた」という人も結構増えてきたような気がします(私の周りだけかも知れませんが)。

なので,伊藤塾の答練を受けるか,辰巳の答練を受けるか迷った場合には,周りの受験生にもどの答練を受けているかを聞いてみたり,資料を取り寄せて自分にどちらが合いそうか考えた上で決めたほうが良いかも知れません。




私が受験生の時に,私の周りで辰巳法律研究所の次に受験者が多かったのが伊藤塾の答練です。

伊藤塾の答練の特徴としては,問題や解説の質は高いものの,価格が高いという傾向があります。

私がどの答練を受けるか迷った際,伊藤塾の答練を受けている人から問題や解説資料を見せてもらったことがあるのですが,問題も解説も参考答案も相当しっかりしている,という印象でした。

そのため,伊藤塾の答練を受けるか迷ったのですが,辰巳の答練よりも費用が高めで,かつ受験している人が私の周りでは少なかったため,結局私は伊藤塾の答練は受けませんでした。

ただ,先程もお話したとおり最近の司法修習生の話を聞いていると「伊藤塾の答練を受けていた」という人が増えてきたような気がしますので,お金に余裕があって,質の高い答練を受けたいといことであれば伊藤塾の答練もおすすめです。

私の同級生でお金と時間に余裕がある人の中には,辰巳法律研究所と伊藤塾の答練の両方を受験している人もいました。






私の同級生の一部のグループは早稲田セミナーの答練を受けていました。

早稲田セミナーの答練の特徴としては比較的費用が安め,というところでしょうか。

私がどの答練を受けるか迷った際,早稲田セミナーの答練を受けている人から資料を見せてもらいましたが問題や解説の質は中くらい,という印象でした。

早稲田セミナーの答練を受けていた同級生のグループの合格率は良かったので,安めの答練を大量に受けたいという人であれば早稲田セミナーの答練も選択肢に入れて良いと思います。




他に大手の予備校としてはLECがありますが,私の周りでLECの答練を受けていた人がいないためLECの答練についてはよく分かりません。ごめんなさい。

ただ聞いた話では費用は安めらしいですし,旧司法試験時代からの実績があるので,LECの答練を使っても問題はないと思います。

例えば他の予備校の答練にプラスして他の答練も受けてみたいというような場合にはLECの答練も選択肢に入れて良いのではないかと思います。


Comments(0) |  │   (20:21)

2019年04月01日



遅くなりましたが,今回は民事訴訟法の勉強法と基本書,参考書等についてお話したいと思います。

■民事訴訟法の特徴


「民事訴訟法」とは,民事訴訟の手続を定めた法律です。

例えば,AさんがBさんに「100万円払え」という訴訟(裁判)を起こす際に,どこの裁判所で訴訟をするのかとか(管轄),訴訟の判断の対象をどうやって決めるかとか,主張や証拠の取扱いをどうするか等,細かいルールが定められています。

実際に裁判をしたことのない受験生の多くにとっては,民事訴訟のイメージは湧きづらく,しかも学者の先生の議論の対立が激しいため「ある基本書にはαと書いてあるが,別の基本書にはβと書いてあって,どっちが正しいか分からない」と混乱してしまうことが多い科目です。


そのため,民事訴訟法の勉強を効率的に進めるためには,早い段階で全体像を把握して民事訴訟のイメージを掴むことと,学説の激しい議論に巻き込まれないようにすることが大事です。

では,どうすれば良いのかというと,これまでお話してきた他の科目と同じ勉強方法が通用します。


まず,早い段階で全体像を把握するために,最初に入門書を読むべきです。

また,学説の激しい議論に巻き込まれないようにするためには,「最終的にどのような必要最低限の知識があれば司法試験で合格できるのか」という観点から,早い段階で司法試験用の問題集を使いはじめ,基本書は問題を解くための知識をインプットするための補助として使う,という勉強方法が効率的です。


この勉強方法をとれば,司法試験の合格に必要な民事訴訟法の知識は,驚く程少なくて済むということが分かってくるはずです。


民事訴訟法の合格に必要な知識は,他の民事系科目(民法・商法)よりも,かなり少ないんです。

民事訴訟法を苦手にしている受験生や,「民訴の勉強はつまらない」と感じてる受験生は多いのですが,民事訴訟法は,条文の数自体も民法・商法より少ないですし,論文式試験で問われる論点も概ね決まっているので,効率的に勉強をすれば,少ない時間で合格に必要な力を身につけられる科目ですし,やり方を間違えなければ安定した得点源にすることが出来ます。


また,民事訴訟法はロジカルな科目でもあり,最初はつまらないと感じていても勉強が進むにつれて,面白くなっていくと思います。

他方,民事訴訟法の勉強が面白くなってきた人は注意が必要です。

先程もお話したとおり,民事訴訟法は学者の先生の議論の対立が激しいため,様々な学説の勉強が楽しくなってしまい,様々な基本書を読み比べたりして必要以上に民事訴訟法に勉強時間を費やしてしまう受験生がいます。

しかし,民事系科目では,民法と商法という,他により勉強時間が必要な科目があるので,司法試験に合格するという観点からは,民事訴訟法は基本的な事項を中心に効率的に勉強して,その代わりに民法や商法といった,勉強時間が物を言う科目に労力をさいたほうが,全体的な効率は良いです。



その他,民事訴訟法の勉強をする上で2点ほど注意していただきたい点があります。


○基本的な定義は正確に書けるようにしておく

1つは,基本的な定義は正確に書けるようにしておく,ということです。

民事訴訟法の論文式試験では,処分権主義,弁論主義,弁論主義の第一テーゼから第三テーゼといった法律用語の定義(意味)を正確に書けるようにしておく必要があります。

民事訴訟法の論文式試験で定義を正確に書けないと,それだけで不合格になってしまっても文句は言えないくらいのダメージを受ける可能性が高いです。

そのため,民事訴訟法の勉強では,基本的な定義を正確に書けるように準備しておく必要があります。

もっとも,あれもこれもと定義を覚えていてはいくら時間があっても足りませんので,覚える定義は「論文式試験を解くために必要は範囲」で十分です。

予備校本の巻末に定義集が載っていたりしますので,それを中心に覚えていっても良いと思いますし,論文式試験の問題を解いてみて「この定義を覚えていないと問題が解けない」と思った定義をノートやパソコンでまとめたりして覚えていく,という方法でも良いと思います。

私は「C-Book 民事訴訟法II」の巻末にある定義集をトイレの壁に貼って,少しずつ覚えるようにしていました。

最初のうちは完全に覚えられなくても,何度も見ているうちに覚えられるようになるはずです。


●ISBN-10: 4844956108



○『民事訴訟法の4段階構造』をきちんと頭に入れる

民事訴訟法の勉強をする上での注意事項2点目は,「勉強がある程度進んできたら,『民事訴訟法の4段階構造』をきちんと頭に入れる」ということです。

司法試験の受験生の中には試験本番で「弁論主義の問題なのに,処分権主義について論じてしまった」とか,「自由心証主義の問題なのに,弁論主義について論じてしまった」とか,「何を聞かれているのか分からず白紙答案になってしまったが,弁論主義を論じるのが正解だった」という,大きなミスをして不合格になってしまう受験生がいます。

このようなミスをする原因の1つは勉強不足ですが,もう1つの原因として『民事訴訟法の4段階構造』をきちんと理解していない場合があります。


『民事訴訟法の4段階構造』とは,民事訴訟法のシステムを「1 訴訟物レベル」「2 法律上の主張レベル」「3 事実上の主張レベル」「4 立証レベル」の4つに分けるというものです。

たとえば,「1 訴訟物レベル」では処分権主義が問題になりますし,「3 事実上の主張レベル」では弁論主義の第一テーゼと第二テーゼが問題になり,「4 立証レベル」では弁論主義の第三テーゼが問題になります。

また,「3 事実上の主張レベル」と「4 立証レベル」を繋ぐシステムとして自由心証主義や経験則の問題があります。

民事訴訟法の勉強が進んでくると,処分権主義や弁論主義など,ちょっと似てるけど全然違う論点が出てきて,混乱してしまいがちです。

しかし,この『民事訴訟法の4段階構造』を頭に入れておけば,「この問題は「1 訴訟物レベル」の話だから,処分権主義が問題になりそうだな」とか,試験で何を書けば良いのかが分かるようになります。


個人的にはこの『民事訴訟法の4段階構造』はもの凄く大事だと思いますし,私の通っていた大学の教授も大事だと言っていたのですが,残念ながらこの『民事訴訟法の4段階構造』を詳しく説明していない教科書もあります。

個人的に『民事訴訟法の4段階構造』の説明で一番分かりやすかったのは「C-Book 民事訴訟法I」の「序論」「1 民事訴訟手続の流れ」「三 「民事訴訟の構造」から見た手続の流れ」の説明です。

●ISBN-10: 4844956094



ある程度勉強が進んだら,基本書や予備校本の『民事訴訟法の4段階構造』の箇所を読んでみて,頭にしっかりと焼き付けておくことをお勧めします。


前置きがだいぶ長くなりましたが,続いて民事訴訟法でお勧めの基本書等についてお話をしたいと思います。


■民事訴訟法の入門書を読もう


民事訴訟法の入門書としては,他の科目と同様「伊藤真の民事訴訟法入門」をおすすめします。

●ISBN-10: 4535521646


個人的には,民事訴訟法に関してはこの「伊藤真の民事訴訟法入門」に,司法試験の論文式試験の合格に最低限必要な知識の半分くらいは書かれているんじゃないかと思っています。

そのくらい基本的な事項がコンパクトにまとまっています。


学者の先生が書いた入門書としては「民事裁判入門」が比較的有名です。


●民事裁判入門 第3版補訂版
ISBN-10: 4641136238

「民事裁判入門」は,民事訴訟法の幹の部分に絞ってコンパクトな説明がなされた良書ですが,初心者にとってはちょっと難しいと思います。







■民事訴訟法の論文問題集を読もう


他の科目と同様に,民事訴訟法も初期の段階から論文問題集を読むことをおすすめします。

先程も申し上げたとおり,民事訴訟法の基本書は激しい学説の対立などの説明も多く,初心者が最初から基本書を読むと「司法試験の合格に必要のない部分」も読むことになり,効率が悪いです。

「司法試験の合格に最低限必要な知識」は,司法試験の論文問題集の参考答案に書いてありますがら,入門書を読んだら,論文問題集を読むことをおすすめします。

そして読む論文問題集としては「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめします。

個人的には「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」のには,司法試験の民事訴訟法で合格点をとるのに必要な知識の9割以上が含まれていると思っています。


●ISBN-10: 4335303572

●ISBN-10: 4335303629

受験生の答案を見ていると,この「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」のAランク(最重要ランク)レベルの論証すらまともに書けていないという人が少なくありません。



最初から全てを理解しようとする必要はありませんので,まずはAランクの問題と答えを何度か読み,分からないところについて基本書などを読んで理解を深め,参考答案と同じような答案を書けるように訓練をしていきましょう。

運が良ければ,

(ア)「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」のAランクの問題について,理解をした上で参考答案と同じような答案を書けるようにする

(イ)司法試験の過去問5年分くらいをやる

(ウ)答練と直前模試を受けてきちんと復習をする

というだけで,民事訴訟法については司法試験で合格レベルの答案を書ける可能性があります。


ただ,年度によってはBランク,Cランクレベルの問題が出題される可能性もありますので,できるだけBランク,Cランクレベルの問題もマスターできるようにしておいたほうが良いと思います。



なお,法科大学院に入学すると,「ロースクール民事訴訟法」等の問題集(?)を購入するように指示され,L2(未修者の2年目,既修者の1年目)から,この「ロースクール民事訴訟法」等を中心に授業が進められていくことが多いと思います。

★ISBN-10: 4641138109

「ロースクール民事訴訟法」は非常にレベルの高い本ですが,この本のレベルに付いていけない受験生も多いです。

私も「ロースクール民事訴訟法」を指定されていましたが,分からないところが沢山ありましたし,今になって考えると,司法試験に合格するという観点からは「ロースクール民事訴訟法」は必ずしも必要ではなかったと思っています。

「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」の問題すらまともに理解できていない状況で,「ロースクール民事訴訟法」を正面から取り組んだとしても,消化不良になってしまい,あまり効率は良くないと思います。

法科大学院で単位を取るためには「ロースクール民事訴訟法」等もやらざるを得ないのですが,同級生と協力し合って授業の準備をしたり,先輩からノートをもらう等して,効率的に単位を取るようにしたほうが良いと思います。




■おすすめの民事訴訟法の基本書と予備校本



私は受験生時代に民事訴訟法の基本書について何を使うか散々迷いました。

そして,最終的にメインで使っていたのが「民事訴訟法講義案」です。

●ISBN-10: 4906929486


民事訴訟法の勉強でつまずく理由の多くが「学説の対立が激しくて,どの説を使えば良いのか分からない。混乱する。」というものです。

しかし,この「民事訴訟法講義案」は裁判所の研修教材なので,一貫して「実際に実務で使われている説」で説明がなされています。

そのため,「学説の対立で悩んで時間が足りなくなる」という悩みが無くなります。

「学説の対立で悩んで分からなくなってしまった」という時に,この「民事訴訟法講義案」を読むとスッキリ解決することが多いので,手元に置いておくと便利です。

実務に入ってからも,この本が必要ですし。



ただ,この基本書にも欠点が2つあります。

1つは,「実際に実務で使われている説」に基づいて説明をされているので,実務で使われていない「争点効」については詳しい記述がありません。

もっとも,争点効については「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」をやれば答案は書けるようになるので,この点は大きな問題でありません。


2つめの問題は「研修用教材なので,読んでいてつまらない」ということです。

辞書的に使うのであれば,つまらなくても問題ないのですが,基本書を通読するタイプの人にとっては,淡々とした説明が続くのは結構キツイと思います。



そこで,学者の先生が書いた基本書もいくつか紹介したいと思います。

もし私が今受験生だったら買うだろう,という基本書が高橋宏志先生の「民事訴訟法概論」です。

●ISBN-10: 464113734X

高橋宏志先生は,後述の「重点講義民事訴訟法」などを執筆されている超有名な先生なのですが,高橋宏志先生の説明は一見難しいようで分かりやすいです。

特に勉強が進んでくると,高橋宏志先生の説明に助けられることが多いと思います。



私が受験生の時には「民事訴訟法講義案」の他に,高橋宏志先生の「重点講義民事訴訟法」を買って,「民事訴訟法講義案」を読んでもしっくり来ない時に「重点講義民事訴訟法」を辞書として使うようにしていました。

●ISBN-10: 4641136556

●ISBN-10: 4641136882


この「重点講義民事訴訟法」は痒い所にも手が届く良書で,読み手を学説の荒波に巻き込むこともないすっきりとした説明が好印象で使い勝手が良いのですが,高い(2分冊で合計1万以上),重い(全体で1500頁以上),頁数が多いのに全範囲を網羅している訳ではない,という欠点もありました。

他方,最近出版された高橋宏志先生の「民事訴訟法概論」は,安い(3700円くらい),重くない(400頁ちょっと),全範囲網羅,ということで,受験生だったら間違いなく買っていたと思います。


その他,おすすめの基本書としては,藤田広美先生の「講義 民事訴訟」があります。

藤田広美先生は,裁判官時代に先程ご紹介した「民事訴訟法講義案」を執筆したと言われています。

元裁判官が書いているため,受験生を学説の対立に巻き込むことなく,丁寧に説明をしてくれています。

●ISBN-10: 4130323695




予備校本については,通読用に使うのであれば伊藤塾の「民事訴訟法 伊藤真試験対策講座」が良いと思いますし,辞書的に使うのであればLECの「C-Book 民事訴訟法」が良いと思います。

●ISBN-10: 433530482X

●ISBN-10: 4844956094

●ISBN-10: 4844956108


「民事訴訟法 伊藤真試験対策講座」は何度も通読ができるように工夫がされているので,本を何度も読んで覚えるタイプの受験生とっては便利だと思います。

「伊藤真試験対策講座」(シケタイ)については昔から批判もあるところですが,基本書を使わずにシケタイだけ読んで上位合格している人もいますので,使い方の問題かなと思います。

ただ,辞書的に使うにはシケタイ使い勝手が悪いです。私は「民事訴訟法 伊藤真試験対策講座」を買いましたが,私は通読タイプではなかったので,数十頁を読んで挫折してあとは本棚のオブジェになっていました。


「C-Book 民事訴訟法」は細かい学説の対立が見やすく整理されていて,学説の対立で混乱した時に読むと悩みが解消することが多いと思います。

また,先程お話ししたとおり『民事訴訟法の4段階構造』を理解する上では便利だと思います。








■民事訴訟法の判例集


民事訴訟法の判例集としては,「民事訴訟法判例百選」があれば十分だと思います。

●ISBN-10: 4641115273

判例がある論点については,基本書を読むだけでなく,判例集で事案と判旨を読み解説も読むと理解が深まりますし,基本書を読んで理解ができなかった時に判例集を読むと解決することもあります。

なので,民事訴訟法についても判例集は1冊は持っておいたほうが良いのですが,判例百選は解説を書いている方々に著名な学者が多いだけあって,解説も充実しています。

判例百選のデメリットは字が小さいことですが,裁断・スキャンして電子書籍化することで字が小さいという問題は解決できます。





■論文式試験の過去問の分析


民事訴訟法の分野においても,司法試験の論文式試験の過去問の分析は大事です。

他の科目と同様に,法務省のホームページから論文式試験の過去問をプリントアウトし,過去数年分の論文式試験を実際に時間を計って解いてみると良いです。

民事訴訟法の過去問を実際に解いてみると「こんな難しい問題解ける訳がない」「こんな細かい知識まで聞かれるのか?」と挫折感を覚えるかも知れません。

しかし,心配する必要はありません。

「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」に書かれているレベルの論点をしっかり理解・記憶していれば,平均的な合格者以上の知識はあります。

もし「民事訴訟法 伊藤塾試験対策問題集 論文5」に書かれているレベルの論点をしっかり理解・記憶しているにもかかわらず,過去問が解けなかったという場合には,通常は,知識不足が原因でなく,司法試験の解き方のコツが分かっていないことが原因であることがほとんどです。

民事訴訟法の論文式試験の問題文には「指導担当弁護士と修習生の会話」や「裁判官と修習生の会話」等の形で指示やヒントが与えられることが多く,問題文に記載されている指導担当弁護士・裁判官の指示に従って処理をしていけば,基本的な知識をもとに合格レベルの答案は書けるようになっています。

なので,民事訴訟法の論文式試験対策としては,基本的な知識をもとに,問題文にある指導担当弁護士・裁判官の指示・ヒントに従って,合格レベルの答案を書けるようにする訓練をするということが大事になってきます。

この練習は1人でやるよりも,何人かで時間を計って問題を解き,答案をお互いに見せ合って検討すると,他の受験生のレベルも分かるので,「どの程度のことを書けば合格点に達しそうか」という感覚が掴みやすくなってくると思います。

また,他の科目と同様に,論文式試験の過去問の答案を作ってみた後に,辰已法律研究所の「ぶんせき本」などを使って,優秀答案と自分の答案の何が違うかを比べてみて,なぜ優秀答案と同じような答案が書けなかったのかということを分析してみると,次第に答案を作成するポイントやコツが分かってくると思います。

●ISBN-10: 4864663769



また,何度もお話していることですが,試験が近付いてきたら,できる限り答案練習会(答練)や模擬試験に参加しておいたほうが良いです。

民事訴訟法の論文式試験では,基本的な事項を正確に書くということと,未知(自分の知らない)問題が出た時に,問題文の指示・ヒントに従って決められた時間内に答案を作るという技術が必要になります。

この技術は,基本書を読んだりしているだけでは身につくものではなく,実際に時間を計って何度も論文式試験の問題を解くことで少しずつ身についていきます。

予備校の答案練習会(答練)や模擬試験は,強制的に答案を作成する練習をするのに良い機会ですから,受けておいたほうが良いです。


なお,公法系・刑事系と違って,民事系(民事訴訟法を含む)については予備校の出題予想はあたらないことも多いです。

なので,民事系についてはあまりヤマをはらずに,論文問題集や予備校の答練で広めに対策をしておいたがほうがヤマが外れて慌てるというリスクを減らすことができます。




■短答式試験(民事訴訟法)の勉強方法


司法試験の短答式試験では,民事訴訟法の分野は出題されません。

そのため,予備試験を受験せずに,法科大学院に進学して司法試験を受験する人は,民事訴訟法の分野については短答式試験の勉強をする必要はありません。

他方,予備試験の短答式試験では,民事訴訟法の分野も出題されるので,予備試験の受験を考えている人は,短答式試験対策もしておく必要があります。


これまでお話しているとおり,短答式試験の勉強方法は,較的単純で,短答式試験の過去問集を買ってきて読んだり解いたりしてみて,分からないところがあれば,基本書や予備校本,判例集で調べる,という単純作業の繰り返しだけで,成績が伸びていきます。



短答式試験の過去問集は,個人的にはスクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」が,解説がコンパクトで速くまわせるのでおすすめです。

●ISBN-10: 4905444284

●ISBN-10: 4905444276


詳細な解説があったほうが良いという人には,辰已法律研究所の「司法試験&予備試験短答過去問パーフェクト」が良いと思いますが,これを使う場合には時間不足にならないようにスケジュール管理に注意をしたほうが良いです。

●ISBN-10: 4864663858



時間がない人は,「肢別本」が速く回せるのでおすすめです。

肢別本は,1問1答になっていて解説がコンパクトなので早く回せるのがメリットです。


●ISBN-10: 4864664188

肢別本は1問1答式で早く回せますが,本試験と出題形式が違うため,肢の切り方の練習ができないというデメリットもあります。

しかし,民事訴訟法に関しては,肢の切り方でシビアな判断を求められる科目ではありませんから,肢別本で知識を叩き込んだ後に,年度別の問題集で肢の切り方の練習をすれば十分かと思います。




短答式の勉強として,他に「択一六法を何度も読み込む」という方法があります。

私の同級生の中には「伊藤真の条文シリーズ7 民事訴訟法」を何度も読み込むことで,民事訴訟法の短答式試験で常に満点近い点数をとっている人がいました。

●ISBN-10: 4335312644

ただし,この「択一六法を何度も読み込む」という勉強法は,よほど集中力や根性がある人以外にはお勧めできません。

私も同級生の真似をして「伊藤真の条文シリーズ」を読み込んでみようとしたのですが,知識が頭に全然入って来ず,上滑りをしてしまう感じで挫折をしました。

「択一六法を何度も読み込む」という勉強法は,人を選ぶ勉強法ですので,合う人だけ試してもらえればと思います。

【アクセスの多い記事】
司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その1)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その2)
刑法の勉強方法とおすすめの刑法の基本書や参考書など
憲法の勉強方法とおすすめの憲法の基本書や参考書など
会社法・商法の勉強方法とおすすめの商法・会社法の基本書や参考書など
民事訴訟法の勉強方法とおすすめの民事訴訟法の基本書や参考書など
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


Comments(2) |  │   (19:26)

2019年03月03日

質問をいただきましたので,私の分かる範囲でお答えしようと思います。

※※※※※※※※※※※※※
管理人様
いつもお世話になっております。
度々の質問で大変恐縮です。

司法試験後の就職活動についてお伺いします。
私は司法予備試験を経て司法試験に合格し、M&Aに携わる弁護士を目指しております。
しかし、そういった内容の業務に携わる事務所に入るには法科大学院で専用の授業を履修していなければならないと聞きました。
予備試験合格者は結局のところ、個人相手やインハウスしか道がないのでしょうか。司法試験の成績が良くても4大事務所にはいることはできないのでしょうか。

長文大変失礼しました。
よろしくお願いします。
※※※※※※※※※※※※※※※


私は四大法律事務所等の大手の事務所で就職活動をしたことはありませんが,修習の同じクラスの同期に何人か四大法律事務所に就職した人がいるので,私の知っている範囲でお答えしたいと思います。


○予備試験と四大法律事務所


四大法律事務所は,予備試験合格者だからといって就職できないということはありません。

私の知っている範囲の同期でも,予備試験合格者で四大法律事務所に就職した人は何人かいます。

司法試験合格者のための「ジュリナビ」というサイトがあるのですが,そこで五大法律事務所(西村あさひ,アンダーソン・毛利・友常,森・濱田,長島・大野,TMI)における,予備試験合格者を含めた法科大学院ごとの割合が記事になっていましたので,そちらを参考にしてみてください。

これを見ると四大法律事務所に入所した弁護士のうち,4~7%は予備試験合格者であることが分かります。






むしろ,予備試験は500人弱しか合格しないため,若くして予備試験と司法試験に合格すれば,優秀な人材であるというアピールになり,四大法律事務所への就職も有利に進められるとか,四大法律事務所は予備試験合格者の青田刈りをしている等と言われたりしています。

四大法律事務所の中には,予備試験合格者のみを対象にしたクラーク・プログラム(ちょっとしたインターンのようなもの)を実施しているところもありますが,これは四大法律事務所としても予備試験合格者の採用にも力を入れているからだと思います。


ただ,予備試験合格者として四大法律事務所に入る場合であっても,出身学部は東大,慶応,早稲田,京大等の大学が有利だと思います。

私の同期で四大法律事務所に行った人も,確か東大と慶応だったはず。


また,予備試験合格者だけでなく法科大学院卒業生もそうですが,四大法律事務所に入るためには若いほうが有利です。

20代後半ないし30代でも四大法律事務所に就職した人がいるという噂は聞いたことがありますが,私の知り合いにはいません。

おそらく大手企業での社会人経験があるとか,語学に堪能であるといった特徴を持っていないと,20代後半ないし30代での四大法律事務所への就職は厳しいと思います。

また,司法試験に1回でも落ちると四大法律事務所への就職はかなり厳しいと思います(少なくとも私の同期で四大法律事務所に入った人は全て1発合格です。)。



○四大法律事務以外の法律事務所について


「M&Aに携わる弁護士を目指しております」とのことですが,四大法律事務所以外にもM&Aに携わっている法律事務所はありますし,四大法律事務所に入所したからといって,全員がM&Aをメインでやっている訳でもないと思います。

また,四大法律事務所以外の弁護士が,皆,個人の方を依頼者とする弁護士になったり,インハウスになっている訳ではありません。

むしろ,「個人の方のみを依頼者として,企業からの相談や依頼はほとんどない。」という事務所のほうが少ないのではないかと思いますし,四大法律事務所以外にも主に企業の顧問を多く抱えている事務所はたくさんあります。

M&Aは税理士法人が携わることも少なくありませんが,そういった税理士法人が弁護士を募集していることもあります。

したがって,M&Aに携わる弁護士になりたいのであれば,四大法律事務所を目指すことも良いことだと思いますが,他の事務所にも広く目を向けてみるのも良いのではないかと思います。



○法科大学院におけるM&Aの授業について


また,M&Aに携わるためには,法科大学院で専用の授業を履修しなければならない,ということもありません。

私も法科大学院の時にM&Aの授業を受け,成績もとても良かったのですが,実務ではほとんど役に立っていません・・・。

教授から西村あさひの「M&A法大全」という本を指定され(当時は2001版。今年新版が出たみたいです。),必死に読んだのですが,やはり本を読んだり授業を受けているだけでなく,実際に業務に携わってみないと分からないことだらけだと思います。税法の知識も必要ですし。

★M&A法大全


実際にM&Aの仕事に携わるのであれば,弁護士になった後に必死でまた勉強する必要があると思いますし,実際にM&Aに携わっている実務家の多くが日々努力をして知識や経験を積み重ねていると思います。



○四大法律事務所の就職活動


なお,四大法律事務所は,事実上司法試験に合格する前から就職活動が始まっています。


予備試験に合格した後,先程お話ししたクラーク・プログラム等に参加をする等して,司法試験を5月に受験し,翌月の6月頃からは内定が出始め,司法試験の合格発表がある9月には採用はほぼ終わっています。

なので,四大法律事務所への就職を考えているのであれば,事前に四大法律事務所のHP等を十分にチェックしておいたり,情報収集をしておいて,予備試験に合格した時点で,四大法律事務所でのクラーク・プログラムに申し込む等,早め早めに動いたほうが良いと思います。

【アクセスの多い記事】
司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その1)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その2)
刑法の勉強方法とおすすめの刑法の基本書や参考書など
憲法の勉強方法とおすすめの憲法の基本書や参考書など
会社法・商法の勉強方法とおすすめの商法・会社法の基本書や参考書など
民事訴訟法の勉強方法とおすすめの民事訴訟法の基本書や参考書など
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


Comments(4) |  │   (21:25)

ギャラリー
  • ライブドアブログ