弁護士

2019年08月05日


質問をいただきましたので私見についてお答えしたいと思います。

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はじめまして。
いつもブログを拝見させていただいているものです。
いきなりで恐縮なのですが1つ質問させていただきます。

それは弁護士事務所の労働環境についてです。もちろん事務所の大きさ等によって変わるのは重々承知なのですが、一般的な弁護士の一週間、一月あたりの業務量(残業時間)はどれくらいなのでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、ご返答頂けますと幸いです。
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弁護士の労働時間(残業時間)についてですが,やはり法律事務所のスタイルや,弁護士の仕事に対する考え方によって変わってきます。


  • ●出勤・退勤の時間

私はだいたい9時から10時の間に事務所に行き,夜の8時前後に事務所を出ています。

忙しい時期は夜10時頃まで働くこともありますが,逆に事件が落ち着いている時には午後6時ないし7時頃に家に帰ることもあります。


朝は裁判所の期日がだいたい10時頃から入ることが多いので,9時から10時の間頃に事務所に行く弁護士が多いように思います。

朝方の弁護士だと朝の7時頃に出勤して,期日前に書面を1通仕上げてしまう,なんて人もいますね。


夜は事務所のスタイルによると思いますが,夜でないと連絡が取れない依頼者(昼間仕事をしていて夜でないと電話に出られない等)が多いと,必然的に帰りは遅くなります。

また,首都圏の忙しい事務所の就職したりすると,毎日午前0時頃まで働いて,土日のいずれかは事務所に行く,という弁護士も少なくないと思います。東京の事務所に就職した私の同期の多くは忙しそうですね。

他方,私の同期の中には,午後5時前にボス弁から「飲みに行くぞ」と言われて毎日飲みにつれて行ってもらっていた弁護士がいて,「羨ましいな」と思っていたのですが,間もなくその事務所を辞めてしまいましたね。収入が少なかったのかも知れません。


  • ●場所による違い

あくまでも私の同期や周りの弁護士の話ですが,一般的に東京のの弁護士は夜や土日も働いている弁護士が多いように思います。

他方,そこそこの地方都市では,18時とか19時という比較的早めに時間に帰る弁護士が多いような印象を受けます。

ただし,地方中の地方というような弁護士過疎地になると,抱えている事件が多くなって(自分以外に受ける人が少ないので仕事を断りにくい),忙しく働いている弁護士も少なからずいるように思います。



  • ●弁護士の考え方による違い

何時まで働くかはやはりボス弁や弁護士の考え方によっても変わってきます。

ワーカホリック的な仕事が趣味みたいな弁護士は夜も土日も事務所にいて何かしていますし(仕事をしているとは限らないけど),労働事件を扱う弁護士なのに自分は過労死ラインを超えて働いている,なんてこともあります。

また事務所に来た事件を上手く断れない人は労働時間が長くなりやすいと思います。



他方,せっかく自由業の弁護士になったのだからと言ってワークライフバランスを大事にしている弁護士もいますし,子供が小さいので早く帰らなければいけないという弁護士もいます。

珍しいですが,私の知っている弁護士の中には午前中は仕事はしないという弁護士や,おおむね週休3日にしている弁護士もいますね。

弁護士は医師と違って依頼があっても必ず受けなければならない訳ではなく,業務が多忙であれば断ることが出来ますので,そういった意味では仕事の量の調節がしやすい仕事です。


それから,弁護士によっては事務所にいると言っても仕事しているとは限らないです。

事務所に漫画を置いておいて仕事の合間に気分転換のために漫画を読んでいる弁護士もいますし,自分の机周りに高級なスピーカーを置いて音楽を楽しんでいる弁護士なんかもいます。


なので,弁護士の労働時間(残業時間)は本当に様々です。


裏を返せば,沢山働いて多めの収入を得るのか,ワークライフバランスを大事にしてそこそこの収入を得るのかという選択をしやすいという点は,弁護士の仕事の魅力だとと思います。

質問の答えになっているか分かりませんが,やはり弁護士の労働時間は様々だという結論でご容赦いただければと思います。



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2019年07月23日

就職活動について質問を受けましたのでお答えしたいと思います。

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はじめてコメントさせていただきます。 
突然申し訳ありません。 

弁護士事務所への就職活動について教えてください。 
私は、公務員として約3年働いており、予備試験に受かって、今年司法試験を受けました。 

現在就職活動をしているのですが、実際にどのようにすればいいのかわからない部分が多々あります。 
説明会すら参加させていただけないことも多々あります。 
私の年齢が悪いのか、出身大学、LSのランクが低いのか、ESの内容が悪いのか、わからない部分があります。 

先生は、比較的すぐに内定をいただいたとブログで拝見させていただきましたが、どのように就職活動をされていたのでしょうか。 
ご経験など教えていただけると幸いです。 

よろしくお願いいたします。
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司法試験の受験おつかれさまでした。

今年司法試験を受験されたということは,まだ司法試験の合格発表前ということですね。

私が就職活動を開始したのは司法試験の合格発表後なので参考になるか分かりませんが,私の経験も踏まえてお話したいと思います。



  • ●司法試験受験後から合格発表までの就職活動について

司法試験の合格発表前に採用を行っている法律事務所はありますが,司法試験の合格発表前に採用を行っている法律事務所は大手の法律事務所がほとんどなので,競争倍率も激しいです。

そのため,司法試験の合格発表前に内定をとれる受験生は一部だけであり,司法試験の合格発表前に内定をとれなかったとしても悲観する必要はないと思います。

いわゆる四大法律事務所(アンダーソン,長島大野,西村あさひ,森濱田)は,司法試験の合格発表前に司法試験受験生の採用を行っていることは有名ですし,四大以外にも合格発表前に採用活動を行っている事務所はあります。

司法試験の合格発表前に採用活動を行っている法律事務所は,司法試験の成績では採用の可否を判断できないので,「出身大学がどこか」「ロースクールがどこか」「ロースクールの成績」「予備試験の成績」等で判断することが多いです。

私の修習同期で司法試験の合格発表前に就職が決まっていた人は,主に東大ロー,慶応ローの出身者や,予備試験で成績が良かった人などです。

私と同じ地方のロースクールの出身者でも合格発表前に採用が決まっていた人はいましたが,その人はロースクールで首席だったので,地元の有力な法律事務所に引き抜かれたというケースでした。


こんな感じで見てみると,合格発表前に内定が取れる人は

・主に東大ロー,慶応ローの出身者(その他京大,一橋,中央,早稲田ロー等の出身者など)

・予備試験合格者で成績が良かった人

・その他ロースクールで成績がとてもよかった人(首席・次席レベル)

というケースが多いように思います。


私は地方ロースクールの出身ですし,ロースクールの成績も悪くなかったものの首席・次席レベルには至らなかったので「合格発表前に就職活動しても内定は取れないだろう」と開き直って,就職活動もせずにダラダラ(ネット見たり遊びに行ったり)していました。

質問者さんは合格発表前から就職活動をされているということですので,意識が高い方だと思います。

どの事務所に入りたいかにもよりますが,大手の事務所・有名な中堅の事務所に入りたいのであれば,諦めずに面接の申込みや,サマークラークの申込みなどをしてみて頑張ってみるしかないと思います。(四大などは時期的にもう内定が出揃う頃なので,ちょっと厳しいかも知れませんが。)

大手の事務所・有名な中堅の事務所以外でも良いということであれば,合格発表後にいくらでもチャンスはあります。というか,後述のとおり大手の事務所・有名な中堅の事務所以外は,合格発表後でないと内定をくれないところも多いです。




  • ●合格発表後の就職活動について

司法試験の合格発表の後,就職活動を始める人が増えてきます。

合格発表前は「自分が合格しているか分からない」と思って就職活動をしない人も多いですし,私みたいに「合格発表前に就職活動しても内定は取れないだろう」と思っている人も多いので,合格発表を機に就職活動を始める人が増えてくるのです。


そして,この頃から「●ひまわり求人求職ナビ」というサイトや,「●ジュリナビ」というサイトで,説明会や求人に関する情報が増えてくると思います。

そういったサイトを利用したり,各法律事務所の求人ページを見ながら,面接の申し込みをすると良いと思います。

また主に首都圏で合同説明会が行われますので,首都圏での就職を希望するのであれば説明会にも参加しておくと良いと思います。

特に弁護士の就職活動はボスとの相性の問題もあり,「数うち当たる」的な要素があるため,「お祈り」され続けても諦めずに淡々と続けることが大事です。



それから,司法試験に合格したことが分かったら,お世話になった方々にお礼・合格報告の手紙やメールを出してコネを作っておくこともお勧めです(SNSを使った報告等もあり)。

就職先の法律事務所の規模にもよりますが,弁護士の就職はコネがあったほうが断然就職しやすいと思います。

私が早期に就職が決まったのは,このお礼・合格報告の手紙・メールのおかげです。

私は司法試験に合格したことが分かった後,地方で就職活動をしようとしたのですが,地方では法律事務所の求人情報が少なくて困りました。

お世話になった人にお礼をしたいという気持ちもあったので,「何か良い情報をもらえればラッキー」くらいの気持ちで,お世話になった方々(大学・ロースクールの先生,前の職場の上司・同僚,同級生,友人など)にお礼の手紙やメールを出したりしていたところ,何人の方から「就職決まったの?」とか「知り合いに弁護士いるけど採用出来るか聞いてみる?」という連絡をもらうことが出来ました。

そして,何人かの方に弁護士を紹介してもらい,事務所を訪問したり,弁護士に飲みに連れていってもらっているうちに,何人かの先生から就職のお誘いをいただき(就職活動らしい就職活動もしないまま)司法修習が始まって間もなく就職が決まりました。

採用する側からすると,採用される側の人間が「どんな人か?」というのは一番心配するところだと思います。


そして,「どんな人か?」は履歴書やエントリーシートを見ても良く分かりません。

そんな時に知り合いから「この子は悪い子じゃないよ」「変な子ではないよ」「ヤバイやつじゃないよ」という話を聞ければ,安心して採用しやすくなるのだと思います。

なので,司法試験に合格したことが分かったら,色々な人に手紙を出したり,メールを送ったり,SNSを活用したりして,コネを作っておくと良いと思います。




  • ●司法修習開始後の就職活動について

司法試験に合格すると,最高裁から「実務修習の希望地を出して」という連絡が届きます。

就職活動を楽に進めるという観点からは,実務修習地は就職を希望している場所にしたほうが良いです(希望が必ず通る訳ではありませんが)。

というのも,実務修習の中で就職が自然に決まっていく人が結構いるからです。


良くあるのが弁護修習をした法律事務所にそのまま就職するケース。

採用する側としては,司法修習生がどのような人か見極めてから採用をしたいものです。

そんな時に弁護修習で「こいつ仕事出来そうだな!」「悪い奴じゃないな!」と思われれば,弁護修習先のボスから「うちに来る?」と声をかけてもらえる可能性があります。

私は弁護修習の時,指導担当(弁護士)に頻繁に指導・注意をされていたので「嫌われてるのかな・・・」と思っていたのですが,ある日,修習先の事務所の別の弁護士から「就職決まってるの?ボス(指導担当)がウチで君の面倒みてあげると言っているけどどう?」と声をかけてもらいました。

既に就職先が決まっていたので丁重にお断りしましたが,こんな風に弁護修習先に声をかけてもらえるケースは良くあります。

また,弁護修習先が就職を希望する場所でなかったとしても,修習を一生懸命やっていれば,弁護修習先の弁護士から,他の法律事務所を紹介してもらえることもあります。

ですから,実務修習はあまり手を抜かずに一生懸命やりましょう。


ちなみに私は裁判修習でも朝早めに行って夜まで起案をしていたところ,裁判官の方から「君いつも頑張ってるね。弁護士志望なんだ?就職先決まったの?今度,弁護士会(単位会)の会長と会うから君の就職について何とかしてやってくれって言っておいてあげるよ。」と有り難いお言葉をいただいたこともありました(既に就職先が決まった後の話でしたが)。

なので,弁護士志望であっても,裁判修習・検察修習を頑張っていると良いことがあるかも知れません。





  • ●和光に戻ってからの就職活動について

今は弁護士の就職状況は売り手市場なので,普通に就職活動をしていれば和光(司法研修所)に戻る頃(二回試験の2~4ヶ月前)には就職先は決まっていることが多いと思います。

もっとも,就職活動をサボっていたり,運が悪かったりすると和光に戻る時期になっても内定をもらえていない,というケースがあります。

就職活動をサボっていた人も,さすがにこの頃になると焦って就職活動を頑張りはじめます。

「周りの同級生の多くが就職先も決まって二回試験に向けて勉強をしているのに,自分はまだ就職活動をしているなんて・・・」と悲観的になりがちなのがこの時期です。


しかし,この和光に戻った時期,二回試験の直前の時期は,実は内定をもらいやすい時期でもあります。

なぜかというと,大手以外の法律事務所の場合,すぐに来てくれる弁護士を採用したいことが多いからです。

特に比較的弁護士の数が少ない法律事務所の場合,1年後の事務所経営や仕事の状況がどうなっているか良く分からないのに,1年後のためにわざわざ司法修習生に内定を出したりするのは勇気がいることです。

そして,急にイソベンが辞めたりして「今すぐ来てくれる弁護士が欲しい」となって,採用をするパターンが結構あるのです。

二回試験の直前の時期になると,司法修習生であっても「あと数ヶ月すれば就職できます」「すぐ働けます」という状況になるので,大手以外の法律事務所にとっても,司法修習生に内定を出した後の見通しが立てやすく,採用を決めやすい状況になっているのです。

二回試験の直前の時期や二回試験が終わった頃に時期に,評判や条件の良い法律事務所が突然求人情報を出すこともあります。

そのため,二回試験の直前期になると,それまで内定をもらえていなかった人も,どんどん就職先が決まっていきます。

なので,運悪く二回試験の時期までに就職先が決まらなかった場合でも,悲観的にならずに淡々と就職活動を続けると,(よっぽど運やマナーが悪くない限り)就職先は見つかると思います。


私のロースクールの同期の中に司法修習が終わっても就職が決まらなかった人がいましたが,その人は年明けにある有名な中堅事務所へ就職が決まりました。

事情を聞くと,その中堅事務所では突然弁護士が辞めて人手不足になって困っており,すぐに働ける若い弁護士を探していたようです。そして,すぐに働ける申込者は司法修習が終わっても就職が決まっていなかった同期くらいしかいなかったため,即採用となったとのことでした。

同期は「就職が決まらなかったことでもの凄く凹んでいたが,司法修習が終わってライバルの数が減ったことで逆に有名な事務所に入れて運が良かった。」「先に就職が決まった他の同期よりも待遇も良くて恵まれていると思う。」というようなことを言ってました。

なので,就職がなかなか決まらなくても諦めずに就職活動を続けていれば良い事務所に就職できる可能性はあります。



  • ●就職先がなかなか決まらない人の特徴

質問者さんは社会人経験があり,既に就職活動もされているようですので,就職活動を続けていれば就職先は見つかると思います。

ですから,あまり心配をされる必要はないかと思います。


他方,なかなか就職先が見つからない人には,特徴があります。

一つは就職活動らしい就職活動をしていないケース。

一般的な大学生であれば就職活動の時期になると,本を買ったり説明会に参加して就職活動に関する情報を仕入れて,いくつもの会社に申込みをして,面接をいくつも受けて内定を取る,ということを当たり前のようにしています。

しかし,司法試験の合格者の中には就職活動らしい就職活動をしない人が結構いるんです。

私の同期にも飲みに行ってばかりで,あまり勉強も就職活動もしていない人がいました。

そういう人は二回試験の直前になっても就職先が決まらないことがあります。

就職活動を真面目にやっていないので,就職先が決まらないのは当然と言えば当然です。

(ただし,そんな人でも最終的に就職出来てしまうのが,この業界の良いところ。)

一般的な大学生向けの本でも良いので,就職活動対策用の本を何冊か読んで,面接での注意点,エントリーシートの書き方等について考えて実行すると良いと思います。

私は「内定勝者」という本を何冊か読みました。

●ISBN-10: 4569841627





なかなか就職先が見つからない人の2つ目のケースが,マナーや社会常識を身につけていないケース。

質問者さんは社会人経験があるとのことなので問題はないと思いますが,司法試験合格者の多くは社会人経験がないので,社会常識やマナーを勉強したことがない人が結構います。

例を挙げると

・目上の人よりも先にタクシーに乗ってしまう,目上の人より先をスタスタと歩いてしまう。

・目上の人にエレベーターのボタンを押させる。

・初対面の目上の人に名刺を渡さない。というか,名刺も名刺入れも持っていない。

・目上の人にごちそうになったのに「いただきます」「ごちそうさまでした」を言わない。お礼状を出さない。

・就職活動の面接に行くのに,見た目がロック過ぎる(髪型つんつん,シルバーアクセだらけ等)。

こんな修習生が意外といます。


こういう修習生でも就職先が決まったりするのですが,顧問先を多く抱えている弁護士などは「この子が就職した後に,顧問先の社長に合わせて失礼にならないか」「この修習生にゼロからマナーや社会常識を教えるのは大変そうだな・・・」ということ等を気にします。

なので,早めに内定を取りたいのであれば1冊で良いのでマナー本を買って読んでマナーや社会常識を身につけておくと良いです。

私は「図解 マナー以前の社会人常識」という本を買って読みましたが,社会人経験があったにもかかわらず,マナーが全然出来ていなかったことに気付きました。エレベーターに乗るときの振る舞いや,名刺のやり取りのマナーなどは,知らないと出来ないことも多いですからね。(公務員って営業活動をしないので,意外とマナーに疎いこともありますし。)。

弁護士は接客業ですし,偉い人と飲みに行くことも多いので,マナー本を1冊で良いので読んでおくと,その後の弁護士の仕事でも役立つと思います。

●ISBN-10: 4062569639


裏を返せば,きちんと就職活動への対策を立てておき,マナーなども覚えて,早い段階から就職活動をしておけば,司法修習の後半になっても就職先が決まらない,などと言う事態は(運が悪くない限り)起こらないと思います。

私が就職した時は司法試験合格者が2000人を超えていて,今よりも景気も悪かったので就職氷河期と言われていましたが,それでもきちんと就職活動をしていた同期のほとんどが司法修習が終了するまでに就職先が決まっています。(司法修習が終わっても就職先が決まらなかった人達は,前記のようにまともに就職活動をしていなかった人や,あまりにロックすぎる人達などです。)

今は合格者数も減り売り手市場になってきており,最近の司法修習生を見てものんびりとしていても就職先が決まっている人が多いので,きちんと就職活動の対策を考えて就職活動する,マナーを覚えるということを心がけていただければ,就職についてそれほど心配することはないのではないかと思います。


もしまた不明な点などあればコメントしていただければ分かる範囲でお答えしたいと思います。


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Comments(5) |  │   (16:55)

2019年04月01日


※※※※※※※※※※※※※※※
お世話になります。
お忙しい中大変恐縮ですが、もう一つ質問させてください。
弁護士業界はこれから40年、どのようになると考えますか。

今後、少子高齢社会による財政逼迫が深刻化し、夕張市のように破綻する自治体が近い内に都内でも現れるでしょう。
私の勤め先では、終身雇用とはいえ毎年ボーナスカットが進んでいます。アルバイトの雇止めも進み薄給激務の傾向が強まっています。非常に不安です。

一方で弁護士はAIの台頭により、これから無くなる職業として挙げられています。晴れて弁護士になったとして、比較的高給であるが先が短いのではないかと考えてしまいます。若手から50代までのキャリアパスは一般的にどのようになりますか。弁護士は将来も需要があるのでしょうか。

学生時代からの夢。諦めるつもりはさらさらありませんが具体的なビジョンが欲しいです。
よろしくお願いします。
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弁護士の将来については,

(1)弁護士の仕事がAIに取って代わられるか

という問題と

(2)弁護士数と人口のバランス

を考える必要があると思います。


(1)弁護士の仕事がAIに取って代わられるか



まず(1)の「弁護士の仕事がAIに取って代わられるか」という点については,「現時点での制度を前提にすると,交通事故等の一部の分野を除いて,弁護士の仕事がAIに取って代わられる可能性は低いだろう。」というのが個人的な見解です。

以下理由を述べていきます。


・判例を集めるのが難しい,判例を集めたとしても画一的な方針を決めることが難しい

「弁護士の仕事がAIに取って代わられる」という論拠の根拠として,「AIは膨大な量の判例を記憶して,その中から適切な解決方法を選択し,書面等まで作成することができる。だから,弁護士の仕事がAIに取って代わられるんだ。」ということが言われていると思います。

しかし,AIが「膨大な量の判例」を記憶するためには,AIにインプットするための「膨大な量の判例」を用意しなければなりませんが,現在の制度では公表されている判決はごく一部だけであり,AIが必要とするだけの判例を用意することは困難だと思います。

我々が普段弁護士業務をしている中でも「判例システム」を使って似たような判例を探すということはやっていますが,似たような判例がデータ上存在しない,というケースが多々あります。

むしろ,全く同じ事例はないと言っても過言ではないですし,全く同じ事例がないからこそ弁護士という仕事が必要になっています。

そういった時は,弁護士が依頼者から良く話を聞いた上で,自分の頭で考えて最善の方針を立てる必要がありますが,こういった作業はAIが不得意な分野だと思います。



・日本では規範を立てなで結論を出している判決が多い

裁判官が判決を書くためには,裁判官が「規範」という基準を作って,それに事実を当てはめて結論を導く,というやり方をするのが本来の姿です。

このような本来の姿の判決が多くあればAIに情報をインプットすることで画一的な結論を導ける可能性はあると思うのですが・・・しかし実務では裁判官が「規範」と立てずに結論を出している裁判例がとても多いです。

特に最高裁の判決などを見ていると,なぜそのような結論になったのか,理由がはっきりしないものが少なくありません。

この「規範を立てない判決」は批判もされているところですが,なぜ判決がそのような結論になったのか理由がはっきりしない場合には,どのような事実が結論に影響を与えるのか,判例評釈などを大量に読んだ上で自分の頭で考えて推測を立てていくしかありません。

判決の結論に至る理由がはっきりしない以上,AIに大量の判決の情報をインプットしたとしても,AIが画一的な結論を導くということは難しいと思います。



・和解に関するデータを集めるのが難しい

また,民事訴訟の半数以上は,判決によらずに「和解」と言って話合いで解決されています。

依頼者の利益を最大化するためには,和解についても適切な判断をする必要があります。

AIが「和解をすべきか」「和解をするとしてどういう和解をすべきか」という判断をするためには,和解に関する大量のデータを集める必要があります。

しかし,成立した和解のデータは公表されていませんし,和解に至る過程についても裁判所の記録にはほとんど残っていませんので,AIにインプットするための和解のデータを集めるのも難しいと思います。

さらに,和解をするためには,相手方が何を考えているかを推測した上で,駆け引きをすることが必要なることもありますが,AIにそのような駆け引きがどこまで出来るかという問題もあります。



・まとめ

以上のように考えると,「日本において,弁護士の仕事がAIに取って代わられる可能性は低いだろう。」というのが個人的な見解です。

ただし,交通事故等の一部の分野については,裁判例のデータが大量にありますし,判決に至る基準も基本的に「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」や「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という本などがあり,比較的しっかりしてます。

なので,交通事故等の分野に限って言えば,必要な情報を入力することで自動的に訴状を作る,といったシステムを作ることは可能ではないかと思います(比較的シンプルな事案であれば,今でもそういったシステムは作れるはず。)。

ただ,こういったシステムを作ったとしても,個人が1件の交通事故だけのためにシステムを買うということはちょっと考えにくいので,法律事務所がシステムを購入して弁護士の業務の補助に使う,という形になるのではないかと思います。





(2)弁護士数と日本の人口のバランス


弁護士の将来を考える上では,AIの問題よりも「弁護士数と日本の人口のバランス」の影響のほうが大きいと思います。

現在は司法試験の合格者も1500人程度となり,就職難の状況も解消されたようですが,依然として弁護士の数は増え続けています。

日弁連の資料によれば「司法試験合格者1500人を維持していくと,法曹人口総数は,2062年に6万5324人となって,新規法曹資格者と法曹でなくなる者が均衡し,安定する。この時の弁護士人口は5万7464人と予想される。」とされています。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2016/1-3-7_tokei_2016.pdf

2018年の弁護士数は4万0066人で日本全体の人口が約1億2644人ですから,弁護士1人あたりの日本人口は約3156人です。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2018/1-1-1_tokei_2018.pdf

他方,前記のとおり2060年頃の弁護士数が5万7464人だとして,「平成30年版高齢社会白書」によると2060年頃の予想される日本の人口が9284万人ですから,弁護士1人あたりの日本人口は約1616人です。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_1_1.html


仮に司法試験の合格者が1500人のままだとすると,単純計算で弁護士1人あたりの日本人口が半分程度になり,その結果,弁護士の平均収入も半分程度になってしまうかも知れない,ということが考えられます。

ただ,私はこの点についても少し楽観視をしていて,いずれ日本の人口が減り,学生の数が減るについて,司法試験の合格者数も減っていくと思いますし,弁護士の収入が半分程度になってしまう可能性も低いと思います。

弁護士の就職難が問題になった時も,国もさすがにまずいと思ったのか,司法試験の合格者数を絞っていますし,今後,仮にまた弁護士に就職難が問題になるようなことがあれば,司法試験の合格者数を減らす方向の議論が出てくると思います。

また,日本の人口が減るということは,企業においても労働力が減るということですので,元弁護士等,ある程度専門的な知識を持った人材を今よりも多く採用するという場面が出てくるかも知れません。

現在も,一部の自治体が弁護士を公務員として採用しようと募集をしていますが,なかなか弁護士からの応募が無くて弁護士を採用できないでいる,という状況があるようです。

したがって,弁護士の数が増え,日本の人口が減るにつれて,本来の弁護士業務以外の仕事をする弁護士(又は元弁護士)が増えていったり,司法試験の合格者数が減り,受給バランスがそれほど大きくは崩れないのではないかと思っています。

また,私の現在の収入を前提にすると,仮に収入が半分になったとしても食べていけないことはないかと思います。

個人的には,仮に弁護士としての仕事が大幅に減るようなことがあれば,人生1回しかない訳ですし,他にもやってみたい仕事がたくさんあるので,他の仕事に挑戦してみたいと思っています。




(3)弁護士の資格を取ることはキャリアの自由度が増えるということ


最後に。

質問者された方は「今後、少子高齢社会による財政逼迫が深刻化し、夕張市のように破綻する自治体が近い内に都内でも現れるでしょう。私の勤め先では、終身雇用とはいえ毎年ボーナスカットが進んでいます。アルバイトの雇止めも進み薄給激務の傾向が強まっています。非常に不安です。」という不安を抱えて,弁護士を目指されているということですが,私も公務員をしていた時,同じような不安を抱えていました。

今振り返ってみると,あの頃の自分の視野は狭かったなと思います。

司法試験に合格した今になって思うことは「人生は思ったよりも自由なんだ」ということです。

司法試験に合格した後のキャリアとしては,一般的には弁護士・裁判官・検察官等になる人が多いですが,司法試験に合格して法律の基本的な知識を身につけることで,仕事の幅はそれ以外の職業,例えば経営者,政治家,経営コンサルト,企業や官公庁のインハウス等,色々な職業に広がっていきます。

司法試験に合格すると,仮に他の仕事に挑戦をして失敗をしたとしても,また弁護士に戻れって頑張って働けば食べられないということはないだろう,という安心感があります。

なので,司法試験に合格するということは,弁護士という仕事を目指すというだけでなく,人生の選択肢を広げるという観点でも挑戦をする価値はあるかと思います。


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Comments(0) |  │   (19:11)



以下の質問をいただきましたので回答したいと思います。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※
いつも記事を見ているものです。
私は4月から市役所の職員になるのですが管理人様の記事で弁護士もいいなと思いました。
そこで、前職が市役所の弁護士は就職は不利なのでしょうか?
ぜひお願いします。
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結論から言うと,

・基本的に元公務員(市役所職員)だからと言って,それだけで弁護士としての就職が不利になる,ということはない

・ただし弁護士になる年齢が遅くなると,一部の大手事務所への就職は難しくなることがある

というのが私の見解です。


私が就職活動をしていた時期はいわゆる就職氷河期で,司法修習が終わる直前になっても就職が決まらないという修習生も結構の割合でいました。

しかし,私は幸いにも何件かの事務所からお声をかけていただき,かなり早い段階で内定をいただくことができました。

内定をもらった後も,修習生の同期から「君が元公務員だという話を聞いて,会ってみたいと言っている弁護士がいる。」という話をもらったりしていましたので,元公務員を採用したいというニーズは一定割合であるのだと思います。

たとえば,顧問先に自治体を抱えている法律事務所であれば「うちの事務所には元公務員がいるので内情も分かっています。」というアピールにもなると思いますし,自治体から相談を受けた時に事務所に公務員の内情を分かっている弁護士がいたほうが便利,ということもあると思います。

また,私の知り合いの弁護士の中には「社会経験のない新人は,ビジネスマナーのイロハから教えなければいけないので面倒。」「社会経験があってビジネスマナー等がしっかりしている人のほうが,即戦力になるので,できれば元社会人を採用したい。」という人もいます。

そのため,元公務員ということが,弁護士としての就職において有利に働く場面はあると思います。


他方,大手の事務所では,年齢の若い人を優先して採用するという事務所もあります。

弁護士の数が多い事務所の場合,30代ないし40代の弁護士を採用すると,20代の先輩弁護士が30代ないし40代の後輩弁護士を部下として使うことになって,やりづらい,という配慮があるのだと思います。

そのため,「元公務員であるか」という問題とは別に,社会人経験を経たために弁護士になる年齢が遅くなると,一部の大手事務所への就職は難しくなると思います。



弁護士業界は数年前までは買手市場で就職状況も厳しかったですが,去年あたりからは売手市場に転じていて,修習生の話を聞いていても,さほど苦労することなく就職先が決まっているようです。

したがって,就職先に強いこだわりがある訳でなければ,公務員から弁護士に転職をしたとしても,就職活動で困るということはないと思います。


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Comments(2) |  │   (19:06)

2019年03月03日

質問をいただきましたので,私の分かる範囲でお答えしようと思います。

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管理人様
いつもお世話になっております。
度々の質問で大変恐縮です。

司法試験後の就職活動についてお伺いします。
私は司法予備試験を経て司法試験に合格し、M&Aに携わる弁護士を目指しております。
しかし、そういった内容の業務に携わる事務所に入るには法科大学院で専用の授業を履修していなければならないと聞きました。
予備試験合格者は結局のところ、個人相手やインハウスしか道がないのでしょうか。司法試験の成績が良くても4大事務所にはいることはできないのでしょうか。

長文大変失礼しました。
よろしくお願いします。
※※※※※※※※※※※※※※※


私は四大法律事務所等の大手の事務所で就職活動をしたことはありませんが,修習の同じクラスの同期に何人か四大法律事務所に就職した人がいるので,私の知っている範囲でお答えしたいと思います。


○予備試験と四大法律事務所


四大法律事務所は,予備試験合格者だからといって就職できないということはありません。

私の知っている範囲の同期でも,予備試験合格者で四大法律事務所に就職した人は何人かいます。

司法試験合格者のための「ジュリナビ」というサイトがあるのですが,そこで五大法律事務所(西村あさひ,アンダーソン・毛利・友常,森・濱田,長島・大野,TMI)における,予備試験合格者を含めた法科大学院ごとの割合が記事になっていましたので,そちらを参考にしてみてください。

これを見ると四大法律事務所に入所した弁護士のうち,4~7%は予備試験合格者であることが分かります。






むしろ,予備試験は500人弱しか合格しないため,若くして予備試験と司法試験に合格すれば,優秀な人材であるというアピールになり,四大法律事務所への就職も有利に進められるとか,四大法律事務所は予備試験合格者の青田刈りをしている等と言われたりしています。

四大法律事務所の中には,予備試験合格者のみを対象にしたクラーク・プログラム(ちょっとしたインターンのようなもの)を実施しているところもありますが,これは四大法律事務所としても予備試験合格者の採用にも力を入れているからだと思います。


ただ,予備試験合格者として四大法律事務所に入る場合であっても,出身学部は東大,慶応,早稲田,京大等の大学が有利だと思います。

私の同期で四大法律事務所に行った人も,確か東大と慶応だったはず。


また,予備試験合格者だけでなく法科大学院卒業生もそうですが,四大法律事務所に入るためには若いほうが有利です。

20代後半ないし30代でも四大法律事務所に就職した人がいるという噂は聞いたことがありますが,私の知り合いにはいません。

おそらく大手企業での社会人経験があるとか,語学に堪能であるといった特徴を持っていないと,20代後半ないし30代での四大法律事務所への就職は厳しいと思います。

また,司法試験に1回でも落ちると四大法律事務所への就職はかなり厳しいと思います(少なくとも私の同期で四大法律事務所に入った人は全て1発合格です。)。



○四大法律事務以外の法律事務所について


「M&Aに携わる弁護士を目指しております」とのことですが,四大法律事務所以外にもM&Aに携わっている法律事務所はありますし,四大法律事務所に入所したからといって,全員がM&Aをメインでやっている訳でもないと思います。

また,四大法律事務所以外の弁護士が,皆,個人の方を依頼者とする弁護士になったり,インハウスになっている訳ではありません。

むしろ,「個人の方のみを依頼者として,企業からの相談や依頼はほとんどない。」という事務所のほうが少ないのではないかと思いますし,四大法律事務所以外にも主に企業の顧問を多く抱えている事務所はたくさんあります。

M&Aは税理士法人が携わることも少なくありませんが,そういった税理士法人が弁護士を募集していることもあります。

したがって,M&Aに携わる弁護士になりたいのであれば,四大法律事務所を目指すことも良いことだと思いますが,他の事務所にも広く目を向けてみるのも良いのではないかと思います。



○法科大学院におけるM&Aの授業について


また,M&Aに携わるためには,法科大学院で専用の授業を履修しなければならない,ということもありません。

私も法科大学院の時にM&Aの授業を受け,成績もとても良かったのですが,実務ではほとんど役に立っていません・・・。

教授から西村あさひの「M&A法大全」という本を指定され(当時は2001版。今年新版が出たみたいです。),必死に読んだのですが,やはり本を読んだり授業を受けているだけでなく,実際に業務に携わってみないと分からないことだらけだと思います。税法の知識も必要ですし。

★M&A法大全


実際にM&Aの仕事に携わるのであれば,弁護士になった後に必死でまた勉強する必要があると思いますし,実際にM&Aに携わっている実務家の多くが日々努力をして知識や経験を積み重ねていると思います。



○四大法律事務所の就職活動


なお,四大法律事務所は,事実上司法試験に合格する前から就職活動が始まっています。


予備試験に合格した後,先程お話ししたクラーク・プログラム等に参加をする等して,司法試験を5月に受験し,翌月の6月頃からは内定が出始め,司法試験の合格発表がある9月には採用はほぼ終わっています。

なので,四大法律事務所への就職を考えているのであれば,事前に四大法律事務所のHP等を十分にチェックしておいたり,情報収集をしておいて,予備試験に合格した時点で,四大法律事務所でのクラーク・プログラムに申し込む等,早め早めに動いたほうが良いと思います。

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