仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが、思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し、現在は弁護士として働いています。 自分が受験生の時は情報が少なく相談できる人もいなかったため、色々と悩むことも多かったです。 公務員のこと、司法試験のことなどについて、受験生の方に参考になるかも知れないことを書いていけたらと思っています。 質問がある方はコメント欄に記載してもらえれば可能な範囲で回答したいと思います。回答まで時間がかかることが多々ありますがご容赦ください。

司法試験の受験に役立つ資格試験について



  • (1)法学検定


「法学検定」は「公益財団法人日弁連法務研究財団」という団体が実施している民間資格で,法律系資格の登竜門と言えるような試験です。

民間資格ですが「法学検定」を受験しておくと,法科大学院(ロースクール)によっては入学試験で点数を上乗せしてくれる場合があります。

また,「法学検定」は「ベーシック〈基礎〉コース」→「スタンダード〈中級〉コース」→「アドバンスト〈上級〉コース」というように,少しずつレベルを上げて受験することができるため,中期的な目標を立てやすく,勉強も挫折しにくいですし,順番に受験をすることで十分な実力がつくように工夫がなされています。

勉強方法も「法学検定試験委員会」から販売されている問題集をこなすだけで合格できるので,何をやれば良いのかが明確で勉強もしやすいです。

「アドバンスト〈上級〉コース」に合格するくらいの実力がつけば,司法試験合格はかなり現実的なものになるでしょう。

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●ISBN-10: 4785725133



  • (2)ビジネス実務法務検定試験


「ビジネス実務法務検定試験」は商工会議所が行っている法律系の試験で,日商簿記の法律バージョンみたいなものです。

問題の質がとてもよく,実際の仕事に役立つ知識を得ることができます。

というか弁護士の立場から見ると「ビジネス実務法務検定試験2級」程度の知識もないのに,ビジネスをやっている人を見ると恐くて仕方がありません。

仕事をやっている人であれば司法試験を受験するか否かを問わず,勉強をしておいて損をすることはない資格です。

法務部に異動したい人は「ビジネス実務法務検定」を取っておくと人事部に対するアピールになるでしょう。

1級はかなり難しいので,とりあえずは2級くらいまでとっておけば十分です。

2級までであれば勉強方法は至ってシンプルで,商工会議所が出版している「ビジネス実務法務検定試験公式テキスト」を読みながら「ビジネス実務法務検定試験公式問題集」を繰り返すだけです。

私は仕事帰りにスターバックスに寄ってテキストと問題集を繰り返し,半年程度で3級と2級に合格しました。

●ISBN-10: 4502221414

●ISBN-10: 4502221511




  • (3)宅地建物取引士


「宅地建物取引士試験」は「法律系資格の登竜門」と言われることもあって,比較的簡単に合格することができ,しかも他の法律系の資格試験の受験に役立つ知識を得ることができます。

しかも,「宅地建物取引士試験」に合格すれば,仕事や転職に役立つ「宅地建物取引士」という資格を得ることができるので,最終的に司法試験を諦めたとしても勉強が無駄になることがありません。

私も司法試験にチャレンジする前に「宅地建物取引士試験」を受験し合格しました。

「宅地建物取引士試験」で得た知識は,弁護士になった今でも役に立っています。

「宅地建物取引士試験」の内容や勉強方法は「●仕事を辞めて転職したい人におすすめの資格1:宅地建物取引士」「「宅地建物取引士試験」の勉強方法」という記事にまとめていますので参考にしてみてください。



司法試験予備校に(できるだけ)通わずに約1年で予備試験に合格する方法・参考書などについて

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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初めまして。つい最近このサイトを教えてもらい閲覧させてもらっている者です。
現在法学部に通っている大学一年生です。
つい先日学校の一年生対象の法曹志望のゼミに入り始めての授業的なものを受けてきました。
内容はただのオリエンテーションだったのですが同級生でも既に入門書を読み終えていたり某予備校に通っている人もいて内心とても焦っています。
家庭の事情もあり予備校には通わないルートで予備試験、司法試験に受かりたいと思っています。
・・・
来年の予備試験を受けてできる限り受かりたいと思っています。
とりあえずブログでも紹介されていた伊藤塾の入門書を頼んだので届いたら全部2,3周は読もうと思っています。
・・・
その後のルートや参考書を一緒に考えてもらえるとありがたいです。
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  • ■予備校の利用について

私の同級生の中には予備校に通わずに予備試験や司法試験に合格した人は何人もいますし、私自身も経済的な理由や時間的制約があったため、予備校は、答練やDVDなどで販売されている単発の講座をいくつか受講する範囲でのみ利用していました。

なので、予備校に通わずに予備試験や司法試験に合格することは可能だと思います。

ただし、後記のとおり、可能であれば答練や直前模試については、予備校を利用することは検討しても良いと思います。

また、一般論としては、予備校を利用すればひととおりの講義受けることができる他、合格までのスケジューリングなどを示してくれますし、必要な教材を提供してくれますので、予備校を利用するメリットはあります。

質問者以外の方で予備校を利用することを検討されている方は、予備校を利用するメリットと、金銭的・時間的事情を比較衡量した上で利用を検討するのが良いと思います。





  • ■全体的なスケジューリングについて

来年の予備試験を受験するということであれば、短答式試験まで約11ヶ月、論文式試験まで約13ヶ月しか時間がないということになります。

そのため、来年の予備試験の合格を目指すのであれば、きちんとしたスケジュール管理をした上で、効率的な方法を目指す必要があると思います。

また、全ての範囲を完璧にこなすことはおそらく無理だと思いますので、本試験で出題される可能性の高い分野や、ミスをした場合に致命傷となりうる部分を重点的に学習するなど、メリハリをきかせた学習が必要になると思います。

以下、私が質問者さんと同じ立場であったら、どのような計画を立てるかについて説明したいと思います。

なお、私が受験生の時点では予備試験の制度はなかったため、以下の説明はあくまでも私が現時点で予備試験の受験生の立場だったら、という仮定の話になります。その点はご了承ください。


また、勉強の全体的・一般的な流れは以下の記事でまとめていますので、そちらも参考にしてください。







  • ■入門書を読む

相談者の方はすでに入門書を読む予定とのことですので、詳しい説明は不要だと思いますが、他の記事にも書いているとおり、最初は入門書の通読からはじめるのが良いです。

入門書に書いてあることは基本的な部分が理解できていると、その後に勉強の効率が上がります。



  • ■入門書の通読が終わった後は、早めに論文式問題集と短答式問題集に取り組む

予備試験は5月に短答式試験が、7月に論文式試験がありますので、1年前後で合格することを考えると、できるだけ早い段階で問題集に手をつけておいたほうが良いです。


論文式問題集は自分に合ったものを選んでいただければ良いと思いますが、他の記事でも書いてあるとおり、個人的には予備試験受験生であってもとりあえず基本的には「伊藤塾試験対策問題集 論文」(「予備試験論文」ではないほう)をおすすめしています。

科目によっては、他の問題集や参考書の利用を検討したほうが良い場合もあります。

各科目のおすすめの参考書等の詳細については以下の記事も参考にしてください。


また論文式問題集の選び方については以下の記事でも書いていますので参考にしてください。



「伊藤塾試験対策問題集 論文」にあるAランクの問題は各科目30問程度なので、論文式試験までの約1年という期間を考えると、問題数として処理可能な現実的な範囲だと思います(問題数が多い問題集や、ランクが付いていない問題集を使うと消化不良になる可能性が大きいので)。

Aランクの問題の解答例を何度も読んだり、解答例を見ないで自分で答案を書いてみたりして、解答例の同じような答案を書けるように訓練をするのが良いと思います。


「伊藤塾試験対策問題集 論文」にあるAランクの問題の多くは、各科目の軸となる論点ですので、何度も読んだり書いたりすることで、各科目の考え方の柱の部分が少しずつ分かってくると思います。

ただし、「伊藤塾試験対策問題集 論文」の問題と解答例を何度読んでも分からない部分や、しっくりこない部分が出てくるはずです。

そのような部分については、基本書・予備校本・判例集などの該当箇所をじっくりと読んで、理解を深めていくという作業が必要になります。


基本書、予備校本、判例集などは、本屋さんなどで自分に合いそうなものを選んでもらえれば良いと思いますが、これも以下の記事でおすすめの参考書について記載していますので、参考にしてください。



理想的には、論文式試験の3~4ヶ月前までには、Aランクの問題については、ひととおり解答例と同じような答案を書けるようにしておきたいところです。

そのためには、各問題集を何周すれば良いのかを考えた上で(何周すれば覚えるかは人によって異なります。)、毎日何問ずつ処理をしていくか、スケジューリングをする必要があります。


現実問題としては、予備試験・司法試験の合格者の中でも、「伊藤塾試験対策問題集 論文」にあるAランクレベルの問題ですら、十分に書けない・理解できていない、という人は少なからずいると思います。

しかし、上記のAランクレベルの問題の理解が不十分だと、本試験で大怪我をする可能性が非常に高くなるので、とにかくAランクレベルの問題については、きっちりとマスターしようという意識を持っておくことが大事だと思います。




  • ■短答式問題集も並行してこなしていく

予備試験では選択科目以外の科目は短答式試験がありますので、論文式問題集とは別に、早い段階で短答式試験の問題集にも手をつけておく必要があります。

短答式問題集も自分に合いそうなものを選んでもらえば良いと思いますが、質問者の方については試験まで時間がないことを考えると、短時間で回しやすい肢別本(一問一答式の問題集)を使うのが良いと思います。

肢別本はアプリと書籍があります。

●書籍



●肢別本のアプリ



アプリのメリットは持ち運びが便利でスキマ時間を効率的に使えることや、間違った問題だけを復習する等の作業がやりやすい点にあると思います。

他方、アプリでは事案図やメモを自由に書き込みできないというデメリットもありますので、それぞれのメリットとデメリットを踏まえた上で、どちらを使うか(あるいは両方を使うのか)を考えたほうが良いと思います。

肢別本は、コンパクトなので場所を選ばず使えるのがメリットですが、人によっては単調で苦痛に感じるかも知れません。


肢別本以外では、本番と同様の形式(5つの肢から正解を選ぶ形式等)の問題集があります。

このタイプは回すのに時間がかかるので、使う場合には消化不良にならないようスケジューリングが必要になると思います。

●短答過去問パーフェクト


一般的には、本試験まで短答式の問題集を3周~5周程度回す受験生が多いと思います。

理想的には本試験までに過去問の8割~9割程度は正解できるようにしたいところです。

毎日何問ずつ処理すれば8割~9割程度は正解できるようになるか(これも人によって異なります。)を考えた上で、毎日決めた問題数を機械的に処理していく必要があります。

短答式は基本的に勉強をした時間に比例して点数が伸びていきますので、過去問を繰り返しつつ、分からないところを基本書などに戻って確認する、という「作業」を愚直に繰り返す必要があります。




  • ■民事実務基礎・刑事実務基礎

予備試験では、民事実務基礎と刑事実務基礎という科目があります。

民事実務基礎では主に要件事実と事実認定などが、刑事実務基礎では主に事実認定・刑事手続・法曹倫理などが出題されます。


実務基礎科目は、民法・刑法・刑事訴訟法を理解していないと勉強効率が悪いという特徴があるので、民法・刑法・刑事訴訟法の勉強がある程度進んだ後に手を着け始めるのが良いと思います。

試験直前になって「実務基礎科目の勉強をしていなかった!」とならないように、スケジュールに組み込んでおく必要があります。

他の記事(忙しい社会人の予備試験・司法試験に向けた勉強時間の確保と勉強方法について(その2))でも書きましたが、私が時間がない受験生であれば以下のような勉強をすると思います。


・「新問題研究要件事実」に出てくる要件事実とその考え方を押さえる

・「紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」を読んで「新問題研究要件事実」には記載のない要件事実を押さえておく

・法曹倫理、刑事実務基礎については、予備校が出版している参考書などを利用してざっと頭に入れる

●新問題研究要件事実

●紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造

要件事実には色々な問題集や参考書がありますが、時間がない場合には「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」に掲載されている要件事実をきちんと押さえることが大事だと思います。

私も色々な本に手を出して遠回りしましたが、最終的にはこの2冊に落ち着きました。(「紛争類型別の要件事実」は何度も読み込んでいると1~2時間程度で通読できるようになるため、試験直前に高速で復習できるツールになります。)

「新問題研究要件事実」は読みやすいので、民法の勉強がある程度進んだ後に読めば十分に理解できると思います。

「紛争類型別の要件事実」は、解説がシンプル過ぎて最初のうちは難しく感じると思いますので、岡口基一裁判官の「要件事実マニュアル」の1巻と2巻を辞書として手元に置いておき、分からない時に参照できるようにしておくと良いと思います(なお、3巻以降は受験生の時点では必要ありません。)。

●要件事実マニュアル





民事実務基礎・刑事実務基礎に関し、予備校が出版している参考書については、以下のいずれか、または複数を使っている人が多いと思います。

●刑事実務基礎の定石

●司法試験予備試験 法律実務基礎科目ハンドブック

●民事実務基礎 (伊藤塾試験対策問題集:予備試験論文)




  • ■一般教養対策

2022年度から予備試験の出題科目に一部変更されます。

その結果、一般教養科目は短答式試験のみとなり、論文式試験での一般教養科目は廃止されます。

制度の変更点は早稲田セミナーのウェブサイトの説明が分かりやすかったです。




短答式試験における一般教養科目は、40問程度の中から20問を選択して回答する内容となっており、大学受験レベルの知識で解ける問題も多いため、大学入試である程度の勉強をしていた人であれば、それなりの点数は取れると思います。

ほとんどの受験生は一般教養科目の勉強をする時間が十分に取れないまま、試験本番を迎えるというのが実情だと思います。

法務省のウェブサイトにある過去問を解いてみて、何割程度解けそうか確認してみてから、対策の必要性を検討するのが良いと思います。



  • ■選択科目対策

2022年度から予備試験に一部変更があり、論文式試験で選択科目が追加されます。

この点は、辰巳法律研究所のウェブサイトの説明が分かりやすいと思います。





選択科目の追加は、時間のない予備試験受験生にとっては、結構な負担になると思いますが、制度が変わる以上、避けては通れません。

まず、どの選択科目を受験するかを決めなければなりません。

独学で勉強をする場合には、教材が手に入りやすい労働法や倒産法を選ぶのが無難だと思います。

労働法と倒産法の知識は実務でも必要となることが多いですし、民法や民事訴訟法の勉強と重複する部分もあるので、他の科目の理解度の向上にも繋がります。

ただし、労働法を選択した合格者に聞くと、労働法は覚える量が多い(らしい)です。

倒産法も覚える量は「やや多め」です。


私は倒産法を選択しました。

倒産法は条文の数が比較的多く理解するまでにある程度の時間が必要になるものの、ある程度の訓練をしておけば、論文式試験ではどんな問題が出ても手元にある条文を頼りに、そこそこの答案を書くことができる(知らない問題が出て大怪我をするというリスクは少ない)という印象です。


経済法・国際私法・租税法・環境法などのほうが合格までに必要な学習量が少ないため、時間が足りないという場合で、「教材が比較的少なくても独学できる自信がある」という場合や、「他の選択科目のほうが興味があってやる気が出る」というような場合には、経済法・国際私法・租税法・環境法などから選んでも良いと思います。

ちなみに、経済法や国際私法の知識は、大きな法律事務所以外ではあまり使わないことが多いと思います(街弁の私はほとんど使うことがない。)。

環境法も、一般的な弁護士は使う場面は少ないと思います。

租税法は実務でも使うことがあるのですが、簿記や会計が分かっていないと知識を活用しずらいと思います。

そういった意味で、実務で活用することまで考えると、やはり労働法か倒産法が、つぶしがききやすいと思います。




その他の選択科目としては、知的財産法・国際公法があります。

知的財産法・国際公法は、「知的財産法・国際公法が大好き!」という受験生が選択することが多く、他の受験生のレベルが高いので、難易度は高めだと思います(知財・国際公法が好きな人であれば問題ないともいます。)。




前記のとおり私は司法試験では倒産法を選択しました。

参考までに私が使った教材と、使い道を記載しておきます。

・山本和彦先生の「倒産処理法入門」
⇒入門書として通読

・伊藤眞先生の「破産法・民事再生法」
・判例百選
⇒調べ物をする時に利用、通読はしてない

倒産法演習ノート(おすすめ)
・選択科目えんしゅう本〈2〉倒産法
⇒主要論点の学習に利用

●倒産処理法入門
●破産法・民事再生法(伊藤眞)
●判例百選
●倒産法演習ノート
●司法試験論文 選択科目えんしゅう本〈2〉倒産法



  • ■論文式試験の過去問

ある程度勉強が進んで来たら、論文式試験の過去問を時間を計って解き、合格答案と自分の答案を比較して分析をする、という作業をしたほうが良いです。

理想を言えば、論文式試験の半年前くらいから、過去問の分析はしたいところです。

質問者の方は、法学部生ということなので、予備試験を受験する予定のある同級生や先輩などとゼミを組んで、過去問を解き、法務省のウェブサイトで公表されている出題趣旨などに基づいてお互いの答案を批評し合う、という作業をすることも有益だと思います。


合格者の再現答案は各予備校が出していますが、私は辰巳法律研究所の「ぶんせき本」を使っていました。

●令和2年(2020年)司法試験予備試験 論文本試験 科目別・A答案再現&ぶんせき本




  • ■短答式試験の過去問など

肢別本(一問一答式)を使って短答式試験の勉強をしていた場合には、本試験の数ヶ月前から、年度別の過去問集などを使って本試験形式(複数の肢から正解を選ぶ形式)の問題の処理方法に慣れておく必要があります。

●司法試験&予備試験 単年度版 短答過去問題集(法律基本科目) 令和2年



  • ■答練・直前模試を受ける

質問者の方は、「予備校は通わない」ことを考えているということですが、可能であれば答練(後期・第2クール)と直前模試だけでも受講しておくことをおすすめします。

私は受験生時代は親からの援助を受けておらず貯金と奨学金でやりくりしていたので金銭的な余裕はあまりありませんでしたが、書籍代と答練・直前模試の費用は合格のための必要経費と割り切って予算を確保していました。

答練は、主に前期(第1クール)と後期(第2クール)がありますが、後期(第2クール)から受講する受験生が多いと思います。

前期(第1クール)の答練は無理してまで受講する必要はないと思います。

後期(第2クール)の答練と直前模試は多くの受験生が受講するため、本試験で答練・直前模試と同様の論点が出題された場合に、差をつけられてしまう可能性があります。

また、論文式試験では、知識だけでなく、与えられた時間内で、問題の趣旨を読み取って、途中答案にならにように答案を書き切る能力を身につけるための訓練も必要になります。

そのためには、時間を計って本試験形式の論文式試験の答案を何度も書く、という作業を繰り返す必要があるのですが、答練や模試を受けていないと、この訓練が不十分になるおそれがあります。

そのため、可能であれば、1校で良いので、後期(第2クール)の答練と直前模試は受講しておくことをおすすめします。


費用は予備校によって異なりますが、辰巳法律研究所の場合、後期(第2クール)の答練が12万8500円~14万2200円程度、直前模試は2万6600円程度のようです。








どの予備校の答練・直前模試を受けるかは、費用との兼ね合いもありますが、多くの受験生が受講している予備校の答練・直前模試を受講したほうが良いと思います。

他の受験生が受講している答練・直前模試と同様の論点が本番で出題された際に、自分だけその論点の学習が不十分だと、不利になる可能性があるからです。

私が受験生の時は、辰巳法律研究所の答練・直前模試を受験している同級生が多かったですが、最近の司法修習生の話を聞いていると伊藤塾や他の予備校の答練・直前模試を受験した人も増えているように思われます。

最近では受講料の安さを売りにした新しい予備校(資格スクエア、アガルートなど)の受講生も増えてきているようです。

周りの受験生の話を聞いてみて、受講している人が多い予備校の答練・模試を受験するのが無難ではないかと思います。



金銭的な理由などでどうしても予備校の答練や直前模試を受験できない場合には、論文式試験に慣れておくために、過去問を時間を計って解く、という訓練を多め行っておいたほうが良いと思います。



  • ■弱点と予想論点の補強

予備校の答練や直前模試を受験すると、他の受験生と比較する形で点数が出るため、自分の知識不足・理解不足の科目が分かると思います。

金銭的な事情で答練や模試を受けることができない場合でも、ゼミを組んで仲間と過去問を解き、答案を見せ合うことでも自分の弱点を知ることができます。

予備試験は相対的な試験であるため、他の受験生との比較した際に、自分の弱い部分を補強する必要があります。

そのため、本試験の直前期には、自分の弱点を補強するための時間を確保しておくと良いです。

また、例年、論文式試験の直前の時期になると、辰巳法律研究所の「ハイローヤー」という雑誌などで、論文式試験の予想論点の特集が取り上げられることが多いです。




特に刑事系や公法系では予備校の予想があたることが多いので、論文式試験の直前期には、上記の論文式試験の予想論点の特集記事などを見て、予想論点について、自分の知識や理解に穴がないか確認・復習をしておくと良いです。



  • ■その他

勉強方法とは直接的には関係しませんが、予備試験・司法試験の勉強をする上では勉強仲間を作っておくことをおすすめします。

質問者の方は法学部で法曹志望のゼミに所属しているということですし、予備校に通っている同級生もいるようですから、仲間を作りやすい環境にあると思います。


予備試験・司法試験の勉強をする上で仲間を作る主なメリットは以下のとおりです。


・モチベーションを維持しやすい

⇒お互い集まって自習やゼミをやることで、やる気が出ない時でも強制的に勉強できる。


・自分の考え方・勉強方法がズレている時に軌道修正しやすい

⇒予備試験・司法試験に安全に合格するためには「他の合格者と同じような答案」を書くことが大事です。論文式試験の過去問を解いた後にお互いの答案を批評し合うことで、自分の考え方や勉強方法のズレに気づくことができます。


・試験・勉強方法に関する情報を得やすい

⇒質問者の方は予備校には通わない予定とのことですが、予備校に通っている仲間がいると、その仲間から予備試験・司法試験に関する情報(法改正、予想論点、使い勝手の良い新しい参考書など)の情報が得られる。




以上、司法試験予備校に(できるだけ)通わずに約1年で予備試験に合格する方法・参考書などについて私見を書きましたが、これから勉強を進めていく上でまた疑問点がまた出てくると思いますので、その際はまた質問してください。



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予備試験(司法試験)の論文式試験における手形法の勉強について


質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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働きながら予備試験の勉強をしているものです。
ひとつ、教えていただければ大変幸いです。
商法の試験範囲には手形法が含まれますが、どのように、また、どの程度勉強されましたでしょうか?
予備試験受験生ですので、当然、短答の対策はしておりますが、論文になりますと、正直全く書ける気がしません。出題可能性が低いために気力が湧かないというのもあるかもしれませんが
アドバイスいただけますでしょうか?
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私が受験生の時は予備試験は無かったため、ロースクール受験、司法試験受験をとおした経験と、自分がもし現在の予備試験の受験生だったらということを前提とした回答になります。




  • ○私がロースクールを受験した時

私がロースクールを受験する際、受験先のロースクールの入試で手形法が出題される可能性があったため、柴田孝之先生の「論文基礎力養成講座 商法・会社法」に載っている問題の範囲で、一応、手形法の勉強はしました。

ただ、質問者さんと同様に「出題可能性が低いために気力が湧かない」という状況であり、手形法についてはあまり理解ができていないままロースクール入試本番を迎えました。

そして、入学試験で運良く手形法が出題されなかったため、特に問題は生じなかった、というのが正直なところです。



  • ○私が司法試験を受験した時

私が司法試験を受験した時は、商法についても短答式があったため、短答式の過去問演習の範囲でのみ手形法の勉強をし、論文式試験については全く対策をしませんでした。

ロースクールで商法の教授からは「今後は手形は使われなくなるから、手形の勉強は各自でするように」と言われた記憶があります。

過去問を見る限り、司法試験の論文式試験では手形法の知識を正面から問うような問題は(現時点では)出題されたことは無いと思います。



  • ○予備試験について

予備試験については、論文式試験の過去問を見ると、平成24年平成28年に手形法の知識を正面から問う問題が出題されています。

そのため、現時点では、予備試験の本番で「手形法を勉強していなかったけれども、出題されてしまった」という事故を防ぐためには、ある程度は手形法の勉強をしておいたほうが良いはと思います。

ただ、今年(令和3年)の2月から3月頃にかけて、「経済産業省が2026年めどに約束手形の利用廃止を求める方針を決定した」という報道がありました。

(以下のサイトの「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」の「報告書」に詳細が記載されているようです。)



司法試験や予備試験は、裁判官・検察官・弁護士という実務家の資格を与えるための試験なので、上記の報道の内容をふまえると、実務的に使われなくなる可能性の高い手形について、予備試験でも出題が減ったり、無くなったりする可能性があると思います。

個人的には、今後の司法試験や予備試験の論文式試験で手形法の知識を正面から問う問題が出題される可能性は低いだろうとは思っていますが、前記のような事故を防ぐためには、現時点ではある程度の勉強はしておいたほうが良いと思います。



  • ○手形法の勉強はどこまでやるべきか

予備試験受験生であれば、短答式の勉強をする際に手形法の勉強もすることになるため、手形法について基本的な知識はインプットできるはずです。

そのため、論文式試験で手形法が出題された際には、短答式試験の知識をフル活用して、手元にある六法を頼りに、何とか解答をひねり出す(三段論法を守りつつ解答らしいものを作って軽傷で済ませる)、という方法もあると思います。

現実問題として、予備試験の論文式試験で手形法が真っ正面から出題された時に、質の高い答案を書ける受験生はそれほど多くないと思います。

そのため、条文を間違えずに指摘して、三段論法を守りつつ、それなりに説得力のある論証をすることができれば、大怪我を避けることは可能だと思います。


もっとも、質問者さんのように「短答式の勉強だけでは論文式試験でどのように書けば良いのかイメージがわかない」と方もいると思いますので、その場合には、論文式試験用の問題集や、論文式試験の解答的な解説がなされている予備校本を使って、論文式試験の答案のイメージを作っておく、という方法もあると思います。

別の記事で紹介している伊藤塾の「試験対策問題集」や辰巳法律研究所の「えんしゅう本」にも、数問程度、手形法の問題があったと思います。

★試験対策問題集

★えんしゅう本

数問という問題数は「時間がないので、基本的な問題に絞ってくれていたほうが助かる」と感じる人もいると思いますし、「問題集が少ないと不安」と感じる人もいると思うので、ご自身がどこまで手形法の勉強に時間割くことができるか等の事情をふまえた上で、本屋さんで実際に見てみて、自分の気に入ったものを選ぶと良いと思います。


その他、LECの「C-Book 商法II」という予備校本では、手形法に関する論点ごとに「問題の所在」「考え方のすじ道」という箇所に問題と解答例のような形で解説されています。

★C-Book 商法II

この「C-Book」に掲載されている主要論点を解答例に形でインプットしておけば、手形法の分野では試験が怖いということはなくなると思います。

ただ、現実的には、他の科目との兼ね合いで、手形法を予備校本で網羅的に勉強するための時間をとることは、かなり難しいと思います。


そのため、私が今の予備試験の受験生だった場合には、

(1)短答式の過去問演習で手形法の基本的な知識をインプットする

(2)それでも不安な場合には、「試験対策問題集」や「えんしゅう本」など、問題数が少なめの論文式問題集の解答例を読んだり写経したりして、解答のイメージを掴んでおく

(3)論文式試験で手形法が出際された際の過去問と合格者の再現答案(成績上位者の答案だけでなくボーダーラインの答案も)を読んで、少ない知識でどのように無難な答案を書くべきかをイメージしておく

というくらいで済ませると思います。


前記のとおり、政府も約束手形は廃止する方向で動いているようですので、今後は司法試験や予備試験で手形法の知識を正面から問う問題が減ったり、無くなったりする可能性があると思います。

令和3年度以降の予備試験の短答式の問題において、手形法の問題が著しく減ったり、無くなったりするようであれば、論文式試験でも手形法の分野が出題される可能性は低いと思いますので、今後の状況をふまえつつ、どこまで勉強するのかを判断したほうが無駄な勉強をしなくて済むと思います。


  • ○その他(蛇足です)

前記のとおり、私はロースクールで商法の教授からは「実務では今後は手形は使われなくなる」と言われていましたし、政府も約束手形を廃止する方針です。

しかし、実務に出てみると、中小企業などでは未だに手形を使っているところもあり、たまに手形がからんだ問題に出くわすこともあるため、私は「受験生の時にもう少し手形を勉強しておけばよかった」と思うことがあります。

「手形法の勉強をしようとしても、やる気が出てこない」という気持ちは、自分もそうだったので良く分かります。

手形法が良く分かっていないと私のように苦労することもあるかも知れませんので、実務で手形法の問題に出くわした時のことをイメージしながら勉強を頑張っていただければと思います。



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