仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが、思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し、現在は弁護士として働いています。 自分が受験生の時は情報が少なく相談できる人もいなかったため、色々と悩むことも多かったです。 公務員のこと、司法試験のことなどについて、受験生の方に参考になるかも知れないことを書いていけたらと思っています。 質問がある方はコメント欄に記載してもらえれば可能な範囲で回答したいと思います。回答まで時間がかかることが多々ありますがご容赦ください。

司法試験の論文式試験の過去問が解けない場合の対策や考え方について


質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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4年前にこのブログに出会い、記事を参考にして勉強してきたものです。

このブログの勉強法を参考にして、ロースクール既習者入試、そして先月無事留年することなく卒業することができました。
ありがとうございます。

実は最近悩みがあってコメントさせていただいてます。
それは司法試験の問題が解けないということです。

特に伊藤塾の赤本に出てきていない分野や学説対立問題など、赤本上では取り扱いが薄い所になるとほとんど解けなくなります。

このような状況でも司法試験過去問に取り組むべきでしょうか。

それとも赤本に取り組む姿勢が間違っていたのでしょうか。
赤本には答案例を暗記しながら、基本書でわからない点等を確認したりしていました。
基本書での確認も甘かったのかもしれません。

百選はあまり使っていません。読んでもあまりわからないので、ほとんど読んでいません。

ロースクールの講義は難しかったので、講義は聞かずほとんど赤本の答案例を暗記する時間に費やしてました。

司法試験を解いたあとの事の復習でも悩んでいます。
問題を起案したり、答案構成をしたあとにはぶんせき本でC答案くらいの答案を読んでいます。
ただ、読んでいても書ける気がしません。
赤本に取り組んでいたときと同様に写経等暗記すべきか迷っています。

3ヶ月後に司法試験を控えていますが、最近では諦めて就活に切り替えたほうがいいのか悩んでいます。

ただ弁護士は子供の頃からの夢なので、まだ諦められないという状況です。

お忙しい状況かとは思いますが、是非コメントをお願いします。
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ロースクール卒業おめでとうございます。

質問者さんのお話を要約をすると

論文式問題集を回してきたものの、司法試験の論文式試験の過去問を解いてみても解けない問題があって悩んでいる

というご相談だと思います。



◆最初のうちは過去問に歯が立たないのは当然であるということ


司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」などでも書いていますが、最初のうちは「論文式試験の過去問を実際に解いてみても、全く歯が立たなくてショックを受ける」というのはほとんどの受験生が経験することです。

私も過去問を始めて回しはじめた頃は「こんなに難しい問題を解けるようになる訳がない・・・」と愕然とした記憶があります。

しかし、同級生とゼミを組んで皆で過去問を解いてお互いの答案を見せ合ってみたところ、(司法試験に最終的に100位以内で合格した人や、ロースクールで成績優秀者として表彰された人もいましたが)、ほとんどの同級生は過去問に取り組みはじめた最初の時期は、まともな答案は書けていませんでした。

そして何度も何度も過去問や答練にチャレンジしていくうちに、次第に本試験の傾向、取り組み方、考え方が分かってきて「落ちにくい答案」を書けるようになっていった人が合格する、というイメージです。

なので最初のうちは過去問が解けなくてもめげずに何度も繰り返し取り組んでいき、解けない原因を分析した上で、何をすれば本番までに本試験の問題が解けるようになるのか対策を立てていくということが大事です。

1人で過去問を解くのが辛いという場合には仲間を集めて皆で時間を計って過去問を解いてお互いの答案を見せ合うようにすると、自分以外の受験生が何を解けて、何が解けないのかということも分かってくるのでおすすめです。



◆司法試験の論文式試験の設問を難易度に分けて考える

質問者さんの質問の中に「伊藤塾の赤本に出てきていない分野や学説対立問題など、赤本上では取り扱いが薄い所になるとほとんど解けなくなります」というコメントがありますが、そもそも司法試験の論文式試験では、例年のように受験生の多くにとって「知らない問題」や「解いたことがない問題」が出ます。

受験生の中には「知らない問題」や「解いたことがない問題」に出会った時に「自分が知識不足だったから解けなかったんだ」と考えて、挫折してしまったり、問題集を何冊も買ってきたりして消化不良になってしまう人もいます。

しかし、過去問や答練で解けない問題に出会った時には、まずは冷静に最初にその問題が以下の分類のどれに当てはまるかを考えた上で対策を考える必要があると思います。


① 基本的な問題
⇒論文問題集のAランク、自分の勉強不足で解けなかった問題

② 細かい知識を問う問題
⇒論文問題集のB・Cランクの問題や、短答式試験で問われるレベルの知識を使って解く問題

③ 現場で考えて解くことを要求されている問題
⇒論文問題集にはあまり載っていない問題、基本書等にもあまり書いれていない論点に関する問題



① 基本的な問題

「① 基本的な問題」(問題集のAランク)は合格者のほとんどが解ける問題で配点も大きくなる傾向があるため、この問題が解けないとそれだけで不合格の可能性が高くなりますし、数年おきに似たような論点が繰り返し出題されることもあります。

そのため過去問や答練などで「① 基本的な問題」が上手く書けなかったという場合には、基本書などに立ち返って徹底的に復習をして、似たような問題が出題された時に確実に解けるようにしてくおく必要があります。



② 細かい知識を問う問題

「② 細かい知識を問う問題」(論文問題集のB・Cランクの問題や、短答式試験で問われるレベルの知識を使って解く問題)は、他の受験生もきちんとした答案が書けていないことも多いため、「理由付けをした上で、規範をきちんと立てて、あてはめをする」という三段論法を守った形の答案が書けていれば合格ラインの到達できる場合が多いです。

そのため「② 細かい知識を問う問題」に出会った時には「他の受験生もちゃんと書けない人も多いだろうから、自分は落ち着いて答案を書こう」と気持ちを切り替えることが大事です。

私が本試験を受けた時も「② 細かい知識を問う問題」がいくつか出題され、私自身は規範もきちんと暗記していないという状況でした。

しかし「論文問題集のBランクかCランクに区分されていた論点だったな」ということが分かったので「他の受験生もちゃんとした答案を書ける人は少ないだろう」と思い、落ち着いて六法で条文を引いて、条文の趣旨から自分なりの理由付けを考えて、規範も自分の頭で考えて立てて、あてはめをきちんとする、という方法で答案を作成して無事合格をしていますし、その科目の点数は合格者の平均は超えていました。

また論文式試験では(短答式試験と異なり)六法を見ることが許されていますので、自分の知らない問題が出たとしても「全く何も書けない」ということは(条文以外の知識が問われている問題でなければ)無いはずです。

なので「② 細かい知識を問う問題」に出会って、何を書いたら良いのか分からないという場合には「落ち着いて六法を開いて考える」ということを心がけることも大事です。




③ 現場で考えて解くことを要求されている問題

「③ 現場で考えて解くことを要求されている問題」(論文問題集にはあまり載っていない問題、基本書等にもあまり書いれていない論点に関する問題)は、「誘導」がある場合が多いです。

「誘導」がある場合には「誘導に素直に乗って求められる答案を書けるか」ということが大事で、誘導に上手く載ることが出来れば「全く知らない知識」に関する問題であっても解けるようになっていることが多いです。

逆に「誘導」がある問題で「誘導」を無視してしまうと即死クラスのダメージを負うリスクがあるので、過去問で「誘導」のある問題が出てきて誘導に上手く乗れなかった場合には、何度も復習をする必要があります。



「③ 現場で考えて解くことを要求されている問題」は、とにかく「慣れること」が大事で、過去問を回すことでしか身につきにくい技術でもあります。


なお「③ 現場で考えて解くことを要求されている問題」なのに「誘導」がないというケースもあります。

このような問題は他の受験生も対応に苦慮することも多く、あまり時間を掛けすぎずには短めに書いて、割り切って次の問題に進むということが大事です。

私も本試験でどうしても分からない小問があり、その問題は諦めて思いついたことを短めに書きましたが、結果的には出題趣旨と全く違う内容の答案を書いていました。

その小問はおそらく1点も取れていないと思いますが、それでも合格しています。

それでも論文式試験の点数は合格者の平均点を超えていたので、仮に他にも論点を落とした問題があったとしても合格していた可能性があります。

大事なのは「分からない問題」に出会った時に「分からない問題」に時間をかけすぎないようにして、一般的な合格者の多くが解けるような「基本的な問題」できちんと点数を取っておくということです。

「分からない問題」に時間をかけすぎて「解けるはずだった基本的な問題」が途中答案になってしまうと不合格の確立が一気に跳ね上がりますので、「他の受験生が解ける問題か」を見極められるようにすることが大事です。




◆司法試験の過去問が解けない理由を分析する

司法試験の過去問を解いてみて「書けない問題」があった場合には、その原因を分析することが大事です。


「① 基本的な問題」(論文問題集のAランク、自分の勉強不足で解けなかった問題)が解けない場合、その原因は

(ア)基本的な知識の理解不足、暗記不足

(イ)知識や理解は合ったが違う角度から聞かれたので分からなかった

(ウ)そもそも答案の書き方のフォーマットが定まっていない

等にあると思います。


「(ア)基本的な知識の理解不足、暗記不足」の場合には、基本書、予備校本、問題集等なども使って徹底的に復習するしかないです。

「(イ)知識や理解は合ったが違う角度から聞かれたので分からなかった」は演習の経験不足が原因であることが考えられますので、過去問や答練を繰り返し受けて慣れていくことが大事だと思います。

「(ウ)そもそも答案の書き方のフォーマットが定まっていない」場合には、出来るだけ早い時期に答案の書き方を自分の中で整理しておく必要があります。

特に憲法や行政法は、答案のフォーマットが頭の中に入っていないと答案が書けないパターンが多いので、問題集や予備校本などを使ってフォーマットを頭に叩き込み、過去問や答練を繰り返し解いてフォーマットを自分の中で使えるようにすることが大事になってきます。





② 細かい知識を問う問題(論文問題集のB・Cランクの問題や、短答式試験で問われる知識を使って解く問題)が解けないという場合の原因は

(ア)細かい知識が頭に入っていない

(イ)六法の使い方に慣れていない(そもそも六法を活用するという意識が薄い)

(ウ)細かい知識を問われた時に解けないものだと思って諦めてしまっている

等にあると思います。


「(ア)細かい知識が頭に入っていない」は最近のロースクール卒業生に多い問題だと思います。

というのも以前は司法試験においても、「憲法・民法・刑法」だけでなく「行政法・民事訴訟法・商法・刑事訴訟法」についても7科目の短答式試験が課されていました。

また現在も予備試験においては7科目の短答式試験が課されています。

そのため昔の司法試験受験生や現在の予備試験経験者は、論文式試験で細かい知識を問われる問題が出てきたとしても、短答式試験の勉強で得た断片的な薄い知識を絞り出して、論文式試験の答案を書くことが出来ていました。

しかし現在の司法試験では短答式試験は「憲法・民法・刑法」の3科目だけになったため、予備試験を経験していないロースクール卒業生の中には「行政法・民事訴訟法・商法・刑事訴訟法」の細かい知識があまり頭に入っていない、という傾向があると思います。

この「(ア)細かい知識が頭に入っていない」の対策としては

・薄めの基本書や択一六法を通読する

・答練を数多く受けて復習する

・予備試験や法学検定などの短答式の問題集を回す

・論文式試験のBランク・Cランクの答案例や「趣旨・規範ハンドブック」の規範の部分だけを暗記しておく


などが考えられます。

「薄めの基本書や択一六法を通読する」は、基本書等を読んで頭に入るタイプの人であれば良いと思いますが、本を読んでも上滑りする感じで頭に入ってこないという人にとっては相性が悪い方法です。
(私も受験生の時は基本書の通読はほとんどしていませんでしたが、短答式試験のない選択科目については電車に乗っている時間などを利用して薄めの入門書を一冊通読しました)


「答練を複数受けて復習する」は旧司法試験から存在した作戦です。

というのも旧司法試験も短答式試験は「憲法・民法・刑法」の3科目だけで、しかも短答式試験の数ヶ月後に論文式試験が行われるという受験日程であったため、受験生の多くは短答式試験までは「憲法・民法・刑法」を徹底的に勉強し、短答式試験が終わった後の僅か2ヶ月程度の間に下三法(商法・民事訴訟法・民事訴訟法)の論文式試験を慌てて勉強する、という傾向がありました。

そのため短答式試験がなく知識の少ない下三法(商法・民事訴訟法・民事訴訟法)については予備校の答練を受けて、ある意味「ヤマを張る」という形で受験していた人も多かったようです。


「予備試験や法学検定などの短答式の問題集を回す」は、予備試験受験生と同じような方法で「行政法・民事訴訟法・商法・刑事訴訟法」の細かい知識をインプットするという方法で、基本書等を読んでも知識が定着しないタイプの人のとっては向いていると思います。

ただ短答式試験の問題集には論文式試験では問われる可能性の低い知識も多数あるので効率が良いとは言えず、質問者さんの場合には本試験まで3ヶ月しかないということですので時期的にはこの方法はおすすめ出来ないかと思います。


「論文式試験のBランク・Cランクの答案例や「趣旨・規範ハンドブック」の規範の部分だけを暗記しておく」は、今からでも十分に対応できる方法だと思います。

論文式試験の「細かい知識を問う問題」は他の受験生の出来が悪いと配点が低くなる傾向があり、理由付けを丁寧に書いたとしても思ったよりも点数が上がりにくい傾向があるため、とりあえず「規範」の部分だけ暗記しておき、理由付けについては条文の趣旨などから現場で考えて書く、という作戦であれば今からでも間に合う可能性はあると思います。





③ 現場で考えて解くことを要求されている問題(論文問題集にはあまり載っていない問題、基本書等にもあまり書いれていない論点に関する問題)が解けないという場合、その原因は

・「誘導」に乗れることに慣れていない

・そもそも問題が難し過ぎて合格者の多くも解けなかった問題である

が考えられます。


「誘導に乗れることに慣れていない」という場合には、過去問や答練をいくつも解いて、誘導に乗ることに慣れていくしかないです。

「知らない問題」が出ても、とにかく焦らずに「知らない問題」である「認識」することが大事です。

そして「誘導」を探し、誘導がある場合にはそれに丁寧に乗る、誘導がない場合にはあまり時間をかけずに短めの答案を書いて終わらせる、ということが当たり前にできるようになるまで、本試験形式の問題に慣れていくことが大事です。


「問題が難し過ぎて合格者の多くも解けなかった問題かどうか」については、「ぶんせき本」などで下位合格者の再現答案を見てみると、問題の難易度が分かると思います。

下位合格者がまともな答案を書けていなかったような問題については、自分が解けなかったとしてもあまり気にする必要はありません。
(似たような問題が出題される可能性があるので復習をしておく必要はあります。)

それよりも過去問をいくつも解いて「他の受験生が確実に解けるであろう基本的な問題」と「他の受験生もまともな答案は書けないであろう問題」を見極めることができるようにして、「他の受験生が確実に解けるであろう基本的な問題」は途中答案にならないようにきちんと書く、「他の受験生もまともな答案は書けないであろう問題」はあまり時間を掛けないようにする、という判断を本番までになるべく正確に出来るようにしておくことが大事だと思います。


◆まとめ

「司法試験の論文式試験の過去問が解けない場合の対策や考え方について」は以上のとおりです。

個人的には質問者さんの以下のコメントが少しひっかかっています。

「赤本に出てきていない分野や学説対立問題など、赤本上では取り扱いが薄い所になるとほとんど解けなくなります」

「・・・ぶんせき本でC答案くらいの答案を読んでいます。ただ、読んでいても書ける気がしません。」


前記のように論文式試験では六法を見ることが許されるため、知らない問題が出てきたとしても「全く何も書くことが無い」というケースは少ないはずですし、合格者の中には本番で「知らない問題が出たけど自分の頭で考えて書いて合格した」という人も多いです。

質問者さんはもしかしたら「司法試験の合格者の多くは論文式試験で出題された問題の知識を網羅的にきちんと暗記していた」と思い込んでいてらっしゃるかも知れません。

しかし、実際にはそうではなく「知らない問題」が出てきても「知らない問題」として六法、誘導、断片的な知識などの手がかりを元に何とか答案を作り上げて合格しているという人も多いです。

例えば(例えとして適切か分かりませんが)論文式試験の過去問を解き始めた最初の頃の時期は「自転車・自動車の乗り方は教わったけども、自転車・自動車の運転には慣れていない状態」や「英語は教室で習ったけれども英語でほとんど会話をしたことがない状態」に近いと思います。

自転車・自動車に始めて挑戦した頃は思うように運転できず、転んだり、教習所の道路から脱輪したりして「運転できるようになる日」をイメージしにくいこともあると思いますが、何度も繰り返し練習・訓練をすることで鼻歌を歌いながら自転車・自動車の運転ができるようになります。

英語も机の上で習っているだけでは会話ができるようにならないですが、英語を使って何度も会話しているうちに自然と言葉が口から出てくるようになったりします。

司法試験も最終的には実務家として適切な判断をして実務家にとって読みやすい文章を書くための訓練なので、何度も繰り返し挑戦しないと上手くなりません。

そして「見たことがない問題だから解けない」「解き方が分からないから解けない」というスタンスで過去問に取り組んでいると、なかなか成長しません。

「見たこともない問題でも」「解き方が分からなくても」いいので、とにかく六法を引いて、誘導を探して、断片的な知識、基本原則や条文の趣旨を活用して、自分の頭で考えて答案を作ってみる、ということが大事です。


最初のうちは酷い答案しか書けないと思いますが、何度も答案を書いて前記のような分析を繰り返して復習をしているうちに、少しずつ答案が書けるようになってくると思います。


なので過去問を解いてみて分からない問題があったからといって司法試験受験を諦めるというのは早計ではないかなと思います。

受験の直前の時期は不安になったり諦めの気持ちが出てくることもあると多いと思います。

それは他の受験生も同じですし、同級生や後輩の中には試験の直前に「もうダメだ」と泣いていたけれども、諦めずに受験して合格した人は何人もいます。

また実際に実務家になってみると基本書や判例集を見ても解決できない難しい問題に出会うこともありますが、それでも自分の頭で考えて事件を処理していかなければなりません。

「弁護士は子供の頃からの夢なので、まだ諦められない」ということですので、諦めずに是非とも頑張っていただきたいと思います。

司法試験用の論文問題集を回すペースなどについて

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。

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いつも大変参考になる記事を書いていただき、ありがとうございます。
これまで法律を学んできたことはありませんが、このブログの記事を参考に、法律の勉強を始めました。

さて、司法試験の全科目を1周するペースについて、私も、行政法まで辿り着くなに2年ほどかかってしまいました。自分でも、あまりにも遅いと思います。

具体的な勉強法としては、1つの科目を終えるのに、「伊藤塾試験対策問題集」の「A」ランクの問題について、何らか答案が書けるようになるということを目標として、問題集(BとCの問題を含め)を読んだり、音読したり、書き写したり、わからない箇所を基本書や予備校本で調べたり、関連する判例を読んだりしています。

しかし、問題集を何度読んでも、Aレベルの問題でさえ、簡単には答案を再現できる気がしません。1つの科目で、10回程度は同じ問題集を繰り返し読んでいると思います。その後、「A」ランクの問題について自分で答案を作成して、次の科目に移ります。結果として、1つの科目に3・4ヶ月程度かかってしまいます。

ここで、お伺いしたいのが、「1周する」の具体的な内容です。読んで理解できることを「1周する」というのか、問題演習(=答案を作成する)することを「1周する」なのかということです。

例えば、この記事で「数日から2週間程度で1科目を回せる」と書いていただいていますが、それは、答案作成するということでしょうか。

ただ読むのと答案作成では、負荷が相当異なります。また、最初は答案作成は難しいでしょうが、どこかの時点(過去問演習の前)では、答案を作成する必要が出てくると思います。どの時点で答案作成が必要でしょうか。

同じ勉強を長く続けていると、モチベーションの維持も難しくなるので、勉強法を改善したいと考えています。

大変お忙しいことと思いますが、教えていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
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問題集を回すペースは人それぞれだとは思いますが、一般的には周回するペースは短いほうが、記憶が頭に定着しやすいと思います。

問題集を周回するペースが長いと、2回目に回した時に1回目の時の記憶がほとんど飛んでしまっていて、記憶が定着しにくいと思います。

勉強を周回するペースの早さの重要さについては「超高速勉強法」という本などにも詳しく書かれていますし、その他の勉強法の本などにも書かれていると思いますので、興味があれば勉強法の本なども見てみると良いかも知れません。

★超高速勉強法 ISBN-10 ‏ : ‎ 4766783190

全科目を1周するのに2年もかけるのは、質問者の方がおっしゃっているとおり時間がかかりすぎかなと思います。

どうやったら時間を短縮できるか、私の考えについて書きたいと思います。



  • ◆「Aランク」の問題のみに絞り、「Bランク」と「Cランク」の問題は後回しにする

相談者さんはBランクとCランクの問題も読まれているとのことですが、「司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」という記事でも書いたとおり、「伊藤塾試験対策問題集」を使う場合は、最初は「Aランク」の問題に絞ったほうが良いです。

司法試験の勉強を始めた時は、不安になって範囲を広げたくなる気持ちは分かるのですが、司法試験・予備試験の論文式試験で合否を分けるのは、「Aランク」レベルの問題であることが多いです。

合格者の中にも実は「Bランク」と「Cランク」レベルの問題にはあまり手が回らず十分に理解できていない、という人は少なくないです。

私の感覚的な話になりますが、以下のような感じです。

上位合格者 
→「Aランク」レベルだけでなく、「Bランク」「Cランク」も理解できている

上位以外の合格者
→「Aランク」レベルの理解はそこそこあるが、「Bランク」「Cランク」については穴がある

不合格者(又は、ギリギリで合格した人)
→「Aランク」レベルの理解も怪しい


そして、司法試験の論文式試験の配点は、「基本的」(Aランク)な部分に配点が多く割り振られ、「基本以外」(BCランク)の部分は配点が小さい、と言われています。

なぜなら、前記のように「合格者」と「不合格者」の違いは「基本的」(Aランク)な部分の理解の差にあることが多く、「基本以外」(BCランク)の部分では合否を決定することは難しいからです。

いまいちピンと来ないかも知れませんが、過去の合格者の優秀答案・上位以外の合格者の答案・不合格者の答案を見比べてみたり、他の人とゼミを組んで答案を採点し合っていると、少しずつそのことが分かってくると思います。

★ISBN-10 ‏ : ‎ 4864665044

なので、最初は「Aランク」の問題に絞るべきなのです。

私が「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめしている理由の1つは、問題のランク(A・B・C)が付されていて、「Aランク」の問題は各科目30問程度なので、「Aランク」の問題に絞れば短い時間で回しやすい、という点にあります。

単純に「解答例を読む」又は「解答例を写経してみる」という作業であれば、仕事をしている人でも1日2問やれば2週間程度で1科目(30問÷2問=15日)を回せますし、1日の多くを勉強に費やせる人であれば数日で1周させることは可能です。

参考になるか分かりませんが、私が社会人の時は平日は論文式の問題を1日2問やることを目標にしていました。

実際には1つの問題に時間をかけすぎてしまい、1日に2問も出来ないこともあったり、スケジュールどおりに進まないことも多々あって、スケジュールの組み直しを余儀なくされる場面もあったのですが、可能な限り2週間から1ヶ月くらいで1科目を回せるように努力をしていました。

なお、範囲を「Aランク」に絞った場合、「BランクやCランクの論点が本試験で出たらどうするんだ?」と思うかも知れません。

科目や論点にもよりますが、「Aランク」の論点の勉強が進んでくると「Bランク」や「Cランク」の論点も理解しやすくなります。

そのため、勉強が進むにつれて試験直前期に「Bランク」や「Cランク」の論点を一気に詰め込む、という作業がしやすくなります。

また、論文式試験の過去問の演習を繰り返していると「少ない知識で最低限の答案を書く」という技術や感覚が身についてきます。

というのも、本試験では見たこともないような問題や考えたことがないような問題も出題されることもあり、過去問を解いていると、自分が持っている少ない知識で、何とか答案を完成させなければならない、という場面が出てくるからです。

そういった技術や感覚が身についてくると、「Bランク」や「Cランク」の論点が出てきても慌てることが少なくなってきます。

私が司法試験を受験した時も刑事訴訟法でBランクレベルのややマニアックな論点が出題されましたが、私はその論点の答案構成は覚えていませんでした。

しかし「この論点は比較的マニアックな論点だから、他の受験生もたいした答案は書けないだろう。だから、条文の趣旨を使って理由付して、自分なりに規範を立てて、丁寧にあてはめをして、最低限の答案を作れば、そこそこの点はもらえるだろう。」といった感じで落ち着いて対応することができましたし、結果として刑事系の点数は良かったです。

いずれ、最初のうちは「Bランク」や「Cランク」の論点は後回しにしたほうが効率は良いと思います。




  • ◆「1周する」とは「読む」という意味なのか「答案を作成する」という意味なのか

問題集の使い方は自分に合っていれば、「読む」という方法でも、「答案を作ってみる」という方法でも、どちらでも良いと思います。

ただし、当然ですが「答案を作ってみる」という方法は、「読む」という方法よりも時間がかかります。

私は司法試験の勉強を始めた最初の頃は仕事をしており、時間がなかったため、

論文式問題集は基本的に

・問題文を読む

・六法で条文を引いて自分の頭で少し考えてみる

・(ほとんどの場合、よく分からないので)解答例を読んで考えてみる

・答案の書き方を身につけるためにパソコンを使って解答例を写経する

という流れで問題集を使うことが多かったです。

問題集を何周か回した後に、短答式の勉強、過去問の演習などをやっていると、何度やっても自分の中ですっきりしない論点が浮き彫りになってくることが多いです。

その後に、じっくりと基本書や判例集などを読み込むという作業をすると、理解が深まるということが多かったです。


なので、問題集を回すのに時間がかかっているようであれば、

・とりあえず理解が出来なくてもあまり気にせずに何度も読んだり写経をしてみる

・何度も回してみて分からない部分に絞って、じっくりと腰を据えて基本書や判例集などを読んでみる

というほうが効率は良いと思います。

誤解を招く表現かも知れませんが、「論文式試験の問題集を使った勉強」は英語などの語学の勉強に近い部分があると思います。

最初のうちは意味不明な文章の羅列にしか見えない文章が、何度も繰り返し読んだり書いたりして覚える努力をしているうちに「自分の言葉」になってくる、というイメージです。

英語の勉強でも文法などをじっくり覚えるという勉強の他に、「シャドーイング」といって、英語の音声に自分の声を重ねるように発音して英語を覚える、という勉強がありますが、それに近い感じかも知れません。

問題集の問題や参考答案を何度も読んだり写経しているうちに、それが自分の言葉のようになって、少しずつ似たような文章が書けるようになっていく、というイメージです。

やり方は人それぞれだとは思いますが、じっくりやって上手くいかないタイプの人は、最初のうちはあまり深いことを考えずに、何度も読んだり書いたりということを高速で繰り返したほうが結果が出やすいかも知れません(私も最初はどちらかというと、そのタイプでした。)。




  • ◆逆算をしてスケジュールを組むこと

相談者の方は論文式問題集を1周するのに2年ほどかかったということですが、(もともと2年かけて1周するつもりだったのであれば別ですが)、試験日から逆算をしてスケジュールを組んでおいたほうが良いと思います。

実際にスケジュールを組んでみると、本試験までの間にできることは、驚くほど少ない、ということが分かると思います。

予備試験での司法試験でも論文式試験の勉強の他に、短答式の勉強もしなければなりませんし、過去問を解いたり、答練や模試を受験して復習する時間も確保する必要があることを考えると、論文式問題集の1問1問を丁寧に解いていく時間がある受験生のほうが少ないと思います。

「基本書や判例集を見てじっくり考える」という勉強は大切ですが、スケジュールを組んでみて、全ての問題について、その作業をすることが困難であるということが分かった場合には、さらに問題の中で優先順位を付けて、「この論点については掘り下げて勉強をする」「この論点については時間がないのでとりあえず答案の流れと規範を暗記して乗り切る」というような割り切りが必要になってくる場面もあると思います。

ご自身が1日あたり勉強に充てられる時間や、自分の性格(高速で何度も回したほうが頭に入ってくるのか、1問ずつじっくりとやらないと頭に入ってこないのか)等を総合的に考慮した上で、計画を立て、計画に従って勉強を進めていけば「予想外に時間がかかってしまった」という失敗をするリスクは減らせると思います。


私の経験からすると、

・初期の頃は、分からないことがあってもどんどん進めて何度も回す

・ある程度勉強が進んできたら、特定の論点についてじっくりと基本書なので調べる時間を作る

というように段階を踏んだほうが効率は良いと思います。

初学者の頃は基本書をじっくり読んでも理解できないことが多いので、問題集を何度も回してむしろ疑問点を増やしていき、ある程度勉強が進んだら基本書などを読んで疑問をじわじわと解決していく、というほうが頭に入りやすいと思います。




  • ◆答案の型を覚えること・完璧な答案を目指す必要はないこと

質問者の方は「1つの科目で、10回程度は同じ問題集を繰り返し読んでいる」のに、「Aレベルの問題でさえ、簡単には答案を再現できる気がしません」ということです。

普通であれば問題集を10回も読めば、ある程度の答案は書けるようになってくるはずだと思いまが、それにもかかわらず答案を書けないということであれば、いつくが原因が考えられます。


1つは、答案の型をあまり意識していない可能性です。

司法試験・予備試験の論文答案が書けるようにならない場合について」という記事も参照していただきたいのですが、答案がなかなか書けない人は、司法試験の論文式試験の答案の書き方の基本が理解出来ていない可能性があります。

「伊藤塾試験対策問題集」の「はしがき」の部分には,司法試験・予備試験の答案の書き方の基本が説明されています。

答案の書き方が分からなくなった時や答案が上手く書けない時に,この「伊藤塾試験対策問題集」の「はしがき」の部分を何度も読むと良いと思います。


基本的な論文答案の書き方は通常は以下のような流れになります(例外もあります)。

(1)問題文・事案から問題点を抽出する

(2)必要に応じて事案の問題点を指摘する

(3)必要に応じて論点の問題点を指摘する(多くの問題には論点の問題点があります)

(4)規範を立てるための論証をする。その場合,出来るだけ条文の趣旨,法原則,保護法益などを使って理由付けをする。また,例外を論じる際には必ず原則について触れてから例外を論じる。

(5)規範を立てる(規範は基本的に暗記しておく必要があります)

(6)あてはめ。問題文の,規範に関連する事実を拾い上げて,規範との関係でどのような意味があるのか述べる(評価をする)。

(7)結論を書く。必ず問題文に対応する形で。Ex:問題分が「AのBに対する請求が認められるか」という問であれば,「AのBに対する請求は認められる。」「AのBに対する請求は認められない。」という結論になる。


論文式試験では手元に六法があるため、六法で頑張って条文を探せば、少なくとも「何も書けない」ということはそれほどないと思います。

問題集を何回か回していれば、その問題が何条の問題なのか、ということくらいは分かってくると思います。

なので、まず問題文を読んだら手元の六法で問題となりそうな条文を引いてみてください。

そして、条文を読みながら「この問題では、何が問題だったのか」を思い出してみるのです。

そうすると、「条文のこの文言の解釈が問題だったな」とか、「この条文が類推適用できるかどうかが問題だったな」と、何かしら思い出せることがあると思います。

そうすれは、上記の「流れ」のうち(1)~(3)の問題点を指摘の部分については、少なくとも自分の言葉で、何が問題なっているかは、それなりに書けることが多いはずです。


問題点が分かったら、後は理由付けをした上で、規範を書きます。

理由付けは何も思い出せなかった場合には、(科目にもよりますが)問題提起で問題とした条文の「趣旨」を理由付けにするのが便利です。

「なぜこのような条文が存在するのか」ということを考えた上で、「民法○条の趣旨は~~~という点にある。」などと書けば、理由付けとして成立することが多いです。

その後に規範を書きますが、規範は基本的に暗記をしておく必要があります。

特に「Aランク」の問題の規範は、確実に暗記をしておくべきです。

どうしても規範が思い浮かばない場合には、自分の頭で規範を考えます。

論文問題集を何回か読んでいれば、規範が全く思い浮かばない、ということは少ないと思います。

最初のうちは「なんか、こんな感じの規範だったような気がするな・・・」という曖昧な記憶でも良いので、頑張って規範を書きましょう。

規範は試験当日までに覚えていれば良いので、演習の段階では正確に書けなくても特に問題はありません。

規範がどうしても覚えられないという人は、模試・定期試験・本試験の1ヶ月~数週間前から、規範を暗記するための期間を確保しておき、その時に一気に規範を暗記するという方法をとると良いと思います(私はこのタイプでした。)


規範を書いたら後は事実を規範に当てはめるだけです。

事実は問題文に書いてありますから、自分の立てた規範と問題文の事実がどう結びつくのかを自分の頭で考えて書けば良いのです。

このように見てみると答案を書く上で暗記が必要不可欠なのは「規範」だけであり、それ以外の部分は暗記をしていなくても「何とかなる」こともある、ということが分かると思います。

なので、問題集を何度か読んでいれば、少なくとも「それっぽい答案」は書けるようになるはずです。



次に、答案を書けない理由として考えられるのは「完璧な答案を書こう」としているのかも知れない、ということです。

論文式問題集、答練、過去問演習に取り組む際は、必ずしも「完璧」な答案を書けるようにする必要はありません。

参考答案と同じような答案を書けるようにするための「努力」をすることは必要ですが、参考答案と「似たような」、同じ流れ・趣旨の答案が書ければそれで十分ですし、ほとんどの受験生は論文問題集を何度回しても、問題集の参考答案レベルと全く同じレベルの答案を書けるようにはなりません。

むしろ、問題集の参考答案の劣化版のような答案しか書けない受験生がほとんどだと思います。

もし「伊藤塾試験対策問題集」と同じレベルの答案をスラスラと正確に書けるようになれば、司法試験・予備試験で1位を取れてもおかしくないですが、そのようなレベルに達するのはほとんどの人にとっては不可能です。

こういった感覚は、過去の本試験の再現答案を見ると分かると思いますので、早い段階で過去問の演習をしてみるのが良いと思います。

実際に本試験では十分に勉強をしたつもりでも、緊張で暗記したことが出てこない、ということもあったりします。

なので、合格者であっても、全てを暗記をして答案を書いている訳ではなく、その場で六法を引いてあれこれ悩んで考えながら答案を書くという場面も少なくありません。

このように、問題集の解答を作成する際には、問題集の答案を「そのまま再現」しようとするのではなく、問題集の答案と似たような流れ・趣旨の答案を書けるようになれば、それで十分です。

あとは、過去問演習をやりつつ合格者の答案を読んでいけば、問題集の参考答案のうち「この部分は正確に暗記するべき部分」「この部分は自分の言葉で書いても問題はない部分」というのが分かってくると思います。


以上のように、「答案の型を覚える」ということと、「完璧な答案など書けない」というふうに割り切れば、問題集を何度も読んでいるのに、全く答案が書けないということはないと思います。



  • ◆どの時点で答案作成が必要か

論文式問題集について、どの時点で答案作成に取り組むか、というのは先ほどの試験までのスケジュールによって異なってきます。

私は勉強に費やせる時間が少ないほうだったので、「伊藤塾試験対策問題集」については、基本的に読んだり、写経したり、答案の書き方の辞書として使うことが多く、「伊藤塾試験対策問題集」の問題について、じっくりと答案を書くということはほとんどありませんでした。

といよりも、試験までのスケジュールを逆算して立てると、論文式問題集について1つずつ丁寧に答案を書く、という作業ができる人は少ないかも知れません。

そのような場合には、答案作成の練習は予備校の答練、過去問の論文式の演習、同級生とのゼミなどで行い、「伊藤塾試験対策問題集」はあくまでも知識をインプットするためのツール(教科書や辞書と同じような扱い)として割り切って使う、という方法に切り替えたほうが良いかも知れません。


  • ◆さいごに

勉強をどの程度のペースで回すかというアドバイスは、相手方によって変わってくるので難しい部分でもあります。

ただ、今回の質問者の方は、慎重にゆっくり勉強するタイプの人であるように見受けられますので、理解できない部分があっても割り切って、スケジュールをきちんと設定した上で「もっと早いペースで回す」ということを意識したほうが、成績が早く伸びる可能性が高いように思います。

蛇足的な話も多かったと思いますが、また分からないことがありましたらコメント欄に記載をしてください。

起業経験は法律事務所の就職においてアピールポイントになるか

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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起業経験は企業法務系の事務所に就活する際に良いアピールポイントになりますか?
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起業経験のある司法修習生に会ったことがないので、起業経験は法律事務所の就職においてアピールポイントになるかが分からないのですが、「起業したことがあります!」と言われると、インパクトはあると思いますし目立つので、興味を持つ弁護士は少なくないと思います。


また、顧問先に中小企業を抱えている法律事務所の場合、中小企業の経営者(社長など)から、法律相談とは違った愚痴のような相談や、法律的な解決が難しい相談(従業員間のちょっとしたトラブルなど)などを受けることが良くあります。

そういった時に、「私も社長をやっていた時に同じような悩みを抱えていましたので分かります。」と言えることは、顧問先と上手く付き合っていく材料になるとは思います。

そういった意味では、就職においてアピールポイントになるかも知れません。


ただ、起業経験があるというだけでアピールポイントになるというよりも、起業した会社の規模、従業員の数、会社の経営状況、経営していた期間、起業経験によりどのような経験を得たか等によるのではないかと思います。

ひとくちに「起業」と言っても、今は誰でも簡単な手続で会社を作ることができるので、起業を通じて、どのような知識・スキルを得たのかという点が大事だと思います。


なお、法律事務所にもよると思いますが、起業経験がある人が就職を希望して来た場合、「この人を採用して育てても、独立心が強すぎて、経験を積んだらすぐに独立してしまうのではないか?」ということを心配されるかも知れません。

事務所によっては、弁護士としての経験を積ませるからには、できるだけ長く事務所にいて欲しいと考えているところもありますので、その辺は面接などで空気を察しながら、場合によっては「すぐに辞めるつもりはない。」ということを強調しておいたほうが良いかも知れません。


それから質問の趣旨からは逸れますが、起業で得た経験・知識などは、勤務弁護士として働く場合よりも、独立をした時のほうが、役に立つことが多いと思います。

勤務弁護士は従業員と同じような立場にあることが多いですが、独立をすると小さな会社の社長と似たような立場になり、従業員との関わりやマーケティングにおいて、企業の経営者と同じような悩みを抱えることが少なくないからです。



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