仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが,色々と考えるところがあり思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し,現在は弁護士として働いています。 司法試験のこと,転職のこと,公務員のことなどについて,だらだらと書いていきたいと思います。

ロースクールの勉強と司法試験の勉強の両立などについて

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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今後の勉強方法について、アドバイスを頂けないでしょうか。
現在、ブログを参考に入門書を読んで、問題集を解くという方法を繰り返していたのですが、ロースクールに入学後はこのような勉強方法(問題集を解くことを繰返す)を継続すべきなのでしょうか。司法試験対策としては、このような勉強方法が重要なのかなと感じて入るのですが、どうしても、ロースクール卒業のために、授業の予習復習、課題や定期試験対策をメインとしなければいけないように感じています。
今後の勉強の仕方(ロースクールの勉強と司法試験の勉強の割合や、いつから短答の対策をはじめるべきかなど)について何かアドバイス等ありましたらお願い致します。
既習コースで入学しておりますが、仕事を半分休みながら2年間(令和3、4年)かけて、ロースクール2年目を履修し、仕事を完全休業(令和5年)しロースクール3年目を終える予定です。令和5年目の後期からは授業はかなり少なくなるような履修を計画しております。
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ロースクールの授業の予習・復習、課題、定期試験対策をどこまでやるかは、(1)ロースクールの単位認定の厳しさと、(2)ロースクールの授業と司法試験との関連性の程度、によって判断することになると思います。


例えば、私のいたロースクールでは、上記(1)と(2)の状況は以下のような感じでした。


憲法・民法・民事訴訟法
⇒(1)単位認定は緩い、(2)授業と司法試験との関連性の程度は低い

行政法
⇒(1)単位認定は緩い、(2)授業と司法試験との関連性の程度は中程度

商法
⇒(1)単位認定は緩い、(2)授業と司法試験との関連性の程度は高い

刑法・刑事訴訟法
⇒(1)単位認定はかなり厳しい、(2)授業と司法試験との関連性の程度は非常に高い



私のいたロースクールでは刑法・刑事訴訟法の単位認定が厳しかったです(毎年のように10%程度留年)。

他方で、先輩の話によると、刑法・刑事訴訟法についてはロースクールの定期試験である程度の成績を取ることができれば、司法試験でも容易に合格点が取れる、という話でした。

私は、ロースクールの初回の定期試験では刑法・刑事訴訟法ともに点数が悪く、周りの同級生は旧司法試験の勉強を何年も続けてきた猛者ばかりという状況でした。

そのような状況でしたので、既習1年目は、ロースクールの刑法・刑事訴訟法の予習・復習に費やす時間が多かったです。

ただ、ロースクールの予習・復習をしているだけでは定期試験で安定した点数を取ることは難しいと思い、既習1年目の夏休み(2ヶ月くらい)に伊藤塾の「試験対策問題集」のAランクの問題を中心に復習をし、基本的な知識・理解の定着に努めました。

その結果、ロースクールの後期の刑法・刑事訴訟法の定期試験の点数は安定するようになり、定期試験でも上位の成績をとることができ、既習1年目が終わる時点では刑法・刑事訴訟法の論文式試験の勉強は、それ以上あまりやらなくても十分だろうと思えるくらいのレベルになっていました。


また、ロースクールの民事訴訟法の授業がカオス過ぎて全く頭に入ってこなかった(学説の対立や最先端の論文の話ばかりで何が判例・通説なのか良く分からなかった)ので、既習1年目の段階で知識を整理するために同様に「試験対策問題集」のAランクの問題を中心に復習をしながら定期試験対策をしました。


その他の科目について、既習1年目の時点では主にロースクールの予習と定期試験対策(授業の復習)に追われていて、論文式問題集を回す時間はあまりなかったです。



既習2年目は主に、

・既習1年目であまり勉強ができなかった憲法・行政法・民法・商法(会社法)の自主ゼミを組んで論文問題集をこなす

・短答式の勉強を始める

・司法試験の論文式試験の過去問を解くゼミを組んで時間を計って答案を作成しお互いの答案を読みつつ批評をし合う

ということをしました。





以上の私の経験を踏まえると

・ロースクールに入学後に問題集を解くことを繰返すという勉強を継続すべきか

⇒ロースクールに入る前にどの程度まで問題集の知識・理解を高めることができたかによるが、ロースクールの定期試験に合わせて論文式問題集が使えるようであれば活用し、定期試験に追われて問題集を十分に回せなかった科目については既習2年目に復習をする。


・ロースクールの勉強と司法試験の勉強の割合

⇒ロースクールの勉強と司法試験の勉強の切り分けが難しいと思いますが、ロースクールの授業の予習・復習・定期試験対策をすることで司法試験の成績に直結する科目については、全力でロースクールの勉強をする。司法試験の成績に直結しないと思われる科目については基本的には単位を落とさない程度に最低限の勉強をする。


・いつから短答の対策をはじめるべきか

⇒既習1年目からやり始めるのが望ましいが、既習2年目から勉強をはじめても十分に間に合う。


相談者の方は、既習1年目を2年で、既習2年目を1年で履修されるようですので、その点は適宜読み替えていただければです。



なお、私はロースクールに入学する前は、基本的に論文式の問題集として伊藤塾の「試験対策問題集」又は柴田孝之先生の「論文基礎力養成講座」を使っていましたが、既習2年目はゼミの仲間が使っている問題集との兼ね合いで、以下の問題集も使っていました。

憲法  「事例研究 憲法」

行政法 「事例研究行政法」

民法  「民法総合・事例演習」

会社法 「ロースクール演習会社法」









これらの問題集は解答例が無かったり、今では改訂されておらず古くなっているものもありますので、予備校の問題集や、他の新しい問題集のほうが使い勝手が良いと思います。

特に「民法総合・事例演習」は今では使っている受験生はほとんどいないと思いますが、司法試験との関係ではオーバースペックなのでおすすめはしません。




論文式の問題集は、問題集を回すことが目的なのではなく、試験本番で合格答案を書けるようになるのが目的ですので、ロースクールの予習・復習・定期試験対策だけで合格答案が書けるレベルになるのであれば、敢えて使う必要はありません(ただ、実情としてロースクールの予習・復習・定期試験対策をしているだけで司法試験で合格答案が書けるような教育をしているロースクールはそれほど多くないように思われます。)

また、金銭的に余裕があるのであれば、論文式問題集を回すのではなく、予備校の答練を大量に受けて復習をすることで、合格答案が書けるレベルに持っていくというタイプの受験生もいます。


個人的には「問題集を回す」という勉強法は、時間的にも金銭的にもコスパが良い勉強法だと思いますが、ご自身が置かれている状況や、知識・理解の定着具合などを考慮しつつ、どの勉強方法をとるのが良いか判断されるのが良いと思います。


不明な点がありましたらコメント欄などに記載をしてください。

東京リーガルマインド(LEC)の司法試験・予備試験用の書籍などについて

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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LECはあまりブログに出てきませんが、あまり評判は良くないのでしょうか。
・・・
レビューを見ると過去問の分析や短答等、他社の書籍より解説が薄いようですが択一六法以外は余り良くないのか評判を知りたいです。
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東京リーガルマインド(LEC)自体が評判が良くない、ということはないと思います。

旧司法試験時代から東京リーガルマインド(LEC)を利用したことのある受験生・合格者は相当な数だと思います。

私の同級生にもLECの入門講座を受けたことがある人が何人もいました。

弁護士に受験生時代の話を聞くと「司法試験予備校と言えばLEC」というような話をする人も未だに少なくないです。

伊藤塾の伊藤真先生がLECの講師をされていたのは有名な話ですし、他の予備校の有名な先生が実はLEC出身だった、ということもあります。

以前に比べると新興勢力の予備校が増えていることもあり、LECの勢いは落ちている感じはしますが、今でも大手の司法試験予備校であることに変わりはないと思います。



他の記事でも取り上げていると思いますが、私が受験生時代に使っていたLECの主な書籍は「C-Book」と「択一六法」です。







私が記事でお勧めしている書籍の多くは、基本的に私が受験生時代に使っていたもの、私の同級生の合格者の多くが使っていたもの、弁護士になった後に使ってみて良いと思ったものが中心です。

自分があまり使ったことがないものや、同級生などから使い勝手などの評判を聞いたことがないものをお勧めするのは無責任だと思うので、自分があまり知らない書籍はお勧めに挙げていないのですが、私がお勧めしていない書籍であっても、良い参考書や基本書は沢山あると思いますので、実際に本屋さんなどで手に取って自分の目で見てみて、自分に合いそうなものを選ぶのが良いと思います。

私が受験生の時は、「新」司法試験が始まって数年しかたっていなかったのですが、私の記憶では当時は新司法試験に対応した書籍の辰巳法律研究所が販売しているものが多かったと思います。

そのため、私がお勧めしている本の中では、辰巳法律研究所の本の紹介が多くなっています。

私が受験生時代にLECの問題集はほとんど使っていなかったので(「論文の森」という問題集を少し使ったことがあるくらい)、LECの問題集の紹介をしていませんが、LECの評判が悪いということはないと思います。


以下、私がLECの問題集に目をとおしてみた感想についてお話したいと思います。



  • ●論文式試験用の過去問

現在、LECからは「司法試験&予備試験 論文5年過去問 再現答案から出題趣旨を読み解く」(以下「論文5年過去問」)という本が出版されています。

「過去問の分析」については、論文式試験に関しては、個人的には掲載されている再現答案の数の多さ(順位の幅)があったほうが、得られるものが多いと思っています。

論文式試験の過去問の資料として、私が各記事で辰巳法律研究所の「ぶんせき本」をお勧めしている理由1つは、(年度にもよりますが)「ぶんせき本」では超上位の合格答案から、そこそこの合格答案まで幅広い再現答案が掲載されているので、論文試験でどのような論述をすれば点が付きやすいのかという感覚を身につけやすいという点にあります。

先日、LECの「論文5年過去問」をざっと見てみましたが、内容はシンプルであるものの、科目ごとに5年分の過去問の再現答案に目を通すことができるという視認性の良さは、「論文5年過去問」のほうにメリットがあると感じました。

「ぶんせき本」は全科目・単年度ごとの購入になりますが、「論文5年過去問」は科目別・過去5年分が掲載されているので、科目ごとに過去問を周回・分析したい場合には便利だと思います。


また、掲載されている再現答案については、「ぶんせき本」のほうが順位が高いものが多いものの、大きな差はないと感じました。


私が今の受験生であれば

過去問を単年度ごとにじっくりと分析したい 
⇒ 辰巳法律研究所の「ぶんせき本」


時間がないので短時間で科目ごとにとりあえず過去問と再現答案にざっと目を通したい
⇒LECの「論文5年過去問」

という基準で選ぶかな、と思います。


論文式試験の過去問の演習については、優秀な人とゼミを組めるのであれば、お互いに時間をはかって答案を書いて、お互いに答案を批評し合うという作業をすると、効率が良いです。

ゼミを組む場合には、同じゼミの人が使っている本と同じものを持っていたほうが批評をし合う場合に便利だと思うので、自分が受験生だったら勉強仲間が持っているものと同じほうを選ぶかも知れません。






  • ●短答式の問題集

LECからは現在、短答式の問題集として「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集」という本が出版されていますが、先日、目をとおした範囲では「バランスのとれた一般的な問題集」という印象を受けました。

●司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集

解説が特別詳細という訳ではないですが、無駄な記述がある訳でもなく、解説を読んで分からない部分だけ基本書や判例集を参考にする、という使い方をすれば特に問題はないと思いますし、この問題集をマスターすれば、短答式試験は余裕でクリアできるはずです。


短答式の問題集については、正直、どの予備校の問題集も一長一短で、「絶対にこれが良い」というものはないと思います。

どの問題集であっても、実際に使ってみると解説に納得できない等の場面に出くわすこともありますが、どの問題集を使っていても、不満に感じる部分は出てくると思います。

なので「どこの予備校か」で選ぶのではなく、以下の要素を考慮した上で、今の自分の状況にあった問題集を選ぶのが良いと思います。


・問題の量
⇒問題の量が多いほうがマスターできれば本番で高得点ととれる可能性が高くなりますが、問題の量が多いと消化不良で終わって全範囲を網羅できないまま本番を迎えることになるリスクがあります。なので、本番までに自分自身が費やせる勉強時間を考慮した上で消化可能な量の問題集を選ぶほうが良いと個人的には思っています。


・解説の量
⇒解説の量が多いほうが逐一基本書や判例集を参照する手間が省けるというメリットがありますが、長文の解説を読んでいると当然時間もかかります。また、長々と説明されるよりも、シンプルな解説のほうがかえって分かりやすいという場合もあります。これも自分の勉強の進捗具合、理解力の程度、逐一基本書で調べたほうが頭に入るタイプか等によって、解説の量が多いものか、シンプルな解説のものかを選ぶと良いです。


・解説の傾向
⇒判例の判旨などを引用した上で「条文・判例がこう言っているからこれが正解(正解に至る細かい理由の説明なし)」というシンプルな解説が中心の問題集がある一方で、「条文・判例はこう言っているけど、こういう理屈で考えればこれが正解」という形で自分の頭で考えて正解を導けるように攻めた解説の内容になっている問題集もあります。前者は万人に受け入れれやすく読みやすいものの、頭に残りにくいというデメリットがあります。後者は頭に残りやすく論文式試験への応用が利くものの、解説者の解説の内容が自分の考え方と合わないと「余計な解説を入れないで・・・」とイライラしたりしてしまう場合もあります。


・一問一答式か本試験形式か
⇒一問一答式は速く回せますが、肢切り・個数問題等の練習ができないのと、飽きやすいというデメリットがあります。本試験形式は、その逆で、肢切り・個数問題等の練習ができますが、時間がかかるというデメリットがあります。


・体系別か単年度版か
⇒一般的に体系別の問題集のほうが頭に残りやすく学習効率は良いですが、試験までに十分な時間がないと消化不良になる可能性があります。単年度版は学習効率は劣りますが、短期間でとりあえず全範囲を網羅するという作業を繰り返すので、「一部の分野だけ全く勉強していない」という状況になるリスクが少ないです。



上記の視点でLECの「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集」を見ると、以下のような印象を受けました。

・問題の量
⇒問題集としては一般的な量だが、十分な勉強時間を確保できない人にとっては、消化不良になる可能性がある量。「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集」には正答率の記載があるので、スケジュール的に厳しい場合には、正答率の高い基本的な問題を中心に回すか、問題数の少ない別の問題集を優先する等の工夫が必要と思われる。

・解説の量
⇒前記のとおり、解説は多くもなく少なくもない、というバランスの取れた量。逐一基本書や判例集を参照したくないという人にとっては物足りないと感じるかも知れないが、「解説はそこそこシンプルで良いからサクサクと進めたい」という人にとっては適度な量だと思われる。少なくとも「解説を読むのに時間がかかってなかなか前に進まない」ということはないはず。

・解説の傾向
⇒あまり攻めた詳しい解説はない。正解・不正解の理由として条文を内容を引用しているだけのものも多いが、それがかえって「余計な記述がなく読みやすい」と感じる人もいると思うので、好みの問題。

・一問一答式か本試験形式か
⇒本試験形式なので肢切り・個数問題の練習ができるが、前記のとおりタイムリミットには注意が必要。

・体系別か単年度版か
⇒体系別なので一般論としては頭に残りやすく学習効率は良いと思われるが、前記のとおりタイムリミットには注意が必要。


実際に自分の目で読んでみて、自分のスケジュール、勉強方法、性格に合いそうかチェックしてみるのが良いと思います。

ネットのレビューなども参考にするのも1つの考えですが、実際に自分の目で見て、自分の目的に合致した本か、読んでみてやる気がでそうか、といった観点から選んだほうが、後悔は少ないと思います。

結局、どの問題集・参考書を使っても合格する人は合格しますので、どの問題集・参考書を使うか悩んだ場合には、とりあえず使ってみて「違うな」と思ったら別の参考書に乗り換えるか検討する、というように、「走りながら考える」ほうが長期的に見ると無駄が少ない場合もあります。


それでも決められないという場合には、周りの受験生(できれば成績が良い人)にどの問題集・参考書を使っているか聞いてみて、一番シェア率が高かった本を使うというのも考え方の1つです。

「この問題集・参考書を使っていて大丈夫だろうか」と心配になった場合に、「他の多くの受験生もこの本を使っているから特に問題はないだろう」「優秀なアイツが使っているから間違いない」と自分に安心感を与えることができるので、勉強に集中しやすくなると思います。





  • ○柴田孝之先生の本など

その他、LECの講師である柴田孝之先生の本は個人的におすすめです。

柴田先生の本は、LECから出版されているものと、他社から出版されているものがあります。

柴田孝之先生の本は、このブログよりも数百倍、読む価値はあると思います(個人的な感想ですが)。



私は司法試験の勉強がある程度進んだ後に「試験勉強の技術」という本を読みましたが、柴田孝之先生の試験勉強に関する考え方やノウハウが凝縮されたような本で、勉強方法や勉強の進め方に悩んでいる人にとっては参考になると思います。

●試験勉強の技術




その他、私は司法試験の勉強を始めた頃に、隙間時間(仕事の昼休みなど)に「S式1問1答法律用語問題集」を読んでいました。

「基本書や学部ではちゃんと教えてくれないけど、法律を勉強する上では最初から知っておいたほうが良い知識」なども含めて、一問一答の形で整理されています。

細切れの時間を効率的に使って基本的な知識をインプットしたい場合にはおすすめです。

●S式1問1答法律用語問題集


その他に柴田孝之先生は様々な本を出しています。

かなり古い本ですが、個人的には「司法試験合格論文機械的作成法」という本なども参考になりました。

本屋さんなどで中身を見てみて、自分に合うと思った場合には活用すると良いと思います。


【アクセスの多い記事】
司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その1)
民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など(その2)
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公務員の仕事の効率化について

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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市役所の職員にこんな聡明な人がいるのか、と驚かされるブログです。
私は、市役所をやめたいと考えて、司法試験予備試験の受験勉強を始めたのですが、どうしても仕事を効率的にできず、学習が進みません。
プログラムにより効率化を達成されたとのことですが、かなり専門的な知識を使われたのでしょうか?
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  • ●プログラムを使った仕事の効率化について

プログラムを使った仕事の効率化については、それほど専門的な知識は使っていません。

私が主に使っていたのは、エクセルの「マクロ」という機能で、使っていたプログラム言語は「Visual Basic」(VBA)という比較的簡単な言語です。

役所で使えるパソコンにインストールされるアプリケーションはもともと決められていると思いますし(WordとExcel等、基本的なアプリケーション以外は入っていないことが多い。まれにMicrosoft Accessが入っているくらい。)、エクセルのマクロ以外の機能を使おうとしても、対応するアプリケーションをインストールする許可が下りないことが多いと思います。

たとえば、役所で「Pythonを使いたいので環境構築してもいいですか?」と許可申請しても、よっぽどの必要性が認められない限り、許可は下りないと思います(悪用されると大変なことになるので)。

そのため、市役所の役場などでは、先進的なプログラミング言語を勉強しても、あまり活用できる場面が少なく、むしろ「Visual Basic」(VBA)などの昔ながらの簡単な言語のほうが使い勝手が良い場合が多いと思います。

ただし、役所によってはVBAの使用すら制限されているところもあるかも知れません。

私がいた役所でも、一時期VBAを使えない表計算ツールの導入する案がありましたが、反対の声があったため(少なくとも私が退職するまでの間は)VBAの使用が認められていました。

以下の話は職場でVBAが使えることを前提とした話です。




私は市役所に入ってしばらくした頃、仕事が忙しかった時期に、上司がエクセルの「マクロ」(VBA)を使って仕事を効率化しているのを見て、マクロの勉強を始めました。

私が最初に買った本は、マクロを使って実際にどのようなシステムが作れるのかということと、そのシステムを作るための方法が10種類くらい記載された本でした。

その本に書かれたシステムの中には、そのまま仕事で使えそうなものもいくつかあったので、職場で実際に本を読みながら自分でプログラムを打ち込んでみたり、フォームを作ってみたりして、勉強をしつつ、仕事も効率化できるようにしていました。

その本は市役所を辞める時に捨てるか誰かにあげてしまったと思うのですが、今となって本屋さんで探しても同じ本が見つからないので、もう絶版になっているかも知れません。(タイトルも思い出せません。)

エクセルの「マクロ」の使い方については、大きめの本屋さんに行くと「Excel VBA」というタイトルが付いた数多くの種類の参考書や辞典などがあると思います。

Amazonなどで検索する場合には、Excel VBAで検索すると良いと思います。



もし、マクロの勉強をするのであれば、最初は、先ほどお話しをしたような「実際にどのようなものが作れるか」ということがイメージできる本を買ったほうが良いと思います。

実際に本を立ち読みしたりして、自分が理解できそうなレベルの本から読むと良いと思います。


そして、ある程度マクロの勉強が進んでいくと「こういうことをしたいけど実際にどうプログラムを書けば良いか分からない」ということいが増えてくると思います。

その時はGoogleで調べればヒントが出てくることが多いですし、Googleで調べても出てこない場合には「Excel VBA」の辞典のような本があるので、それでプログラムの書き方を調べると良いと思います。



●「Excel VBA」の辞典


マクロ(VBA)で効率化できるのは、主に予算、決算、会計などの数字が関係する業務です。

役所では、何をやるにも予算の話が出てきますし、どの部署でも毎年当初予算を組む作業や、補正予算の作業の作業などが出てくると思います。

決算の時期になれば数字をまとめる作業に追われることもあると思います(私はそうでした。)。

また、役所では外部の組織や、役所内部からの(何の意味があるのか分からない)照会に対応する業務も多かったりすると思います。

役所で使っている会計システムにもよると思いますが、会計システムから予算や過去の決算の情報を「CSVファイル」という形で出力できると思います。

そして、予算や決算の作業をする時や、照会の回答を作成する際に、会計システムから「CSVファイル」の形で出力したデータを、提出用の書式に一括で変換できるようなプログラムを組んでおくと便利だったりします。


また、外部や役所内部からの回答をデータでまとめる作業などがある場合には、回答は電子メールでエクセルの書式でもらうようにしておいて、得られた回答を自動的に整理して1つのエクセルのファイルにまとめてくれる、というプログラムを組んでおく、としておくと便利だったりします。

このようなプログラムを組んでおくと、数百件もの回答を短時間で処理することも可能だったりします。



また、当時は私が働いていた役所では決裁文書のシステムが入っておらず、決裁文書を作成する時には、透明の枠を入れたワードファイルで決裁文書と作って、決裁用の用紙(上司がハンコを付く欄などがあらかじめ印刷されている)をプリンターに入れて印刷する・・・という、かなり手間がかかる作業をしていたので、時間がかかっていました。

そこで、エクセルで決裁用の書式を作って、定型的な決裁文書については、いくつかの情報を入れて「印刷」ボタンを押すと、決裁文書が自動的に出てくる、というような使い方もしていました。

たとえば、補助金によっては1件あたり1個の決裁文書を作成しなければならない(まとめて決裁を取れない)という謎ルールがあったりして、補助金に関する決裁文書を作成する際に、従来は1件1件手作業でワードで申請者名、住所、金額、補助率などを入力して・・・とやっていたものがありました。

そこで、決裁文書をエクセルで作ることで、エクセルのシートに申請者名、住所、金額、補助率などのデータを流し込み、何番から何番までの申請者の決裁文書を印刷するか番号を選択して「印刷」ボタンを押すと、数十件ないし数百件分の決裁文書が印刷される、というようなことができるようにしたりしていました。

(今は決裁文書のシステムが入ったようなので、そこまで自由度の高いことはできなくなっているかも知れません。)




その他、私が経験した中では、エクセルで作成した大量の資料について、上司から「見栄えを良くするために罫線を引いてよ」と言われて、(お役所らしいあまり意味のない)作業をしなければならなくなったことがあったのですが、手作業で罫線を引くと丸1日くらいかかりそうな量でした。

うんざりしながら手作業で罫線を引いていたのですが、途中で馬鹿らしくなって何か良い方法がないか考えていたところ、罫線を入れるべき箇所に規則性があることが分かりました。

試しに自動で規則的に罫線を引くマクロを30分くらいかけて組んで実行させて、トイレに行って戻ってきたら作業がほぼ終わっていた(一部ずれているところを確認・修正して終了)、ということができたこともありました。

このように、マクロ(VBA)は使い方が分かってくると、役所内での仕事を効率化する上で使える場面は結構あると思います。



ただ、マクロ(VBA)を使う上では注意をしたほうが良いことが、いくつかあります。



1つは、マクロ(VBA)の使い方に慣れてきて、マクロを組むのが楽しくなってくると、仕事の効率化に結びつかないにもかかわらず、自己満足のためにマクロを作ってしまうことがあるということです。

マクロを組むためには、実際にプログラミング言語を打ち込んだり、必要に応じてユーザーフォームを作ったりしなければならないので、それなりに時間がかかります。

そのため、マクロを組むにあたっては、

(ア)マクロを組むために必要な時間と(イ)マクロを組むことで短縮できる時間を比較して、(ア)よりも(イ)のほうが大きい場合に、マクロを組むべきであるはずです。

しかし、マクロを組むのが楽しくなってくると、(イ)マクロを組むことで短縮できる時間よりも、(ア)マクロを組むための時間のほうが大きいのに、それでもマクロを組むことに挑戦してしまう、ということが出てきてしまう場合があります。

これをやり出すと、かえって仕事量が増えてしまいますので、マクロを組む場合には、それで本当に仕事量を圧縮できるのか、ということは十分に考えたほうが良いです。

具体的には、定期的(毎日・毎月・毎年など)に同じような作業を何回も繰り返す必要があるような場合には、マクロを組んだほうが結果的に速いということが多いと思います。



2つ目としては、マクロ(VBA)を使わなくても、Excelの関数で対応できないか、ということを考えるべき、ということです。

Excelでは、マクロ(VBA)を使わなくても、関数で対応できることが沢山あります。

そして、自分以外の人が使うことを考えた場合、マクロ(VBA)を使ったシステムよりも関数だけで作られたファイルのほうが使い勝手が良い場合が多いですし、関数だけで作られたファイルのほうが通常は処理が速いです(マクロの場合には基本的にマクロを実行しなければなりませんが、関数の場合には数値を打ち込むだけで即時に反映されます)。

ただ、マクロ(VBA)は慣れてくると、ほぼ何でもできてしまうため、関数だけで対応できる作業も、「いちいち頭を使って面倒な関数を打ち込むよりも、マクロ(VBA)を組んだほうが楽」という感覚なってしまうことがあり、関数よりもマクロを優先してしまうことがあります。

しかしながら、Excelを使いこなしている超上級者をみると、関数で対応できることは関数だけで処理をし、関数で対応しきれない場面ではじめてマクロを使う、という使い分けをしています。


私の職場にいた上級者は、マクロは使えるけれども、複雑な処理も極力マクロを使わずに、関数をフル活用して洗練したシステムを作っていましたし、そのような感覚を持っていたほうがおそらく仕事も速いのではないかと思います。

なので、マクロに慣れてきた後には、何でもかんでもマクロに頼らないようにする、という感覚は持っておいたほうが良いと思います。

関数は、ネットで調べたり、Excelの本を見ると色々と載っていますが、条件を指定して数値を表示させる「IF関数」は慣れると色々な場面(大量のデータから特定の数字だけを拾い出す場合など)で簡単に使えるので便利です。

弁護士になった今でも「IF関数」は良く使っています。





  • ●その他の仕事の効率化について

上記のマクロは主に数字を扱う場面では役立ちますが、数字を扱わない業務では活躍しないことも多いです。

そのため、以下は完全な蛇足になると思いますが、公務員が早く仕事を終わらせるためには、マクロを使う等以外にも、仕事を効率化する方法は考える必要があると思います。

役所で働いていた時は私よりも仕事が速い人は沢山いましたし、弁護士になった今では同業者に超人みたいな人が沢山いるので、私自身ものすごく仕事が速いという訳ではない思いますが、仕事を効率化して残業地獄・休日出勤地獄を何度か乗り切ってきた経験はあるので、その経験を踏まえて、マクロ以外で仕事を効率化する方法をお話したいと思います。



  • ○過去に業務で作成したデータは検索しやすい状態に整理して残しておく

役所の仕事は、毎年同じような作業の繰り返し、というものも多いです。

業務によっては、去年作成したデータの日付、数値などを変更するだけで完了する、という類いの作業も結構あると思います。

そのため、去年作成したデータさえ手元にあれば、すぐに仕事が終わるはず・・・なのに

「昨年に作成したデータがない!」とか「昨年のデータはどこかにあるけど探せない!」みたいなことが、私はよくありました。

特に担当業務が変わった時や、異動した際に、前任者に「昨年のデータどこですか?」と聞いても「消しちゃったかもなぁ」とか「分かんないけど、どこかにあると思うから探してみて」と言われると、膝から崩れ落ちそうになります。

業務で作成したファイルは、種類ごとにフォルダに入れて、日付と件名を付けて検索しやすいように整理をして、部署の共有フォルダの分かりやすい場所に保管しておくと、次の年から作業が楽になると思います。

これは本来であれば誰でもやっていそうなことですが、私の経験上、やっていない人が意外に多い印象でした(やってない人が多いので、異動する度に苦労していました)。



  • ○マニュアルを作っておく

これはケースバイケースですが、今自分がやっている担当業務について、定型化できる部分はマニュアルを作っておいたほうが良いと思います。

部署にもよると思いますが、仕事量は1年間の中でも波があることが多いので、残業が多い時期もあれば、日中に余裕がある時期もある場合もあると思います。

余裕がある時にマニュアルを作って自分に仕事を整理しておくと、自分の仕事を俯瞰的に見ることができ、業務効率化のためのヒントになることもありますし、何よりも引き継ぎが楽です。

役所は異動が多いので、前の部署から何かある度に電話がかかってきたり呼ばれたりするのは面倒です。

きちんとしたマニュアルを作っておけば、後任者から問い合わせがあっても、「マニュアルに書いてあるので、それを読んでください。」で対応できる場面が増え、結果的に自分が新しい部署で仕事が慣れるのに大変な時期に、前の部署の面倒まで見なければいけなくなるリスクを減らせると思います。



  • ○問題解決のスピードを速める

役所では各部署で「懸案事項」と呼ばれるような問題を抱えていることが多いと思います。

この「懸案事項」の処理に時間をかけすぎると、他の事務的な業務をいくら効率化しても、残業はなかなか減りません。

懸案事項の処理のスピードを速くする方法は、ビジネス書などにも書いてあると思うのですが、個人的には司法試験の勉強をはじめてから、「懸案事項」の処理のスピードが速くなったと感じています。

役所の中で「懸案事項」の処理を検討する時には、本来であれば、①事実関係の確認、②法的問題点・その他の問題点の有無の確認、③法的問題点・その他の問題点の有無に基づく対応の検討、というように順序立てて検討する必要があると思うのですが、こういった順序を意識しないで、ダラダラと会議や雑談が積み重ねられて時間がかかっていく、ということが多いように感じていました。

「懸案事項」の処理を検討は、司法試験の論文式試験の処理の仕方と似ている部分があるので、司法試験の勉強をしていると、自然に上記の順序に従った問題の処理の仕方が身につくんじゃないかと(個人的には)思っています。

問題処理の実例などは、必要があれば時間のある時にお答えしたいと思います。



  • ○人を頼る、業務を外注する

役所の中で、仕事が速い人・残業が少ない人を見ると、「人を頼る」のが上手い人が多いと思います。

どんなに優秀な人でも得意なこと、不得意なことがありますし、自分で全ての業務を完璧にこなすことは無理です。

仕事が速い人は、業務の中で困難なことにぶつかった時には、問題の処理の仕方に詳しそうな部署や人に相談にいったり、場合によっては援助を求めたりするなど、自分1人で何でも処理をしようとするのではなく、困ったら人に頼れる環境を構築している人が多いように思います。

困った時に他人に助けてもらうためには、普段から良好な人間関係を作っておくことが大事ですし、他人が困った時には逆に自分から助けてあげたりアドバイスをしてあげるなどしておいて、恩を売っておくことも大事だと思います。

役所には色々な人がいますので、恩を売っても仇で返されてしまうこともある悲しい世界(軽い気持ちで他の人の仕事を手伝うと逆に自分の分担業務が増えて地獄を見ることもある)ですが、仕事ができる人は、役所の内外で良好な人間関係を構築できる人が多いと思います。

私は個人的には「役所の仕事は人間関係が9割」だと思っていて、個人的な能力がどれだけ高くても、周りの協力・理解が得られないと仕事を進めることは困難になることが多いですし、自分1人でできることが少なくても周りが進んで協力してくれるような環境であれば、困難な仕事でもチームプレーで処理をしていくことが可能だったりします。

なので、これまで色々と言ってきましたが、最終的には「役所内外で良好な人間関係を作っておき、いざとなったら人を頼ることを恐れない」ということが最も大事なことなんじゃないかなと思っています。


なお「人を頼る」というのは、役所内部だけでなく、外部の力を頼るということを考える必要がある場合があります。

業務の内容によっては、地域住民に理解や協力があったほうが進めやすい仕事もあると思いますし、そのような場合には多少時間をかけてでも、住民のもとに何度も足を運んで人間関係を作っていったほうが、結果的に仕事が速く進むこともあります。




また、単純作業で残業時間があまりにも多いという場合には、業務の外注も考えたほうが良いと思います。


私が異動をした部署で、数年に一度「数千人分の数十項目のアンケートをひたすらエクセルに打ち込んでデータを整理する」という作業があったのですが、前任者に話を聞いたところ・・・

「半年以上、毎日のように夜遅くまで残業をしてやっと作業を終わらせた。」

「作業がマジで辛くて身体を壊して入院した。」

「この業務の担当者は昔から身体と心を壊している人が多いみたいだよ。」

「君も地獄見ると思うよ。ご愁傷様。頑張って。

と言われました。


私はその話を聞いて「絶対にその作業はやりたくない!」と思いました。

何か良い方法が無いかと考えて、倉庫に行って決算資料を漁って前任者の残業代のデータを調べたところ、前任者がデータ入力に費やした残業代が200万円近く(推定)になっていました(前任者が40代だったので残業代の単価が高かったのです。)。

そこで外部の業者数社に同じデータ入力の見積もりを取ったところ、100万円強でできるという業者をいくつか見つけることができました。

そこで、財政部局に前任者の残業代のデータと、業者の見積もりを持っていき「この作業を市職員が残業でやるよりも、外注したほうが市の財政的負担が少ない。市民からいただいた貴重な財源を無駄に使って良い訳がない。だから外注するための予算をください!」(本当は自分が残業したくないだけ!)と言って予算を勝ち取り、残業を免れた、ということがありました。

人によっては、残業代として200万円近くもらえるなら多少辛くても残業したいという人もいるかも知れませんが、私は残業が嫌いだったのでお金よりも早く帰れることのほうが大事でしたし、前任者が体を壊したといっていたので業務を外注できて命拾いしたと思っています。

このように、業務の負担が多いときには、自分以外の誰かを「頼る」ことができないか、ということは考えたほうが良いと思います。



この「人を頼る」ということは簡単なようで結構、難しいです。

特に役所で働いている人は真面目な人が多いので「自分で何とかしなきゃ」と考えて、潰れてしまう人も多いように思います。


以上、公務員の仕事の効率化について、質問の答えとしては蛇足も多かったと思いますが、参考になればと思います。


なお、仕事をいくら効率化しても部署や時期によっては残業が減らないということもあると思います。役所って、そういうところなのかも知れません。


私も、いくら仕事を効率化しても、仕事が雪崩のように回ってきて、なかなかまとまった勉強時間が取れない、という時期がありました。

その場合には、以前の記事でも書いたとおり、隙間時間を効率的に活用するとか、朝早起きして毎日勉強する習慣を付けるなどの工夫をして、何とか勉強時間を確保する必要があると思います。