仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが、思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し、現在は弁護士として働いています。 自分が受験生の時は情報が少なく相談できる人もいなかったため、色々と悩むことも多かったです。 公務員のこと、司法試験のことなどについて、受験生の方に参考になるかも知れないことを書いていけたらと思っています。 質問がある方はコメント欄に記載してもらえれば可能な範囲で回答したいと思います。回答まで時間がかかることが多々ありますがご容赦ください。

予備試験(司法試験)の論文式試験における手形法の勉強について


質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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働きながら予備試験の勉強をしているものです。
ひとつ、教えていただければ大変幸いです。
商法の試験範囲には手形法が含まれますが、どのように、また、どの程度勉強されましたでしょうか?
予備試験受験生ですので、当然、短答の対策はしておりますが、論文になりますと、正直全く書ける気がしません。出題可能性が低いために気力が湧かないというのもあるかもしれませんが
アドバイスいただけますでしょうか?
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私が受験生の時は予備試験は無かったため、ロースクール受験、司法試験受験をとおした経験と、自分がもし現在の予備試験の受験生だったらということを前提とした回答になります。




  • ○私がロースクールを受験した時

私がロースクールを受験する際、受験先のロースクールの入試で手形法が出題される可能性があったため、柴田孝之先生の「論文基礎力養成講座 商法・会社法」に載っている問題の範囲で、一応、手形法の勉強はしました。

ただ、質問者さんと同様に「出題可能性が低いために気力が湧かない」という状況であり、手形法についてはあまり理解ができていないままロースクール入試本番を迎えました。

そして、入学試験で運良く手形法が出題されなかったため、特に問題は生じなかった、というのが正直なところです。



  • ○私が司法試験を受験した時

私が司法試験を受験した時は、商法についても短答式があったため、短答式の過去問演習の範囲でのみ手形法の勉強をし、論文式試験については全く対策をしませんでした。

ロースクールで商法の教授からは「今後は手形は使われなくなるから、手形の勉強は各自でするように」と言われた記憶があります。

過去問を見る限り、司法試験の論文式試験では手形法の知識を正面から問うような問題は(現時点では)出題されたことは無いと思います。



  • ○予備試験について

予備試験については、論文式試験の過去問を見ると、平成24年平成28年に手形法の知識を正面から問う問題が出題されています。

そのため、現時点では、予備試験の本番で「手形法を勉強していなかったけれども、出題されてしまった」という事故を防ぐためには、ある程度は手形法の勉強をしておいたほうが良いはと思います。

ただ、今年(令和3年)の2月から3月頃にかけて、「経済産業省が2026年めどに約束手形の利用廃止を求める方針を決定した」という報道がありました。

(以下のサイトの「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」の「報告書」に詳細が記載されているようです。)



司法試験や予備試験は、裁判官・検察官・弁護士という実務家の資格を与えるための試験なので、上記の報道の内容をふまえると、実務的に使われなくなる可能性の高い手形について、予備試験でも出題が減ったり、無くなったりする可能性があると思います。

個人的には、今後の司法試験や予備試験の論文式試験で手形法の知識を正面から問う問題が出題される可能性は低いだろうとは思っていますが、前記のような事故を防ぐためには、現時点ではある程度の勉強はしておいたほうが良いと思います。



  • ○手形法の勉強はどこまでやるべきか

予備試験受験生であれば、短答式の勉強をする際に手形法の勉強もすることになるため、手形法について基本的な知識はインプットできるはずです。

そのため、論文式試験で手形法が出題された際には、短答式試験の知識をフル活用して、手元にある六法を頼りに、何とか解答をひねり出す(三段論法を守りつつ解答らしいものを作って軽傷で済ませる)、という方法もあると思います。

現実問題として、予備試験の論文式試験で手形法が真っ正面から出題された時に、質の高い答案を書ける受験生はそれほど多くないと思います。

そのため、条文を間違えずに指摘して、三段論法を守りつつ、それなりに説得力のある論証をすることができれば、大怪我を避けることは可能だと思います。


もっとも、質問者さんのように「短答式の勉強だけでは論文式試験でどのように書けば良いのかイメージがわかない」と方もいると思いますので、その場合には、論文式試験用の問題集や、論文式試験の解答的な解説がなされている予備校本を使って、論文式試験の答案のイメージを作っておく、という方法もあると思います。

別の記事で紹介している伊藤塾の「試験対策問題集」や辰巳法律研究所の「えんしゅう本」にも、数問程度、手形法の問題があったと思います。

★試験対策問題集

★えんしゅう本

数問という問題数は「時間がないので、基本的な問題に絞ってくれていたほうが助かる」と感じる人もいると思いますし、「問題集が少ないと不安」と感じる人もいると思うので、ご自身がどこまで手形法の勉強に時間割くことができるか等の事情をふまえた上で、本屋さんで実際に見てみて、自分の気に入ったものを選ぶと良いと思います。


その他、LECの「C-Book 商法II」という予備校本では、手形法に関する論点ごとに「問題の所在」「考え方のすじ道」という箇所に問題と解答例のような形で解説されています。

★C-Book 商法II

この「C-Book」に掲載されている主要論点を解答例に形でインプットしておけば、手形法の分野では試験が怖いということはなくなると思います。

ただ、現実的には、他の科目との兼ね合いで、手形法を予備校本で網羅的に勉強するための時間をとることは、かなり難しいと思います。


そのため、私が今の予備試験の受験生だった場合には、

(1)短答式の過去問演習で手形法の基本的な知識をインプットする

(2)それでも不安な場合には、「試験対策問題集」や「えんしゅう本」など、問題数が少なめの論文式問題集の解答例を読んだり写経したりして、解答のイメージを掴んでおく

(3)論文式試験で手形法が出際された際の過去問と合格者の再現答案(成績上位者の答案だけでなくボーダーラインの答案も)を読んで、少ない知識でどのように無難な答案を書くべきかをイメージしておく

というくらいで済ませると思います。


前記のとおり、政府も約束手形は廃止する方向で動いているようですので、今後は司法試験や予備試験で手形法の知識を正面から問う問題が減ったり、無くなったりする可能性があると思います。

令和3年度以降の予備試験の短答式の問題において、手形法の問題が著しく減ったり、無くなったりするようであれば、論文式試験でも手形法の分野が出題される可能性は低いと思いますので、今後の状況をふまえつつ、どこまで勉強するのかを判断したほうが無駄な勉強をしなくて済むと思います。


  • ○その他(蛇足です)

前記のとおり、私はロースクールで商法の教授からは「実務では今後は手形は使われなくなる」と言われていましたし、政府も約束手形を廃止する方針です。

しかし、実務に出てみると、中小企業などでは未だに手形を使っているところもあり、たまに手形がからんだ問題に出くわすこともあるため、私は「受験生の時にもう少し手形を勉強しておけばよかった」と思うことがあります。

「手形法の勉強をしようとしても、やる気が出てこない」という気持ちは、自分もそうだったので良く分かります。

手形法が良く分かっていないと私のように苦労することもあるかも知れませんので、実務で手形法の問題に出くわした時のことをイメージしながら勉強を頑張っていただければと思います。


ロースクールの勉強と司法試験の勉強の両立などについて

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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今後の勉強方法について、アドバイスを頂けないでしょうか。
現在、ブログを参考に入門書を読んで、問題集を解くという方法を繰り返していたのですが、ロースクールに入学後はこのような勉強方法(問題集を解くことを繰返す)を継続すべきなのでしょうか。司法試験対策としては、このような勉強方法が重要なのかなと感じて入るのですが、どうしても、ロースクール卒業のために、授業の予習復習、課題や定期試験対策をメインとしなければいけないように感じています。
今後の勉強の仕方(ロースクールの勉強と司法試験の勉強の割合や、いつから短答の対策をはじめるべきかなど)について何かアドバイス等ありましたらお願い致します。
既習コースで入学しておりますが、仕事を半分休みながら2年間(令和3、4年)かけて、ロースクール2年目を履修し、仕事を完全休業(令和5年)しロースクール3年目を終える予定です。令和5年目の後期からは授業はかなり少なくなるような履修を計画しております。
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ロースクールの授業の予習・復習、課題、定期試験対策をどこまでやるかは、(1)ロースクールの単位認定の厳しさと、(2)ロースクールの授業と司法試験との関連性の程度、によって判断することになると思います。


例えば、私のいたロースクールでは、上記(1)と(2)の状況は以下のような感じでした。


憲法・民法・民事訴訟法
⇒(1)単位認定は緩い、(2)授業と司法試験との関連性の程度は低い

行政法
⇒(1)単位認定は緩い、(2)授業と司法試験との関連性の程度は中程度

商法
⇒(1)単位認定は緩い、(2)授業と司法試験との関連性の程度は高い

刑法・刑事訴訟法
⇒(1)単位認定はかなり厳しい、(2)授業と司法試験との関連性の程度は非常に高い



私のいたロースクールでは刑法・刑事訴訟法の単位認定が厳しかったです(毎年のように10%程度留年)。

他方で、先輩の話によると、刑法・刑事訴訟法についてはロースクールの定期試験である程度の成績を取ることができれば、司法試験でも容易に合格点が取れる、という話でした。

私は、ロースクールの初回の定期試験では刑法・刑事訴訟法ともに点数が悪く、周りの同級生は旧司法試験の勉強を何年も続けてきた猛者ばかりという状況でした。

そのような状況でしたので、既習1年目は、ロースクールの刑法・刑事訴訟法の予習・復習に費やす時間が多かったです。

ただ、ロースクールの予習・復習をしているだけでは定期試験で安定した点数を取ることは難しいと思い、既習1年目の夏休み(2ヶ月くらい)に伊藤塾の「試験対策問題集」のAランクの問題を中心に復習をし、基本的な知識・理解の定着に努めました。

その結果、ロースクールの後期の刑法・刑事訴訟法の定期試験の点数は安定するようになり、定期試験でも上位の成績をとることができ、既習1年目が終わる時点では刑法・刑事訴訟法の論文式試験の勉強は、それ以上あまりやらなくても十分だろうと思えるくらいのレベルになっていました。


また、ロースクールの民事訴訟法の授業がカオス過ぎて全く頭に入ってこなかった(学説の対立や最先端の論文の話ばかりで何が判例・通説なのか良く分からなかった)ので、既習1年目の段階で知識を整理するために同様に「試験対策問題集」のAランクの問題を中心に復習をしながら定期試験対策をしました。


その他の科目について、既習1年目の時点では主にロースクールの予習と定期試験対策(授業の復習)に追われていて、論文式問題集を回す時間はあまりなかったです。



既習2年目は主に、

・既習1年目であまり勉強ができなかった憲法・行政法・民法・商法(会社法)の自主ゼミを組んで論文問題集をこなす

・短答式の勉強を始める

・司法試験の論文式試験の過去問を解くゼミを組んで時間を計って答案を作成しお互いの答案を読みつつ批評をし合う

ということをしました。





以上の私の経験を踏まえると

・ロースクールに入学後に問題集を解くことを繰返すという勉強を継続すべきか

⇒ロースクールに入る前にどの程度まで問題集の知識・理解を高めることができたかによるが、ロースクールの定期試験に合わせて論文式問題集が使えるようであれば活用し、定期試験に追われて問題集を十分に回せなかった科目については既習2年目に復習をする。


・ロースクールの勉強と司法試験の勉強の割合

⇒ロースクールの勉強と司法試験の勉強の切り分けが難しいと思いますが、ロースクールの授業の予習・復習・定期試験対策をすることで司法試験の成績に直結する科目については、全力でロースクールの勉強をする。司法試験の成績に直結しないと思われる科目については基本的には単位を落とさない程度に最低限の勉強をする。


・いつから短答の対策をはじめるべきか

⇒既習1年目からやり始めるのが望ましいが、既習2年目から勉強をはじめても十分に間に合う。


相談者の方は、既習1年目を2年で、既習2年目を1年で履修されるようですので、その点は適宜読み替えていただければです。



なお、私はロースクールに入学する前は、基本的に論文式の問題集として伊藤塾の「試験対策問題集」又は柴田孝之先生の「論文基礎力養成講座」を使っていましたが、既習2年目はゼミの仲間が使っている問題集との兼ね合いで、以下の問題集も使っていました。

憲法  「事例研究 憲法」

行政法 「事例研究行政法」

民法  「民法総合・事例演習」

会社法 「ロースクール演習会社法」









これらの問題集は解答例が無かったり、今では改訂されておらず古くなっているものもありますので、予備校の問題集や、他の新しい問題集のほうが使い勝手が良いと思います。

特に「民法総合・事例演習」は今では使っている受験生はほとんどいないと思いますが、司法試験との関係ではオーバースペックなのでおすすめはしません。




論文式の問題集は、問題集を回すことが目的なのではなく、試験本番で合格答案を書けるようになるのが目的ですので、ロースクールの予習・復習・定期試験対策だけで合格答案が書けるレベルになるのであれば、敢えて使う必要はありません(ただ、実情としてロースクールの予習・復習・定期試験対策をしているだけで司法試験で合格答案が書けるような教育をしているロースクールはそれほど多くないように思われます。)

また、金銭的に余裕があるのであれば、論文式問題集を回すのではなく、予備校の答練を大量に受けて復習をすることで、合格答案が書けるレベルに持っていくというタイプの受験生もいます。


個人的には「問題集を回す」という勉強法は、時間的にも金銭的にもコスパが良い勉強法だと思いますが、ご自身が置かれている状況や、知識・理解の定着具合などを考慮しつつ、どの勉強方法をとるのが良いか判断されるのが良いと思います。


不明な点がありましたらコメント欄などに記載をしてください。

東京リーガルマインド(LEC)の司法試験・予備試験用の書籍などについて

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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LECはあまりブログに出てきませんが、あまり評判は良くないのでしょうか。
・・・
レビューを見ると過去問の分析や短答等、他社の書籍より解説が薄いようですが択一六法以外は余り良くないのか評判を知りたいです。
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東京リーガルマインド(LEC)自体が評判が良くない、ということはないと思います。

旧司法試験時代から東京リーガルマインド(LEC)を利用したことのある受験生・合格者は相当な数だと思います。

私の同級生にもLECの入門講座を受けたことがある人が何人もいました。

弁護士に受験生時代の話を聞くと「司法試験予備校と言えばLEC」というような話をする人も未だに少なくないです。

伊藤塾の伊藤真先生がLECの講師をされていたのは有名な話ですし、他の予備校の有名な先生が実はLEC出身だった、ということもあります。

以前に比べると新興勢力の予備校が増えていることもあり、LECの勢いは落ちている感じはしますが、今でも大手の司法試験予備校であることに変わりはないと思います。



他の記事でも取り上げていると思いますが、私が受験生時代に使っていたLECの主な書籍は「C-Book」と「択一六法」です。







私が記事でお勧めしている書籍の多くは、基本的に私が受験生時代に使っていたもの、私の同級生の合格者の多くが使っていたもの、弁護士になった後に使ってみて良いと思ったものが中心です。

自分があまり使ったことがないものや、同級生などから使い勝手などの評判を聞いたことがないものをお勧めするのは無責任だと思うので、自分があまり知らない書籍はお勧めに挙げていないのですが、私がお勧めしていない書籍であっても、良い参考書や基本書は沢山あると思いますので、実際に本屋さんなどで手に取って自分の目で見てみて、自分に合いそうなものを選ぶのが良いと思います。

私が受験生の時は、「新」司法試験が始まって数年しかたっていなかったのですが、私の記憶では当時は新司法試験に対応した書籍の辰巳法律研究所が販売しているものが多かったと思います。

そのため、私がお勧めしている本の中では、辰巳法律研究所の本の紹介が多くなっています。

私が受験生時代にLECの問題集はほとんど使っていなかったので(「論文の森」という問題集を少し使ったことがあるくらい)、LECの問題集の紹介をしていませんが、LECの評判が悪いということはないと思います。


以下、私がLECの問題集に目をとおしてみた感想についてお話したいと思います。



  • ●論文式試験用の過去問

現在、LECからは「司法試験&予備試験 論文5年過去問 再現答案から出題趣旨を読み解く」(以下「論文5年過去問」)という本が出版されています。

「過去問の分析」については、論文式試験に関しては、個人的には掲載されている再現答案の数の多さ(順位の幅)があったほうが、得られるものが多いと思っています。

論文式試験の過去問の資料として、私が各記事で辰巳法律研究所の「ぶんせき本」をお勧めしている理由1つは、(年度にもよりますが)「ぶんせき本」では超上位の合格答案から、そこそこの合格答案まで幅広い再現答案が掲載されているので、論文試験でどのような論述をすれば点が付きやすいのかという感覚を身につけやすいという点にあります。

先日、LECの「論文5年過去問」をざっと見てみましたが、内容はシンプルであるものの、科目ごとに5年分の過去問の再現答案に目を通すことができるという視認性の良さは、「論文5年過去問」のほうにメリットがあると感じました。

「ぶんせき本」は全科目・単年度ごとの購入になりますが、「論文5年過去問」は科目別・過去5年分が掲載されているので、科目ごとに過去問を周回・分析したい場合には便利だと思います。


また、掲載されている再現答案については、「ぶんせき本」のほうが順位が高いものが多いものの、大きな差はないと感じました。


私が今の受験生であれば

過去問を単年度ごとにじっくりと分析したい 
⇒ 辰巳法律研究所の「ぶんせき本」


時間がないので短時間で科目ごとにとりあえず過去問と再現答案にざっと目を通したい
⇒LECの「論文5年過去問」

という基準で選ぶかな、と思います。


論文式試験の過去問の演習については、優秀な人とゼミを組めるのであれば、お互いに時間をはかって答案を書いて、お互いに答案を批評し合うという作業をすると、効率が良いです。

ゼミを組む場合には、同じゼミの人が使っている本と同じものを持っていたほうが批評をし合う場合に便利だと思うので、自分が受験生だったら勉強仲間が持っているものと同じほうを選ぶかも知れません。






  • ●短答式の問題集

LECからは現在、短答式の問題集として「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集」という本が出版されていますが、先日、目をとおした範囲では「バランスのとれた一般的な問題集」という印象を受けました。

●司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集

解説が特別詳細という訳ではないですが、無駄な記述がある訳でもなく、解説を読んで分からない部分だけ基本書や判例集を参考にする、という使い方をすれば特に問題はないと思いますし、この問題集をマスターすれば、短答式試験は余裕でクリアできるはずです。


短答式の問題集については、正直、どの予備校の問題集も一長一短で、「絶対にこれが良い」というものはないと思います。

どの問題集であっても、実際に使ってみると解説に納得できない等の場面に出くわすこともありますが、どの問題集を使っていても、不満に感じる部分は出てくると思います。

なので「どこの予備校か」で選ぶのではなく、以下の要素を考慮した上で、今の自分の状況にあった問題集を選ぶのが良いと思います。


・問題の量
⇒問題の量が多いほうがマスターできれば本番で高得点ととれる可能性が高くなりますが、問題の量が多いと消化不良で終わって全範囲を網羅できないまま本番を迎えることになるリスクがあります。なので、本番までに自分自身が費やせる勉強時間を考慮した上で消化可能な量の問題集を選ぶほうが良いと個人的には思っています。


・解説の量
⇒解説の量が多いほうが逐一基本書や判例集を参照する手間が省けるというメリットがありますが、長文の解説を読んでいると当然時間もかかります。また、長々と説明されるよりも、シンプルな解説のほうがかえって分かりやすいという場合もあります。これも自分の勉強の進捗具合、理解力の程度、逐一基本書で調べたほうが頭に入るタイプか等によって、解説の量が多いものか、シンプルな解説のものかを選ぶと良いです。


・解説の傾向
⇒判例の判旨などを引用した上で「条文・判例がこう言っているからこれが正解(正解に至る細かい理由の説明なし)」というシンプルな解説が中心の問題集がある一方で、「条文・判例はこう言っているけど、こういう理屈で考えればこれが正解」という形で自分の頭で考えて正解を導けるように攻めた解説の内容になっている問題集もあります。前者は万人に受け入れれやすく読みやすいものの、頭に残りにくいというデメリットがあります。後者は頭に残りやすく論文式試験への応用が利くものの、解説者の解説の内容が自分の考え方と合わないと「余計な解説を入れないで・・・」とイライラしたりしてしまう場合もあります。


・一問一答式か本試験形式か
⇒一問一答式は速く回せますが、肢切り・個数問題等の練習ができないのと、飽きやすいというデメリットがあります。本試験形式は、その逆で、肢切り・個数問題等の練習ができますが、時間がかかるというデメリットがあります。


・体系別か単年度版か
⇒一般的に体系別の問題集のほうが頭に残りやすく学習効率は良いですが、試験までに十分な時間がないと消化不良になる可能性があります。単年度版は学習効率は劣りますが、短期間でとりあえず全範囲を網羅するという作業を繰り返すので、「一部の分野だけ全く勉強していない」という状況になるリスクが少ないです。



上記の視点でLECの「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集」を見ると、以下のような印象を受けました。

・問題の量
⇒問題集としては一般的な量だが、十分な勉強時間を確保できない人にとっては、消化不良になる可能性がある量。「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集」には正答率の記載があるので、スケジュール的に厳しい場合には、正答率の高い基本的な問題を中心に回すか、問題数の少ない別の問題集を優先する等の工夫が必要と思われる。

・解説の量
⇒前記のとおり、解説は多くもなく少なくもない、というバランスの取れた量。逐一基本書や判例集を参照したくないという人にとっては物足りないと感じるかも知れないが、「解説はそこそこシンプルで良いからサクサクと進めたい」という人にとっては適度な量だと思われる。少なくとも「解説を読むのに時間がかかってなかなか前に進まない」ということはないはず。

・解説の傾向
⇒あまり攻めた詳しい解説はない。正解・不正解の理由として条文を内容を引用しているだけのものも多いが、それがかえって「余計な記述がなく読みやすい」と感じる人もいると思うので、好みの問題。

・一問一答式か本試験形式か
⇒本試験形式なので肢切り・個数問題の練習ができるが、前記のとおりタイムリミットには注意が必要。

・体系別か単年度版か
⇒体系別なので一般論としては頭に残りやすく学習効率は良いと思われるが、前記のとおりタイムリミットには注意が必要。


実際に自分の目で読んでみて、自分のスケジュール、勉強方法、性格に合いそうかチェックしてみるのが良いと思います。

ネットのレビューなども参考にするのも1つの考えですが、実際に自分の目で見て、自分の目的に合致した本か、読んでみてやる気がでそうか、といった観点から選んだほうが、後悔は少ないと思います。

結局、どの問題集・参考書を使っても合格する人は合格しますので、どの問題集・参考書を使うか悩んだ場合には、とりあえず使ってみて「違うな」と思ったら別の参考書に乗り換えるか検討する、というように、「走りながら考える」ほうが長期的に見ると無駄が少ない場合もあります。


それでも決められないという場合には、周りの受験生(できれば成績が良い人)にどの問題集・参考書を使っているか聞いてみて、一番シェア率が高かった本を使うというのも考え方の1つです。

「この問題集・参考書を使っていて大丈夫だろうか」と心配になった場合に、「他の多くの受験生もこの本を使っているから特に問題はないだろう」「優秀なアイツが使っているから間違いない」と自分に安心感を与えることができるので、勉強に集中しやすくなると思います。





  • ○柴田孝之先生の本など

その他、LECの講師である柴田孝之先生の本は個人的におすすめです。

柴田先生の本は、LECから出版されているものと、他社から出版されているものがあります。

柴田孝之先生の本は、このブログよりも数百倍、読む価値はあると思います(個人的な感想ですが)。



私は司法試験の勉強がある程度進んだ後に「試験勉強の技術」という本を読みましたが、柴田孝之先生の試験勉強に関する考え方やノウハウが凝縮されたような本で、勉強方法や勉強の進め方に悩んでいる人にとっては参考になると思います。

●試験勉強の技術




その他、私は司法試験の勉強を始めた頃に、隙間時間(仕事の昼休みなど)に「S式1問1答法律用語問題集」を読んでいました。

「基本書や学部ではちゃんと教えてくれないけど、法律を勉強する上では最初から知っておいたほうが良い知識」なども含めて、一問一答の形で整理されています。

細切れの時間を効率的に使って基本的な知識をインプットしたい場合にはおすすめです。

●S式1問1答法律用語問題集


その他に柴田孝之先生は様々な本を出しています。

かなり古い本ですが、個人的には「司法試験合格論文機械的作成法」という本なども参考になりました。

本屋さんなどで中身を見てみて、自分に合うと思った場合には活用すると良いと思います。


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