「司法書士」試験も,社会人が転職のために受験するパターンが多い資格です。
それもそのはず。
仕事も魅力的ですし,試験も比較的受験しやすいからなんですよ。
目次
■司法書士は主に「登記」に関する手続をする仕事
司法書士は主に「登記」に関する手続を代理して行っています。
「登記って何?」っていう人も多いと思います。
「登記」は不動産などの権利関係を公示するためのです。
と言っても分かりにくいと思いますので例を挙げてみましょう。
たとえば,AさんがBさんに土地を売ったとします。
Bさんは「やった。この土地は僕のものだ。」と喜んでいたら,Aさんが同じ土地をCさんにも売ってしまったとします。
AさんがBさんとCさんに二重に土地を売ってしまった状態ですね。
こうなるとBさんとCさんの間で「この土地は僕のものだ!」という喧嘩になります。
こんな時に便利なのが登記です。
AさんがBさんに土地を売った時に,Bさんが「この土地はBのものです」という「登記」をして公示おくと,その後にAさんがCさんに土地を売っても,BさんはCさんに「この土地は僕(B)のものです」と言えるんですね。
なぜなら,Bさんがきちんと「登記」で「この土地は僕のものですよ」と公示をしていたのに,それを確認しないで同じ土地を買ったCさんが悪いからです。
ですから,不動産の売買では「登記」は非常に大事なんです。
また不動産の売買だけでなく,不動産に抵当権(担保)を付ける時にも「登記」をしますし,会社を作ったり会社の役員が替わった時なんかにも「登記」をしたりします。
ただ,この「登記」の手続が面倒くさいんですよ。
そこで頼りになるのが「司法書士」です。
「司法書士」の先生は,面倒くさい「登記」という手続を代わりにやってくれるんですね。
私たち弁護士も「登記」の業務はできることになっているのですが,普段から登記業務をやっているプロの司法書士の先生には太刀打ちできません。
ですから,弁護士も「登記」をしなければならない時は,司法書士の先生にお願いをすることが多いです。
ちょっと話が長くなりましたが,司法書士が行う「登記」というのはとても大事な業務ですし,需要がある仕事なんです。
■司法書士は簡易裁判所で訴訟(裁判)の代理人にもなれる
司法書士の仕事は「登記」だけではありません。
司法書士は必要な認定を受けることで,法律の専門家として簡易裁判所の裁判で代理人として,弁護士と同じような仕事ができるんですね。
簡易裁判所は訴額(裁判の対象となるお金や物の価格)が140万円未満の事件を取り扱っています。
ですから,問題となっているお金や物の価格が140万円未満でれあれば,司法書士も弁護士と同じような仕事ができるんです。
また相続の際に遺産分割に関する書類を作成することもあったり,法律の専門家として法律相談を受けることも少なくありません。
まさに司法書士は気軽に相談をできる「町の法律家」です。
司法書士の仕事内容をより詳しく知りたい人は「司法書士の「お仕事」と「正体」がよ~くわかる本」という本を読んでみることをおすすめします。
●ISBN-10: 4798035866
■司法書士試験は働きながら合格する人が多い
司法書士試験は,社会人になった後に転職のために受験する人が多い資格であるというお話をしましたが,それは司法試験などに比べると社会人も受験しやすいからなんですよね。
弁護士になるための「司法」試験(≠「司法書士」試験)を受験するためには,法科大学院を卒業するか,予備試験に合格する必要があります。
法科大学院を卒業するためには会社を休職するか辞めるかしなければなりませんし,予備試験経由で司法試験に合格するためみは,予備試験と司法試験の両方の試験に合格する必要があるのでハードルは高めです。
他方,司法書士試験は受験資格の制限はなく,だれでも受験可能です。
しかも試験は筆記試験1日,口述試験1日の合計2日間だけですから,社会人にとっては受験しやすい試験なんです。
とは言っても司法書士試験の合格率は2%~3%程度で,簡単な試験ではありません。
そこで,次回は司法書士試験の勉強方法についてお話をしたいと思います。
●ISBN-10: 4798035866