仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが、思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し、現在は弁護士として働いています。 自分が受験生の時は情報が少なく相談できる人もいなかったため、色々と悩むことも多かったです。 公務員のこと、司法試験のことなどについて、受験生の方に参考になるかも知れないことを書いていけたらと思っています。 質問がある方はコメント欄に記載してもらえれば可能な範囲で回答したいと思います。回答まで時間がかかることが多々ありますがご容赦ください。

公務員の仕事の効率化について

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います

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市役所の職員にこんな聡明な人がいるのか、と驚かされるブログです。
私は、市役所をやめたいと考えて、司法試験予備試験の受験勉強を始めたのですが、どうしても仕事を効率的にできず、学習が進みません。
プログラムにより効率化を達成されたとのことですが、かなり専門的な知識を使われたのでしょうか?
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  • ●プログラムを使った仕事の効率化について

プログラムを使った仕事の効率化については、それほど専門的な知識は使っていません。

私が主に使っていたのは、エクセルの「マクロ」という機能で、使っていたプログラム言語は「Visual Basic」(VBA)という比較的簡単な言語です。

役所で使えるパソコンにインストールされるアプリケーションはもともと決められていると思いますし(WordとExcel等、基本的なアプリケーション以外は入っていないことが多い。まれにMicrosoft Accessが入っているくらい。)、エクセルのマクロ以外の機能を使おうとしても、対応するアプリケーションをインストールする許可が下りないことが多いと思います。

たとえば、役所で「Pythonを使いたいので環境構築してもいいですか?」と許可申請しても、よっぽどの必要性が認められない限り、許可は下りないと思います(悪用されると大変なことになるので)。

そのため、市役所の役場などでは、先進的なプログラミング言語を勉強しても、あまり活用できる場面が少なく、むしろ「Visual Basic」(VBA)などの昔ながらの簡単な言語のほうが使い勝手が良い場合が多いと思います。

ただし、役所によってはVBAの使用すら制限されているところもあるかも知れません。

私がいた役所でも、一時期VBAを使えない表計算ツールの導入する案がありましたが、反対の声があったため(少なくとも私が退職するまでの間は)VBAの使用が認められていました。

以下の話は職場でVBAが使えることを前提とした話です。




私は市役所に入ってしばらくした頃、仕事が忙しかった時期に、上司がエクセルの「マクロ」(VBA)を使って仕事を効率化しているのを見て、マクロの勉強を始めました。

私が最初に買った本は、マクロを使って実際にどのようなシステムが作れるのかということと、そのシステムを作るための方法が10種類くらい記載された本でした。

その本に書かれたシステムの中には、そのまま仕事で使えそうなものもいくつかあったので、職場で実際に本を読みながら自分でプログラムを打ち込んでみたり、フォームを作ってみたりして、勉強をしつつ、仕事も効率化できるようにしていました。

その本は市役所を辞める時に捨てるか誰かにあげてしまったと思うのですが、今となって本屋さんで探しても同じ本が見つからないので、もう絶版になっているかも知れません。(タイトルも思い出せません。)

エクセルの「マクロ」の使い方については、大きめの本屋さんに行くと「Excel VBA」というタイトルが付いた数多くの種類の参考書や辞典などがあると思います。

Amazonなどで検索する場合には、Excel VBAで検索すると良いと思います。



もし、マクロの勉強をするのであれば、最初は、先ほどお話しをしたような「実際にどのようなものが作れるか」ということがイメージできる本を買ったほうが良いと思います。

実際に本を立ち読みしたりして、自分が理解できそうなレベルの本から読むと良いと思います。


そして、ある程度マクロの勉強が進んでいくと「こういうことをしたいけど実際にどうプログラムを書けば良いか分からない」ということいが増えてくると思います。

その時はGoogleで調べればヒントが出てくることが多いですし、Googleで調べても出てこない場合には「Excel VBA」の辞典のような本があるので、それでプログラムの書き方を調べると良いと思います。



●「Excel VBA」の辞典


マクロ(VBA)で効率化できるのは、主に予算、決算、会計などの数字が関係する業務です。

役所では、何をやるにも予算の話が出てきますし、どの部署でも毎年当初予算を組む作業や、補正予算の作業の作業などが出てくると思います。

決算の時期になれば数字をまとめる作業に追われることもあると思います(私はそうでした。)。

また、役所では外部の組織や、役所内部からの(何の意味があるのか分からない)照会に対応する業務も多かったりすると思います。

役所で使っている会計システムにもよると思いますが、会計システムから予算や過去の決算の情報を「CSVファイル」という形で出力できると思います。

そして、予算や決算の作業をする時や、照会の回答を作成する際に、会計システムから「CSVファイル」の形で出力したデータを、提出用の書式に一括で変換できるようなプログラムを組んでおくと便利だったりします。


また、外部や役所内部からの回答をデータでまとめる作業などがある場合には、回答は電子メールでエクセルの書式でもらうようにしておいて、得られた回答を自動的に整理して1つのエクセルのファイルにまとめてくれる、というプログラムを組んでおく、としておくと便利だったりします。

このようなプログラムを組んでおくと、数百件もの回答を短時間で処理することも可能だったりします。



また、当時は私が働いていた役所では決裁文書のシステムが入っておらず、決裁文書を作成する時には、透明の枠を入れたワードファイルで決裁文書と作って、決裁用の用紙(上司がハンコを付く欄などがあらかじめ印刷されている)をプリンターに入れて印刷する・・・という、かなり手間がかかる作業をしていたので、時間がかかっていました。

そこで、エクセルで決裁用の書式を作って、定型的な決裁文書については、いくつかの情報を入れて「印刷」ボタンを押すと、決裁文書が自動的に出てくる、というような使い方もしていました。

たとえば、補助金によっては1件あたり1個の決裁文書を作成しなければならない(まとめて決裁を取れない)という謎ルールがあったりして、補助金に関する決裁文書を作成する際に、従来は1件1件手作業でワードで申請者名、住所、金額、補助率などを入力して・・・とやっていたものがありました。

そこで、決裁文書をエクセルで作ることで、エクセルのシートに申請者名、住所、金額、補助率などのデータを流し込み、何番から何番までの申請者の決裁文書を印刷するか番号を選択して「印刷」ボタンを押すと、数十件ないし数百件分の決裁文書が印刷される、というようなことができるようにしたりしていました。

(今は決裁文書のシステムが入ったようなので、そこまで自由度の高いことはできなくなっているかも知れません。)




その他、私が経験した中では、エクセルで作成した大量の資料について、上司から「見栄えを良くするために罫線を引いてよ」と言われて、(お役所らしいあまり意味のない)作業をしなければならなくなったことがあったのですが、手作業で罫線を引くと丸1日くらいかかりそうな量でした。

うんざりしながら手作業で罫線を引いていたのですが、途中で馬鹿らしくなって何か良い方法がないか考えていたところ、罫線を入れるべき箇所に規則性があることが分かりました。

試しに自動で規則的に罫線を引くマクロを30分くらいかけて組んで実行させて、トイレに行って戻ってきたら作業がほぼ終わっていた(一部ずれているところを確認・修正して終了)、ということができたこともありました。

このように、マクロ(VBA)は使い方が分かってくると、役所内での仕事を効率化する上で使える場面は結構あると思います。



ただ、マクロ(VBA)を使う上では注意をしたほうが良いことが、いくつかあります。



1つは、マクロ(VBA)の使い方に慣れてきて、マクロを組むのが楽しくなってくると、仕事の効率化に結びつかないにもかかわらず、自己満足のためにマクロを作ってしまうことがあるということです。

マクロを組むためには、実際にプログラミング言語を打ち込んだり、必要に応じてユーザーフォームを作ったりしなければならないので、それなりに時間がかかります。

そのため、マクロを組むにあたっては、

(ア)マクロを組むために必要な時間と(イ)マクロを組むことで短縮できる時間を比較して、(ア)よりも(イ)のほうが大きい場合に、マクロを組むべきであるはずです。

しかし、マクロを組むのが楽しくなってくると、(イ)マクロを組むことで短縮できる時間よりも、(ア)マクロを組むための時間のほうが大きいのに、それでもマクロを組むことに挑戦してしまう、ということが出てきてしまう場合があります。

これをやり出すと、かえって仕事量が増えてしまいますので、マクロを組む場合には、それで本当に仕事量を圧縮できるのか、ということは十分に考えたほうが良いです。

具体的には、定期的(毎日・毎月・毎年など)に同じような作業を何回も繰り返す必要があるような場合には、マクロを組んだほうが結果的に速いということが多いと思います。



2つ目としては、マクロ(VBA)を使わなくても、Excelの関数で対応できないか、ということを考えるべき、ということです。

Excelでは、マクロ(VBA)を使わなくても、関数で対応できることが沢山あります。

そして、自分以外の人が使うことを考えた場合、マクロ(VBA)を使ったシステムよりも関数だけで作られたファイルのほうが使い勝手が良い場合が多いですし、関数だけで作られたファイルのほうが通常は処理が速いです(マクロの場合には基本的にマクロを実行しなければなりませんが、関数の場合には数値を打ち込むだけで即時に反映されます)。

ただ、マクロ(VBA)は慣れてくると、ほぼ何でもできてしまうため、関数だけで対応できる作業も、「いちいち頭を使って面倒な関数を打ち込むよりも、マクロ(VBA)を組んだほうが楽」という感覚なってしまうことがあり、関数よりもマクロを優先してしまうことがあります。

しかしながら、Excelを使いこなしている超上級者をみると、関数で対応できることは関数だけで処理をし、関数で対応しきれない場面ではじめてマクロを使う、という使い分けをしています。


私の職場にいた上級者は、マクロは使えるけれども、複雑な処理も極力マクロを使わずに、関数をフル活用して洗練したシステムを作っていましたし、そのような感覚を持っていたほうがおそらく仕事も速いのではないかと思います。

なので、マクロに慣れてきた後には、何でもかんでもマクロに頼らないようにする、という感覚は持っておいたほうが良いと思います。

関数は、ネットで調べたり、Excelの本を見ると色々と載っていますが、条件を指定して数値を表示させる「IF関数」は慣れると色々な場面(大量のデータから特定の数字だけを拾い出す場合など)で簡単に使えるので便利です。

弁護士になった今でも「IF関数」は良く使っています。





  • ●その他の仕事の効率化について

上記のマクロは主に数字を扱う場面では役立ちますが、数字を扱わない業務では活躍しないことも多いです。

そのため、以下は完全な蛇足になると思いますが、公務員が早く仕事を終わらせるためには、マクロを使う等以外にも、仕事を効率化する方法は考える必要があると思います。

役所で働いていた時は私よりも仕事が速い人は沢山いましたし、弁護士になった今では同業者に超人みたいな人が沢山いるので、私自身ものすごく仕事が速いという訳ではない思いますが、仕事を効率化して残業地獄・休日出勤地獄を何度か乗り切ってきた経験はあるので、その経験を踏まえて、マクロ以外で仕事を効率化する方法をお話したいと思います。



  • ○過去に業務で作成したデータは検索しやすい状態に整理して残しておく

役所の仕事は、毎年同じような作業の繰り返し、というものも多いです。

業務によっては、去年作成したデータの日付、数値などを変更するだけで完了する、という類いの作業も結構あると思います。

そのため、去年作成したデータさえ手元にあれば、すぐに仕事が終わるはず・・・なのに

「昨年に作成したデータがない!」とか「昨年のデータはどこかにあるけど探せない!」みたいなことが、私はよくありました。

特に担当業務が変わった時や、異動した際に、前任者に「昨年のデータどこですか?」と聞いても「消しちゃったかもなぁ」とか「分かんないけど、どこかにあると思うから探してみて」と言われると、膝から崩れ落ちそうになります。

業務で作成したファイルは、種類ごとにフォルダに入れて、日付と件名を付けて検索しやすいように整理をして、部署の共有フォルダの分かりやすい場所に保管しておくと、次の年から作業が楽になると思います。

これは本来であれば誰でもやっていそうなことですが、私の経験上、やっていない人が意外に多い印象でした(やってない人が多いので、異動する度に苦労していました)。



  • ○マニュアルを作っておく

これはケースバイケースですが、今自分がやっている担当業務について、定型化できる部分はマニュアルを作っておいたほうが良いと思います。

部署にもよると思いますが、仕事量は1年間の中でも波があることが多いので、残業が多い時期もあれば、日中に余裕がある時期もある場合もあると思います。

余裕がある時にマニュアルを作って自分に仕事を整理しておくと、自分の仕事を俯瞰的に見ることができ、業務効率化のためのヒントになることもありますし、何よりも引き継ぎが楽です。

役所は異動が多いので、前の部署から何かある度に電話がかかってきたり呼ばれたりするのは面倒です。

きちんとしたマニュアルを作っておけば、後任者から問い合わせがあっても、「マニュアルに書いてあるので、それを読んでください。」で対応できる場面が増え、結果的に自分が新しい部署で仕事が慣れるのに大変な時期に、前の部署の面倒まで見なければいけなくなるリスクを減らせると思います。



  • ○問題解決のスピードを速める

役所では各部署で「懸案事項」と呼ばれるような問題を抱えていることが多いと思います。

この「懸案事項」の処理に時間をかけすぎると、他の事務的な業務をいくら効率化しても、残業はなかなか減りません。

懸案事項の処理のスピードを速くする方法は、ビジネス書などにも書いてあると思うのですが、個人的には司法試験の勉強をはじめてから、「懸案事項」の処理のスピードが速くなったと感じています。

役所の中で「懸案事項」の処理を検討する時には、本来であれば、①事実関係の確認、②法的問題点・その他の問題点の有無の確認、③法的問題点・その他の問題点の有無に基づく対応の検討、というように順序立てて検討する必要があると思うのですが、こういった順序を意識しないで、ダラダラと会議や雑談が積み重ねられて時間がかかっていく、ということが多いように感じていました。

「懸案事項」の処理を検討は、司法試験の論文式試験の処理の仕方と似ている部分があるので、司法試験の勉強をしていると、自然に上記の順序に従った問題の処理の仕方が身につくんじゃないかと(個人的には)思っています。

問題処理の実例などは、必要があれば時間のある時にお答えしたいと思います。



  • ○人を頼る、業務を外注する

役所の中で、仕事が速い人・残業が少ない人を見ると、「人を頼る」のが上手い人が多いと思います。

どんなに優秀な人でも得意なこと、不得意なことがありますし、自分で全ての業務を完璧にこなすことは無理です。

仕事が速い人は、業務の中で困難なことにぶつかった時には、問題の処理の仕方に詳しそうな部署や人に相談にいったり、場合によっては援助を求めたりするなど、自分1人で何でも処理をしようとするのではなく、困ったら人に頼れる環境を構築している人が多いように思います。

困った時に他人に助けてもらうためには、普段から良好な人間関係を作っておくことが大事ですし、他人が困った時には逆に自分から助けてあげたりアドバイスをしてあげるなどしておいて、恩を売っておくことも大事だと思います。

役所には色々な人がいますので、恩を売っても仇で返されてしまうこともある悲しい世界(軽い気持ちで他の人の仕事を手伝うと逆に自分の分担業務が増えて地獄を見ることもある)ですが、仕事ができる人は、役所の内外で良好な人間関係を構築できる人が多いと思います。

私は個人的には「役所の仕事は人間関係が9割」だと思っていて、個人的な能力がどれだけ高くても、周りの協力・理解が得られないと仕事を進めることは困難になることが多いですし、自分1人でできることが少なくても周りが進んで協力してくれるような環境であれば、困難な仕事でもチームプレーで処理をしていくことが可能だったりします。

なので、これまで色々と言ってきましたが、最終的には「役所内外で良好な人間関係を作っておき、いざとなったら人を頼ることを恐れない」ということが最も大事なことなんじゃないかなと思っています。


なお「人を頼る」というのは、役所内部だけでなく、外部の力を頼るということを考える必要がある場合があります。

業務の内容によっては、地域住民に理解や協力があったほうが進めやすい仕事もあると思いますし、そのような場合には多少時間をかけてでも、住民のもとに何度も足を運んで人間関係を作っていったほうが、結果的に仕事が速く進むこともあります。




また、単純作業で残業時間があまりにも多いという場合には、業務の外注も考えたほうが良いと思います。


私が異動をした部署で、数年に一度「数千人分の数十項目のアンケートをひたすらエクセルに打ち込んでデータを整理する」という作業があったのですが、前任者に話を聞いたところ・・・

「半年以上、毎日のように夜遅くまで残業をしてやっと作業を終わらせた。」

「作業がマジで辛くて身体を壊して入院した。」

「この業務の担当者は昔から身体と心を壊している人が多いみたいだよ。」

「君も地獄見ると思うよ。ご愁傷様。頑張って。

と言われました。


私はその話を聞いて「絶対にその作業はやりたくない!」と思いました。

何か良い方法が無いかと考えて、倉庫に行って決算資料を漁って前任者の残業代のデータを調べたところ、前任者がデータ入力に費やした残業代が200万円近く(推定)になっていました(前任者が40代だったので残業代の単価が高かったのです。)。

そこで外部の業者数社に同じデータ入力の見積もりを取ったところ、100万円強でできるという業者をいくつか見つけることができました。

そこで、財政部局に前任者の残業代のデータと、業者の見積もりを持っていき「この作業を市職員が残業でやるよりも、外注したほうが市の財政的負担が少ない。市民からいただいた貴重な財源を無駄に使って良い訳がない。だから外注するための予算をください!」(本当は自分が残業したくないだけ!)と言って予算を勝ち取り、残業を免れた、ということがありました。

人によっては、残業代として200万円近くもらえるなら多少辛くても残業したいという人もいるかも知れませんが、私は残業が嫌いだったのでお金よりも早く帰れることのほうが大事でしたし、前任者が体を壊したといっていたので業務を外注できて命拾いしたと思っています。

このように、業務の負担が多いときには、自分以外の誰かを「頼る」ことができないか、ということは考えたほうが良いと思います。



この「人を頼る」ということは簡単なようで結構、難しいです。

特に役所で働いている人は真面目な人が多いので「自分で何とかしなきゃ」と考えて、潰れてしまう人も多いように思います。


以上、公務員の仕事の効率化について、質問の答えとしては蛇足も多かったと思いますが、参考になればと思います。


なお、仕事をいくら効率化しても部署や時期によっては残業が減らないということもあると思います。役所って、そういうところなのかも知れません。


私も、いくら仕事を効率化しても、仕事が雪崩のように回ってきて、なかなかまとまった勉強時間が取れない、という時期がありました。

その場合には、以前の記事でも書いたとおり、隙間時間を効率的に活用するとか、朝早起きして毎日勉強する習慣を付けるなどの工夫をして、何とか勉強時間を確保する必要があると思います。



忙しい社会人の予備試験・司法試験に向けた勉強時間の確保と勉強方法について(その2)

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。


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何度か質問させていただいているサラリーマンです(2.の方は私ではありません)。
まず、短答の成績は以下の通りです。憲法30、行政法17、民法12、商法15、民訴17、刑法21、刑訴13、教養33、合計158。
35年前に法学部を卒業しており、ゼミに入っていた憲法は、自分としては得意科目と思っています。また、学生の時は公法系の方が成績が良く刑事系も得意だと思っていました。他方、私法系はあまり成績も良くなく、商法は必修ではありませんでした。
論文試験が終わった時に一番手応えがあったのは刑法だったので、E評価はショックでした。
民法、商法は全く手応えがなく、F評価は納得です。
誤算と言えるのは一般教養で、A評価を取るべきところ、D評価は想定外でした。
ご指摘の通り、民法と商法の成績が芳しくないのは絶対的な勉強時間が足りておらず、基本ができていないせいだと思います。
また、刑事系は学生の頃から勉強すること自体は苦にならない科目だったので、民法、商法とともにしっかり勉強したいと思います。
そこでご相談なのですが、上記以外の憲法、行政法、民訴、実務の勉強についてはどの程度の時間配分を考えるべきでしょうか。
いずれも短期間で詰め込んだことは否定し得ず、年齢のせいか物忘れもあって、基本知識が定着している自信がありません。
もう一つは、短答の準備をどのくらいすべきか、ということです。今回の合格はギリギリで、しかも一般教養で受かったようなものだと思っています。
なお、自分の年齢からすると、異動の希望を出すのは難しいと思われますが、何とか時間を見つけて勉強していきたいと思います。よろしくお願い致します。
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以下の回答・説明は、「予備試験を一度受験して科目ごとの成績が分かっている」かつ「時間がほとんどない」という事情がある相談者さん用の回答であって、万人に向けたものではありませんので、相談者の方以外はその点にごついて注意ください。


  • 短答式対策について

短答式の結果を見ると、民法の得点率が40%、商法の得点率が50%ですので、やはり民事系の基本的な知識が足りないのだと思われます。

旧司法試験の時から「民法を制するものは司法試験を制する」という言葉がありましたが、民法は司法試験の基本になる科目です。

予備試験では民法の配点は他の科目と同じですが、司法試験の短答式では憲法・刑法よりも民法の配点が1.5倍多くなりますし、民法と商法は条文数が多く範囲が広いため、知識の穴があると論文式試験で大怪我をしやすい科目ですので優先して補強しておいたほうが良い科目だと思います。

そのため、短答式については知識勝負になる民法・商法を中心に、短答式過去問集を回すか、肢別本のアプリを回すなどして、基本的な知識を身につける必要があると思います。

その他、刑事訴訟法の得点率が50%を切っているあたりも気になりますので、他の点数の低かった行政法、民事訴訟法、刑事訴訟法についても短答式の勉強はできればやっておきたいところです。


「短答の準備をどのくらいすべきか」というご質問については、理想的なことを言えば、各科目について短答式過去問集か肢別本の8~9割程度を正解できるまで繰り返しやるべきです。

ただ、時間がないということですので、問題集等の8~9割程度を正解できるまでたどりつかないという可能性があります。

その場合には、民法・商法を優先した上で、実際に過去問集・肢別本を回していき、ある程度回した後は、正答率が低い科目を中心に復習していき、極端に苦手な科目を作らないようにしておく、方法で妥協せざるを得ないかも知れません。

憲法については満点を取っているようですので、憲法の短答式の勉強は知識を維持する程度で良いと思います。



  • 時間配分の考え方について


「憲法、行政法、民訴、実務の勉強についてはどの程度の時間配分を考えるべきでしょうか。」という点については、時間配分を先に考えるのではなく、最初に科目ごとに何をするべきかを考えた後に時間配分を決めるべきだと思います。

たとえば「民法については本番まで300時間勉強しよう」という目標を立ててしまうと、本番までに自分がやろうとしていた勉強が終わらない可能性が高いです。

それに対し、①「本番までに民法についてはこの作業をする」②「この作業には何時間くらいかかりそう」③「本番までに確保できる時間は何時間だから、他の作業との兼ね合いで民法については何時間を配分する」という順番で計画を立てた方が計画倒れになる可能性が低いですし、仮に計画倒れになりそうになっても途中で「このままでは計画倒れになる」ということに気づけるので、修正もききやすいです。




相談者さんが細切れ時間をどのくらい確保できるのかや、どのくらいの時間で各作業を終わらせることができるのか、といった要素によって時間配分の仕方は変わるため、はっきりと何割ずつ配分すべき、という回答をすることは難しいです。

そのため、各科目にやるべきことの案をお話した上で、時間配分の仕方の考え方の案についてお話します。


  • 憲法

憲法は短答式で満点を取っているにもかかわらず、論文式の成績はCということですので、論文式の問題の対処の仕方や、答案の書き方(何を書けば点が付きやすいのか等)がまだ十分に身についていない可能性があると思います。

憲法については基本的な知識はあると思いますので、論文式問題集の人権分野のAランクレベルの規範をきちんと覚えた上で、辰巳法律研究所の「ぶんせき本」などを読んで論文式の過去問の解き方を学んだり、予備校の答練の復習をすれば、憲法の論文式の成績は一気にあがる可能性があると思います。

憲法の答案の書き方が分からない場合には辰巳法律研究所の趣旨規範ハンドブックなどに問題の処理のテンプレートがありますし、各予備校で「憲法の答案の書き方講座」というような単発の講座をやっていたりするので、手っ取り早く予備校の力を借りるのもありだと思います。



  • 行政法

行政法は論文式で問われる範囲がある程度絞られているため、短答式試験の成績が悪くても論文式試験の成績は良い、ということがあり得る科目です。

行政法は短答式が17点であるものの、論文式がAということなので論文式の書き方は理解しているようにも思います。

ご自身の感覚として行政法の論文式試験についてはどのような問題であっても解法は理解できているということであれば、論文式についてはそれほど時間をかけなくても良いと思います。

他方、今回A評価を受けたものの、行政法の論文式の問題の解き方がまだマスターできていないという場合には、憲法と同様に辰巳法律研究所の「ぶんせき本」、予備校の答練、趣旨規範ハンドブックなどを使って、解き方を頭に入れておいたほうが良いでしょう。

短答式については、今回の試験で得点率が6割を切っているのは心許ないので、問題集・肢別本等を使って少なくとも7割程度は得点できるよう、基本的な知識のインプットをしたほうが良いと思います。


  • 民事訴訟法

民事訴訟法は、どちらかと言うと短答式試験と論文式試験の成績が比例しやすい科目だと思いますが、質問者さんの民事訴訟法の成績は、短答式が17点であるものの、論文式がBということで、若干ちぐはぐな印象を受けます。

可能性としては、自分が知っている範囲が論文式試験で出たか、他の受験生の論文式の出来があまり良くなかったために、相対的に成績が浮き上がった可能性もあるかも知れません。

民事訴訟法に関しては、短答式の知識をインプットしていれば、論文式試験では少なくとも「何を書いていいのか全く分からない」という事態にはなりにくい科目ですので、まずは問題集・肢別本等を使って短答式の勉強をし、できれば伊藤塾試験対策問題集などの論文式問題集のAランクの問題について、同じような答案を書けるように訓練をしておくと良いと思います。



  • 民事実務基礎・刑事実務基礎

私が受験生の時は予備試験は無く、実務基礎科目は法科大学院の定期試験対策でしかやっていないため、あくまで自分がもし現在の予備試験の受験生だったらということを前提とした回答になります。

実務基礎科目については、民法・刑法・刑事訴訟法を理解していないと勉強効率が悪いという特徴がありますし、他の受験生も十分な対策ができてない人が多い、というのが実情だと思います。

その点を踏まえて、私が時間がない受験生であれば以下のような勉強をすると思います。

・「新問題研究要件事実」に出てくる要件事実とその考え方を押さえる

・「紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」を読んで「新問題研究要件事実」には記載のない要件事実を押さえておく

・法曹倫理、刑事実務基礎については、予備校が出版している参考書か予備校の講義を利用してざっと頭に入れる

●新問題研究要件事実

●紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造

要件事実には色々な問題集や参考書があるので手を広げて色々なものを使いたくなるのですが、基本的には「新問題研究要件事実」と「紛争類型別の要件事実」の要件事実をきちんと理解していれば、予備試験、司法試験、司法修習の起案、二回試験のいずれにも対応できると思います(私も最初は色々と手を広げましたが、司法修習に入った後に上記の2冊に絞ったところ起案の成績が安定するようになりました)。

「紛争類型別の要件事実」は解説がシンプル過ぎて最初のうちは難しく感じると思いますので、岡口基一裁判官の「要件事実マニュアル」を辞書として手元に置いておき、分からない時に調べるようにしておくと理解がはかどると思います。

●要件事実マニュアル

「要件事実マニュアル」は司法試験レベルでは1巻と2巻があれば十分です。




民事実務基礎・刑事実務基礎に関し、予備校が出版している参考書については、以下のいずれか、または複数を使っている人が多いと思います。

●刑事実務基礎の定石

●司法試験予備試験 法律実務基礎科目ハンドブック

●民事実務基礎 (伊藤塾試験対策問題集:予備試験論文)


予備校の講義は民事実務基礎・刑事実務基礎合わせて30時間くらいだと思いますので、予備校の講義をメインで対策する場合は復習もかねて40~50時間は確保しておく必要があると思います。



  • 刑法

刑法に関しては短答式で7割の得点があり、得意科目だと思っていて、一番手応えがあったのに論文式がE評価だった、というのが気になります。

刑法の論文式試験は、処理の仕方が身についていれば少ない知識でも高得点を取りやすい科目ですので、もし知識が十分であるにも関わらず論文式の評価が悪かったとすれば、論文の書き方、特に事実の当てはめと評価の仕方に問題があるのかも知れません。

できれば、再現答案を合格者や予備校の講師に見てもらうなどして、自分の弱点がどこにあるのか((ア)知識が足りていない、(イ)定義や規範の暗記が不正確だった、(ウ)事実の当てはめと評価の仕方に問題がある、(エ)記述量のバランスが悪い、(オ)それ以外)を分析してもらったほうが良いと思います。

(もし、周りに再現答案を見てくれる人がいないという場合には、再現答案を他の方に見られても良いのであれば、このブログのコメント欄等に貼り付ける等してもらえれば、時間のある時に目を通した上でコメントさせていただきます。)

刑法の勉強として何をやるべきかは、その分析が終わってから決めたほうが良いと思いますが、おそらく「事実の当てはめと評価の仕方に問題がある」の可能性が高いように思いますので、その場合には、「ぶんせき本」や答練を通して論文式の優秀答案と同じような文章を書けるように訓練する、という作業が必要になってくると思います。




  • 刑事訴訟法

刑事訴訟法は短答式が13点、論文式がの評価がEということなので、基本的な知識に不足があるように思います。

また、刑事訴訟法の論文式試験は刑法と同様に、事実のあてはめや評価が重要であるため、刑法と同様に論文式の成績が悪かったということを考えると、刑事訴訟法についても、事実の当てはめと評価の仕方がまだ身についていない可能性があります。

伊藤塾試験対策問題集などの論文式問題集のAランクの問題をマスターした上で、「ぶんせき本」や答練を通して論文式の優秀答案と同じような文章を書けるように訓練する、という作業が必要になってくると思います。



  • 民法・商法

民法、商法については短答式の勉強をすれば基本的な知識は身につくと思いますが、論文式試験では規範を暗記していないときちんとした答案は書けないので、短答式の勉強とは別に最低でも伊藤塾試験対策問題集などの論文式問題集のAランクの問題、あるいは趣旨規範ハンドブックで重要とされている論点の規範については、暗記をするという作業が必要になります。





  • 全体の勉強のまとめ

次の試験までどのような勉強をするかはご自身で決めていただく必要がありますが、時間がないということを前提に、全体の勉強方法の案の1つを提示すると以下のようになると思います。


・細切れ時間を使って民法・商法の肢別本のアプリを回す

・他の科目についても前回の試験の成績が悪かった科目を中心に肢別本のアプリを回す

・憲法の論文式について「ぶんせき本」・答練・趣旨規範ハンドブック・講座などを使って書き方を身につける

・行政法の論文式について「ぶんせき本」・答練・趣旨規範ハンドブックなどを使って書き方を身につける

・民事訴訟法について、伊藤塾試験対策問題集などの論文式問題集のAランクの問題について、同じような答案を書けるように訓練する

・「新問題研究要件事実」に出てくる要件事実とその考え方を押さえた上で、「紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」をざっと読み「新問題研究要件事実」には記載のない要件事実を押さえる

・法曹倫理、刑事実務基礎については、予備校が出版している参考書か予備校の講義を利用してざっと頭に入れる

・刑法について、「ぶんせき本」や答練を通して論文式の優秀答案と同じような文章を書けるように訓練する

・刑事訴訟法について、伊藤塾試験対策問題集などの論文式問題集のAランクの問題について似たような答案を書けるようにする

・刑事訴訟法について、「ぶんせき本」や答練を通して論文式の優秀答案と同じような文章を書けるように訓練する

・科目全体について、最低でもAランクの問題、重要とされている論点の規範については、論文式試験本番までに暗記する


他にもやるべきことがあるかも知れませんが、上記の内容であれば、平日に細切れ時間を使って勉強時間を確保し、週末にある程度まとまった勉強ができれば、消化できるかも知れません。


そして、自分が本番までやるべきことを決めたら、

(ア)それぞれの作業をいつ、どこでやるのか(通勤途中に電車の中で何分やる、土曜日の何時から何時まで自宅の机でやる、毎日お風呂につかりながら何分やる、朝・夜の食事の時間にご飯を食べながら何分やる等)を決めて、試験本番までにどのくらいの勉強時間を割けるかを計算し、

(イ)そして、上記の作業について、これまでのご自身の勉強の進捗率などをもとに、ぞれぞれ何時間かかりそうかという予測を立て、

(ウ) (ア)と(イ)の時間をもとに、それぞれの作業を、いつからいつまでに、どこでやるというスケジュールを組んで、そのスケジュールに従って実行してみて、

(エ)実際にやってみると、スケジュールを調整しなければ本番まで間に合わないという場面が出てくると思いますので、適宜、優先順位の低い作業を切り落とす等して、スケジュールを再作成し、再度実行する、

という作業を繰り返すのが良いと思います。

このような計画を立てれば、自ずと、それぞれの作業にどのくらいの時間を割り当てるべきか、という回答が出てくると思います。




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司法試験・予備試験における論文式・短答式の勉強時間の配分などについて


質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。

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まとめて質問させて下さい。
論文を中心に勉強するのが基本だと思いますが、論文・短答・基本書はどのくらいの割合でやるのが基本ですか。
6・3・1位というのは適当ですが、論文中心で短答もやりながら分からない所は基本書で確認でしょうか。
ある程度分かるまでというのが基本だと思いますが、どういう基準でやっていたでしょうか。
刑法は短答はやらずに論文だけで殆ど問題なしですか。
短答は脚別本アプリでやろうと思います。
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私は、行政法まで一周していますが、まだ予備試験は受けておりません。
短答をやれば基本書はわからないところを確認すれば良いだけなのか、一度は通読するべきか悩んでいます。
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  • ●論文式・短答式の勉強時間の配分について


私が受験生の時は予備試験がまだなかったので参考にならないかも知れませんが、私は論文式と短答式について、おおよそ以下のような割合で勉強していたと思います。

(1)法科大学院の受験勉強の時

⇒論文式の勉強100%(法科大学院の入学試験に短答式がなかったため)

(2)法科大学院1年目

⇒論文式の勉強約90%、短答式の勉強約10%(法科大学院の定期試験が論文式のため)

(3)法科大学院2年目

⇒論文式の勉強約60%、短答式の勉強約40%


私がもし予備試験の受験生であれば、おそらく1年目は論文式7割:短答式3割、又は論文式6割:短答式4割くらいで勉強することになるだろうと思います。

そして、1年目で予備試験の短答式にまずまずの成績で受かった場合には、2年目以降は短答式の割合を1割から2割程度に減らすと思います。

論文式の勉強と短答式の勉強をどのくらいの割合でやるべきかは人それぞれだと思いますが、「論文式の勉強に何割の時間を使う、短答式の勉強に何割の時間を使う」という考え方で計画を立てるよりも、「論文式について合格レベルに到達できるまでどのくらいの時間が必要そうか、短答式について合格レベルに到達できるまでどのくらいの時間が必要そうか」という観点から計画を立てたほうが時間切れになるリスクは小さいと思います。



短答式のほうが比較的勉強時間を管理しやすいと思いますので、先に短答式の勉強時間の管理方法の案についてお話します。

短答式に関しては、私の周りでは

「過去問集(や肢別本)についてだいたい8~9割以上を正解できるようになるまで繰り返しやる」

という受験生が多かったです。


予備試験に関しては、短答式の勉強をする目的は大きく分けて以下の2点にあると思います。

①短答式の試験で合格できるだけの知識を身につけること

②各科目について知識を身につけて論文式試験に活かせるようにすること


過去問集(又は肢別本)の9割を解ける状態にならなくても①の目的を達成することはできると思いますが、②のように知識の穴をできるだけ埋めるということまでを考えると、過去問集等の9割くらいは正解できるレベルに持っていければ理想的です。


「論文式の勉強に何割の時間を使う、短答式の勉強に何割の時間を使う」という考え方よりも、以下のように計画を立てたほうが、時間切れになるリスクは小さいと思います。

(1)短答式の試験本番まで勉強のために費やせる日数・時間を計算する

(2)短答式の過去問集(又は肢別本)の問題数(頁数)を数える

(3)短答式の過去問集を何回くらい繰り返せば、8~9割解けそうか見込みを立てる

(4)(1)~(3)の数値をもとに、1日何問(あるいは何頁、何時間)短答式の勉強をする必要があるか計算する

(5)上記の計算をもとに実際に勉強をしてみて、計画にずれが生じた場合には適宜(1)~(4)の作業を行い計画を修正する


たとえば、

(1)試験本番まで360日ある

(2)全科目合わせて10,000肢ある

(3)自分の理解力なら4回くらい繰り返せば8~9割くらいは解けるようになりそう

(4)90日(360日÷4回)で1周する必要があるので、1日111肢(10,000肢÷90日)こなす必要がある

みたいな感じです。


上記の例の場合、1日に肢別本を111肢こなすのに4時間かかるということであれば、残りの時間を論文式試験などの勉強にあてることができるということになります。

肢別本は回せば回すほど早く読めるようになっていきますし、確実の解ける問題は次からは飛ばせば良いので、だんだんと回せるスピードは上がってくると思います。



論文式試験の勉強についても似たような考え方で計画を立てていくと良いです。

例えば、論文式試験の勉強として、試験本番までに以下の勉強をするという計画を立てたとします。

① 各科目について、○月までに論文式問題集を最低3回やる

② ○月から本試験の論文式の過去問を過去5年分やる

③ ○月から予備校の答練を受ける(各科目全3回)

④ 直前期には弱点の補強、予想論点の復習、規範や定義の暗記をする

そして、例えば、上記の①の作業を6ヶ月間(180日)で終わらせるという計画を立てた場合、各問題集の問題数の総数を数えた上で、180日以内の終わるよう、1日に処理すべき問題数を割り当てていくことになります。

計画を立てて実際にやってみると「時間が足りない」という場合が出てくることがあると思いますので、その時は例えば「論文式の問題集はとりあえずAランクの問題だけをやる」等、どこかを妥協してくしかありません。



以上のように、「論文式の勉強に何割の時間を使う、短答式の勉強に何割の時間を使う」というのは、本試験までの日数と自分がやろうとしている勉強内容から逆算して1日にやるべき作業の内容を決めて結果的に出てくる割合であって、「他の人が論文式と短答式の勉強の割合を何対何にしているから、自分もそうする」という形で決めるべきものではないと思います。

また、自分の勉強の進捗具合によっても割合は変わってきます。

例えば、試験が近づいてくると「短答式については合格点は取れそうだが、論文式の答練の順位が低い」という場合には計画を見直した上で論文式の勉強時間を増やす必要がありますし、逆に「論文式の答練の順位は悪くないが、短答式の模試を受けてみたら合格点に届かなかった」という場合には、当然短答式の勉強の割合を増やしていく必要があります。






  • ●基本書について

基本書については、私は論文式の問題集、予備校の答練、論文式の過去問などを解いていて、参考答案や解説を見ても理解できない時に読むようにしていました。

また私は論文式の問題集などに書いてある論証が覚えにくいと思った際には、頻出の論点については自分なりの論証集のようなものを作るようにしていたので、論証集を作る材料(事案、問題点、理由付け、制度趣旨、規範、あてはめの仕方等)を探すために基本書や判例集を参照していました。


一方で、短答式の勉強をしながら分からないところを基本書で調べるという人もいると思いますが、個人的には短答式の問題集をやりながら、逐一分からないところを基本書で読んでいると時間が足りなくなる可能性が高いと思います。

短答式の勉強をする時は、六法は引くようにはしたほうが良いと思いますが、最初のうちは解説を読んでも分からない部分が出てきても「そういうものなんだ」と割り切って先に進んでいったほうが効率が良いと思います。

そして、短答式の問題集(又は肢別本)を何度も繰り返すなかで、何度解説を読んでも分からないという問題に絞って基本書でじっくりと調べる、というのが良いと思います。


なお、辰巳法律研究所から「短答過去問パーフェクト」という問題集が出版されていますが、この問題集の解説はかなり詳しいです。

●ISBN-10 : 4864664544


確かこの問題集の説明の中に「逐一基本書などを参照しなくとも解説を読むだけで理解できるように解説を詳しく書いている」というような記載があったと思います(うろ覚えなので間違っているかも知れませんが)。

短答式の問題をこなすうえで「分からないところがあると気になるけど、逐一基本書で調べるのは面倒くさい」という人や、「肢別本の解説がシンプルすぎて全然頭に入ってこない」という人は、こういった解説が詳しい問題集を使うのもありだとは思います。

ただ、以前の記事でも書いたとおり「短答過去問パーフェクト」は解説が詳しい分、自分にとって必要のない解説は読み飛ばす等の工夫をしないと、短答式の勉強にかなり時間をとられてしまうので注意をしてください。



以上のように基本書については、私は主に論文式の問題などをこなす際に使っていて、基本書を通読するための時間というのはほとんど設けていませんでした(ただし、入門書的な薄い本は隙間時間、移動時間、食事の時間などを使って何冊か通読しています)。

基本書を通読するべきかどうかは意見が分かれるところだとは思いますが、論文式の問題をこなしたり答練の復習をするときに基本書の該当箇所を読んでいるだけでも基本書の大事な部分はカバーできると思いますので、自分にとって基本書をどのように使うのが効率が良いかを考えた上で基本書を使うようにしたほうが良いと思います。


なお、もし基本書を通読する場合には、通読する前に、通読をするためにどのくらいの時間がかかるか計算をしてみてください。

どの基本書を読むかにもよりますが、全科目の基本書を通読するとなると、膨大な時間がかかると思います。

そして、基本書は1回読むだけでは理解できないため何度も読むとなると、読むスピードがよほど速い人でない限り、基本書を繰り返し読むという作業だけで試験本番までの勉強時間の大半を使うことになる、という計算結果になるはずです。

なので、個人的には最初のうちから基本書を通読するという勉強方法はあまりおすすめはしません。

基本書を通読するとしても、ある程度勉強が進んだ後に、目的意識を持って読んだほうが得られる知識・理解度は大きいと思います。





  • ●刑法の短答式の勉強について

「刑法は短答はやらずに論文だけで殆ど問題なしですか。」という質問についてですが、以前の「●忙しい社会人の予備試験・司法試験に向けた勉強時間の確保と勉強方法について」という記事で私が「刑事系に関しては、論文式試験の勉強をしっかりとしていれば、短答式でも足切りにならない程度の点数は取れる可能性が高いと思います」という説明をしたために、このような質問をされたのだと思います。

しかし、この記載は、上記の記事の質問者さんが

① 予備試験の短答式試験に一度通過した実績がある

② 仕事が忙しくて勉強時間があまり取れない

ということを前提とした説明であって、一般論ではありません。



確かに、刑事系の短答式で出題される問題は、論文式試験の論点と同じような論点が出題されることも多いため、論文式試験の勉強をしっかりとしていれば、短答式でもある程度の点数を取れる可能性は高いです。

しかし、一度も刑法の短答式の勉強をせずに本試験の望むというのはかなりリスクが高いですし、上記の質問者さんと違ってある程度勉強時間を確保できる人であれば、刑法の短答式の勉強も当然にやっておくべきです。

論文式試験の受験において知識・理解の穴を埋めておくという観点からも、やはり刑法の短答式の勉強はきちんとやっておいたほうが無難だと思います。





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