仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが,色々と考えるところがあり思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し,現在は弁護士として働いています。 司法試験のこと,転職のこと,公務員のことなどについて,だらだらと書いていきたいと思います。 ※質問がある方はコメント欄にご記入ください。時間をいただくと思いますが、できるだけ回答させていただきたいと思います。

司法試験の入門書と論文式試験用の問題集などについて


質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。

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はじめまして。私は学部生2年生のもので、法曹を目指しております。司法試験の勉強の仕方や参考書などが詳しく解説されていて、大変参考になります。
質問なのですが、私は短答対策として、辰巳の短答過去問パーフェクトを使用し、数周回したところです。
次は論文対策なのですが、何を買えば良いかわかりません。
参考書を紹介されていた2017年の記事のものを現在買って、勉強しても、合格できるのでしょうか。
伊藤塾の入門書と問題集など買おうと思うのですが、学生の私としては少々それだけでも値段がかさみます…。
ですから、出来るだけ無駄なものは買わずに合格したいです。
いつもブログ参考にさせていただいております。
よろしくお願いします。
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いただいた質問を整理すると

・論文対策としてどの入門書・問題集を買えば良いか
・できるだけ無駄な書籍を買いたくない
・お勧めしている書籍を買って勉強して合格できるか

ということだと思います。

順番にお答えしたいと思います。



  • ●論文対策としてどの入門書・問題集を買えば良いか

これまで司法試験の参考書籍等を紹介した記事は以下のとおりですが、以下で紹介した勉強方法やおすすめの参考書は現時点では変更ありません。

司法試験や予備試験の傾向はほとんど変わっていないからです。

ただ改訂になっている参考書等もありますので、出来るだけ最新の版の書籍を購入していだだければです。




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それから、私が上記の記事でおすすめている書籍は「私がもし初学者の近い状態でこれから司法試験の勉強をするとしたら、どの書籍を買うだろうか?」という視点で紹介しているものです。

司法試験や予備試験の勉強をするにあたり「一番良い本」というのは、その人の好み・特性や、読解力、勉強の進み具合によっても異なります。

学者の先生が書いた本を愛用している人もいれば、予備校本しか読めないという人もいれば、私のように基本書も予備校本も読むのが苦手という人もいます。

そのため、上記の記事ではできるだけ複数の書籍を紹介した上で、その中から自分に合ったものを選んでいただくことを前提にお勧めの書籍を紹介しています。

私や他の人に紹介された本をそのまま買うのではなく、出来れば実際に本屋さんで立ち読みをしたり、図書館で借りて読んでみて、自分の目で確かめてみて、自分の納得したものを買ったほうが良いと思います。




  • ●できるだけ無駄な書籍を買いたくない

「できるだけ無駄な書籍を買いたくない」という点については気持ちは大変良く分かります。

私も司法試験を受験するにあたり、親からの援助を一切受けなかったため、なけなしのお金で司法試験の対策をしていました。

ただ、司法試験に合格をしたいのであれば、ある程度の書籍代は必要経費だと割り切ってそれなりの予算を組んでおくべきだと思います。

先程お話ししたとおり、司法試験や予備試験の勉強をするにあたり「一番良い本」というのは、勉強の進み具合によっても異なってくることがあります。

例えば、「自分には合わない」と思っていた基本書が勉強が進んでくるにつれて最高の本になってくることもありますし、初学者の頃には読みやすいと思っていた予備校本が勉強が進んでくるにつれて説明が回りくどく感じてしまったり、内容に一貫性がないとか、頭に入りにくいと感じてくる人もいると思います。

また、上記の記事でも触れていますが、司法試験や予備試験に合格するためには、単に基本書を読んだり、問題集をこなしていくだけでなく、論文試験の過去問の分析をすることが必須ですし、合格する可能性を高めたいのであれば予備校の答練や直前模試を受験しておくべきです。

そのため、書籍代だけでなく、できるだけ予備校の答練や直前模試を受験するための費用も確保しておきたいところです。

司法試験や予備試験は合格が1年遅れると、1年分の生活費が余計にかかってしまいますし、法曹になって得られるはずだった収入が1年分減ってしまいます。

司法試験用の書籍は高いですがそれでも1冊数千円ですから、書籍にかける費用は合格の必要経費だと割り切って、できるだけ早く司法試験に合格したほうが、長い目で見ればコストパフォーマンスは良いと思います。


それても、やはり「できるだけ無駄な書籍を買いたくない」ということだと思いますので、改めて司法試験や予備試験を必要最小限度の経費で合格するための参考書等について私なりの意見について書いていきたいと思います。



  • ○入門書について

入門書はこれまでの記事でおすすめしているとおり、初学者の方には「伊藤真の○○入門」をおすすめしています。

理由は文章が平易で分かりやすく薄いので、初学者の方でも途中で挫折する可能性は低いですし、「読んだけど結局何も頭に残らなかった」ということが起きにくいからです。

●ASIN: B076J1HQ84

もう少し詳しい入門書が良いという阿合には、「伊藤真ファーストトラックシリーズ」がおすすめです。

●ISBN-10: 4335314612


ただ、今回の質問者の方は「辰巳の短答過去問パーフェクトを使用し、数周回した」ということですので、それであれば「伊藤真の○○入門」や「伊藤真ファーストトラックシリーズ」に書いてあるレベルの知識・理解は既に頭に入っている可能性が高いと思います。

ある程度、基本的な知識が入っているのであれば、入門書を読まずに論文式試験の問題集に手をつけてみて、分からないところは基本書を読んで理解を深める、という方法にすれば時間もお金も節約できると思います。

あと入門書は基本的には勉強の初期しか使わないことが多いので、お金を節約したいのであれば、学校や地域の図書館にある入門書を買って読むという方法でも良いと思います。

法学部の学生であれば入門書は先輩から譲ってもらえることもあると思います。


なお、これまでの記事で初学者の時期から試験直前期まで使える便利な入門書として「伊藤真新ステップアップシリーズ」という本を紹介していますが、金銭的な余裕がないのであれば現時点では無理をして買う必要はないと思います。

「伊藤真新ステップアップシリーズ」は、「知識が大量にあるのに論文式試験の点が安定しない」という受験生が、基本事項の正確な知識を整理して安定した点を取ることができるようにするために便利な本ですので、もし勉強が進んできた後に必要性を感じた時に購入するかどうかを検討すれば良いと思います(個人的に便利な本だと思いますが、万人に必須という訳ではありません。)。

●ISBN-10: 4335301863






  • ●論文式問題集

論文式試験用の問題集としては、どれか1冊を買うということであれば、個人的にはこれまで通り「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめします。

この問題集に掲載されている問題は簡単すぎず、かといって難しすぎる訳でもないので、初学者でも取り組みやすいレベルですし、試験の直前期まで基礎固めに使えます。

参考答案の文章もレベルが高く、この問題集の参考答案の書き方を真似することで、論文式試験の答案の基本的な「型」を身につけることができます。

(あと、他の問題集に比べると若干安いと思います。)

旧司法試験形式の問題が多いですが、この問題集のAランクレベルの問題をスラスラと解けるようにならないと、新司法試験形式の問題を解くことは困難です。

伊藤塾の論文試験用問題集は「予備試験」と書いてあるものと、「予備試験」と書いていないものがありますが、どちらかだけ買うのであれば「予備試験と書いていないもの」をおすすめします。

理由は「●論文問題集の使い分けと論文式試験の対策について」という記事に書いていますので参考にしてください。


●ISBN-10: 433530370X


論文式試験の問題集は他にも色々とあり、私は辰已法律研究所の 「えんしゅう本」 、旧早稲田セミナーの「スタンダード100」、LECの「論文の森」など、多数の問題集を買って散財しまくりましたが、この中では実際に使ったのはほとんど「伊藤塾試験対策問題集」だけでした。

今受験生に戻って1冊だけ買うとなればやはり「伊藤塾試験対策問題集」と買うと思います。

ただ、先程お話したとおり好みの問題もあると思いますので、実際に本屋さんなどで、自分の目で見て納得したものを買うと良いと思います。


一応、各問題集の良い点と、いまいちな点を挙げていきたいと思います。



○「伊藤塾試験対策問題集」


「伊藤塾試験対策問題集」の良い点は前記のとおりですが、問題にA、B、Cなどのランクがふされており、時間がない受験生でも優先度の高い問題から取り組めるのも便利です。

いまいちな点としては、他の問題集に比べると問題数が若干少ないですが、1つの問題に複数の論点が盛り込まれているものが多いため、問題数の割には基本的な論点は網羅できるように工夫されていますし、個人的にはこのくらいの問題数が消化不良にならなくて良いと思います。

受験生の答案を採点すると、この「伊藤塾試験対策問題集」のAランクの基本問題(各科目30問くらいしかない)のレベルの論点すら正確に記述できていない人がとても多いので、問題数の多い問題集に手をつけるよりも、まずはこの問題数の少ない問題集で基礎固めをしたほうが合格には近くなると思います。


なお「●会社法・商法の勉強方法とおすすめの商法・会社法の基本書や参考書など」に書きましたが、「伊藤塾試験対策問題集」の商法については、問題演習量として物足りないと思います。

「伊藤塾試験対策問題集」を使う場合に、知識の穴を埋める方法は「●会社法・商法の勉強方法とおすすめの商法・会社法の基本書や参考書など」という記事の「会社法・商法の知識の穴を埋めよう」という項目に私見をまとめていますので、参考にしていただければです。





  • ○えんしゅう本


私の周囲では「えんしゅう本」を持っている同級生もそれなりに多かったです。

良い点は問題が基本的でシンプルな問題が多く、解答例も答案構成のような形式になっているので、速く何度も回せる点です。

(論証集を問題集にしたようなイメージの問題が多いです。)

いまいちな点は、解答例の文章が分かりにくいものがあるところと、踏み込んだ問題が少ないので問題演習としては若干心許ないような気がします。

事実認定(当てはめ)も、問題によってはちょっと物足りない感じがします。

お金に余裕があって予備校の答練を沢山受けられる人であれば、「えんしゅう本」で基本的な論点を早めに押さえて、実践的な感覚は答練で身につけていくという方法もアリだと思いますが、相談者の方はお金を節約したいということですので、そういう使い方も難しいかなと思います。

なお「伊藤塾試験対策問題集」に飽きた時に「えんしゅう本」を高速でぐるぐると回すと論点知識が整理できると思いますが、お金を節約したい人は敢えて両方買う必要はないかなと思います。



旧司法試験の時代には人気があった問題集だと思います。

良い点としては問題数が多いです。

ただ、問題数が多いという点はいまいちな点でもあります。

全科目についてこの量をこなして確実に知識やテクニックを身につけられる受験生はかなり少ないと思います。

少なくとも私は何回か「スタンダート100」の圧倒的な量に挫折しています。

問題の中には「今の司法試験では、このような問題が出される可能性は低いのでは?」と思われるようなものも混ざっているような気がします。

いずれも解答例の質は悪くはありませんが、個人的には「伊藤塾試験対策問題集」のほうが分かりやすいと思います。

数多くの解答例があるので答案の書き方に悩んだ時に辞書として使うには便利な本ですが、お金に余裕がなければ敢えて買う必要性は低いかなと個人的には思います。



  • ●基本書・判例集について

基本書等と判例集については、以下の記事を参考にしていただければと思います。

お金がないのであれば、基本書については各科目とも他の受験生も使っていそうなメジャーな基本書を購入し、判例集は「判例百選」で統一するのがコストパフォーマンスが良いと思います。

質問者の方は学部の2年生とのことですので、大学で指定されている基本書があるのであれば、その基本書をそのまま使えば、お金の節約にはなると思います。

ただ、刑法や民事訴訟法は、大学からあまり司法試験向きではない基本書(実務では実際には使われていない考え方を厚く解説したものなど)を指定されることもあるので、必要に応じて買い足す必要があるかも知れません。

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  • ●お勧めしている書籍を買って勉強して合格できるか

「お勧めしている書籍を買って勉強して合格できるか」という点については、(当然のことですが)本を買った後に「どのような勉強を、どの程度するかによる」というのが答えになると思います。



司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」等の記事でも書いているとおり、司法試験や予備試験に合格する可能性を上げるためには、市販の論文式試験の問題集をこなすだけでなく、

(1)理解できないところは基本書や予備校本で調べて復習する

(2)司法試験・予備試験の論文式試験の過去問を実際に解いてみて分析をする

(3)できれば予備校の答練・直前模試を受験してしっかり復習する

という作業が大事です。


(この他に、科目別にやったほうが良い勉強方法もありますが、その点については科目ごとの以下の記事を参考にしていただければです。)

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市販の問題集をこなすだけでも合格できる可能性はないとは言い切れませんが、通常はそれだけでは難しいと思います。


(1)の「理解できないところは基本書や予備校本で調べて復習する」というのは、問題集の参考答案に書いてある内容を表面的に理解するだけでなく、根本的な原則や制度趣旨などから論点等を理解することで、似たような問題が違う角度から出題された場合や、見たこともないような問題が出題された時に対応できる力を身につけるためには、やっておくべき事項です。


(2)の「司法試験・予備試験の論文式試験の過去問を実際に解いてみて分析をする」については、論文式問題集を回しているだけでは身につけることが難しい能力=①本番の出題趣旨や誘導に沿って解答する能力、②事実認定能力(必要な事実を拾い上げる能力、当てはめの能力)、③時間内に無難な答案を仕上げる能力、④見たことがない問題に直面した時に慌てないメンタル、などを身につけるために必要です。

論文式問題集をある程度回した後に、司法試験・予備試験に論文式試験の過去問を実際に解いてみると、普通の人は「何て難しいんだ・・・」と絶望すると思います。

しかし、論文式問題集で基本的な知識や理解をきちんと身につけていれば、最初は司法試験・予備試験に論文式試験の過去問が難しく感じたとしても、過去問を数年分回すことで、次第に本試験形式の問題を解くためのコツやパターンなどが分かってくると思います。

実際の合格者の答案を読んでみると、法律論の部分についてはそれほど難しいことを答案に書いている訳ではなく、論文式問題集の参考答案にあるような基本的で当たり前のことを正確に書いてあるだけ、というパターンが多いことが分かると思います。

最初は論点に気が付かなくても、過去問を数年分回しているうちに、問題文の中にヒントがあることが分かってくると思います。

事実認定については得意不得意の個人差が大きいところですが、通常は論文式試験の過去問を数年分こなして、優秀答案の真似をしているうちに、どのような事実認定をすれば点が付くのかはやり方が分かってくると思います。

時間内に無難な答案を仕上げる能力については、本番と同様の問題を何度も時間を計って、時間が足りなくなった理由を分析しつつ試行錯誤をすることで、能力が上がっていきます。




(3)の「できれば予備校の答練・直前模試を受験してしっかり復習する」という点は、必須ということではありませんが、効率的に合格をしたいのであれば予備校の答練・直前模試は受験しておいたほうが時間的な効率は良いですし、合格の確率も確実に上がります。

市販の論文式試験問題集は、どの本を使ったとしても、最新の判例を題材にした問題や、その年の司法試験委員が好きそうな分野に関するちょっと特殊な問題というものは載っていないことが多いです。

自力で最新の判例を題材にした問題に対応する能力を身につけるためには、直近数年分の重要判例解説を買ってきて、出題される可能性のある判例をピックアップして、自分なりに予想問題と回答案を作成するという方法もありますが、非常に手間です。

また、その年の司法試験委員が好きな分野については、自分で司法試験委員の論文を分析するという方法がない訳ではないですが、これも非効率です。

他方、予備校の答練や直前模試では、本試験で出題される可能性の高い判例を題材にした問題や、司法試験委員が好きな分野を絡めた問題が出題されることが多いです。

ですから、市販の論文式試験問題集ではカバーしきれないような最新の傾向の問題については、予備校の答練や直前模試を使って対策するのが効率的です。

また、試験直前期には、自分の苦手な科目や欠けている能力を把握した上で、苦手な科目を重点的に学習するとか、欠けている能力を向上させるという作業が必要になってきますが、苦手科目や欠けている能力を客観的に把握するためにも、試験直前期に予備校の答練や直前模試を受験して、他の受験生との間の相対的な位置を把握しておくことは大事です。

たとえば、自分の中では「民法は得意だけど、選択科目は勉強が追いついていない」と考えていても、予備校の答練や直前模試を受験すると、「民法の点はいつも悪いが、選択科目はそここそ良い点数が取れている?!」というようなことがあります。

これは民法などの主要科目は他の受験生も短答式試験の勉強などを通じてそれなりに時間をかけて勉強しているのに対し、選択科目は他の受験生も勉強が追いついていないことが多く、自分の中の主観的な評価と、他の受験生との客観的な相対評価にズレが生じてることによるものです。

このズレを把握できていないと、客観的には既に合格レベルにある選択科目の勉強に力を注ぐ一方で、勉強が足りていない民法の勉強が不十分なまま本試験に突入してしまい、不合格になる、みたいな失敗をしてしまう可能性があります。

このように市販の論文式試験問題集をこなしているだけでは、他の受験生と比較した場合の自分の相対的な位置を把握できないため、試験直前期に勉強の時間配分を誤り、そのことが本試験での敗因になる可能性があります。

ですから、合格したいのであれば、市販の問題集をこなすだけではなく、

(1)理解できないところは基本書や予備校本で調べて復習する

(2)司法試験・予備試験の論文式試験の過去問を実際に解いてみて分析をする

(3)できれば予備校の答練・直前模試を受験してしっかり復習する

という作業をしておくことが大事です。


したがって、「お勧めしている書籍を買って勉強して合格できるか」という点については、本を買った後に「どのような勉強を、どの程度するかによる」というのが答えです。


私の同期の合格者を見ていると、異端と言われるような問題集や基本書を使っていても合格する人は合格しますし、参考書マニアのように多数の本を持っていて膨大な知識を持っていても、勉強の方向性がずれてしまうと合格しません。


なお、おすすめしている問題集や基本書を一切買わなかったとしても、お金と時間に余裕がある人であれば、予備校の基礎講座から受講して、予備校の答練を数多く受験して、毎回復習をきちんとすれば十分に合格できると思います。

何をどう勉強して良いのかさっぱり分からないという人の場合や、自分でスケジュール管理をするのが苦手な人は、予備校の基礎講座から受講したほうが結果的に費用的にも時間的にもコストパフォーマンスが良かったという場合はあると思います。

ただ、予備校の基礎講座はそれなりの価格がしますし、基礎講座の受講はそれなりの時間が必要ですので、お金と時間を節約しつつ合格したいという方で、自分の頭で常に自分に何の勉強が必要かを考えつつスケジュールを管理できる人であれば、やはり市販の書籍を使いつつ、予備校の答練・直前模試を活用するというやり方が良いかと思います。


以上、長々とした回答になってしまいましたが、またご不明な点があればご質問をいただければと思います。





50代・60代で司法試験に合格した後の就職について

質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。

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こんにちは。
勉強方法や参考書、問題集など、充実した内容なので、大変参考にさせていただいております。
実は私は50代半ばのサラリーマンなのですが、定年後に弁護士になれないかと思い、昨年秋から勉強を始めた者です。フルタイムで仕事もありますし、家族もいるので勉強漬けとは程遠い生活ですが、大学受験以来の前向きな気持ちで楽しみながら勉強しています。
さて、まずは勉強しなさい、と言われそうですが、1つ質問させてください。これから勉強して、予備試験に受かるか、定年(60歳)後に法科大学院に行くかして、司法試験に受かるのは早くても60代前半にはなってしまうと思うのですが、それからでも就職できるものでしょうか。
もともとは親族間の相続とか、不動産登記とか、そういった関係のトラブルを目の当たりにして、親族に限らず、そういう街のありふれたトラブル解決の役に立つ仕事を第二の人生ではしてみたい、というのが動機です。
よろしくお願い致します。
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質問者様は50代半ばということですので、人生の大先輩ですね。

年齢に関係なく勉強されているということで尊敬します。



私の周りでは高齢の司法試験合格者があまり多くないので、はっきりとしたことは言えないのですが、50代・60代で司法試験に合格した後に、就職をしやすいかどうかは、その方のこれまでのキャリアや人脈の多さなどによると思います。

法律事務所が欲しいと思うような経験や人脈、知名度などがあれば、当然ながら就職先の選択肢はそれなりあると思います。

私が知っている方の中では、大手企業を途中で退職して50代で司法試験に合格された方が1人いますが、その方は普通に法律事務所に就職をしていました。

大手企業で働いていたという経験などが考慮されて採用されたのかも知れません。




弁護士の就職活動では、自分の中では「アピールポイントにはならないだろう」と思っているような経歴が役に立つことがあります。

私も公務員を辞めてから司法試験に合格したのですが、一般的に転職活動では「公務員をやっていてもつぶしが効かない」と言われていたため、当初は就職活動では不利だろうと思っていました。

しかし、司法修習生になってみると同級生から「どこどこの先生が、役所で働いていた人が欲しいから、今度事務所に遊びに来てって言ってたよ」みたいな話をいただいたことがありました。

法律事務所によっては「知財が分かる人が欲しい・・・」とか、「経理や税に詳しい人がいたら助かるのにな・・・」みたいなニーズがあったりするので、そいういったニーズにぴったりと当てはまれば、声をかけてもらえることもあると思います。



アピールできるようなキャリア・経験がない場合には、それぞれの法律事務所の考え方や、就職のお願いの仕方によると思います。

一般的に自分よりも年上の方をアソシエイト(イソ弁)として雇用するというのは、抵抗がある場合が多いと思います。

私もサラリーマン時代に、非常勤職員の採用を担当することになり、面接をしたことがあるのですが、若い人の他に、大手企業で部長をされていた50代の方が面接にいらっしゃったことがありました。

その方は、いかにも仕事が出来そうで、社会経験も豊富そうで、面接のやり取りもとてもしっかりしている方だったのですが「こんな素晴らしい人に、年下の自分が上司として指示をすることは畏れ多すぎる・・・」ということで、悩んだ末に、その方ではなく若い人を採用することにしたということがありました。

弁護士の場合はボス弁が60代・70代という場合も多いので一般的なサラリーマンに比べると年配の方でも就職先の選択肢はあるほうなのですが、ボスが年上だったとしても指導役になる兄弁が年下になってしまうというパターンもあるので、そういった意味では、年齢が高くなればなる程、就職希望先の事務所が年配の方を採用するかどうかで悩むというケースは当然多くなってくると思います。



ただ、あまり無責任なことは言えないのですが、「給料はそれほど高くなくても良いので、修行のために事務所に置かせてください」的なスタンスであまり就職先に拘らずに何件もお願いをしていれば、「仕方ないなぁ。じゃあ1年だけね!」みたいな感じで修行をさせてくれる可能性はそれなりにあるのではないかな、、、と感覚的には思います。

地域にもよると思いますが、「1年くらいなら面倒を見てあげるか」という心の広い大御所の先生はまだ絶滅しておらず、点在的にいらっしゃると思います。

なので、数打ちあたるというスタンスで、辛抱強く就職活動をしていれば、高齢の方でも採用をしてもらえる可能性はあると思います。



それでも、万が一、就職先が決まらなかった場合には、即独という選択肢も考えておいたほうが良いかも知れません。

私は弁護士という職業の良いところは、会費さえ払っていれば自分1人でも仕事ができることだと思っています。

私が司法試験に合格したのは30代半ばでしたが、弁護士の就職が厳しいと言われていた時期でしたので「就職先が決まらなかった時のために即独立も選択肢に入れておこう」と腹をくくっていました。

弁護士の場合は一応司法修習という研修が用意されているので、司法修習中に吸収できることは全て吸収するつもりで真剣に多くの事件に触れ、どんどんと質問をするなど主体的に勉強をしていれば、業務的には即独でもやってやれないことはありません。

就職をしてもボス弁や兄弁が丁寧に教えてくれるとは限らないですし。。。就職したけど、ボス弁も兄弁も忙しくて、結局全部自分で調べて仕事をこなしている、なんて話もたまに聞きます。

弁護士が独立する際のマニュアルなどもそれなりにあるので、覚悟があれば即独も十分に選択肢に入れて良いと思います。

ただ、即独の場合には、事務所経営のことを事前に慎重に考えておく必要があります。

営業やマーケティングが得意な方や、人脈が広い方で、資金もそれなりある方であれば、最初から都市部で勝負するという方法もあると思います。

他方、営業に自信がないという方や、大きな資金がないという場合には、国選や後見や管財事件などが定期的に回ってくるような地方で独立をして定期収入を得つつ、少しずつ顧客を増やしていって経営を拡大していくという選択肢もあると思います。

即独をする場合には、弁護士会の委員会活動などのも適度に顔を出して、困った時に相談できるような人脈を作っておくのも良いと思います。


なお、もし即独をした場合には非弁提携にも気をつけていただきたいです。

非弁提携については、二弁の「本当に怖い非弁提携」という記事が分かりやすいです。




以上、あまりはっきりとした回答になっていなくて恐縮ですが、

・50代・60代の方が就職できるかは、その方のキャリア・経験・人脈などに左右される部分が大きいと思われる

・特別なキャリアがなくてもお願いの仕方を工夫して数打ちあたれば就職できる可能性はあるような気がする

・就職できなくても資格さえあれば独立できるのが弁護士の良いところ

というのが私見です。

もしご不明な点があればまた質問をいただければです。



最後に、50代半ばで司法試験に挑戦するというのは夢があって素敵なことだと思います。

私の知っている先輩方では定年退職した後に、行政書士として独立をしたり、不動産の勉強をして不動産業をしている方などがいます。

今では60歳はまだまだバリバリ現役で働ける方が多いので、50代・60代から新しいことに挑戦するというのはワクワクしますよね。

頑張ってください。

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行政法の勉強方法とおすすめの行政法の基本書や参考書など



今回は行政法の勉強方法とおすすめ基本書や参考書などについてお話をしたいと思います。


■行政法の特徴


「行政法」は、文字通り「行政に関わる法律」のことです。

これまでご紹介した憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法は、それぞれ「憲法」などの名前の法律がありましたが、「行政法」という名前の法律はありません。

「行政事件訴訟法」「行政手続法」「国家賠償法」など、様々な法律をひとまとめにして「行政法」という「くくり」にしています。

なので、「行政法」を勉強する際には、いくつもの法律を広く勉強する必要があります。


司法試験の論文試験で出題される「行政法」にはいくつかの特徴があります。



1つ目は、市民側が行政側を訴えるパターンの問題が良く出ることです。

市民側が行政側を訴える場合には、主に「行政事件訴訟法」や「国家賠償法」や「地方自治法」などの法律を使うことが多いのですが、これらの法律の中には、「取消訴訟」「無効等確認訴訟」「不作為の違法確認訴訟」「義務付け訴訟」「差止訴訟」「当事者訴訟」「国家賠償法」「住民訴訟」など、様々な訴訟類型(裁判の起こし方)が書かれています。

そして、司法試験や予備試験の論文試験試験を解く時にこの訴訟類型を間違えてしまうと、ほとんど点が付かず、それだけで不合格になってしまう可能性が高くなってしまいます。

そのため、「訴訟類型」を間違えないように十分な準備をしておく必要があります。

(会社法の対策と似ています。)

また、それぞれの「訴訟類型」ごとに、どんなことを書くと点が付くのかということも整理しておく必要があります。

この方法については、この記事の中で後でお話します。




行政法の論文試験の特徴の2つ目は、「ほとんど勉強をしたことがない法律」の解釈について聞かれることが多い、ということです。

先程お話ししたように「行政法」という「くくり」の中には、様々な法律があるのですが、最近の司法試験の論文試験の過去問をざっと見るだけでも、以下のようにマニアックな法律をからめた出題がされています。

令和元年
・土地収用法

平成30年
・墓地,埋葬等に関する法律、どっかの全く知らない市の「墓地等の経営の許可等に関する条例」

平成29年
・道路法

平成28年
・建築基準法、都市計画法、風営法

平成27年
・消防法

行政法の教科書を見てもらえれば分かると思うのですが、これらのマニアックな法律は、行政法の教科書にも詳しい解説は書いてありません。

なぜ司法試験でこのようなマニアックな法律が出題されるのかというと、それは

「知らない法律をその場で見て、その場で考えて問題を解いてね」

ということなんです。

決して、このようなマニアックな法律の「逐条解説」みたいな分厚い本を買ってきて勉強しろ、と言われている訳ではありません。

良く知らない法律をその場で読んで、自分の頭で考えて解けるようになれば良いんです。


では、どうすれば、「知らない法律をその場で読んで、自分の頭で考えて解ける」ようになるのかというと、行政法の基本的なことを勉強した上で、後は司法試験や予備試験の論文式試験の過去問や、予備校の問題集・答練を解いて練習するしかありません。

自転車の運転や、スポーツやゲームも、最初は上手くできなくても、何度もやっているうちに身体が覚えていきますよね。

それと同じような感じです。



行政法の論文試験の3つ目の特徴は、「誘導」が多いということです。

「誘導」というのは、問題を解くためのヒントとか指示のことです。

ちょっと分かりにくいと思いますので、実際の司法試験の過去問から「誘導」の一部を抜粋してみます。

試験問題そのものを見たいという人は以下の法務省のホームページから閲覧できます。

ざっと目を通してもらうだけで構いません。


(抜粋ここから)

【法律事務所の会議録】
弁護士D:Aさんは,本件事業認定は違法であると考えているとのことです。本件権利取得裁決には固有の違法事由はありませんので,本件では,本件事業認定の違法性についてのみ検討する
こととしましょう。もっとも,まずは,どのような訴訟を提起するかについて,検討しておく必要がありますね。

弁護士E:本件事業認定も本件権利取得裁決も,行訴法第3条第2項における「処分その他公権力の行使」に該当しますが,いずれも,既に出訴期間を徒過し,取消訴訟を提起することはでき
ないのではないでしょうか。

弁護士D:そうですね。もっとも,本件取消訴訟については,行訴法第14条第1項及び第2項における「正当な理由」が認められ,適法に提起することができるかもしれません。

弁護士E:仮に本件取消訴訟を適法に提起することができたとしても,本件権利取得裁決には固有の違法事由はありませんので,本件取消訴訟では専ら本件事業認定の違法性を主張することと
なりますね。

弁士D:では,E先生には,仮に本件取消訴訟を適法に提起することができるとした場合,本件事
業認定の違法性を主張することができるかについて検討をお願いします。ただし,「正当な
理由」が認められるかについては,検討する必要はありません。

弁護士E:承知しました。

弁護士D:とはいえ,「正当な理由」が認められない場合の対応も考えておく必要があります。本件取消訴訟を適法に提起することができないとすれば,どのような訴訟を提起することができ
ると考えられますか。

弁護士E:本件事業認定に無効の瑕疵があり,したがって,本件権利取得裁決も無効であるとして,
B県に対し,行訴法第3条第4項に基づいて,本件権利取得裁決の無効確認訴訟を提起する
ことが考えられます。また,本件権利取得裁決が無効であるなら,別途,C市に対する訴訟
も提起することができます。

弁護士D:では,B県に対する無効確認訴訟が訴訟要件を充足しているか,E先生に検討していただきましょう。無効確認訴訟の訴訟要件については,いくつかの考え方がありますが,E先生
は,行訴法第36条の訴訟要件である「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を
前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」につい
て検討してください。C市に対してどのような訴訟を提起することができるのか,また,C
市に対する訴訟を提起できる場合にも無効確認訴訟を適法に提起することができるのかとい
う点に絞って検討していただければ結構です。

弁護士E:承知しました。

(抜粋ここまで)

これは法律事務所の中の弁護士の会話ですが、この中に問題を解くための「ヒント」や「指示」が、盛り込まれています。

たとえば、

・「・・・ついて,検討しておく必要がありますね」

・「・・・については,検討する必要はありません。」

・「・・・かという点に絞って検討していただければ結構です。」

という部分は「指示」の部分にあたります。


「検討する必要がありますね」と書かれている部分を、答案の中で検討していないと、点を大きく失ってしまい、それだけ不合格の可能性が高まります。

他方、「・・・については検討する必要はありません」「という点に絞って検討していただければ結構です」と言われているのに、検討する必要がない部分まで答案に書くと、試験本番で時間を大きくロスしてしまいます。

司法試験の論文式試験は時間との勝負なので、検討する必要がない部分に時間をかけてしまうと、検討しなければならない部分にかける時間がなくなってしまい、他の受験生と大きな点数の差が付いてしまいます。

なので、このような「指示」を見落とすことは致命傷になります。


それから

「・・・訴訟を提起することが考えられます」

のような部分は、「ヒント」になっていたりします。


こういったヒントを見落とすと、それだけで不合格に繋がります。

司法試験に不合格になった受験生の相談を受けると、こういった「ヒント」を見落として、書くべきことを書かずに酷い点数になった、という人もいます。

なので「誘導」にきちんと従うということは、とても大事なことです。

この「誘導」を見落とさないようにするのも、基本的には問題演習をこなしていくうちにコツが分かってきます。


ちょっと長くなりましたが、まとめると行政法の論文式試験には、

① 「訴訟類型」について準備をしておかないと本試験で酷い目に合う可能性がある

② あまり見たことがない法律が出るので、自分の頭で考えて解く必要がある

③ 「誘導」にきちんと乗れるように、練習をおく必要がある

等の特徴があります。


ただ、行政法については基本的なことをきちんと勉強した上で、↑のような特徴を踏まえた上で対策をきちんととっておけば、本試験で合格点+αの点を取ることは、それほど難しくありません。

このような特徴を踏まえた上で、行政法をできるだけ短い勉強時間で合格レベルに持っていくための勉強方法と、おすすめの基本書や参考書について、お話していきたいと思います。









■行政法の入門書を読もう


行政法についても初学者の方は入門書を読むことをお勧めします。



はじめて行政法を勉強する場合には、他の科目と同様「伊藤真の行政法入門」をおすすめします。

●ISBN-10: 4535521190 

基本書を読めない私のような人間でも、挫折することなく読めるサイズまで基本的な事項が凝縮されています。

カバンに入れておいてスキマ時間に読んでもいいと思いますしし、2~3時間かけて一気に読んでも良いと思います。

2~3回読めば十分だと思います。



その他に、予備校系の入門書としては柴田孝之先生の「S式生講義 入門行政法」も良いと思います。

柴田孝之先生は、かなり昔からLEC(東京リーガルマインド)で司法試験の講師をしている先生で、私の同期の合格者の中にも柴田先生の授業を受けていたという人が何人もいました。

説明が論理的なので、理屈で理解したい人には相性が良いと思います。

「伊藤真の行政法入門」はどちらかというと教科書っぽい書き方ですが、「S式生講義 入門行政法」は講義を再現したような内容になっているので、どちらか好きなほうを読むと良いと思います。

●ISBN-10: 442612476X



「伊藤真の行政法入門」や「S式生講義 入門行政法」ではちょっと物足りなかったという人は、「伊藤真ファーストトラックシリーズ」もおすすめです。

「伊藤真ファーストトラックシリーズ」は、後述の「行政法 伊藤真試験対策講座」をぎゅっと圧縮したような内容になっています。

この「伊藤真ファーストトラックシリーズ」を何回か読んで内容が理解できるようになれば、他の基本書や予備校本も読みやすくなると思います。

●ISBN-10: 4335314574



学者の先生が書いた入門書のうち、私が読んだ中では藤田宙靖先生の「行政法」が分かりやすくて読みやすいと思います。

●ISBN-10: 4641131953

学者の先生の書いた本の中で、私が通読できた数少ない教科書のうちの1冊です。

藤田宙靖先生は、学者から最高裁判所の裁判官になったという凄い先生なのですが、この入門書を読んでいると初学者に対する配慮や愛情みたいなもの感じます。

内容はしっかりしていますが、文章が平易なので初学者でも読みやすいです。

新司法試験の制度ができるだいぶ前から出版されている本なので、ベースは昔ながらの行政法の本という感じで、今流行の司法試験に合わせたような流行の教科書という感じではありません。

しかし2016年に改訂されていて、行政不服審査法の改正にも対応しているので司法試験の入門書として使って困るということはないと思います。








■行政法の論文問題集を読もう


入門書を読んだら早めに行政法の論文問題集を読むと良いです。



読む論文問題集としては「伊藤塾試験対策問題集」をおすすめします。


●ISBN-10: 4335303599

●ISBN-10: 433530367X

「試験対策問題集 司法試験論文」と 「 伊藤塾試験対策問題集 予備試験論文」 の使い分けについては「論文問題集の使い分けと論文式試験の対策について」を参照してください。

個人的には,「試験対策問題集 司法試験論文」のほうをおすすめしています。

この伊藤塾の問題集は、やはり他の科目と同様に参考答案の質が高いので、言い回しをそのまま真似して本試験で使うことができます。

この問題集の「ケース」以外の部分の問題文と参考答案を何度も読んでいると、行政法の問題の解き方の流れのようなものが分かってくると思います。

参考答案を読んでもよく理解できない部分も出てくると思いますので、その場合は、後述の基本書や判例集の該当箇所を読んで理解を深めていくと、力がついていくと思います。

時間がない人は、とりあえず「ケース」以外の部分の「A」ランクの問題に絞って回しても良いと思います。

行政法の勉強では、先程お話しした行政法の特徴を踏まえ、過去問や予備校の答練にもある程度時間をかけたいところなので、問題集の全部を完璧に仕上げることに拘りすぎて過去問や予備校の答練をこなす時間が無くなってしまうよりは、問題集の「A」ランクの部分だけでも良いので早めに仕上げて、過去問や予備校の答練の演習の時間を十分に確保したほうが良いと思います。








■おすすめの行政法の基本書と予備校本



行政法のおすすめの基本書などをいくつか紹介します。


私の周りの合格者で使っている人が多かったのが「櫻井敬子」先生と「橋本博之」先生の「行政法」です。

●ISBN-10: 4335357974

比較的コンパクトで読みやすいので、通読用に使っても時間不足になる可能性は低いと思います。

この本を使っている受験生が多いので「他の人と同じ本が良い」という人には無難な基本書だと思います。

私もこの基本書を持っているのですが・・・ほとんど読んだ記憶がありません。

この基本書の問題ではなく、私の問題ですが、合う合わないは相性があると思います。





私がメインで使っていた基本書は「行政法 (LEGAL QUEST)」です。

●ISBN-10: 4641179409

私は通読はしていませんが、調べ物をしたり法科大学院の課題をこなしたりするのに頻繁につまみ読みをしていたので、おそらく全体のうち7割くらいのページは読んだと思います。

この基本書は4人の共著ですが、著者の1人である稲葉馨先生は、(新)司法試験で新しく行政法が試験科目に含まれた時の考査委員をされていた先生です。

そのためか、伝統的な行政法の教科書と違って、(新)司法試験の出題形式を意識した内容になっているように思われます。

単に知識を詰め込むだけでなく、自分の頭で考えて問題を解くことができるように工夫がされていると思います。

先程お話したとおり、司法試験の行政法の問題は、自分の頭で現場で考えて処理しなければならない問題が出題されることが多いので、そういった意味では良い基本書だと思います。

この基本書のデメリットとしては、ちょっと先進的な内容が含まれていて難しいと思う人もいると思います。

他方で理屈でロジカルに考えたい人には相性が良い基本書だと思いますし、薄いので気合いを入れれば1日か2日で読めると思います。




その他、王道の基本書としては「宇賀克也」先生の「行政法概説Ⅰ」と「行政法概説II」が有名です。

●ISBN-10: 4641227837

●ISBN-10: 4641227446


「概説」(=だいたいの説明)とは名ばかりに、2冊合わせて1000頁を超えるボリュームです。

宇賀先生はとても優秀な先生なので、1000頁分くらいの知識は全体の知識量のごく一部に過ぎないのだと思いますが、司法試験受験生にとって1000頁というボリュームはちょっと多いです。

天才タイプ以外の人が通読しようとすると挫折する可能性が大きいです。

なので、通読用に使うことはおすすめしません。

ただ、判例が大量に掲載されており、論文試験の問題を解いたりしている時に、辞書として使うのには大変便利なので、お金に余裕のある人は2冊とも手元に置いておくとかなり便利です。

また内容が詳しいので司法修習や実務に入ってからも使えるので、そういった意味では最強の部類の基本書です。


私も受験生自体に2冊とも買って、今でも仕事で辞書的に使っています。

ちなみに「宇賀克也」先生は「行政法概説Ⅲ」という本も出してますが、こちらは司法試験ではほとんど出題されない範囲の本なので、司法試験・予備試験対策のために「行政法概説Ⅲ」を買う必要はほとんどありません。



その他、年配の弁護士におすすめの行政法の基本書を聞くと「塩野宏」先生の「行政法」をおすすめされるかも知れません。

●ISBN-10: 4641131864

●ISBN-10: 4641227713

「買いたい人だけ買ってください」とでも言うような、とてもシンプルな見た目の本。

塩野先生の「行政法」は、見た目と同様に説明も比較的シンプルなので、ある程度勉強が進んだ人であれば、「余計な説明がないので読みやすい」と思います。


塩野先生はかなりご高齢で、今後の改訂も無いかもしれないので、積極的にはおすすめしませんが、図書館などで読んでみて、「自分に合う」と思った人や、同級生に「渋い」って思われたい人は候補に入れても良いかも知れません。






予備校本については,通読用に使うのであれば伊藤塾の「行政法 伊藤真試験対策講座」が良いと思いますし,辞書的に使うのであればLECの「C-Book 行政法」が良いと思います。

●ISBN-10: 4335304900

●ISBN-10: 4844976125


私は法科大学院の入学試験の勉強のために伊藤塾の「行政法 伊藤真試験対策講座」を使っていました。

予備校本だけあって内容は分かりやすかったですが、ボリュームがそこそこあるので、通読をするのには気合いと根性が必要かも知れません。



「C-Book 行政法」は、法科大学院に入学した後、辞書として使っていました。

「調べ物をしたいけど、基本書で該当箇所を探すのはダルいな」という時に「C-Book」は便利です。

「C-Book目次が細分化されているので分からない事が出てきた時に調べたい内容を探しやすいですし、「C-Book」には基本書のどのページに書かれているかというインデックスのようなものがあって基本書の該当箇所にすぐに飛ぶことができるので便利です。

ただし、「C-Book」は量が多いので通読はあまりおすすめしません。







■行政法の判例集


行政法の判例集も様々なものが出版されていますが,「行政法判例百選Ⅰ」と「行政法判例百選Ⅱ」と直近数年分の「重要判例解説」があれば十分だと思います。

●ISBN-10: 4641115354

●ISBN-10: 4641115362

●464111594X

相変わらず字が小さいのがデメリットですが、パソコンがある人は自分で電子書籍化するか、Kindle版を買えば、「目が疲れる問題」は解決できると思います。

判例百選に掲載されている判例の数はかなり多いので、宇賀先生の基本書と併用すれば司法試験の勉強をするにあたって不足するということはまずないと思いますし、解説も充実しているので分からないことを理解しようとする時にも便利です。

「伊藤真の判例シリーズ」も便利で分かりやすいのですが、改訂が少ないのと、掲載判例が少なめなのと、その割にボリュームがあるのがネックです。

私は「伊藤真の判例シリーズ」も買いましたが結局ほとんど使ってません。

●4335304102 






■「訴訟類型」の整理など


先程お話ししたとおり、行政法の論文試験では、「訴訟類型」を整理して実戦で使えるようにする、ことが大事です。

そのため、予め「訴訟類型」を整理しておくと良いです。


「訴訟類型」は、ある程度勉強をしていればどのようなものがあるか分かってくると思いますが、整理をしておかないと本番で間違える可能性が出てきます。

「行政法の論文試験が苦手」という受験生の中には、この「訴訟類型の整理」をきちんとしていない人が多いように思われます。

自分で「訴訟類型」を整理しても良いのですが、それが面倒な人は辰巳法律研究所の「趣旨規範ハンドブック 公法系」に、「訴訟類型」の整理や本試験の解き方が詳しく書かれています。

「訴訟類型を整理しろと言われても、やり方が分からないよ」という人は「趣旨規範ハンドブック」の力を借りると良いと思います。

私も最初は自分で整理していたのですが、量が増えるにつれて次第に訳が分からなくなって面倒になったので、最終的には「趣旨規範ハンドブック」の力を借りて頭を整理しました。

●ISBN-10: 4864664218


「趣旨規範ハンドブック」はシンプルなのが売りですが、その分「勉強がそれなりに進んでいる人」向けなので、勉強の進み具合によっては「何が書いてあるのか良く分からない」という人もいると思います。


その場合には「受験新報」のノートのほうが分かりやすいかも知れません。

「受験新報」は定期的に「訴訟類型」や行政法の問題の解き方を綺麗に整理した「行政法答案構成ノート」を出しています。


こちらのノートもかなり使いやすいので、同期の合格者の中には受験新報のノートを使っている人も結構いました。

「趣旨規範ハンドブック」を使っても「受験新報のノート」を使ってもどちらでも問題ありませんので、見比べてみて自分が使いやすいほうを使うと良いでしょう。

●ASIN: B07K14BNBL






■論文式試験の過去問の分析


先程お話ししたとおり、司法試験(予備試験も)では論文式試験の過去問の分析は大事です。


先程お話ししたように

① 「訴訟類型」を整理して実戦で使えるようにする

② あまり勉強したことがない法律について、自分の頭で考えて解けるようにする

③ 「誘導」にきちんと乗れるようにする

という技術を身につけるためには、司法試験の論文試験の過去問を最低でも5年分はやっておくべきです。

過去問を5年分くらいやると、次第に「なんだか毎年同じようなことが聞かれているな」という感覚になってくると思います。

聞かれている論点は違っても、求めれている考え方や、誘導の仕方は、パターンがある程度決まっているので、過去問をこなしてくと「はいはい。こういうパターンね。前に見たことあるよ。」と落ち着いて問題を処理できるようになっていくと思います。


過去問を解く時には、できれば自分よりも優秀な人とゼミを組んで、毎週何曜日の何時までに全員が答案を書き上げるという約束をして、答案が出来上がったらお互いに答案を批評しあうと、過去問から得られるモノの量と質が大幅にあがると思います。


自分や他の人が書いた答案を分析する時は、辰已法律研究所の「ぶんせき本」の優秀答案や予備校のコメント、法務省の採点実感等を読みながらやると良いです。

●ISBN-10: 4864664668

●ISBN-10: 4864664676



過去問を何度も回しているのに、解き方が分からない、という人は、主に2つのパターンに分けられると思います。


1つ目は、基本的な知識や理解が足りていないパターン。

この場合は、

「伊藤塾試験対策問題集」のAランクの問題などを解く
分からない部分を基本書などで復習する

をループしたりして、基本的な知識をインプットし理解を深めるしかないと思います。



2つ目は、司法試験の問題との相性が悪く解き方のコツがなかなか掴めないタイプ。

このパターンは、知識や理解は十分にあるのに、論文試験は苦手というパターンで、優秀な人の中にもこういう人がたまにいます。

論文試験の解き方のコツや誘導の乗り方がどうしても掴めない人は、論文試験が得意な人に方法を聞いて回るという方法もあるのですが、「誘導」に乗るのが苦手な人は、辰巳法律研究所の福田俊彦先生の「絶対にすべらない答案の書き方」という講座を個人的におすすめします。

この「絶対にすべらない答案の書き方」は、司法試験の論文試験の各科目の問題文の読み方、時間配分の仕方、答案構成の仕方、答案の書き方、誘導の乗り方などを一定のルールに従ってやることで、論文試験で酷い点数を取るリスクをゼロに近づける、みたいな内容です(私の理解が間違っていたらすみません)。

私も「論文試験の解き方がよく分からないな」と思っていた時に同級生に福田先生の講座を勧められて受講したのですが、講義の内容を全部文字に起こして、福田先生の言っているルールを守ように徹底したところ、点数が安定するようになりました。

DVDの講座で2万5000円くらいしたと思うので、購入するのはちょっと勇気がいる価格だと思いますし、同級生の中では「あまり響かなかった」という人もいたので相性みたいなものがあると思います。

あと、この講座は司法試験でもの凄い高得点を取る的な内容ではなく、タイトルどおり「すべらない」=「落ちない」ことをメインにしている内容なので、「合格点を取る自信は十分にあるけど、10番以内で合格したい」みたいな人向けの内容ではありません。

いきなり講座を買う勇気がない人は、本も出ているので、そっちを読んでみてから講座を受けるか判断しても良いかもしれません。

●ISBN-10: 4864661596

ただ、本は講座に比べると内容は薄めです(価格が違うので仕方ないのですが)。









■答練・直前模試を受けよう


司法試験・予備試験ともに遅くとも年明け頃から予備校の答練を受けたほうが良いです。

予備校の答練は、司法試験も予備試験も、10月頃から第1クールが始まり、年明けの1月か2月頃から第2クールが始まります。

「第1クール」「第2クール」という名前は予備校によって若干違いますが、1セット目、2セット目みたいな意味です。

勉強のスケジュールがある程度進んでいて、お金に余裕がある人は第1クールも第2クールも両方受けて良いと思いますが、私は第2クールだけ受けました。

第1クールは受講しない受験生も多いので、第1クールで出題されたものと同じような問題が本試験で出たとしても、それ程差が付かないことが多いと思います。

また、過去問の検討が不十分な場合には、無理をして第1クールの答練を受けるよりは、過去問の検討を十分にしたほうが力が付く可能性が高いと思います。

予備校の答練も良く練られていますが、やはり質的な意味では過去問のほうが得られるものが多いです。



過去問を5年分くらいこなしてから答練を受けると、自分の苦手な部分や、弱点が分かってくると思います。

たとえば、いつも時間内に書き終わらないとか、訴訟類型の判断に時間がかかるとか、実体法的な論点が弱いなど。

弱点が分かれば、その原因を探った上で、復習をすることで本試験までの間に補強をしていくことができます。


どの予備校の答練を受けるか迷った場合には,「予備校の答練について」という記事を参考にしてください。

個人的には受講生の多い予備校の答練を受けることをおすすめしています。







■短答式試験(行政法)の勉強方法


現在の司法試験の短答式試験では,行政法の分野は出題されません。

そのため,予備試験を受験せずに,法科大学院に進学して司法試験を受験する人は,行政法の分野については短答式試験の勉強をする必要はありません。


それに対して,予備試験の短答式試験では,行政法の分野も出題されるので,予備試験の受験を考えている人は,短答式試験対策もしておく必要があります。

他の科目の記事でお話したとおり、短答式試験の勉強方法は基本的に短答式試験の過去問集を買ってきて読んだり解いたりしてみて,分からないところがあれば,基本書や予備校本,判例集で調べるという単純作業です。



短答式試験の過去問集は,私は当初は辰巳法律研究所の「短答過去問パーフェクト」を使っていましたが、途中からスクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」をメインで使っていました。


●ISBN-10: 4864664536

●ASIN: B083SRMJPH


辰巳法律研究所の「短答過去問パーフェクト」は以前に比べると解説が若干コンパクトになったような気がします。

ただ、解説は以前と同様、条文の内容や判例の判旨をそのまま記載しているだけのものも多く、「条文や判決にはそう書いてあるんだろうけど、なんでそうなるの?」という部分がよく分からなかったりします。


スクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」は、解説はコンパクトですが、条文の制度趣旨などまでに遡って説明してくれているので、ある程度勉強が進んできた人であれば頭に残りやすく、早く回せると思います。

ただ、最近のスクール東京の問題集の解説は言い回しが独特になってきたので読みづらいと感じる人もいると思いますし、他の問題集に比べると改訂が遅めです。

スクール東京の成川先生は、以前に早稲田セミナーという司法試験予備校を経営していた方で、長年司法試験の講師をされていただけあって著書もインパクトのあるものが多いのですが、個性的な方なので相性が合わない人は合わないかも知れません。


短答式の過去問集は各予備校から出ていますが、一長一短で好みが分かれるところなので、試し読みしてみて、気に入ったものを買うと良いと思います。

解説だけで言うと伊藤塾の問題集も良いと思いますが、伊藤塾の問題集は問題数が少ないのがネックです。


●ASIN: B07XK14931

●ISBN-10: 4847146085

●ISBN-10: 4587226971


迷った場合には、スクール東京の「司法試験・予備試験 短答 過去問集」を試し読みしてみて、「合わないな」と感じた方は、辰巳法律研究所の「短答過去問パーフェクト」を使うのが無難かな、と思います。


単純作業が苦痛でない人は「肢別本」が効率的です。

●ISBN-10: 4864664145

肢別本は,1問1答になっていて解説がコンパクトな問題集なので、速く回せます。

同級生が「1日で肢別本1冊読む」という人もいたので、気合いと根性がある人であれば、肢別本を選択肢に入れても良いと思います。

肢別本はアプリも出ています。




短答式の勉強のために「択一六法」を買う受験生もいます。

●ISBN-10: 4844974726

「択一六法」は先程紹介した東京リーガルマインド(LEC)の「C-BOOK」をコンパクトにまとめたような本です。

短答式対策の勉強をしていると、知識を整理するためにノートを作りたくなる衝動に駆られることがあるのですが、自分でノートを作るのは時間がかかるので、択一六法で代用できないか検討する価値はあると思います。

ロースクールの授業に重い基本書や六法を持っていくのが面倒なので、択一六法だけ持って授業を受ける猛者もいたりします。


以上、行政法のおすすめの勉強方法と基本書でした。

勉強の進め方は人それぞれなので、必ずしも上記のとおり進めなければならないという訳ではありません。

予備校に通っている方は、予備校の講義をペースメーカーにして進めていくと良いでしょう。

質問がありましたらコメント欄に記入してください。

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