私は大学3年生の1月頃から,ぼちぼちと公務員試験の勉強を初めて,国家公務員Ⅱ種(現在の一般職)と市役所2つを受験しました。
私のおおまかな試験結果は以下のとおりです。
国家公務員Ⅱ種 受験者約3000人中 約60位 合格・内定ももらう
市役所A 受験者約1000人 順位は不明だが合格者25人の中に入り合格
市役所B 受験者約1000人中 約50位 不合格(合格者10名)
あまり真面目に勉強をしていなかった割には,結構良い成績を取れたと思います。
平日は毎日3時間から6時間程度,図書館にいるようにしていましたが,同級生からは「お前を図書館で見かけると,寝ているか,タバコを吸っているかのどちらかで,勉強をしているのを見たことがない。」と言われていましたので,勉強時間は少なかったほうだと思います。
振り返ってみて,短時間の勉強で良い成績を取ることができた理由と,効率的な勉強方法についてお話したいと思います。
目次
○法律科目・経済科目
公務員試験の法律科目・経済科目でつまづく人が多いのが「完璧主義」に陥るパターンです。
「公務員試験は難しい」「法律や経済をきちんと理解していないと合格できない」と思い込んでしまうパターンです。
はっきり言うと,国家公務員の一般職や,一般的な自治体の採用試験のレベルはあまり高くありません。
私は公務員試験に合格した後に司法試験の勉強を始めましたが,「公務員試験で学んだ法律の知識など,司法試験の前では何も勉強していないに等しい」と,何も法律のことなど何も分かっていなかったことを思い知らされました。
では,なぜ,法律や経済のことが分かっていなくても,公務員試験で点数が取れるようになるのか?
それは,公務員試験の出題形式にあります。
公務員試験では,5つの選択肢から正しいものを1つ選ぶ,という問題が多いのですが,過去問を何度も回していると「この肢は怪しい」という感覚のようなものが分かってきます。
法律や経済の基本的なシステムさえ分かっていれば「常識的に考えて,こんな結論になるわけないだろう」ということが分かってくるんですね。
そして,過去問を繰り返し解いていると,多くの問題が「5つの選択肢のうち,3つは常識的に誤りと判断でき,残りの2つの肢で迷う」というパターンが多いことが分かってくると思います。
ここまで来ると合格はかなり近付きます。
なぜなら,公務員試験は,6割前後から7割程度得点できれば合格できると言われているのですが,5つの選択肢を2つまで絞りこむことができるようになれば,それだけで5割の点数を取ることができるようになるからです。
あとは合格するためには,残りの1割から2割分の知識を詰め込むだけです。
したがって,公務員試験の法律科目・経済科目を勉強する時には「全部きちんと理解して記憶しよう」などと意気込む必要はなく,基本的な知識をインプットしたら,あとは過去問をガンガンと回して問題に慣れ,選択肢の切り方の感覚を磨く,ということが大事だと思います。
具体的な勉強方法としては,最初に薄めの教科書を読みます。
薄めの教科書は,法律科目であれば「伊藤真の○○法入門」シリーズが薄くて分かりやすいのでお勧めですが,公務員試験用のテキストも出ていますので,自分が気に入ったものを使うと良いと思います。
★ISBN-10: 4535523053
★ISBN-10: 478894183X
経済科目については,公務員試験用のテキストを使ったほうが良いでしょう。
★ISBN-10: 4784813721
★ISBN-10: 4784813845
あまり時間をかけずに,出来れば1日か2日で1冊を読み終えるくらいの気持ちで一気に読んでください。
テキストを読み終わったら,過去問集で過去問を繰り返し何度も解きます。
過去問集はちゃんとしたものであれば何でも良いですが,実務教育出版の「新スーパー過去問ゼミ」が定番です。
★ISBN-10: 4788948753
「新スーパー過去問ゼミ」は問題数が多いので,途中で挫折しそうな人は,もっと薄めの問題集を使っても良いと思います。
問題集を「解く」と言っても,最初のうちは解けなくて当たり前なので,取りあえず,どの選択肢が正解らしいか,出来るだけ自分の頭で考えてみましょう。
考えても分からない時は,すぐに答えと解説を見て構いません。
分からないのに考えていても,時間の無駄ですからね。
解説を見て考えても分からない場合には,立ち止まらずに次の問題に移ってください。
分からなかったことが2周週目・3周目になって分かることもありますし,公務員試験では満点を取る必要はありませんので,分からない問題に時間をかけるよりも,分かる問題を増やしていくことのほうが大事です。
この「薄いテキストを読む」ということと,「過去問を繰り返し解く(読む)」ということを繰り返していると,「5つの選択肢を頭で考えて2つに絞り込む感覚」が分かってくると思いますし,自信をもって正解に選択肢にたどりつける問題も増えてきます。
この「テキストや問題集を高速で繰り返す」という勉強方法は大学受験でも資格試験の勉強でも良く使われているやり方です。
「テキストや問題集を高速で繰り返す」という勉強方法がしっくり来ないという人は,「図解 超高速勉強法」という本を読んでみることをおすすめします。
★ISBN-10: 4766783190
○判断推理・数的推理
公務員試験の受験生が苦労することが多いのが「判断推理」「数的推理」ですね。
「判断推理」「数的推理」を苦手にしている人の中には「判断推理・数的推理は地頭が良くないと解けない。」と思い込んでいる人が多いです。
しかし,「判断推理」「数的推理」は頭が良くなくても解けるようになります。
「判断推理」「数的推理」は,「考えて解く」科目ではなく「解き方を暗記して解く」科目です。
多くの受験生は
法律・経済科目 = 暗記科目
判断推理・数的推理 = 頭で考える科目
と考えがちですが,逆です。
法律・経済科目 = 頭で考える科目
判断推理・数的推理 = 暗記科目
なんです。
ですから,「判断推理」「数的推理」は,頭が良くなくても,解き方を暗記してしまえば誰にでも解けるようになるんです。
私は「判断推理」「数的推理」の問題を解いていると,解説が分かりにくかったりして発狂することも何度もありましたが,それでもやるしかありません。
「判断推理」「数的推理」はスポーツです。やったもの勝ちです。
とにかく過去問を地道にやることが効率的です。
問題を解いてみて,考えても分からなかったらすぐに答えと解説を読みましょう。
分からないまま悩んでいても解けるようにはならないですからね。
私はスタバやドトールなどに行って,実務教育出版の「スーパー過去問」をひたすら解いていました。
★ISBN-10: 4788948710
★ISBN-10: 4788948702
無機質な問題集を繰り返すのが苦痛という人は,気分転換にノウハウ本的なものも読んでみると良いと思います。
最近,本屋に置いてる本の中では「みるみるわかる! 解法の玉手箱」という本が比較的分かりやすいのではないかと思います。
★ISBN-10: 4788946173
★ISBN-10: 4788946165
○文章理解(現代文・古文・英語)
文章理解は,私はほとんど手をつけませんでした。
かけた時間と点数の伸びが比例しないので,一生懸命勉強したとしてもコスパが悪い科目です。
大学入試の現代文である程度点数が取れていた人は,あまり対策をしなくても良いと思います。
英語に関しても,配点が少ないことが多いので,私は一切勉強をしませんでした。
時間がある人は「スーパー過去問ゼミ」を全部やっても良いと思いますが,時間がない人は「スーパー過去問ゼミ」を虫食い的に一部だけやるか,「文章理解 速攻の解法トレーニング」のような薄めの本を集中してやれば良いと思います。
★ISBN-10: 4788948729
★ISBN-10: 4788949210
○人文科学・自然科学
人文科学と自然科学も,範囲が広く,勉強をしても効率が挙がりにくい分野です。
とは言っても,完全に捨ててしまうのは怖い科目でもあります。
時間がある人は「スーパー過去問ゼミ」をやれば良いと思いますが,人文科学・自然科学にまで手が回らない受験生のほうが多いでしょう。
★ISBN-10: 4788948680
★ISBN-10: 4788948699
そのため,あまり時間をかけずに,薄めのテキストか問題集をやっておくと良いと思います。
人文科学については,「上・中級公務員試験 新・光速マスター」のような本を一気に読み込むと良いと思います。
★ISBN-10: 4788946440
自然科学については,最近では薄めのテキストが出版されていますから,時間はかけなくて良いので,基本的な知識だけでもインプットしておきましょう。
★ISBN-10: 4788945894
公務員対策のサイトの中には「自然科学は捨てましょう」と述べられていることがありますが,私は自然科学を捨てることはおすすめしません。
試験勉強の基本的な考え方として「苦手分野は伸びしろが大きいので勉強効率が良い」「得意分野は伸びしろが小さいので勉強効率が悪い」という原則があります。
ですから,高校の時に文系だった人は,人文科学のみを一生懸命やるよりも,自然科学の勉強もしておいたほうが,点数が伸びる可能性が高いのです。
自然科学の分野でも,高校で文系だった人でも解けるような簡単な問題がいくつか出題されます。
他方で,人文科学の分野で非常に難しい問題が出題されることもあります。
ですから,人文科学と自然科学を網羅的に勉強しておいて,それぞれの簡単な問題で点数を取ることができるようにしておくと,結果的に高得点を取ることができます。
○時事問題
時事問題については試験対策本が出版されているので,そちらを読んでも良いと思いますが,おすすめは新聞を毎日読むことです。
時事問題集をざっと読んで,どのような時事ネタが出題されやすいのか傾向を把握したら,新聞を毎日読む習慣をつけましょう。
★ISBN-10: 478894586X
★ISBN-10: 4471470094
大学の図書館に新聞各紙が置いてあるはずですから,勉強の合間に休憩がてら新聞を読んでみると良いです。
全てをじっくり読む必要はなく,見出しを読んだ後に,どんなことが問題になっているのか把握できる程度に流し読みすれば十分です。
5分から10分くらいあれば読み終わるはずです。
新聞を毎日読んでおくと,時事問題はほとんど解けるようになりますし,面接試験対策にもなります。
都道府県や市町村を受験する人は,全国紙よりも,その自治体の地方紙を読んでおくと「うちの市の問題点な何でしょう?」みたいな質問にも対応しやすくなります。
○スクールに通うべきか
私はスクールには通いませんでした。
大学生って忙しいですよね。単位を取らないといけないし,バイトしたり,飲みに言ったり,遊びにいったり,朝起きられなかったり・・・。
スクールの授業を受けて,言われたことが全て頭にインプットできるような頭の良い人であればスクールに行くことも効率的だと思います。
しかし,公務員試験では基本的に授業を漫然と受けるよりも過去問を何度も繰り返したほうが点数が上がりやすいので,時間があまりない人は,授業を受けるよりも,薄めのテキストを一気に読み込んで,過去問を繰り返したほうが効率的だと思います。
ただ,面接試験対策については,独学では学べないことも多いので,面接試験対策のためにスクールを利用するのはありだと思います。
また,論文式試験を受ける場合には,添削指導を受けるためにもスクールを利用するメリットは大きいと思います。
○計画を立てること
公務員試験は科目数が多いので,時間不足に陥りがちです。
最初にもお話しましたが,完璧主義に陥らずに,試験日までにどうやって点数を1点でも多く上げるか,という点を意識したほうが良いです。
たとえば,自分がやろうと思っている問題集が500頁×10冊=5000頁あったとしましょう。
これを3回繰り返すとすると,1万5000頁分になるわけですね。
1万5000頁を半年(180日)でこなすためには,1日約84頁分やる必要があります。
もし,1日に84頁やることが出来なければ,計画を立て直す必要があります。
問題集を薄いものに切り替えるとか,得意科目については3回ではなく2回におさえるとか。
このように,試験勉強をする時には,今のペースでやって終わるのか,終わらないとすればいつまでに何をやるべきか,ということを常にチェックする習慣を付けておくべきです。
○まとめ
以上,公務員試験の勉強方法のお話でした。
ちょっと偉そうに「計画が大事」なとど説明しましたが,私は途中で計画が崩壊し,本来計画していた勉強の3分の2くらいしか出来ませんでした。
それでも試験で結果を残すことが出来ましたので,公務員を目指している人は最後まで諦めないで欲しいと思います。
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