仕事を辞めて弁護士に転職しました

公務員として数年間働いていましたが、思い切って公務員を辞めて司法試験を受験し、現在は弁護士として働いています。 自分が受験生の時は情報が少なく相談できる人もいなかったため、色々と悩むことも多かったです。 公務員のこと、司法試験のことなどについて、受験生の方に参考になるかも知れないことを書いていけたらと思っています。 質問がある方はコメント欄に記載してもらえれば可能な範囲で回答したいと思います。回答まで時間がかかることが多々ありますがご容赦ください。

2019年02月

司法試験の論文式試験での学説の選び方について


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new!大変参考になりました。ありがとうございます。 
伊藤塾の予備校本(試験対策講座)について質問なのですが、特に刑法の試験対策講座では、列挙されている学説のどの説をとればいいかわからないことがあると思うのですが、どのように対応されましたか?(実際の予備校の講座では、授業中にどの説をとるべきかが指示されるようです。)
2019-01-29 00:52:31 返信編集

YDK
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返事が遅くなっていてすみません。

きちんとした記事を書こうと思っていましたが,忙しくてまだ書けていませんので,取り合えず個人的な見解だけご説明したいと思います。

私は,原則として伊藤塾試験対策問題集等の主要な論文問題集に書かれている説を使うようにしていましたし,基本的にそれで良いと思います。

★ISBN-10: 4335303548


その他,司法試験の上位合格者の答案(辰巳の「ぶんせき本」等)を読んでいて「この説のほうが書きやすいな」と思えば上位合格者の論述を真似して,同じ説を使えば良いと思います。

上位合格者が使っている説であれば,間違いはないので。

★ISBN-10: 4864663769


その他,どの説を使うか迷った場合には「どの説だと速く書けるか」という観点で考えるのも良いと思います。

刑事訴訟法の捜索・差押えの論点で,「緊急処分説」と「相当説(合理説)」が対立していて,どちらの説を使っても問題はないのですが,私は「相当説(合理説)」のほうが速く答案を書けるので「相当説(合理説)」を使うようにしていました。




刑法に関して言えば,共同正犯についてだけは,可能であれば「実務で使っている説」を使うことをお勧めします。

私は当初,共同正犯について予備校で一般的に採用している学説を使っていたのですが,答案が書きづらく,判例の当てはめを読んでいても「何をあてはめているんだろう?」と,しっくりこないことが多かったです。

法科大学院の最終学年になって検察官の教官から,「実務で使っている説」を使うよう指示をされて説を変えたところ答案がスムーズかつロジカルに書けるようになりました。

また司法試験に合格して司法研修所に入ると共同正犯の論証については「実務で使っている説」を使うように矯正されると思います(少なくとも私が修習生の時はそうでした。)


「実務で使っている説」は,「刑法総論講義案」という本に説明があります。


★ISBN-10: 4906929516

また,司法研修所が出している「検察終局処分起案の考え方」という本に,事実への当てはめの方法を含め,共同正犯の論点に関する詳しい記載があります。

「検察終局処分起案の考え方」は市販はされていませんが,ネットで検索すると・・・色々と情報が出てくると思います。


機会があれば共同正犯の論証の仕方も後ほど説明したいと思います。

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司法試験における民法改正への対策について


コメント欄でいただいた質問のうち,今回は,以下のご質問についてお話したいと思います。

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アマゾンの債権総論 第4版 (伊藤真試験対策講座 3)のレビューに通説に従っていないとかいてあります。 
これは本当でしょうか。 
又、もし本当なら他に使える書籍はありますか。 
改正民法対策には何を使えば良いのでしょうか。
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■伊藤真試験対策講座について



先日,実際に新しい伊藤真試験対策講座(シケタイ)に一通り目を通して来ましたが,民法の改正点がどこなのか分かりやすく整理されていましたので,特に問題はないと思いますし,使い勝手は悪くないと思います。


2020年の債権法改正は受験生を悩ませている問題だと思います。

私が司法試験の勉強を始めた頃,会社法が施行されて間もない頃で,会社法の教材は焼け野原状態で,教材探しには苦労しました。

ただ,私も弁護士として債権法改正について講演等をする機会があり,新しい民法を勉強していますが,今回の民法改正は,過去に対立していた論点(条文上はっきりとしていなかった部分)を明文化したものも多く,受験生のとっては暗記すべき量は減ることになると思いますので,必ずしもデメリットばかりではないと思います。


ただし,教材が少ない現時点では勉強しづらいのも事実であり,勉強をする上で二度手間になる部分も出てくると思います。



伊藤真試験対策講座(いわゆる「シケタイ」)のレビューを読みましたが,私の意見としては,現時点で何が通説であるとは言い切れないと思いますし,伊藤真試験対策講座を使ったからと言ってダメということはないと思います。


会社法改正の時にも,立法担当者のメンバーであった葉玉先生などが「会社法100問」という司法試験対策用の問題集を出版し,大人気となり,私も一時期使っていたことがありました。

★ISBN-10: 4478100284

立法担当者の方々が作成されたこの本の中にも,現在実務では通説になっていないものものあります。そのため,立法担当者の方が書いてあることが必ずしもそのまま通説になる,という訳ではありません。


実際に法律の解釈をする際にも,解釈者は立法担当者の意思に拘束される訳ではなく,司法試験の勉強が進んでいくと,立法担当者の考え方と通説が異なる,という場面を目にすることもあると思います。

なので,レビューにあるように「従来は、立案担当者の解説と矛盾した「結論」を正しいとした、書籍・記述は、全く無視する扱いが通例でした。」などということはないと思います(少なくとも私の周囲でそのような考え方をしている弁護士はいないと思います。)。



また,特に新司法試験になってからは,民法の論文式試験で学説同士の違いを正面から問われることは少なくて,実際の事例で,法律に書かれている条文や判例を事例にきちんと当てはめて結論を導けるか,という点が問われている問題がほとんどですし,未知の問題が出てもきちんと理屈が通った答案を書ければ不合格にならないくらいの点はもらえます。

特に法改正があった点について出題される場合には,端的に条文を摘示して,事案に当てはめて結論を導けばそれで合格点を取れる可能性が高いと思います。

このことは,司法試験の上位合格者の答案を読んでもらえれば分かると思います。

★ISBN-10: 4864663769

今回の民法の改正でも従来争いのあった点を判例や通説に従って条文化したものも多いので,法改正があった点について出題されたとしても,立法担当者の考え方をとるか,潮見先生の考え方をとるかという二択を迫られる場面などというものは,普通に考えるとないと思います。


しがって,伊藤真試験対策講座を使ったから司法試験に落ちる,ということはないと思います。



ただし,基本書が自分に合うか,予備校本が自分に合うかは人それぞれです。

私の同級生を見ていても「予備校本は信用ならないから基本書だけを使う」という人もいましたし,逆に「基本書は読めないから予備校本しか持っていない」という受験生もいました。

予備校本を一切使わず基本書だけ使っていて結局合格出来なかった人もいますし,基本書だけを使って司法試験で上位で合格した人もいます(さすがに問題集や過去問集は予備校のものを使っていましたが。)

他方,私の仲の良い同級生は基本書を読まず,伊藤真試験対策講座だけをボロボロになるで読み込んで20番以内の成績で合格した人もいます。

さらに私のように,問題集を中心に勉強をして,基本書や予備校本を原則として通読せずに,基本書でも予備校本でも役に立つものはなんでも辞書として使う,というタイプの人もいます。

昔から「予備校本は信用ならないから,基本書を使うべきだ」「いや,基本書は初学者に向いていないから予備校本を使うべきだ」という議論がありますが,基本書を使っても予備校本を使っても合格する人は合格するので不毛な議論だと思いますし,実際に手に取ってみて自分が勉強しやすいものを選べば良いと思います。

さらに心配であれば基本書も予備校本も両方持っておけば,片方を読んで疑問を持った時に,もう片方を読めばよいだけの話です。

私は,原則として基本書は厚い本1を一冊,薄い本を1冊買い,その他に予備校本を買い,基本的に読み物として読む時は薄い基本書を読み(ただし必要なところだけ読み全部は読まない),薄い基本書で疑問が解決しない場合や,調べ物をしたい時や,厚い基本書と予備校本を読んで見る,という使い方をしてました。


ちなみに,私は受験生の時に「伊藤真試験対策講座」(シケタイ)は何回か買いましたが,結局ほとんど使いませんでした。

それは「伊藤真試験対策講座」がダメという訳ではなく,「問題集を中心に勉強をして,予備校本や辞書として使う」という私のスタイルに合わなかったからです。

「伊藤真試験対策講座」は,どちらかと言うと,何度も通読する人によって便利なように作っています。

実際に「伊藤真試験対策講座」を使って上位合格する受験生は,「伊藤真試験対策講座」を何度も通読している人が多く,試験直前期になるともの凄い短い時間で全科目を通読したりします(実際に全部を読んでいる訳ではなく,ポイント部分の情報を高速で読み取っているらしいのですが)。


他方,私は本を最初から最後まで通読するという作業が苦痛だったので,自分には「伊藤真試験対策講座」が合わず,結局使わなかったというだけです。

「伊藤真試験対策講座」は,東京リーガルマインドのC-Bookなどに比べるとコンパクトで,通読向きなので,実際に読んでみて,自分に合うと思えば買えば良いと思いますし,使う必要がないと思えば別のものを使えば良いと思います。




■おすすめの基本書について


今回の債権法改正で主に影響を受けるのは,(当然ながら)債権総論・債権各論と,民法総則です。

民法総則については,「★民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」に記載したとおり,佐久間先生の「民法の基礎1 総則」が良いと思います。

4版は改正民法に対応しています。

アマゾンのレビューでは改正部分の解説が薄いというような意見もありますが,司法試験に合格するという観点からすれば十分な説明がなされていると思いますし,個人的には,改正点について詳細な解説があるよりも,端的に何がどう変わったのかを短時間で把握できる基本書のほうが試験対策としては効率的だと思います。

★ISBN-10: 4641137927



債権各論については,やはり潮見先生の「基本講義 債権各論」をおすすめします。

★ISBN-10: 4883842282

★ISBN-10: 4883842681

司法試験レベルで重要な改正点についてはきちんと解説がなされていますし,相変わらずコンパクトな内容ですので,通読用としてもお勧めできます。

司法試験の受験生の中には,司法試験のレベルを過大評価しすぎて厚い基本書ばかりを使いたがる人も少なくないのですが,天才タイプの一部の人を除いて大抵は消化不良になります。

「基本講義 債権各論」くらいの薄めの基本書に書いてあることをきちんとマスターすることが合格への近道だと思います。

ご質問のレビューの中では潮見先生が批判されているようですが,私も潮見先生の本にお世話になって合格していますし,潮見先生の基本書を使って合格している受験生も沢山いるので,潮見先生の本が悪いということはありません。

実際,潮見先生が教鞭をとられている京都大学法科大学院は民事系のレベルが高いことで有名ですし,京大法科大学院の司法試験の強さは民事系の強さではないかと思っています(配点が大きい民事系で点が取れないと,それだけで合格が遠のくので。)。

ただし,潮見先生の書かれた本は,難しい本と,分かりやすい本の差が極端ですので,潮見先生の本なら何でもお勧めできるという訳ではありません。

潮見先生の「プラクティス」と「法律学の森」は難しいので,初学者にはおすすめしません(
学術書としては凄い本だと思いますが。。。)

★ISBN-10: 4797227826

★ISBN-10: 4797280220





債権各論のうち契約法については,中田先生の「契約法」も分かりやすいですが,受験生にとって契約法だけで5000円はちょっと高い・・・。お金に余裕があれば,辞書として買っておくと便利だと思います。

★ISBN-10: 4641137315




債権総論は本屋さんで一通り目を通してみましたが,私が初学者の受験生であれば現時点では取りあえず「スタートライン債権法」を買うと思います。

★ISBN-10: 4535520828

「スタートライン債権法」は入門書的な立ち位置の本ですが,昔から人気がある本です。

債権総論の分野で,現時点で民法改正に対応しているものの中では一番分かりやすいと思います。

ベテランの受験生でも読むと新たな発見があるので,買って損はないと思います。

法科大学院の同級生に,純粋未習なのに民法の点数がやたら高い同級生がいて,「1年生の時にどの基本書を使っていたの?」と聞いたら,この「スタートライン債権法」を何度も読み込んでいた,と言っていました。



ただ,中田先生の「債権総論 第三版」が岩波書店のHPで「品切れ」になっているので,近いうちに第四版が出るのではないかと予想しています。

私が受験生だったら,中田先生の「債権総論」の第四版が出たらそちらも買うと思います。中田先生の本は「痒いところに手が届く」素晴らしい基本書なので。

★ISBN-10: 4000230522




予備校本を使うのであれば,現在私が受験生であれば「伊藤真試験対策講座」を買うと思います。

私が受験生の時は東京リーガルマインドの「C-BOOK」を使っていましたが,民法改正部分については,「C-BOOK」よりも「伊藤真試験対策講座」のほうが分かりやすいと思います。

★ISBN-10: 4335304935






■民法改正対策について




もし,今,私がゼロから改正後の司法試験のために民法の勉強をするとすれば,以下のような勉強方法をとると思いますが,基本的には「★民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」で書いた方法と同じなので,そちらも参考にしてください。


●入門書を読む

「伊藤真の民法入門」は一応改正にも対応していますので,ざっとこの入門書で全体像を把握します。

伊藤真の民法入門 第6版
●ISBN-10: 4535520399


「ファーストトラックシリーズ」も良い本ですが,「伊藤真の民法入門」に比べるとレベルが高いので,全く民法を勉強したことがない人が最初に読むとちょっと辛いかも知れません。

★ISBN-10: 4335314523



民法改正対応した学者の書いた入門書を読みたい人には,潮見佳男先生の「民法(全)」もおすすめします。

が,入門書と言ってもかなりボリュームがあって,入門書と言うよりはコンパクトな基本書,と言ったほうが良いかも知れません。

潮見佳男先生の「民法(全)」を読むのであれば「伊藤真の民法入門」など,もっと易しい本を読んでからのほうが良いと思います。

●ISBN-10: 4641137668



●民法の論文問題集を読む

「★民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」でお話したとおり,入門書を読んだ後は論文問題集を読みたいのですが,この記事を書いてある時点では,まだ民法改正に対応した論文式試験の問題集はないと思います。

そこで,私が今から受験生として読むのであれば,取りあえず「伊藤塾試験対策問題集」を読むと思います。

●ISBN-10: 4335303556

●ISBN-10: 4335303653


入門書を読んだばかりでは,改正点かそうでないかを気にするくらいの知識もまだ身についていないと思いますので,取りあえず,Aランクの問題を何回か読んで,(1)民法の主要な論点にどのようなものがあってその結論は何か,(2)実際に論文式試験の答案で書くべき知識の範囲はどのようなものか,を把握していきます。




●改正点をチェックする

「伊藤塾試験対策問題集」を何度か読んで主要論点を把握したら,改正点をチェックしてきます。

改正点をざっとチェックするだけであれば「3時間でわかる! 図解 民法改正」が使いやすいと思います。

細かい説明はありませんが,ぶ厚い民法改正の本が多い中,コンパクトに改正点をまとめてくれているのはありがたいです。

★ISBN-10: 4532321352


その他,この1冊でわかる! 「民法改正」要点のすべて」という本が初学者にも分かりやすいと思います。

★ISBN-10: 4534055129

最近,民法改正について本が次々と出てきているので,今後もっと分かりやすい本も出版されるかも知れません。


このような基本的な本を読んだ上で,法学検定試験委員会の「債権法改正対応 民法択一問題集」などを何度か回せば,民法改正の知識は身につくと思います。

ただし,「債権法改正対応 民法択一問題集」は基本的な問題が多いので,択一式試験対策としては司法試験用の択一式問題集を別途やる必要があります。

債権法改正対応 民法択一問題集
★ISBN-10: 4785726237



今後,各予備校でも民法改正に対応した過去問集を出すと思うので,出版されたら購入をして問題演習をしていくと良いと思います。


(追記)
現在は東京リーガルマインド (LEC)から「司法試験&予備試験 体系別短答過去問題集 民法」という民法改正に対応した問題集が出版されているので,そちらを使うのが良いと思います。

★ISBN-10: 4844923099


この問題集では,過去問の解答・解説を改正後の民法に合わせていますので,来年の司法試験対策として問題無く使えると思います。





なお,民法改正の本として潮見先生の「Before/After 民法改正」や「一問一答 民法(債権関係)改正 (一問一答シリーズ)」などの本があります。

これらの本は辞書として持っていれば便利だと思いますが,司法試験に合格するという観点からは,必須という訳ではないと思いますし,これらの本を熟読するのは時間がかかるので効率的ではないと思います。

個人的には,受験生であれば辞書として「一問一答 民法(債権関係)改正 (一問一答シリーズ)」を買っておくとは思いますが,「Before/After 民法改正」は買わないと思います。


短い勉強時間で司法試験に合格するという観点からは,薄めの民法改正の本を読んで,あとは「債権法改正対応 民法択一問題集」や,今後出版されるであろう問題集をこなしていく,というほうが効率が良いと思います。


Before/After 民法改正
★ISBN-10: 4335357095

一問一答 民法(債権関係)改正
★ISBN-10: 4785726016



●論文式試験対策の補充

今後,民法改正に対応した論文式問題集が出版されるはずですので,民法改正に対応した論文式問題集が出版されたら,それを使って論文式試験対策をしていきます。

また,答練などを受けていれば民法改正対策の問題も出ると思いますし,おそらくハイローヤーや受験新報などの受験雑誌でも民法改正対策の特集が組まれると思いますので(ハイローヤーでは既に択一式については特集が組まれています),そういったものを利用して民法改正に向けた論文対策をしていきます。

★ASIN: B07KZKCY7N

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もし,自分が使いたい民法改正に対応した論文式問題集がない場合には,「伊藤塾試験対策問題集」などの既存の問題集のうち,民法改正で影響を受ける部分について,自分であればどう書くか,という自分なりの答案例を作ってみる,という訓練をしてみても良いと思います。


そして,試験直前期になれば,論文式試験で改正部分が問われるとすれば何か,ということは予備校が分析をしますので,予備校の出題予想が整理された本(毎年,司法試験の直前期に出版されます。)を買って,出題が予想される改正部分が出題された時に他の受験生と差が付けられないように復習をしておきます。

★ASIN: B07B5WB6M7


その他の勉強方法は「★民法の勉強方法とおすすめの民法の基本書や参考書など」でお話した内容と同じです。

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司法試験の勉強での入門書と論文問題集を使用する順番について


コメント欄でいただいた質問のうち,今回は,以下のご質問についてお話したいと思います。
※※※※※※※※※※※※※
今年から学生時代に挫折した司法試験の勉強を始めようと考えております。 
学習の手順としては、1科目ずつ重点的に取り組んだ方が良いのでしょうか。 
例えば、 
民法入門書→憲法入門書 とするか、 
民法入門書→論文問題集→次の科目とするか迷っております。 

個人差がある話で大変恐縮ですが、管理人様のアドバイスをいただければ幸いです。どうか、よろしくお願いします。
※※※※※※※※※※※※※



入門書と論文問題集を使用する順番ですが,私の場合


民法の入門書を読む → 民法の問題集を読む等

憲法の入門書を読む → 憲法の問題集を読む等

刑法の入門書を読む → 刑法の問題集を読む等
・・・

という順番でやっていました。



民法の入門書を読む → 憲法の入門書を読む → 刑法の入門書を読む → ・・・
→ 民法の問題集を読む等

という順番で学習すると,民法の問題集に取り組み始めた時に,民法の入門書で読んだことを忘れている可能性が高く,効率が悪いと思います。

なので,民法の入門書で読んだことを忘れないうちに,民法の問題集を読む等の学習に移ったほうが良いと思います。


法律の勉強でつまずくことが多い1つの原因は「最初のほうに書いてあることを理解するためには,後のほうに書いてあることを理解していないといけない」「しかし,後に書いてあることを理解するためには前に書いてあることを理解していなければならない」ということが良くあるためです。


たとえば,民法で言えば債権各論(契約等)を理解するためには総則(意思表示等)の知識が必要ですが,総則(意思表示等)を理解するためには債権各論(契約等)の知識が必要です。


この一見矛盾する問題をクリアするためには,科目全体を短期間で何度も回すことが大事だと思います。

入門書ですが,「伊藤真の○○入門」シリーズであれば,1日あれば読むことが出来るはずです(民法でも200頁ないくらいなので)。

★ISBN-10: 4535523053


また,論文問題集についても「伊藤塾試験対策問題集」の「A」ランクの問題は,それぞれの科目で30問程度しかないはずですので,1問につき1時間から2時間程度かけたとしても,頑張れば1週間,長くても1ヶ月あれば回すことが出来るはずです。

★ISBN-10: 4335303556

このように,入門書や問題集を短期間で回すことで,科目内の断片的な知識が繋がっていき,効率的に知識をインプットできるようになると思います。


私もそうでしたし,周りの受験生を見ても成績が一気に伸びていく人は,あまり時間をそれぞれの科目の全体を何度も回す,という人が多かったと思います。


ちょっと長くなりましたが,結論としてはご質問について,私の考えとしては,

「民法入門書→憲法入門書・・・」よりも

「民法入門書→論文問題集→次の科目・・・」

のほうが良いと思います。


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肢別本のアプリについて


コメント欄にいくつか質問をいただいていましたので順番に私なりの考えをお答えしていきたいと思います。

まず,以下の質問からです。

※※※※※※※※※※※※※
iPhoneアプリに「辰已法律研究所の「肢別本」」があります。 
アプリの魅力はあると思いますが、使っている人はどの位いるのでしょう。 
気になります。
※※※※※※※※※※※※※


私が受験生の時には肢別本のアプリはなかったので,使ったことはありませんし,どのくらいの人が使っているかも分かりません。

・・・というのが私の答えですが,何点か補足(蛇足)させていだだきます。

私は英語の勉強の際に学習用のアプリを使うことがありますが,一般的に学習用のアプリのメリットとしては,持ち運びが便利でスキマ時間を効率的に使えるということだと思います。


私も受験生時代に,電車に乗るときや,病院に行く時などに肢別本を持っていって読んでいたことがあるので「スマホに肢別本が入っていたら便利だな」と思います。肢別本も全科目合わせると結構な大きさ・重さになるので。


また,肢別本の基本的な使い方としては,解けなかった問題を何度も繰り返して知識を定着させるというやり方だと思いますが,アプリでは解けなかった問題のみを出題するような設定にすることが出来るので,その点も便利だと思います。

紙媒体の問題集だと,解けなかった問題にメモをしていても,何周もしているうちにどれが解けなかった問題か分からなくなってくることがありますので。


ただ,肢別本を使っていると,事案図(「A→B→C」みたいな図)や自分の考えたことのメモを書き込みたくなることがあるので,そういった点ではアプリは不便だと思います。


ちなみに,私が受験生の時は,買うか迷った参考書・ツールなどがあれば,出来るだけ思い切って買うようにしていました。

参考書を買うことでやる気が出てくることもありますし,自分にどの参考書やツールが合うか,というのは,実際に使ってみないと分からないので。

なので,実際に買ったけれどもほとんど使わなかったという参考書や教材は山ほどありますが,いろいろ悩んだり試したりして自分に合う勉強方法を見つける,というのも勉強の1つだと思います。

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