質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。
(いつものことですが、回答が遅くなってすみません。)

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変な質問ですが、司法試験の勉強をして何年くらいして試験に受かりましたか。
法科大学院を卒業しているようですが、やはり、司法試験の勉強は5年6年したのでしょうか。
予備校で「1年で受かる」とかいいますが、あれは宣伝文句だと思いますし、高校生が予備試験に合格したとかいうのも中学生位から勉強しているのではと思います。

勿論、人によりでしょうが、何年も独学は精神的に応える時もありますから、合格した人のある程度の目安を知りたいです。
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私が司法試験の勉強を開始してから合格するまでは、およそ4年半勉強しています。


ただ私の場合は色々と特殊事情がありますし、4年半勉強すれば必ず合格するという訳ではなく、逆にもっと短い勉強時間で合格する人もいますので、やはり勉強時間は様々です。


私の場合は、仕事をしながら法科大学院の入学試験の勉強を始め、勉強をしてから約1年後の法科大学院の入学試験は不合格、2年後の入試で法科大学院に合格しました。

仕事をしている時の勉強時間は(かなり前のことなので不正確かも知れませんが)

・平日は1時間から2時間程度、残業が多い時はゼロ、やる気がない時もゼロ

・土曜日は原則4時間から5時間程度、やる気が出ない時は休み

・日曜日は原則として勉強しないが、やる気が出た時は勉強する

という、最弱スケジュールでした。

社会人時代は勉強を辛いと思った記憶が無いので、とにかく「だらだら」と苦痛を感じない範囲で勉強をしていたと思います。




法科大学院(既習コース)に入った後は、それまでの勉強不足が災いしてかなり苦労しました。

留年をしたくなかったので、時間があればとにかくひたすら勉強をしているという感じでした。

1日あたり8時間から10時間くらい(授業を除くと平日は5時間以上)は勉強をしていたと思います。

法科大学院の試験の直前はユンケルを飲みながら連続で24時間以上勉強したこともありました。

ただし、法科大学院では、司法試験にほとんど関係のない勉強(外国法、エクスターン、自分が選択していない選択科目の勉強等)もする必要があるため、全ての勉強時間が司法試験のために費やしていた訳ではありません。

司法試験に直結するような勉強は感覚的には7割くらいだったと思います。


法科大学院を卒業した後は、完全に燃え尽きてしまい、その他色々とあって長期にわたって勉強を全くしていない期間があり、法科大学院卒業後の司法試験は受験していないのですが、その後の司法試験の4ヶ月程前から慌てて勉強を再開し、その後に(新)司法試験に1回目で合格しました。



私以外の同級生の合格者については、司法試験に合格するまでの期間は様々です。

私が法科大学院にいた頃は、旧司法試験に10年くらい落ち続けている猛者のような受験生も何人もいました。

そういった人達の8割9割程度は法科大学院卒業後、1回で司法試験に合格しています。




他方、法律をほとんど勉強したことがないまま、法科大学院の未修者コースに入学し、3年間勉強して1回で司法試験に合格をしている人も何人かいました。



私が色々な合格体験記を見たり、同級生を見たりした感覚をまとめると以下のような感じです。



・1年の勉強で合格する人

現在は制度的に1年での合格は無理です。

最短でも予備試験と司法試験の両方に合格をしなければならないためです。

ただし、旧司法試験の合格体験記を見た範囲では、丙案(受験回数から3回以内の受験者を論文式試験で特別枠として優先的に合格させる制度)があった時期には、勉強開始から1年で司法試験に合格した事例はいくつかありました。



・2年の勉強で合格する人

2年の勉強で合格した人は私の知っている人の中にはいませんが、おそらく少人数いると思います。

毎日10時間から16時間程度継続して勉強することができる勉強マシーンのような人であれば2年での合格(予備試験1発合格、司法試験も1発合格)も不可能ではないと思います。

(伊藤塾の伊藤真先生は確か1年半程度の期間で旧司法試験に合格されていたと思います。)



・3年の勉強で合格する人

3年の勉強で合格した人は同級生の中に何人かいましたので、方向性を間違わずに、継続して毎日8時間から10時間程度の勉強を継続できれば、合格は十分に可能だと思います。

ただ、かなりの努力は必要だと思いますし、運の要素(本番の運だけでなく、良い勉強仲間や先生に恵まれるか等)も絡んでくると思います。



4年の勉強で合格する人

4年の勉強で合格するのは十分に可能だと思います。

3年勉強して予備試験に合格して、その翌年に司法試験に合格

または

2年間勉強して法科大学院の既習コースに入学して、法科大学院でさらに2年勉強して司法試験に合格

という形であれば、たまに勉強をサボったりしても合格できる人は合格すると思います。



・5年の勉強で合格する人

5年間きちんと方向性を間違わずに勉強をしていれば、通常はかなりの確率で合格できると思います。

4年目で運悪く不合格になっても、5年目で合格したというパターンは結構いると思います。

5年勉強して合格できない場合には、①1日あたりの勉強時間が少ない、②勉強の方向性がずれているか、効率が悪い、③もともと文章を読んだり書いたりするのが苦手、④他の人とちょっと感覚がずれている、等の何らかの理由があると思いますので、根本的な原因の確認と対策が必要だと思います。


総勉強時間で言うと、効率良く勉強できれば、司法試験はおそらく5000時間から6000時間くらいの勉強時間で合格できる試験だと思います。

社会人の1年の労働時間が1700時間くらいだと思いますので、仕事をするのと同じペースで勉強すれば3年半くらいで合格できる計算にはなると思います。

そう考えると、3年で合格する人がそこそこいて、4年目あたりから合格できる人がさらに増えてくるという私の周りの合格者の実績とも一致しているような気がします。



相談者さんのコメントには「人によりでしょうが、何年も独学は精神的に応える時もあります」とありますが、おっしゃるとおりだと思います。

私も勉強は長時間できるタイプではなく、勉強をやりすぎると燃え尽きるタイプなので、もともと「ある程度長期戦でやろう」「やる気がでない時は適度にサボろう」と決めていました。



自分がとことん毎日勉強を継続しても潰れないタイプなのか、追い込みすぎるとダメになってしまうタイプなのかを見極めた上で、長期戦を覚悟してある程度余裕をもったスケジュールで司法試験に臨むのか、短期戦で全速力で走り抜けるのか、見通しを立てておいたほうが良いと思います。


また不明な点があればご質問いただければと思います。


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