質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。
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6月に質問させていただいた、50代半ばのサラリーマンです。今日、短答式試験の合格発表がありました。正直言って試験そのものに手応えはなく、自己採点でも160点にギリギリ届かなかったので半ば諦めていましたが、今年は合格ラインが低かったようで、何とか通りました。
個人的な事情で恐縮ですが、8月初めに勤務先で人事異動があり、その後は挨拶回りや仕事の引き継ぎ、新規業務を覚えたり勉強したりで、全く勉強時間が取れていません。また、今後ますます業務は忙しくなりそうで、週末くらいしかまとまった勉強時間が確保できない見込みです。
それでも、せっかく論文試験を受ける機会を与えてもらった以上、可能な範囲で最善を尽くしたいと考えています。
そこで、大変虫のいい相談とは自覚していますが、これから一月半、平日は毎日30分、週末は3時間程度の勉強時間が取れるとして、どのような方法が効果的、効率的でしょうか。昨年の秋に勉強を始めてから今年の6月まで、まず最初に伊藤塾の入門書を7科目通読し、その後伊藤塾の予備試験用問題集7科目を2回ずつ、実務基礎は1回ずつ熟読し、わからないところは基本書で確認する、という勉強をしてきました。
7月は専ら短答の準備をし、8月以降は仕事のため勉強は中断していますが、明日から論文試験まで、勉強を再開するつもりです。こんな甘い考えで論文試験を受けるのは怪しからん、と叱られそうですが、仕事を休むわけにもいかず、何とか両立させようと思っています。
ご助言いただければ幸いです。
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短答式試験の合格おめでとうございます。
これから論文式試験があるということですので、予備試験の短答式試験に合格されたということですね。
予備試験の論文式試験の日程は現時点で令和2年10月24日(土),25日(日)とされているようですから、1ヶ月半くらい期間があると思います。
時間がない中で、論文式試験の対策をする場合には
・手を広げすぎない
・出来るだけこれまで使い慣れた教材を使う
ということが大事だと思います。
手を広げすぎると消化不良で終わってしまうことが多いですし、新しい教材よりも使い慣れた教材のほうが学習の効率が良いからです。
具体的には私が同じ状況であれば
1 これまで使った教材の復習
2 予想論点の知識・理解の補充
3 模試の受験と復習(できれば)
をすると思います。
- ○これまで使った教材の復習
これまで、伊藤塾の予備試験用問題集ということですが、「試験対策問題集 予備試験論文」のことであれば、引き続きこの問題集を読むなり、答案構成をするなどして、基礎的な問題を確実に正確に書けるようにしておくのが良いと思います。
- ○予想論点の知識・理解の補充
辰巳法律研究所が出している「ハイローヤー」の「2020年 09 月号」で「予備試験 2020年予備論文試験のヤマ 当てにいきます!」という特集が組まれています。
この雑誌を買って、出題が予想される論点を確認し、予想論点に知識や理解に不足があれば、これまで使っていた基本書や伊藤塾の問題集を使って、知識や理解の穴を埋めていく、という作業をすると良いと思います。
●ASIN : B08CN4L2LZ
●ハイローヤー 2020年 09 月号 [雑誌] (日本語) 雑誌
論点はそこそこ絞られていますので、1ヶ月半あれば間に合うと思います。
私も司法試験の直前期に、この雑誌を使って知識の穴を埋める作業をしました。
私が司法試験を受験した年に、憲法の論文式試験で初めて政教分離が出題されたのですが、それまでは自由権と社会権の出題しかなかったので、準備不足で面食らった受験生も多かったようです。
しかし、この雑誌には「政教分離が出るかも」と書いてあり、私は政教分離の論証と処理パターンを直前期に暗記していたので、特に焦ることなく対応できました。
私の年は、行政法や刑事系も当たっていました。
- ○模試の受験と復習
さらに、(出来れば)予備校の模試を通信で受験し、徹底的に復習をしておくべきです。
予備校の模試で出題された論点については、他の多くの受験生も準備をしてきますので、同様の論点が出題された時に、書き負けないように準備しておくことが望ましいです。
予備校の模試や答練と同じ論点が本試験で出題されるということは良くあることですし(特に公法系と刑事系)、勉強不足だったものの、たまたま予備校の模試や答練と同じ論点が出て運良く合格したというパターンは昔から良くあることなので、予備校の模試は受けておいたほうが良いです。
以上、時間がない中では
1 これまで使った教材の復習
2 予想論点の知識・理解の補充
3 模試の受験と復習(できれば)
をしておくと良いと思います。
それから直前期は体調管理も気をつけてください。
特に今年度は司法試験委員会が「発熱や咳等の症状などから新型コロナウイルス感染症等の罹患が疑われる場合は,他の受験者等への影響を考慮し,受験を控えていただくようお願いします(試験場に来られても,受験を認めないことがあります。)。」「受験しなかった場合の追試験や受験料返還等の特別措置は予定していません。」という文書を出しているため、コロナウィルスに限らず、試験の当日に熱があると、それだけで1年を棒に振る可能性があります。
個人的には酷い話だと思っていますが、司法試験委員会が上記のような対応をとっている以上、試験当日に熱があるという状況は避ける必要がありますので、睡眠や食事は十分にとられたほうが良いかと思います。
その他、不明な点があればコメントをください。
頑張ってください。
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確かにこれから新しい教材に手を出すのは消化不良になりそうなので、すでに使った教材である伊藤塾の予備試験用の問題集を復習することを中心にしようと思います。
それから、ご指摘のあった「ハイローヤー」を買って、不十分な論点があったら準備しておくことにします。
模試もできれば受けておきたいのですが、そこまで時間があるか不安なので、とりあえず上記2つをこなすことを優先して、それでも余裕があるようならチャレンジしてみます。今日も今まで仕事だったので、なかなか体力的にもキツいのですが、健康にも留意して取り組みたいと思います。
ご親切なご助言、感謝いたします。