質問をいただきましたので、私見についてお答えしたいと思います。

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今後の勉強の進め方について悩んでおりコメントをしています、もし可能であればご意見を頂ければ幸いです。(コメントする場所を誤っておりましたら、すみません。)
30歳になったことを機にスキルアップしたいと考え、35歳までに司法試験突破を目指して今年の1月より、このブログを参考にしながら勉強しています。

現在、伊藤塾入門書を2回読み、伊藤塾論文問題(ランクA、B+)をまず、写経し、論点等を自分なりに理解し(適宜、ステップアップシリーズを確認しています。)、再度解いてみるという勉強をしており、刑法、民法、民訴法、会社法、憲法を一周して刑法の2周目をしております。合わせて、肢別本アプリの刑法×2周済、民法2周目をしています。
今後の勉強の進め方で悩む理由として、勉強時間が仕事の昼休憩に50分、帰宅後家事育児を終え80分程で、週に15時間程度しか勉強ができない状況となっています。(出勤、退勤時に論文問題を解きながら論点をまとめたテキストの読み上げデータを聞くなどもしています。)
このペースで勉強すると、覚えるスピードより忘れていくスピードが早く、5年後の合格は厳しいように感じています。

そこで、以下の2案を検討しています。
①勉強時間確保のため、修学を理由に部分休業(週の半分仕事を休む)2年と休業1年を取得し、ロースクールの既修に入学する。
②勉強効率をあげるため、予備校に通い(資格スクエアを検討中)、予備試験を受ける

ロースクールは、司法試験とは、関係の薄い勉強も多いとの話も聞くため、効率や金銭面でメリットが大きい②がよいのか、それとも、合格のためにも勉強時間重視で①を選択すべきなのか悩んでおります。
①が堅実な気がしますが、休業に伴う金銭面、試験と関係の薄い時間に勉強を割く必要があること、定期試験と家庭今日両立の不安から②に気持ちが傾いております。
長文になってしまい申し訳ありません。
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家事育児をされているということはご結婚をされていて、お子さんもいらっしゃるということでしょうか。

どの方法が良いかは、配偶者(夫又は妻)の協力をどれだけ得られるか、配偶者の仕事の有無・内容、預貯金がどのくらいあるか、お子さんが何人いらっしゃるか等によっても異なるかと思います。


①の「勉強時間確保のため、修学を理由に部分休業(週の半分仕事を休む)2年と休業1年を取得し、ロースクールの既修に入学する」という方法については、「部分休業」という点と、ロースクールに合計3年通うことを予定されている点が気になりした。

ロースクールは学校にもよりますが、課題が大量に出されるところが多いですし、定期試験の準備なども必要なので、「部分休業」でロースクールの課題や定期試験をこなしつつ、司法試験の準備も平行して進めるのは結構大変だと思います。

昼間仕事をしながら夜間にロースクールに通って司法試験に合格した人もいるので、部分休業でロースクールに通いつつ、司法試験に合格できる可能性は十分にあると思いますが、体力や精神力に自信がある人でないと、途中で心が折れてしまう可能性があるように思われます。(私の場合は根性がないのでたぶん無理。)


それから、「部分休業2年と休業1年」ということですので、未修者コースに入学することを予定されているのではないかと思いますが、個人的には未修者コースはあまりおすすめしていません。

理由は「未修者コースと既修者コースのどちらに入学をすべきかについて」という記事で書いていますので、そちらも参考にしていただければと思います。

相談者の方は、既に伊藤塾論文問題と肢別本を結構こなしているようですし、週に15時間程度でも勉強時間が確保できるのであれば、仕事をしながら中堅程度の法科大学院の既修者コースに合格することは十分に可能だと思いますで、ロースクールに入学をするのであれば、既修者コースに入学して、なるべく早く司法試験の受験資格を得るようにしたほうが良いと思います。

配偶者の協力の有無・収入や、職場の制度にもよると思いますが、覚悟ができるのであれば、2年間完全に休職をして既修者コースに入学するのほうが、司法試験に合格できる可能性は高いように思われます。



②の「勉強効率をあげるため、予備校に通い(資格スクエアを検討中)、予備試験を受ける」という方法は、ある意味王道の方法だと思いますし、仕事をしながら司法試験予備校に通って司法試験に合格する人はいますので、その方法が間違いということはないと思います。

ただ「仕事をしながら予備校に通う」という方法をとる場合にネックになるのが、講義を受講する時間をどれだけ確保できるのか、ということになると思います。

予備校にもよりますが、予備校の授業は、パックで受けると合計500時間くらい講義を受けることになると思います。

週に勉強時間を15時間確保できるとすると、講義を受講するだけで8ヶ月強(500時間÷15時間÷4週間)かかってしまうことになります。

これに復習の時間などを含めると仕事をしながら予備校のスケジュールを全てこなしていくのはかなり厳しいように思います。

予備校の講義は基本的に分かりやすいですしペースメーカーにもなるので時間に余裕がある学生や専業受験生であればお勧めできるのですが、時間のない社会人が予備校の講座を全部受けることは慎重に考えたほうが良いと思います。

私も社会人の時に司法試験予備校を利用することも検討したのですが、講義の量が膨大なので、仕事をしながら予備校を受けるとメンタルが弱い自分は消化不良になって挫折してしまうのではないかと考えてました。

その中で試行錯誤しながら、どうやったら独学で短時間で司法試験に合格できるかということを考えてたどり着いたのが、「司法試験の勉強方法,おすすめの参考書や問題集(総論)」などで書いた問題集や過去問を中心に勉強をしていくという方法でした。

社会人をやりながら予備校を利用するのであれば、答練・模擬試験や問題演習の講座のみを取るとか、苦手な分野の講座のみを取る等、取捨選択しながら、自分に本当に必要な部分が何かを考えた上で、利用すると良いと思います。

話が飛ぶのですが、偏差値30代の高校生3年生が勉強して東大に入るという「ドラゴン桜」というドラマ(フィクション)が昔ありました。

そのドラマの中で、1人の高校生の親が病気で倒れてしまって、その高校生は家の仕事をしながら勉強をすることになり、学校に通えなくなったという場面がありました。

その中で、主人公の桜木という弁護士が

「良い教師のもとで正しく学ぶということが最速・最善の方法だと多くの人が思っているけど、一つだけ独学に敵わない部分がある。それは「密度」、勉強に打ち込む時間の濃さだ。」

みたいなことを言うシーンがあります。

私はこのセリフは試験勉強の本質を突いていると思っています。

東大や司法試験に合格する人の多くは、良い高校や予備校の先生に教わっている人も多いのですが、短期間・短い勉強時間で合格する人は結局のところ、一人で勉強する時に自分の頭で考えて、自分に必要な勉強を集中してやっています。

ですから、社会人の方が短い勉強時間で予備試験や司法試験に合格をするということを考えた場合には、自分が1人で勉強する独学の部分の密度や質をどれだけ上げられるか、という点で明暗が分かれてくると思いますし、予備校を使うのであれば上手く必要な部分に絞って使ったほうが良いと思います。



色々とお話しましたが、もし私が相談者の方と同じ立場であれば、

仕事を2年休職できる状況(気持ちの問題を含めて)がある場合には、法科大学院の既修者コースに入学して、2年で司法試験に合格する覚悟で必死に勉強する

仕事を2年休職できない場合には、仕事をしながらまずは予備試験の合格を目指す。予備校を利用する場合は、答練・模擬試験、問題演習の講座、苦手な分野の講座などに絞って利用するなどして、時間を有効的に使う工夫をする。

という風にすると思います。

またご不明な点がございましたら質問してください。


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